2025年3月の記事一覧
【生物班・課題研究/生物多様性班】「生物多様性ひょうご戦略」で紹介されました
大規模な開発行為、里山など自然に対する人の働きかけの縮小、侵略的外来種の侵入、シカやイノシシの増加、地球温暖化などにより、生物多様性がこれまでにない危機にさらされています。
兵庫県では、こうした環境課題に対応するとともに、生物多様性を守り取り組むべき行動指針として「生物多様性ひょうご戦略」をとりまとめました。
「生物多様性ひょうご戦略」の制定にともない、龍野高校では児童・生徒による生物多様性保全活動のモデル事業をめざして「生物多様性龍高プラン」を生物班、課題研究生物多様性班の生徒が中心となって実施しています。
2025年3月の「生物多様性ひょうご戦略」の改訂では、「生物多様性龍高プラン」が紹介されました。
豊かな兵庫の自然環境と生きものたちを未来に引き継ぐため、県民の一人ひとりが生物多様性について正しく理解し行動できるように、これからも「生物多様性龍高プラン」にとりくみたいと思います。
【参考】生物多様性ひょうご戦略:基本戦略Ⅲ 豊かな自然を未来へつなぐ仕組みづく
https://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/application/files/1017/4219/7267/Ji_Ben_Zhan_Lue_3.
【生物班】ホソバナコバイモの保全
ホソバナコバイモは西日本の限られた場所に生育する多年生草本です。早春に開花、落葉樹が展葉することには結実し、長い休眠期にはいります。カタクリのような早春植物(スプリングエフェメラル)の一種です。生育期間が短く、未開花株は1枚葉で開花まで5年以上かかります。
兵庫県の生育地は分布の東限で国内で重要な自生地といえます。生育地内にササやモウソウチクが侵入しており早春の日光が必要なコバイモの生育環境を守るために伐採します。生育地内のササは休眠期に伐採除去していたので今回は周辺部のモウソウチクを伐採し、枝を落とし柵の修理をする竹杭などをつくりました。
イノシシやシカの侵入を少しでも防止できるように4月には柵を修繕し、自生地内の個体数増加をめざして、日当たりのよい場所に播種を試みたいと思います。
なお、私有地のため立ち入りや作業については土地所有者の許可のもと活動しています。
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ホソバナコバイモ(開花株)草丈10㎝ |
一枚葉の未開花株 |
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進入するモウソウチク |
竹杭の製作 |
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ユキワリイチゲ |
オオマルバコンロンソウ Bランク |
【生物班】サギソウ自生地での枯葉の除去
サギソウの発芽期を前に、自生地で事前に草刈り機で刈り取っておいた枯葉を除去しました。
サギソウの葉は高さが10㎝程度と低く、近くに大型草本のカモノハシなどが生育していると個体数が減少し、開花数も少なくなります。地表に日光があたるようにすることで、サギソウだけでなく地表植物のモウセンゴケやミミカキグサなどの食虫植物も生育が良くなります。
その後、トウカイコモウセンゴケ群落で、被う落ち葉を取り除きました。落ち葉は冬季には霜から植物を守ってくれますが、生育期に入ると日光をさえぎり生育が悪化したり、発芽・成長が悪くなります。
余った時間は周辺の自然観察を行いました。イノシシの個体密度が高いのか、体表につくダニを駆除するための「ぬたば」が多くみられました。湿生植物群落にとっては過度な攪乱がおこると植生が破壊されます。しかしアカガエル類にとってはよい産卵場となっていいるようで、孵化直前の尾芽胚期の卵塊も観察できました。
ため池の堤体やその付近は野焼きがされており枯葉がきれいになくなっていました。このように地表面に日光があたることで、タヌキマメやツリガネニンジン、ワレモコウなどの草原植生が維持されます。
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生物班 参加者 |
刈り取った草を湿地内から除去 |
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イノシシの泥浴び場「ぬたば」 |
孵化直前のアカガエル類の卵塊 |
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トウカイコモウセンゴケの日照を回復 |
葉の痛みがあるトウカイコモウセンゴケ
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【生物班】柳池で生きもの調査
3月22日に太子町総合公園の柳池で行われた「いきもの調査」に自然科学部の4名が参加しました。
このイベントは、太子町役場まちづくり課主催のもと、総合公園で活動をしているNPO法人や企業、ボランティア団体が協力して例年開催しています。
減水した池に入り、池の中の生きものを採集し、もちよりました。採集した生きものについては、兵庫県立大学自然研究会の学生や県立大学客員研究員の津田先生から解説をしていただきました。
採集した生物の中には、コイのほか冬眠から覚めたカメやメダカなどが確認されました。
大変楽しい時間を提供していただいた、太子町まちづくり課のみなさんや生きものについて教えていただいた県立大学のみなさん、ありがとうございました。
【生物班】サイエンスキャッスル ジャパンに2025に参加しました
3月22日関西大学千里山キャンパスで開催された「サイエンスキャッスルジャパン2025」に参加しました。
全国大会ですが、海外からもフィリピンの高校生や先生約30名が参加しました。
生物班からは2つの研究テーマ「簡易防獣柵の効果についての検証」と「高価な設備をつかわない無菌培養実験の開発」でエントリーし、口頭発表の12演題には選ばれませんでしたが、ともにポスター発表80演題に選ばれました。
全国大会では、SSH指定校だけでなく個人で大学に通いながら研究をおこなっている生徒の参加も多く、内容的に卒論をこえた成果をあげている研究テーマもあります。龍野高校の研究にも活用できそうな「マミズクラゲのライフスタイル」などのテーマもありました。
表彰式では、ポスター発表では12演題が入賞できますが、残念ながらここで私たちの研究が紹介されることはありませんでした。予選通過団体に与えらる奨励賞どまりと思われました。
しかし表彰式の最後に「無菌培養実験」の発表番号がコールされました。サイエンスキャッスルは国内だけでなくアジアでも開催されています。マレーシア大会にサンゴの研究をおこなっている学校が、フィリピン大会では龍野高校の「高価な設備をつかわない無菌培養技術の開発」が大会主催者の推薦により出場権を獲得しました。
今回フィリピンから参加された先生方は、限られた教育資源でも工夫することでより良い教育を提供できるように日頃から努力されてます。「高価な設備をつかわない無菌培養技術の開発」は、十分な実験設備のないフィリピンの教育現場にも貢献できると評価していただきました。
グローバルな観点から、私たちの研究がどのように世界貢献できるのか再検討し、実験内容を組み立て直し海外の発表に向けて準備したいと思います。
【参考】サイエンスキャッスルジャパンHP https://s-castle.com/schedule/japan2025/
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開会式 |
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「高価な設備を必要としない無菌培養技術の開発」 |
「簡易防獣柵の効果についての検証」 |