自然科学

【生物班】アジア大会出場を前にたつの市長表敬訪問・激励会

 サイエンスキャッスル  アジア大会に出場する國武明日香さんが、たつの市長を表敬訪問し、激励会をしていただきました。サイエンスキャッスルアジア大会は、主にマレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナムなどの生徒が参加する学会です。國武さんは、3月に開催されたサイエンスキャッスル ジャパンにおいて「グローバルパスポート」を獲得しました。主催者推薦により日本から出場する3名のうちの1人として、マレーシアで開催されるアジア大会にて研究発表をおこないます。

 激励会には、山本市長の他、田中副市長、古本市民生活部長にもご参加いただきました。市長から激励の言葉をいただいたのち、参加者から研究内容に関するさまざまな質問をいただきました。

 激励会のあとには、神戸新聞社の取材も受けました。

 國武さんの研究内容「簡単無菌培養技術の開発」が、このアジア大会をきっかけに、他の国でも絶滅危惧種の保全・増殖などに活用され、共同研究などにつながっていくことを期待したいと思います。

市長・副市長に研究内容の説明

神戸新聞社より取材をうけました

【生物班・課題研究ヌマエビ班】「ひょうご里山・里海国際フォーラム」で発表しました

令和7年9月28日(日)、兵庫県立兵庫津ミュージアムで開催された「ひょうご里山・里海国際フォーラム」において、本校自然科学部生物班と課題研究ヌマエビ班の生徒がポスター発表を行いました。

最優秀賞は逃しましたが生物班の「簡単無菌培養技術開発チーム」が優秀賞を受賞しました。
「ひょうご里山・里海国際フォーラム」は、関西万博の「地球の未来と生物多様性」テーマウィークに連動して開催された国際イベントです。本フォーラムは、里山・里海の重要性やその保全・再生に向けた取り組みを国内外に発信することを目的としています。

高校生によるポスターセッションは、県内の高校から19チームが参加しました。龍野高校からは、生物班(生物多様性の保全に関して3チーム)、課題研究ヌマエビ班が参加し、他校の高校生やフォーラム聴講者、研究者に対してポスターを使用して研究発表しました。

国際フォーラムということで、英文の原稿も準備していた生徒たちですが、多くが日本人の聴衆ですこし残念な一方でほっとしたのではないでしょうか。ぜひ、英語でもコミュニケーションができるようにしっかりと日ごろの学習にも励んでほしいと思います。機会があれば英語での研究発表に挑戦したいと思います。

「生物多様性龍高プラン」 生物班

「簡易防獣柵の効果の検証」 生物班

「簡単無菌培養技術の開発」 生物班

「ミナミヌマエビの生態に関する研究」課題研究

表彰式

参加者

 

 

【生物班】龍野西中学でヒシモドキの生息域外保全を開始

「第2回中学生にもできる課題研究チャレンジ」で生物班と活動している中学生3名のうち2名が龍野西中学生徒ということもあり、龍野西中学校区に生育する絶滅危惧種ヒシモドキの生息域外保全を西中学で行うことにした。

 ヒシモドキはため池などに生育する1年生の水草であるが、国内の生育地は10か所程度。兵庫県も揖西町にしか自生していない希少植物である。

 はじめに龍野高校生物実験室で、これまで何度も絶滅の危機を乗り越えてきた経緯や、地元住民や龍野高校の保全活動、研究内容と成果について学んだ。

 その後、龍野高校スイレン池で生息域外保全をしているヒシモドキを西中学に移植した。ヒシモドキは1年草なので、寒くなると枯れてしまう。しかし、すでに多くの果実(種子)をつくっていた。

 4月には発芽して、龍野西中学でもヒシモドキがすくすく育ってくれることと思う。

また、校区内にある絶滅危惧種オニバスの種子をまいた。発芽率が大変低い植物なので発芽するかどうかは不明だが、裂果していない未熟種子なので発芽率が良いことを期待している。

龍野高校実験室でヒシモドキについて学習

龍野高校での生息域外保全

龍野高校でヒシモドキの抜き取り

龍野西中学ビオトープでの移植作業

ヒシモドキの果実 流出防止の突起が発達

移植されたヒシモドキ

   

【生物班】サギソウ保全地での調査

 生物班は、地元自治会の理解と協力のもと、たつの市内のサギソウ群落の保全活動をおこなっています。冬季の草刈りや開花期の人工授粉などによってサギソウの個体数は増加していますが、今夏はその効果を数値化するために調査を行いました。

 観察道下の湿地周辺部のサギソウに対して、例年人工交配をおこなっており、人工交配をした場合しなかった花に対して結実率が高いことが昨年までの調査からわかっています。さらに、実際に開花個体の増加についても数値化するのが今回の目的です。

 開花期の最盛期をすでに過ぎていましたが、人工交配を行った湿地の周辺50㎝の開花数は、湿地内側よりも多いことがわかりました。また、大型草本のカモノハシを刈り取らない場合は、サギソウだけでなく他の小型草本も激減することが分かりました。

 湿地の周辺部には完全寄生植物のナンバンギセルなど秋の花が咲いていました。ススキやササに寄生しているようでした。

シラサギに似た、サギソウの花

サギソウの人工交配

木道下のようす

木道下 湿地に入らないで

手前から50㎝×100㎝で区画調査

ナンバンギセル

トウカイコモウセンゴケ

【自然科学部】Chemical-Energy-Car Competition 2025に出場しました

8月31日(日)に、Chemical-Energy-Car Competition 2025が開催されました。

これは日本化学会が主催する大会で、大学部門と高校部門があります。一定のルールの基で化学反応で駆動する小さな模型車を制作し、直前に指示された量の水を積み、直前に決められる目標距離までの走行距離の精度を競います。

自然科学部は、化学班を中心に物理班や生物班にも協力してもらって準備を進めてきました。

駆動原理はダニエル電池、停止原理は過酸化水素の分解による酸素の発生を利用して風船を膨らませ、銅線を切るというアイデアを出し、作製してきました。

車を動かすだけの電圧・電流を出すことが難しく、当日は残念ながら車を動かすことができませんでした。しかし、試行錯誤して必死に取り組んだ経験は今後に生きてくると思います。

       

 

【生物班】令和7年度SSH生徒研究発表会に見学にいきました

 8月6日・7日に神戸国際展示場で開催されているSSH生徒研究発表会に見学に行きました。例年、龍野高校からは総合自然科学科課題研究班の最優秀チームが龍野高校を代表して発表会に参加しています。今年は「『国産ヒノキの香りの追求』~タイワンヒノキとの比較~」で発表をおこないました。斎藤兵庫県知事にも研究の成果を聞いていただきました。

 生物班の生徒たちは1年生のみだったのですが、生物分野の発表を中心にポスター発表を見学しました。理解困難なレベルの高い研究発表も多くありましたが、質問すれば生徒の知識レベルの応じて丁寧に説明してくれました。

 特に大阪府立園芸高等学校の「イナワラのダイレクトアルコール発酵によるバイオエタノール生産技術の開発」発表は、直接生物班がとりくむ生物多様性の保全活動に無関係に思いましたが、サギソウ共生菌を活用した自生地の保全活動に多くのヒントを与えてくれました。

 兵庫県に全国の高校生があつまり、いろいろな研究テーマで実験方法や結果を公開してくれることは、兵庫県だけでなく近隣の府県の科学研究にとりくむ高校生にとって大変有益な機会であり、ありがたいことだと思います。

 見学にきた1年生4人のうち3名は総合自然科学科に所属しており、2年後の発表会では発表者として参加してほしいと思います。

ポスター発表会場

龍野高校発表ブースに知事がきてくれました

先輩と記念撮影

審査結果の発表と講評

 

 

【生物班】生息域外保全野外実験場での除草活動

 太子町総合公園で太子町まちづくり課の理解と協力のもと、生物多様性に関する野外実験を行っています。

 公園内の柳池では、兵庫県ではたつの市に1か所しか自生していないヒシモドキの生息域外保全を行っています。ヒシモドキは普通種のヒシとよく似た環境に生育し、葉の形も似ています。ヒシの葉が輪生するのに対してヒシモドキは対生するので見分けるのは簡単です。ヒシは繁殖力が非常に強く、放置しておくとヒシモドキの生息空間がなくなってしまうので、例年夏季にヒシの除草を行っています。その効果もあり、毎年ヒシモドキの生育面積も拡大し、開放花も咲いています。

 体験館前の空き地では、課題研究瀬戸内まちかど花壇班と自然科学部生物班が野外実験をしています。

 実験目的は、自然降雨のみでも花壇の維持ができる植物の選定と簡易防獣柵の効果の検証です。

 ロシアンブルーセージやキャットミント カラドンナ、バーベナだけでなく、湿地のセージであるホッグセージも乾燥や強光に耐えて開花していました。

 絶滅危惧種では、キスゲが開花結実し、簡易防獣柵で囲ったオミナエシも開花していました。オミナエシは昨年はシカにかじられて、開花できませんでしたが、簡易防獣柵により根生葉が守られると一部の花茎は齧られても側芽から開花するなど、保全効果があることが分かりました。

 ハーブ類の植栽のためか、昨年よりもシカの食害が減少しているように感じました。

ヒシが優占種となる柳池

ヒシモドキ周辺のヒシを駆除

ヒシモドキの開放花 水深50㎝以上で開花することが多い

参加生徒

ロシアンブルーセージ

キャットミント カラドンナ

オミナエシ 食害・貧栄養・水不足のためか草丈は低い

エノコログサなど、種子散布まえに除草

 

 

 

 

【生物班】サギソウ保全地で植生調査

7月27日に地元自治会と龍野高校で保全活動を行っていいるサギソウ群落保全地で植生調査を行いました。

今回の植生調査の目的は、カモノハシやススキなど大型草本を駆除した場合、サギソウやモウセンゴケ、ミミカキグサ類など小型草本がどれくらい生育可能になるのか調べることです。

調査の結果、カモノハシが優占的に生育すると日照条件が悪化するだけでなく、土壌が乾燥化しやすいようです。このことも遷移が進行する要因だと思いました。

これからのサギソウ開花期にそなえて、見学者のために湿地に向かう通路のササなどの刈り取りもおこないました。

 

 植生の構成種を覚える

 カモノハシ群落

 未処理区 大型草本が優占種となる

 処理区 イヌノハナヒゲ類が優占する

 食虫植物 ホザキノミミカキグサ

トウカイコモウセンゴケとミミカキグサ

 

 除草前

 

 除草後

 

 

 

 

 

【化学班】先輩と一緒に研究を行いました

7月23日、昨年度卒業した元化学班の先輩に部活動に来ていただきました。

現在化学班では、先輩が行っていた研究を引き継ぎ、フェノールフタレイン溶液を凍らせると赤色から無色に変化する謎を解明しています。

今日は、以前先輩が行っていた研究について聞いたり、現在行っている研究について話をしたりしていく中で、新たな疑問が生じ、それを検証するための実験を一緒に行いました。

ともに実験・考察をする中で、実験の方法や考え方を学ぶことができました。

【自然科学部】 桜山公園まつり 科学の屋台村に出展

姫路科学館で開催された、「科学の屋台村」に出展しました。

2日間、多くの子どもたちの笑顔と驚きの表情に出会うことができました。

親子連れのなかには龍野高校卒業生もいて「龍野高校から多く出展していてうれしく思います。」と声をかけていただきました。

子どもたちの中には5年後、10年後には生徒指導員をやる子どももいるはずです。20年後には先生として生徒をつれて出展している、未来の先生もいると思います。そのとき今指導員をしている生徒が親となり、子どもを連れて来場してほしいと思います。

自然や科学について、子どもたちが驚きや感動を体験できる科学イベントがいつまでも続くように、科学館だけでなく高校生・教員もがんばりたいと思います。

今回は龍野高校の有志ボランティアの協力もあり大変助かりました。疲れましたが、充実した時間を過ごせました。

 7月31日(木)は龍野高校で「わくわく実験教室」を開催します。よかったら来てね♡

 

科学の屋台村出展内容

「牛乳で光が見える!? 水溶液の色が変わる!? おもしろマジック!」自然科学部化学班
「さわって分かる 兵庫の化石と地質」 自然科学部地学班

「不思議な世界 食虫植物」自然科学部生物班
「押花工房 おし花でしおりをつくろう」自然科学部生物班
「絶滅の危機にある生きものたち」自然科学部生物班

【参考】姫路科学館 「科学の屋台村」https://www.city.himeji.lg.jp/atom/tokuten/yatai/index.html

 「おもしろマジック!」化学班

 「ひょうごの化石と地質」地学班

 

 「不思議な世界 食虫植物」生物班

 「押花工房」生物班

 

 「絶滅の危機にある生きものたち」生物班

 

 生物班と龍高サイエンスボランティア

 

 

 

 

 

 

 

【生物班】校内で、絶滅危惧種の生息域外保全

龍野高校の敷地内のさまざまな環境を活用して、主に播磨地方の絶滅危惧植物の生息域外保全を行っています。

 県内ではたつの市のため池1か所にしか自生していないヒシモドキも水連池で栽培すると毎年開花しています。自生地のため池などもそうですが、水深が50㎝以上になると開花しやすくなるようです。水深が浅い時は、根から栄養塩類が吸収しやすく、栄養生殖によりふえます。しかし水深が深くなり養分が吸収しにくくなると、開放花を咲かせ栄養条件の悪い場所から花粉によりDNAを移動させる仕組みではないかと考えられます。

 フウランは市内の神社のクスノキに着生していましたが、落雷によりクスノキが枯れてしましました。神主さんの好意でわけてもらった株を校内里山内のアラカシに着生させています。

 ムラサキはたつの市内の里山に自生していた株から採種し、累代栽培しています。自生地では、シカの食害が酷くなり、周辺に生育していたヤブレガサなどとともに消滅しました。多年草ですが、3年目に枯れることが多いので、実生を繰り返す必要があります。

 アサザはメダカブームと同時にホームセンターなどでも販売され、現存する自生地は移入株である可能性があります。近年(ここ20年内)に発見された自生地は特にその可能性が高いと思います。

 ユウスゲは海岸のがけ地や林縁部に生育するヘメロカリスの仲間です。ユリに似た美しい花が咲くのですが、夕刻から咲くのが残念です。自生地はシカの食害をうけることが多いようです。

 オオアカウキクサ(但馬型)は、高温期に枯れることが多いのですが、湧水のある水路で栽培維持しています。よくみかけるオオアカウキクサは外来種(交雑種)で高水温にも丈夫です。外来オオアカウキクサは合鴨農法と同時に国内に広く分布するようになり、移入問題や遺伝子汚染の可能性が高まっています。

 

 

 

 ヒシモドキ

 フウラン

ムラサキ

 アサザ

ユウスゲ

 オオアカウキクサ(但馬型)

【生物班】サイエンスキャッスルジャパン2025で「グローバルパスポート」を獲得

関西大学で開催されたサイエンスキャッスルジャパン2025で、自然科学部生物班が主催者より独別なオファーを受けました。その内容は、フィリピンで開催されるサイエンスキャッスルでの発表の機会「グローバルパスポート」の授与です。

 龍野高校自然科学部・課題研究生物多様性班では、高校生による地域の生きものと自然環境の保全をテーマに活動しています。その成果の一つが、サギソウなど地域の絶滅危惧植物を、オートクレーブやクリーンベンチなど高価な設備をつかわず、チャック付きミニポリ袋で培養する技術の開発です。この研究の目的は、小学校など設備のない学校でも地域の絶滅危惧種を教材としてバイオテクノロジーを活用した環境教育を可能にすることです。

 フィリピンの高校では、実験観察の予算が不十分なとき教員が自費で生徒実験をおこなっているそうです。そのため、高価な設備を必要としない簡単なバイオテクノロジーの実験手法はフィリピンの高校教員にも貢献できると判断していただきました。 

 龍野高校で研究開発した成果が世界へ発信できることを大変うれしく思います。

【参考】サイエンス冊子『someone vol.71(2025年夏号)生き物たちのマイホーム』

    p.30「特別企画:Dr Mからの特別なオファー」      発行リバネス 

    https://lne.st/business/publishing/someone/

【生物班】第10回全国ユース環境活動発表大会 近畿地方大会の動画が公開されました

第10回全国ユース環境活動発表大会近畿地方大会(2024年12月1日開催)の発表動画が公開されています。

発表の内容は、龍野高校生による地域の生きものと自然環境の保全活動「生物多様龍高プラン」です。発表順は1番で動画の3分~13分あたりです。下記のURLから近畿地方大会のHPにつながるので、ぜひご覧ください。

https://www.erca.go.jp/jfge/youth/topics/20250210/05_kinki.html

なお、龍野高校自然科学部生物班は今大会において「先生が選ぶ特別賞」を授賞しました。

 

 

【自然科学部】福泊人工海浜植生調査に参加

例年地域の自然科学系クラブの研修と交流をかねて開催している、姫路市福泊にある人工海浜植生調査に参加しました。

人工的につくられた海浜にどのように植生が遷移していくのかを調査すると共に、地域の高校生が区画法を用いた植生調査方法について学び、交流しています。

今年は、龍野高校の他、県立大附属、相生、姫路西、賢明が参加しました。千種、淳心からは顧問のみでしたが参加がありました。その他兵庫県生物学会の会員も調査に加わり高校生の指導にあたっていただきました。

海浜植物としては、ハマヒルガオ、ハマボウフウ、ハマゴウなどの分布拡大と共に、大きな株も増えてきました。

天気は良かったのですが、風が吹いていたので比較的涼しい環境で調査ができました。

調査後は、各学校の部活動の取り組みなどを紹介しました。

 区画法による植生調査

 

ハマヒルガオ

ハマボウフウ

コウボウムギ

各校の部活動の取り組みを紹介

 

【生物班/課題研究生物多様性班】千種川産オキナグサの現存数調査

兵庫県レッドデータブック2020では、オキナグサは野生絶滅寸前のAランクに指定されている絶滅危惧植物です。

草原に生育する多年生草本ですが、昔は牛馬の飼料や屋根の資材をえるためにあった茅場(ススキ草原)などが消失し、オキナグサなど草原性の植物の多くが絶滅に直面しています。

千種川流域にもかつては大群落があったそうですが、現在野生絶滅寸前です。昨年、千種川に隣接する赤穂市立有年中学にオキナグサが残存していることをしりました。以前有年中の職員が校内に一株のオキナグサが生育していることに気付き、その株から種子を採集して増殖していたそうです。現在は、自然繁殖した株が中庭に生育しています。

今回は、どれくらいの数のオキナグサが残されているのかを知るために、自然科学部生物班と課題研究生物多様性班の生徒が協力して調査を行いました。

結果は、昨年の種子から発芽成長したと思われる1年生株が45株、2年生株が40株、3年生株が30株、開花株が20株程度確認することができました。個体数全体では100株を超えますが、開花株はあまり多くありませんでした。

一部の種子は採種して苗を生産し、千種川産オキナグサの生息域外保全に利用したいと考えています。

すでに、有年中学生のみなさんにはオキナグサの資料を配布させていただいています。地域の宝物を守り続けるために、龍野高校生も協力したいと思います。

オキナグサの花

オキナグサ(翁草)の名の由来の果穂

全個体数調査

全個体数調査

採種予定の果穂に袋がけ

参加した生物班・課題研究班の生徒

 

【自然科学部】「第1回ひょうご科学塾」に出展しました

 4月13日にアクリエ姫路で開催された、「第1回ひょうご科学塾」に自然科学部が出展しました。

 この科学イベントは兵庫県主催で理系人材の確保や育成を推進することを目的としています。主に県立大学や企業が中心に出展する、小中学生を対象とした科学イベントです。自然科学部も兵庫県立大学工学部の先生から誘われて出展しました。

 例年、県立大工学部での「科学の祭典」や姫路科学館での「科学の屋台村」などには出展してきました。しかし今回は「第1回」の科学イベントであり、新年度そうそうの開催ということもあり十分な準備期間がとれませんでした。

 朝は雨が強く降る天候で、来場者が少ないのではないかと心配したのですが、午後からは雨も小降りとなり、大勢の家族が訪れてくれました。自然科学部からは、網膜残像を利用した「イリュージョンサイエンスマジック」と「押花工房」を出展し、多くの子どもたちやお父さん・お母さんたちに参加していただきました。16:00の閉会前はへとへとになるくらいの盛況でした。

 県立大学工学部の研究室の出展には、自然科学部の卒部生も参加しており大学でも頑張っているようすがうかがえました。

 今年度初の科学イベントでしたが、多くの笑顔に出会えて充実した一日でした。

 

自然科学部の参加者

 

龍野高校の卒業生も家族で来場

 押花工房 押し花でしおりをつくろう

サイエンスマジック(網膜残像を体験)

 

【生物班】ホソバナコバイモの保全

ホソバナコバイモは西日本の限られた場所に生育する多年生草本です。早春に開花、落葉樹が展葉することには結実し、長い休眠期にはいります。カタクリのような早春植物(スプリングエフェメラル)の一種です。生育期間が短く、未開花株は1枚葉で開花まで5年以上かかります。

兵庫県の生育地は分布の東限で国内で重要な自生地といえます。生育地内にササやモウソウチクが侵入しており早春の日光が必要なコバイモの生育環境を守るために伐採します。生育地内のササは休眠期に伐採除去していたので今回は周辺部のモウソウチクを伐採し、枝を落とし柵の修理をする竹杭などをつくりました。

イノシシやシカの侵入を少しでも防止できるように4月には柵を修繕し、自生地内の個体数増加をめざして、日当たりのよい場所に播種を試みたいと思います。

なお、私有地のため立ち入りや作業については土地所有者の許可のもと活動しています。

ホソバナコバイモ(開花株)草丈10㎝

一枚葉の未開花株

進入するモウソウチク

竹杭の製作

ユキワリイチゲ

オオマルバコンロンソウ Bランク

【生物班】サギソウ自生地での枯葉の除去

サギソウの発芽期を前に、自生地で事前に草刈り機で刈り取っておいた枯葉を除去しました。

サギソウの葉は高さが10㎝程度と低く、近くに大型草本のカモノハシなどが生育していると個体数が減少し、開花数も少なくなります。地表に日光があたるようにすることで、サギソウだけでなく地表植物のモウセンゴケやミミカキグサなどの食虫植物も生育が良くなります。

 その後、トウカイコモウセンゴケ群落で、被う落ち葉を取り除きました。落ち葉は冬季には霜から植物を守ってくれますが、生育期に入ると日光をさえぎり生育が悪化したり、発芽・成長が悪くなります。

 余った時間は周辺の自然観察を行いました。イノシシの個体密度が高いのか、体表につくダニを駆除するための「ぬたば」が多くみられました。湿生植物群落にとっては過度な攪乱がおこると植生が破壊されます。しかしアカガエル類にとってはよい産卵場となっていいるようで、孵化直前の尾芽胚期の卵塊も観察できました。

 ため池の堤体やその付近は野焼きがされており枯葉がきれいになくなっていました。このように地表面に日光があたることで、タヌキマメやツリガネニンジン、ワレモコウなどの草原植生が維持されます。

 

生物班 参加者

刈り取った草を湿地内から除去

イノシシの泥浴び場「ぬたば」

孵化直前のアカガエル類の卵塊

トウカイコモウセンゴケの日照を回復

葉の痛みがあるトウカイコモウセンゴケ

 

 

【生物班】サイエンスキャッスル ジャパンに2025に参加しました

3月22日関西大学千里山キャンパスで開催された「サイエンスキャッスルジャパン2025」に参加しました。

全国大会ですが、海外からもフィリピンの高校生や先生約30名が参加しました。

生物班からは2つの研究テーマ「簡易防獣柵の効果についての検証」と「高価な設備をつかわない無菌培養実験の開発」でエントリーし、口頭発表の12演題には選ばれませんでしたが、ともにポスター発表80演題に選ばれました。

 全国大会では、SSH指定校だけでなく個人で大学に通いながら研究をおこなっている生徒の参加も多く、内容的に卒論をこえた成果をあげている研究テーマもあります。龍野高校の研究にも活用できそうな「マミズクラゲのライフスタイル」などのテーマもありました。

 表彰式では、ポスター発表では12演題が入賞できますが、残念ながらここで私たちの研究が紹介されることはありませんでした。予選通過団体に与えらる奨励賞どまりと思われました。

 しかし表彰式の最後に「無菌培養実験」の発表番号がコールされました。サイエンスキャッスルは国内だけでなくアジアでも開催されています。マレーシア大会にサンゴの研究をおこなっている学校が、フィリピン大会では龍野高校の「高価な設備をつかわない無菌培養技術の開発」が大会主催者の推薦により出場権を獲得しました。

 今回フィリピンから参加された先生方は、限られた教育資源でも工夫することでより良い教育を提供できるように日頃から努力されてます。「高価な設備をつかわない無菌培養技術の開発」は、十分な実験設備のないフィリピンの教育現場にも貢献できると評価していただきました。

 グローバルな観点から、私たちの研究がどのように世界貢献できるのか再検討し、実験内容を組み立て直し海外の発表に向けて準備したいと思います。

 

【参考】サイエンスキャッスルジャパンHP https://s-castle.com/schedule/japan2025/

開会式

 参加生徒 自然科学部生物班

 

 「高価な設備を必要としない無菌培養技術の開発」

 

「簡易防獣柵の効果についての検証」

【生物班】西播磨地域ビジョンフォーラムに参加

3月1日に西播磨総合庁舎で開催された西播磨地域ビジョンフォーラムに自然科学部生物班が参加した。

このフォーラムは、各学校や団体による地域づくり活動実践報告会をかねている。

生物班では、地域の自然環境やいきもの保全活動「生物多様性龍高プラン」について、今年重点的に取り組んでいる簡易防獣柵による絶滅危惧植物の保全方法など模型やポスターをつかい発表を行った。

ポスター発表の後、参加団体が6つグループにわかれて、「地域の強みを活かした賑わいと活力のあるまち、住み続けたい選んでもらえる西播磨 ~連携の輪を広げる、つながりから新たな可能性を~」をテーマに地域課題の解決について世代をこえて議論した。その内容については各グループ代表者が発表し意見を共有し合った。

 多種多様な取り組みを行う地域団体の活動の様子を知ることができ、また日頃議論することがない大人と意見を交わす貴重な機会となった。

 例年「生物多様性龍高プラン」にたいして助成していただき、このような交流会の開催を設けていただいた西播磨県民局担当者の方々に感謝したい。

 

 光都周辺地域でも「生物多様性龍高プラン」として、絶滅危惧種ササユリの保全やセツブンソウの調査を行っている。県立大理学部の協力のもと調査研究している「簡易防獣柵を活用したササユリの保全」の活動場所で柵に異常がないか点検したところ特に問題はなかった。一方セツブンソウ群落は例年であれば100輪以上の開花や数多くの実生苗が確認できていたが、数年前よりシカの往来が激しくなっているようで、開けた場所ではほとんど消滅し、ササなどの間にシカの食害や踏み荒らしを逃れた株が少数開花するにとどまった。ここ数年のシカの影響が顕著になっている。

「生物多様性龍高プラン」

「簡易防獣柵」の模型をつかった説明

Bグループを代表して発表

生物班の代表生徒

従来の防獣柵 高い・重い・丈夫

簡易防獣柵による各個体別ササユリの保全

シカの影響により著しく減少したセツブンソウ 

 新鮮なフンがあちらこちらに散在していた