自然科学

【自然科学部】第12回高校生バイオサミットに出場

 自然科学部生物班の1年生2名が、生物系の科学コンテストである第12回バイオサミットに出場しました。

 1次審査(論文審査)を通過した119の研究テーマの発表が、Zoomを使用した1回戦(プレゼンソフトによる口頭発表)で決勝進出をかけて競いました。

 龍野高校のテーマは「ペットボトルで簡単組織培養」です。この研究は兵庫県花ノジギクの教材化に向けて高価なクリーンベンチやオートクレーブ、耐熱性培養容器を使わない、組織培養技術の開発についての研究です。

評価が上位であれば、8月22日から山形県鶴岡市の慶應義塾大学先端生命科学研究所で開催される決勝戦への出場権を獲得できます。

 1回戦での他校での研究発表を聴講しましたが、大学レベルの研究内容や成果の発表も少なくなく、決勝進出は容易ではありません。しかし龍野高校の研究内容も従来の組織培養技術にはないアイデアを使用しています。

 参加した1年生にとって、今回初めての科学コンテストの出場だったのですが、今回の結果の良し悪しにかかわらず、今後の科学コンテストに向けてのアドバンテージになると考えています。

第12回バイオサミット 開会式

研究発表「ペットボトルで簡単組織培養」

 植え付け直後のスプレーギクの花弁

花弁の末端から、カルスが形成

 

【自然科学部】たつの市のオニバスの調査

 オニバスは国内最大の水草です。栄養条件がよければ1枚の葉が2m前後になります。兵庫県内では、瀬戸内海側のため池に稀に生育しています。兵庫県版レッドデータブック2020ではBランクに評価されており兵庫県内の個体群は10程度とされています。

 たつの市内のオニバスの今年の生育状況を確認するために、8月2日に調査に行きました。

 A池は平野部に位置し泥底の富栄養なため池です。水面の90%以上がヒシに覆われていました。オニバスの個体数は15株前後でした。1年草のオニバスは年によって発芽率が著しく変動します。今年はやや発芽率が悪かったようです。発芽率の良い年は個体数が数えきれないほどの大群落を形成します。

 B池はやや山間部の貧栄養なため池です。地域住人によりヒシモドキの保全活動がされています。例年であれば、落ち葉の堆積した泥底の南側で生育しているのですが、今年は北側の堤体にそって7株が生育していました。このあたりの底質は貧栄養な粘土だったの思うのですが、そのためなのかA池のオニバスに比較してやや小型でした。

 まだ、両方のため池ともに、オニバスのつぼみを確認することはできませんでしたが株のサイズから開花・結実してくれると思います。

A池 平野部で富栄養のため池

B池 やや山間部で貧栄養のため池

もうすぐツボミが上がるはず。

地域住民の保護により開花したヒシモドキ

 

【自然科学部】柳池生物多様性野外実験場でヒシの除草作業

2022年7月30日、太子町総合公園柳池内の生物多様性野外実験場で、ヒシの除去作業を行いました。ヒシは在来種の浮葉植物で、やや富栄養な条件下では爆発的に繁殖します。柳池の生物多様性野外実験場では兵庫県下ではたつの市内に1カ所しか自生地がない、希少植物ヒシモドキなどの絶滅危惧種の生息域外保全を行っています。ザリガニやコイなどの影響を心配したのですが、自生地以上に順調な生育をしており、6月中旬以降栽培では開花困難な、開放花も数多く咲かせています。

 実験場内にヒシが入り込みヒシモドキの生育を妨げないように、侵入防止フェンス付近のヒシを除去しました。

 また、授業「探究」で実験に使用するヒシとヒシモドキを採集しました。これまでの研究でヒシモドキがヒシと似た生育環境で育つ植物だが、ヒシが繁栄しヒシモドキが絶滅する原因として、「種子の機能」「根の機能」などの差があることは分かっています。今回の実験ではヒシモドキが絶滅危惧種になった原因の一つに、「除草剤などの薬剤耐性が極めて乏しいため」という仮説を検証する予定です。

手前:ヒシモドキ(絶滅危惧種) 奥:ヒシ(普通種)

左:ヒシ(普通種)  右:ヒシモドキ(絶滅危惧種) 

ヒシの除去前 侵入防止フェンスをヒシが圧迫している

ヒシの除去 水温は気温より低くため池内は案外快適

 

ヒシ除去後 左前の植物がヒシモドキ  右奥はヒシ 

 ヒシモドキは水深90cm付近で開放花が開花

 

【自然科学部】 「科学の屋台村」に「不思議な世界 食虫植物」で出展しました

 令和4年7月23日(土)・24日(日)に姫路科学館などで開催された「桜山公園まつりウィズコロナ」の「科学の屋台村」に自然科学部が出展しました。完全事前予約抽選制で開催され、来館される家族も例年に比べて少なくさみしい「科学の屋台村」でした。しかし昨年・一昨年と2年間新型コロナウイルス感染防止のため中止だったので大きな前進といえます。 

 龍野高校自然科学部の出展内容は「不思議な世界 食虫植物」と題して、食虫植物の実物を観察しながら、「なぜ虫を食べる必要があるのか?」「どのように虫を捕まえるのか?」「ハエトリソウの捕虫実験」などの解説や実験を参加者のみなさんと楽しみました。

 事前予約されていた方には、龍野高校で栽培増殖したハエトリソウやモウセンゴケ類、サラセニア、ムシトリスミレ、ムジナモなどをおみやげにプレゼントしました。栽培については簡単な説明しかできませんでしたが、本やインターネットで栽培方法を調べて大切に育ててほしいと思います。

 「科学の屋台村」を開催していただいた、姫路科学館のみなさんありがとうございました。

 参加していただいた小学生・幼稚園児・保育園児のみなさん。みなさんが中学生・高校生になったとき、みなさんが子どもたちに科学の面白さを伝えてくれる日を楽しみにしています。

 またどこかでお会いしましょう。

自然科学部生物班だけでなく化学班・物理班からも応援参加

展示品 はじめて食虫植物を見る人もいました

「ハエトリソウはどうやって、虫を判断するの?」

例年よりは少ないのですが、多くの家族に説明させていただきました。

ハエトリソウの捕虫実験

プレゼント用 ハエトリソウ、サラセニア等

「食虫植物展」で、自然科学部の研究成果を展示

 姫路市立手柄山温室植物で開催されている、「食虫植物展」で自然科学部の研究成果をポスター展示させていただいています。

 内容は、食虫植物のモウセンゴケの進化についてです。食虫植物のモウセンゴケの交配種に、動物性・植物性さまざまな試料を腺毛や葉身にのせた時の腺毛の運動や葉身の屈曲度合いを、タイムラプス機能付きのデジタルカメラで記録して分析しました。その結果、動物性の試料に限らず、植物性の試料についても腺毛や葉身の運動が確認できました。

 モウセンゴケは進化の過程で、はじめは花粉や胞子などの植物性の付着物を養分にしながら、次第に小型昆虫などの動物に対しても確実に捕虫できるように腺毛や葉身の運動を獲得したと考えられます。

 この研究成果は2020年に姫路市で開催予定であった「第13回食虫植物国際会議 in 姫路」で発表予定でした。しかし新型コロナウイルスが世界中で蔓延したため、国際会議は2023年の開催をめざし延期されています。(食虫植物国際会議HP)

 当時の研究を行った生徒たちは卒業してしまいましたが、2023年に姫路市で食虫植物の国際会議が開催されたときは、龍野高校からも何らかの研究発表ができるようにがんばりたいと思います。

 

食虫植物展は 8月31日まで開催します

ウツボカズラの大株

世界のモウセンゴケと研究成果の展示

モウセンゴケの一種 アデラーエ(豪州産)