総合自然科学科の1年生が受講する『課題研究Ⅰ』とは,理科と公共を融合させた科目であり,私たちを取り巻く様々な社会問題を自然科学の観点から分析することにより,自ら課題を見つけ出し,その問題を解決するための方法を習得することを趣旨としています。
前期は,主に公共の色を強く持つ授業が展開されます。様々な社会問題の学習とその解決法を研究することによって,科学的なリテラシーだけでなく,将来科学者として必要なグローバルな科学観や倫理観を養います。後期は,主に理科の色を強く持つ授業が展開されます。主体的な学びと,科学的思考力や応用力,さらに知の統合を図っていきます。5人編成で課題研究を行い,3月には「ミニ課題研究発表会」が行われます。毎週1時間,および長期休業中なども一部使って研究に取り組みます。
2年生ではさらにレベルの高い研究活動を課題研究で行い,校内外での研究発表も行います。また,3年生の理数探究では,2年生で作製した日本語のポスターを英語で作製し,英語で発表します。
2023(令和5)年度は以下の8つのテーマに分かれて研究しています。
①「ボールが高く跳ねるための面の弾性」
②「展開液の種類とマーブリング絵の具の広がり方」
③「同じ体積で異なる形状の物体にはたらく浮力」
④「市販のお茶の種類と融解の速さ」
⑤「市販の茶葉に含まれるビタミンC含有量の違い」
⑥「腐敗の進行を遅らせる果汁の種類」
⑦「100%オレンジジュースの浸透圧の差による成分量の比較」
⑧「素因数分解を用いたRSA暗号の短時間での解法」
課題研究Ⅰ
【課題研究Ⅰ】先輩からのポスター発表指導
12月17日(火)に,課題研究Ⅰの授業で,総合自然科学科2年生によるポスター発表指導が行われました。
ポスターの構成については端的に表すこと,発表については相手に伝えることを意識するといったアドバイスを受けました。実際に昨年度課題研究Ⅰを経験した先輩からのアドバイスということもあり,皆真剣に話を聞いていました。
1年生からの,緊張しないためにはどうしたら良いかという質問に対しては,事前準備をして自信をつけること,質問されることは研究を深められる有難いことであると考えるのが良いと助言を受けました。
その後の授業では,1月の小高連携いきいき授業に向けてプラネタリウムを作りました。小学生に対して授業を行うことを意識しながら作ることができました。
令和6年度 模擬課題研究・発表会
9月・10月の課題研究Ⅰは、模擬課題研究を通して研究のプロセスを学習します。
1回目の授業では、「課題研究の進め方」について学び、実験実習「偏光板を使って、万華鏡をつくる」では実験の記録をとり、科学的な仕組みを調べる練習をしました。
2回目の授業では、「考察し、結論を導く」について学び、実験実習「水の状態変化」では結果のまとめ方、起こったことから考える(考察)練習しました。
3、4回目の授業では、「仮説を立て、実験方法を考える」について学び、実験実習「梅干しから白い塩を取り出す」では計画を立て実験を行い、その結果から課題を見つける練習をしました。
5回目の授業では、前回行った実験実習「梅干しから塩を取り出す」から、「仮説を立て、実験方法を考える」ことを発表用のスライドにまとめ、発表しました。
各班はそれぞれ仮説を立て、検証するための実験方法を紹介しています。
1日目は「ピンク色の塩」が精製されましたが、この結果を考察し、2日目には新たな実験方法を考え、課題に取り組んでいました。スライド発表では写真だけでなく、実験動画を挿入するなど、各班工夫が見られました。
11月からはいよいよミニ課題研究がスタートします。
研究のプロセスを理解し、2年生で実施する理数探究につなげてほしいです。
令和5年度 ミニ課題研究発表会
令和6年3月5日(火)3,4限に本校合併教室にて『ミニ課題研究発表会』を行いました。この発表会は,第1学年(78回生)が後期の半年間を活用して行った探究活動の成果発表でした。
模擬課題研究で学んだ研究への取り組み方や研究手法を活用し,それぞれの班で工夫しながら進めてきた内容をスライドで成果を報告します。
上級生や先生方に見ていただく初めての機会で緊張もしていましたが,直前までスライドや発表原稿を見直すことで,本番はしっかりと発表をすることができました。
77回生の先輩方からも鋭い質問が飛び交い,質疑応答の時間は非常に活発な意見や議論が交わされました。
また,指導助言として,北川友紀様(株式会社ダイセル主任研究員)から具体的なアドバイスを頂きました。北川様からは,自分自身の研究に対してしっかりと意志を示すこと,研究がどのような社会的有意性を持つのか未来への展望を述べてほしいと,企業人としての立場から高校生の「探究」についてお話をしていただきました。
来年度79回生からは探求の成果を広く発信することを目的に,2月に行われる生徒研究発表会でポスター形式による発表を予定しています。
令和5年度 サイエンス校外実習Ⅱ
令和5年12月25日(月),26日(火)の1泊2日で,夏に引き続きサイエンス校外実習Ⅱを実施しました。研修は播磨光都の放射光科学研究センター,佐用の兵庫県立西はりま天文台,網干の株式会社ダイセルにて行われました。
1日目の午前の放射光科学研究センターでは,大型放射光施設の「SPring-8」とX線自由電子レーザー施設「SACLA」を見学させていただき,最後には研究員の方から,施設でどのような研究をしているのかお話を伺いました。
特に25日は年に数回ある「SACLA」の点検日のため,普段の見学では見られない「SACLA」内部を歩くことができるなど貴重な体験ができました。
アンジュレーターを用いて電子を光速に近い速さまで加速させます
「SPring-8」内の各研究施設の取り組みの様子を聞いています
外国の研究者の方から英語で「科学的な思考」とは何か実験を用いてレクチャーしていただきました。
SORringの説明を受けています
午後は西はりま天文台へ移動し,簡易分光器の作製や小型望遠鏡の扱い方の説明を聞き,夜には国内最大級の「なゆた望遠鏡」で土星の環や木星の大気の様子,月面のクレーターなど肉眼や小型の望遠鏡では見ることができない世界にふれることができました。さらに県立大学の大島教授から冬のダイヤモンドとペテルギウスの位置の説明を受け,小型の望遠鏡を用いて自分たちで星を探しました。年明けにたつの市内の小学校で総合自然科学科の生徒が「プラネタリウムづくり」の授業を行うので,今回の体験を活かせることを期待しています。
簡易分光器の作製をしています
分光器を用いて元素が出す光の波長の違いを体験しています
小型の望遠鏡の扱いを学びました
夜の10時に自分たちで星を探してみました
2日目は株式会社ダイセルの網干工場内にあるIPark(イノベーションパーク)で研修と工場見学をさせていただきました。世界初の画期的な生産方式である「ダイセル生産方式」のオペレーティング場面を見学したり普段は立ち入ることのできない研究施設の中を案内してただ来ました。
【課題研究Ⅰ】ミニ課題研究①
模擬課題研究で研究のプロセスや意義を学んだことを活かして,ミニ課題研究を行います。
第1~2回 班に分かれ,研究したいテーマについて内容を深めていきます。
第3回 研究内容に関する実験計画をたて,実験で使用する道具や器具を考えます。
第4~6回 実験ノートに記録を取りながら実験を行い,結果の考察,次回の改善点をまとめます。
第7回 3回の実験のまとめを行い,結果について考察します。
【ボールが落下する高さと反発力の関係に関する研究】
ボールの種類と床の材質を組み合わせ実験を行い,結果を動画で撮影しました
【果物を用いたpH調整に関する研究】
サバとレタスに様々な果物の汁をつけ,1週間常温で保存し,pHの確認を行いました
【溶質の種類による浸透現象に関する研究】
りんご,オレンジ,パイナップルの液体をセロハンで包み,水が浸透する時間を測ります
残念ながら中央以外はセロハンが破れてしまったため次回再実験を行います