2023年2月の記事一覧

第20回高校生・高専生科学技術チャレンジ(JSEC2022)で入賞 【自然科学部】

「第20回高校生・高専生科学技術チャレンジ(JSEC2022)」は科学コンテストの世界大会(ISEF)日本代表を決める大会です。参加資格は高校生だけでなく高等専門学校生も参加できます。対象となる研究分野は物理・化学・生物・地学分野以外にもロボット工学・数学・社会科学など多岐にわたります。日本代表を決めるコンテストなので、SSH指定校だけでなく、高専、大学の附属高校など有力校が出場しています。

自然科学部生物班では「植物科学部門」に微酸性電解水を活用した「ペットボトルで簡単組織培養」の研究テーマで予選にエントリーしました。結果は佳作(植物科学部門11~13位相当)で最終審査会には出場できませんでしたが、1年生3名のチームでの受賞となりました。

今回の研究のポイントは高価な設備であるオートクレーブやクリーンベンチを使用しないで、花弁の脱分化からカルスを誘導する実験方法の開発です。微酸性電解水により、容器内・培地・植物体・器具を滅菌するため、高温・高圧での滅菌できないペットボトルのような非耐熱性容器を活用できます。

この手法で、市販のスプレーギクや兵庫県花ノジギクの花弁からカルスの誘導に成功しました。

今後は、来年度姫路市で開催予定の「食虫植物国際会議」で発表できるように、「微酸性電解水添加培地を用いた食虫植物の無菌培養」に取り組む予定です。

兵庫の県花 ノジギクのカルス

 脱分化中に枯死したスプレーギクのカルス

食虫植物 ハエトリソウの無菌播種   

食虫植物 ビブリスの無菌播種

 

 

 

 

 

 

人と自然の博物館 共生のひろば発表会

 

 2月11日(建国記念日)兵庫県立人と自然の博物館で「共生のひろば発表会」が3年ぶりに現地開催された。

 龍野高校からは、自然科学部生物班が参加した。研究内容は「ペットボトルで簡単組織培養」についてである。従来の組織培養はニンジンの形成層の使い、高価なクリーンベンチやオートクレーブなどの設備が必要であるが、今回開発した方法であれば、キクの花弁(舌状花)を使い、滅菌に微酸性電解水を用いることで簡単に組織培養(脱分化からカルスの形成)を実験することができる。

 これまで、バイオテクノロジーの生徒実験はオートクレーブやクリーンベンチなどの設備の充実した農業高校などであれば可能であるが、普通科高校では実施できなかった。しかし今回開発した実験方法であれば実験が可能となった。さらに、開発した実験方法で兵庫県花ノジギクの花弁でもカルスの誘導が可能であることが確認できた。ノジギクの教材化により、兵庫県花が県民に認知につながると思う。

 発表には参加者の高校生だけでなく、多くの人と自然の博物館の研究員の方々にも発表を聴いていただけた。

 発表会の後には、「標本の遺伝情報をフル活用して生物多様性を守る」と題して中濱直之研究員の講演があった。

 押葉標本の種子の中には発芽能力が残されたものもあり、標本の遺伝子をつかって遺伝子多様性を回復させる試みなど興味深い内容であった。

開会式

 

研究員による口頭発表