自然科学

第20回高校生・高専生科学技術チャレンジ(JSEC2022)で入賞 【自然科学部】

「第20回高校生・高専生科学技術チャレンジ(JSEC2022)」は科学コンテストの世界大会(ISEF)日本代表を決める大会です。参加資格は高校生だけでなく高等専門学校生も参加できます。対象となる研究分野は物理・化学・生物・地学分野以外にもロボット工学・数学・社会科学など多岐にわたります。日本代表を決めるコンテストなので、SSH指定校だけでなく、高専、大学の附属高校など有力校が出場しています。

自然科学部生物班では「植物科学部門」に微酸性電解水を活用した「ペットボトルで簡単組織培養」の研究テーマで予選にエントリーしました。結果は佳作(植物科学部門11~13位相当)で最終審査会には出場できませんでしたが、1年生3名のチームでの受賞となりました。

今回の研究のポイントは高価な設備であるオートクレーブやクリーンベンチを使用しないで、花弁の脱分化からカルスを誘導する実験方法の開発です。微酸性電解水により、容器内・培地・植物体・器具を滅菌するため、高温・高圧での滅菌できないペットボトルのような非耐熱性容器を活用できます。

この手法で、市販のスプレーギクや兵庫県花ノジギクの花弁からカルスの誘導に成功しました。

今後は、来年度姫路市で開催予定の「食虫植物国際会議」で発表できるように、「微酸性電解水添加培地を用いた食虫植物の無菌培養」に取り組む予定です。

兵庫の県花 ノジギクのカルス

 脱分化中に枯死したスプレーギクのカルス

食虫植物 ハエトリソウの無菌播種   

食虫植物 ビブリスの無菌播種

 

 

 

 

 

 

人と自然の博物館 共生のひろば発表会

 

 2月11日(建国記念日)兵庫県立人と自然の博物館で「共生のひろば発表会」が3年ぶりに現地開催された。

 龍野高校からは、自然科学部生物班が参加した。研究内容は「ペットボトルで簡単組織培養」についてである。従来の組織培養はニンジンの形成層の使い、高価なクリーンベンチやオートクレーブなどの設備が必要であるが、今回開発した方法であれば、キクの花弁(舌状花)を使い、滅菌に微酸性電解水を用いることで簡単に組織培養(脱分化からカルスの形成)を実験することができる。

 これまで、バイオテクノロジーの生徒実験はオートクレーブやクリーンベンチなどの設備の充実した農業高校などであれば可能であるが、普通科高校では実施できなかった。しかし今回開発した実験方法であれば実験が可能となった。さらに、開発した実験方法で兵庫県花ノジギクの花弁でもカルスの誘導が可能であることが確認できた。ノジギクの教材化により、兵庫県花が県民に認知につながると思う。

 発表には参加者の高校生だけでなく、多くの人と自然の博物館の研究員の方々にも発表を聴いていただけた。

 発表会の後には、「標本の遺伝情報をフル活用して生物多様性を守る」と題して中濱直之研究員の講演があった。

 押葉標本の種子の中には発芽能力が残されたものもあり、標本の遺伝子をつかって遺伝子多様性を回復させる試みなど興味深い内容であった。

開会式

 

研究員による口頭発表

【自然科学部・課題研究】宍粟市自然環境講座で研究成果を展示

 11月27日に宍粟市市役所で開催された「自然環境講座」で、「生物多様性龍高プラン」:自然科学部と課題研究生物多様性班(ヒシモドキ班・赤とんぼ班・柳池班・ノジギク班)の研究成果のポスターを展示しました。

 自然環境講座では、「宍粟の豊かな自然を守るためにできること」の演題で、西播磨里人倶楽部代表の林幸一朗氏から生態系や生物多様性について解説された後、宍粟市にもみられる外来種の説明や生態系への影響、国内移入種の問題などについて話されました。

 今回は定期考査前で生徒の参加はできませんでしたが、講演会には宍粟市だけでなくたつの市や太子町で自然環境の保全や環境教育にとりくむ団体の代表者なども参加していました。今後の龍野高校の「生物多様性龍高プラン」の活動の中で、今回参加された他団体との連携と協働も考えたいと思いました。

自然環境講座 講師:林幸一郎氏(西播磨里人倶楽部)

生物多様性龍高プラン:自然科学部・課題研究ポスター

 

 

【自然科学部】高校生・私の科学研究発表会2022に参加

11月23日(祝)に神戸大学百年記念館(六甲ホール)で開催された、「高校生・私の科学研究発表会2022」に生物班が研究発表(口頭発表・ポスター発表)を行いました。発表テーマは「ペットボトルで簡単組織培養」です。従来の方法では高価なオートクレーブ・クリーンベンチが必要な組織培養実験を、微酸性電解水を使用することで授業でも実施可能な実験に改良した研究内容です。

 主催する、兵庫県生物学会の会員や、神戸大学サイエンスショップの先生や学生、他校の高校生や先生方に研究内容を説明し、指導助言をうけることができました。

 今回の発表会には、2年生の課題研究からもノジギク班「兵庫県花ノジギクの理科教育への活用」や数学班「級数で定義された関数は元の関数の性質を満たすのか」、物理班「水力発電の補助電力への利用」が研究発表を行いました。

 このような発表の機会を提供していただき、兵庫県生物学会のみなさん・神戸大学のサイエンスショップの先生方・運営をしていただいた学生のみなさん、ありがとうございました。

 

口頭発表

 ポスター発表

 神戸大百年記念館六甲ホール

オンライン参加者に質問する生物班員

 

 

【自然科学部】兵庫県総合文化祭自然科学部門で生物班が奨励賞

11月5日・6日、バンドー神戸青少年科学館で開催された、兵庫県総合文化祭自然科学部門に参加しました。ここ2年間はコロナ感染防止のため、会場を分け人数制限もしながらの開催でしたが、今年は通常開催となり兵庫県下から多くの自然科学系クラブの生徒が集いました。

龍野高校自然科学部では、今年から理科班を生物班・化学班・物理班に分離し3団体を高文連自然科学部に登録したので、3班が研究発表を行いました。研究発表の内容は、生物班が「ペットボトルで簡単組織培養」、化学班が「銅樹の生成条件と保存方法の検討」、物理班が「斜面を転がる物体の運動と質量の関係」のテーマで発表をおこないました。発表方法は登録団体すべてが行うポスター発表と、全国大会代表選考会をを兼ねる口頭発表があります。生物班の1年生3名が口頭発表にも参加しましたが、奨励賞にとどまりました。他校が2年生中心に発表するなかで、来年に向けて貴重な経験ができたと思います。

 来年は、すべての班が全国大会・近畿大会を目指して口頭発表に参加できるようにがんばりたいと思います。

 総合文化祭自然科学部門生物分野 口頭発表

 口頭発表は、プレゼンソフトを使って研究発表します

 

 ポスター発表は、ポスターを使って研究発表します

 

「ペットボトルで簡単組織培養」 生物班

 

「斜面を転がる物体の運動と質量の関係」物理班

 

「銅樹の生成条件と保存法の検討」 化学班

 

【自然科学部】太子町総合公園SDGsデーに出展しました

9月24日(土)、太子町総合公園体験学習施設とその周辺で開催された、「太子町総合公園SDGsデー」出展しました。生物班は「不思議な世界 食虫植物展」「押花でしおりを作ろう 押花工房」を、化学班は「表面張力であそぼう」、物理班は「ガウスの加速器」などの実験・観察を行いました。

 科学の祭典や科学の屋台村などのように大勢の来場者はありませんでしたが、一組、一組の子ども連れの家族に十分な時間をかけて実験や観察を体験していただけたと思います。

 参加してくれた子どもたちが自然や科学の世界に興味をもってくれたら、将来持続可能な社会の発展に貢献できる人材に育ってくれるのではないかと思いました。

 押花工房 押花をパウチしてしおりを製作

 食虫植物展 ハエトリソウなどで実験観察

 表面張力であそぼう 水でいろんな実験観察

10月まで食虫植物ハエトリソウなど展示中

 

 

【自然科学部】 サギソウ自生地での保全活動

 9月4日(日)にたつの市内のサギソウの保護区で人工交配を行いました。湿地の踏み荒らしを避けるために、湿地周辺部のみの作業となりますが、昨年までの研究から人工交配をすれば結実率は高まり、散布される種子が増加することが分かっています。

 人工交配の作業に前に、自然観察会の下見のために湿地に来られた、県立人と自然の博物館の藤井俊夫研究員に出会いました。下見をしながら自然科学部生徒に湿地に生育するイグサとヤマイなどの植物の見分け方や、オトギリソウの名前の由来など興味関心を喚起する解説をしていただきました。

 サギソウの自生地の作業は冬季にカモノハシなど大型草本の除去なども行っていますが、処理をした場所のサギソウの個体数は確実に増加しています。開花数の増加をみると、龍野高校で開発した自生地での共生菌を増やし自然発芽率を高める保全方法も効果が高いと思われました。

 その後、太子町総合公園の体験学習施設に移動し、食虫植物などの展示品のメンテナンスと柳池の龍野高校野外実験場の植物の生育状況を調べました。フジバカマは開花していましたが,、残念ながら「渡り蝶」のアサギマダラの飛来は確認できませんでした。

サギソウの開花状況

 

サギソウの人工交配 踏み荒らしを避けながら実施。

 

  兵庫県立人と自然の博物館 藤井研究員の解説

 完全寄生植物のナンバンギセル(思い草)

太子町総合公園体験学習施設 食虫植物などの展示

柳池生物多様性実験場 ヒシモドキもまだ開花していた

【自然科学部】サギソウ展に出展しました

 姫路市立手柄山温室植物園で開催されたサギソウ展に自然科学部が出展しました。

 元姫路市立手柄山植物園園長の上埜氏が開発したサギソウ無菌播種を継承しながら、高価なオートクレーブやクリーンベンチを使用しない小学生にもできる「微酸性電解水添加培地を使用した無菌播種」技術や、たつの市内の自生地での保全活動とその効果など、ポスター2枚と無菌培養中のサギソウなどを展示しました。

 サギソウ展では、西播磨地域のサギソウの地域個体や、「飛翔」「香貴」など多種の園芸品種など見ることができました。

 また、食虫植物展の期間中でもあり、ウツボカズラなどの食虫植物も多くの種類を見ることができました。食虫植物展でも先輩の研究「モウセンゴケは菜食家だった!?」をポスター展示していただきました。

 前園長の松本氏より、播磨地方の絶滅危惧種やビカクシダなど熱帯植物について解説をしていただきました。

お忙しい中ありがとうございました。

姫路市の花 「サギソウ展」

龍高の展示品 「微酸性電解水添加培地で無菌播種」

食虫植物展

龍高の展示品 「モウセンゴケは菜食家だった!?」

松本氏による解説 「ビカクシダの葉の役割は?」

松本氏の解説 

 

 

【自然科学部】青少年のための科学の祭典姫路会場に出展しました

 8月20日(土)・21日(日)に兵庫県立大学工学部で開催された「青少年のための科学の祭典」に自然科学部が出展しました。

 生物班は「不思議な世界食虫植物」で、ハエトリソウの実験などを通じて植物の進化の不思議さや巧妙さについてを、

「押花工房」では、押し花をつかってしおりをつくり自然遊びの楽しさを、「絶滅の危機にある生きものたち」では、播磨地方に残された希少生物の写真や、生態系に影響をあたえる外来生物の写真の展示により、多くの生物が絶滅に直面する現状を知っていただきました。

 化学班は「気体の体積変化を見てみよう」で、水の状態変化と体積の実験を行いました。

 物理班は「こぼれない水」で、水の表面張力を体験できる実験を行いました。

 新型コロナのまん延のため、3年ぶりの「科学の祭典」でしたが、参加した自然科学部の生徒たちは、子どもたちに創意工夫をしながら、実験や解説に取り組んでくれました。会場には多くの子どもたちとお父さん・お母さんの驚きの表情や笑顔と出会うことができ、生徒たちもこの経験から多くを学んでくれたことと思います。

 閉会式では、龍野高校の課題研究等でお世話になっている、姫路会場実行委委員長の遊佐真一先生(兵庫県立大学工学研究科)より感謝状をいただきました。

「こぼれない水!? 表面張力の不思議」

「気体の体積変化を見てみよう」 

「不思議な世界 食虫植物」

「押花工房 押し花でしおりをつくろう」

「絶滅の危機にある生きものたち」

 すべての出展に感謝状をいただきました

【自然科学部】第12回バイオサミット2022 僅差で決勝進出ならず

 8月7日に自然科学部生物班の1年生2名が、生物系の科学コンテストである第12回バイオサミットに出場し、8月12日(金)午後にZoomによる決勝進出者の発表がありました。

 1次審査(論文審査)を通過した119の研究テーマの発表のうち、山形県鶴岡市の慶應義塾大学先端生命科学研究所で開催される決勝戦に参加できるのは、成果部門20校、計画部門15校の計35校です。

 龍野高校は成果部門にエントリーし、兵庫県花ノジギクの教材化に向けて高価なクリーンベンチやオートクレーブ、耐熱性培養容器を使わない、組織培養技術の開発について発表していました。

 決勝進出に必要な得点は3.78点でした。龍野高校自然科学部の得点は3.767点で23位。わずかにおよびませんでした。セッション終了後審査員の先生と電話で話す機会がありました。

 改善点としては、審査員には組織培養について経験がない人もおり、この研究によって何がどこまでできれば良いのかを示すなどすれば、より伝わりやすかったのではないか?などのアドバイスを受けることができました。今回の最終予選は4分間という通常の半分以下の時間で実験内容や結果、考察まで発表しましたが、短時間での発表の難しさを痛感しました。決勝はオンラインで観戦できるようですので他校の優秀な発表を見学して参考にしたいと思います。

 これから高等学校総合文化祭自然科学部門の県予選も始まります。今回の経験とアドバイスを生かして県代表を目指いしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

【自然科学部】第12回高校生バイオサミットに出場

 自然科学部生物班の1年生2名が、生物系の科学コンテストである第12回バイオサミットに出場しました。

 1次審査(論文審査)を通過した119の研究テーマの発表が、Zoomを使用した1回戦(プレゼンソフトによる口頭発表)で決勝進出をかけて競いました。

 龍野高校のテーマは「ペットボトルで簡単組織培養」です。この研究は兵庫県花ノジギクの教材化に向けて高価なクリーンベンチやオートクレーブ、耐熱性培養容器を使わない、組織培養技術の開発についての研究です。

評価が上位であれば、8月22日から山形県鶴岡市の慶應義塾大学先端生命科学研究所で開催される決勝戦への出場権を獲得できます。

 1回戦での他校での研究発表を聴講しましたが、大学レベルの研究内容や成果の発表も少なくなく、決勝進出は容易ではありません。しかし龍野高校の研究内容も従来の組織培養技術にはないアイデアを使用しています。

 参加した1年生にとって、今回初めての科学コンテストの出場だったのですが、今回の結果の良し悪しにかかわらず、今後の科学コンテストに向けてのアドバンテージになると考えています。

第12回バイオサミット 開会式

研究発表「ペットボトルで簡単組織培養」

 植え付け直後のスプレーギクの花弁

花弁の末端から、カルスが形成

 

【自然科学部】たつの市のオニバスの調査

 オニバスは国内最大の水草です。栄養条件がよければ1枚の葉が2m前後になります。兵庫県内では、瀬戸内海側のため池に稀に生育しています。兵庫県版レッドデータブック2020ではBランクに評価されており兵庫県内の個体群は10程度とされています。

 たつの市内のオニバスの今年の生育状況を確認するために、8月2日に調査に行きました。

 A池は平野部に位置し泥底の富栄養なため池です。水面の90%以上がヒシに覆われていました。オニバスの個体数は15株前後でした。1年草のオニバスは年によって発芽率が著しく変動します。今年はやや発芽率が悪かったようです。発芽率の良い年は個体数が数えきれないほどの大群落を形成します。

 B池はやや山間部の貧栄養なため池です。地域住人によりヒシモドキの保全活動がされています。例年であれば、落ち葉の堆積した泥底の南側で生育しているのですが、今年は北側の堤体にそって7株が生育していました。このあたりの底質は貧栄養な粘土だったの思うのですが、そのためなのかA池のオニバスに比較してやや小型でした。

 まだ、両方のため池ともに、オニバスのつぼみを確認することはできませんでしたが株のサイズから開花・結実してくれると思います。

A池 平野部で富栄養のため池

B池 やや山間部で貧栄養のため池

もうすぐツボミが上がるはず。

地域住民の保護により開花したヒシモドキ

 

【自然科学部】柳池生物多様性野外実験場でヒシの除草作業

2022年7月30日、太子町総合公園柳池内の生物多様性野外実験場で、ヒシの除去作業を行いました。ヒシは在来種の浮葉植物で、やや富栄養な条件下では爆発的に繁殖します。柳池の生物多様性野外実験場では兵庫県下ではたつの市内に1カ所しか自生地がない、希少植物ヒシモドキなどの絶滅危惧種の生息域外保全を行っています。ザリガニやコイなどの影響を心配したのですが、自生地以上に順調な生育をしており、6月中旬以降栽培では開花困難な、開放花も数多く咲かせています。

 実験場内にヒシが入り込みヒシモドキの生育を妨げないように、侵入防止フェンス付近のヒシを除去しました。

 また、授業「探究」で実験に使用するヒシとヒシモドキを採集しました。これまでの研究でヒシモドキがヒシと似た生育環境で育つ植物だが、ヒシが繁栄しヒシモドキが絶滅する原因として、「種子の機能」「根の機能」などの差があることは分かっています。今回の実験ではヒシモドキが絶滅危惧種になった原因の一つに、「除草剤などの薬剤耐性が極めて乏しいため」という仮説を検証する予定です。

手前:ヒシモドキ(絶滅危惧種) 奥:ヒシ(普通種)

左:ヒシ(普通種)  右:ヒシモドキ(絶滅危惧種) 

ヒシの除去前 侵入防止フェンスをヒシが圧迫している

ヒシの除去 水温は気温より低くため池内は案外快適

 

ヒシ除去後 左前の植物がヒシモドキ  右奥はヒシ 

 ヒシモドキは水深90cm付近で開放花が開花

 

【自然科学部】 「科学の屋台村」に「不思議な世界 食虫植物」で出展しました

 令和4年7月23日(土)・24日(日)に姫路科学館などで開催された「桜山公園まつりウィズコロナ」の「科学の屋台村」に自然科学部が出展しました。完全事前予約抽選制で開催され、来館される家族も例年に比べて少なくさみしい「科学の屋台村」でした。しかし昨年・一昨年と2年間新型コロナウイルス感染防止のため中止だったので大きな前進といえます。 

 龍野高校自然科学部の出展内容は「不思議な世界 食虫植物」と題して、食虫植物の実物を観察しながら、「なぜ虫を食べる必要があるのか?」「どのように虫を捕まえるのか?」「ハエトリソウの捕虫実験」などの解説や実験を参加者のみなさんと楽しみました。

 事前予約されていた方には、龍野高校で栽培増殖したハエトリソウやモウセンゴケ類、サラセニア、ムシトリスミレ、ムジナモなどをおみやげにプレゼントしました。栽培については簡単な説明しかできませんでしたが、本やインターネットで栽培方法を調べて大切に育ててほしいと思います。

 「科学の屋台村」を開催していただいた、姫路科学館のみなさんありがとうございました。

 参加していただいた小学生・幼稚園児・保育園児のみなさん。みなさんが中学生・高校生になったとき、みなさんが子どもたちに科学の面白さを伝えてくれる日を楽しみにしています。

 またどこかでお会いしましょう。

自然科学部生物班だけでなく化学班・物理班からも応援参加

展示品 はじめて食虫植物を見る人もいました

「ハエトリソウはどうやって、虫を判断するの?」

例年よりは少ないのですが、多くの家族に説明させていただきました。

ハエトリソウの捕虫実験

プレゼント用 ハエトリソウ、サラセニア等

「食虫植物展」で、自然科学部の研究成果を展示

 姫路市立手柄山温室植物で開催されている、「食虫植物展」で自然科学部の研究成果をポスター展示させていただいています。

 内容は、食虫植物のモウセンゴケの進化についてです。食虫植物のモウセンゴケの交配種に、動物性・植物性さまざまな試料を腺毛や葉身にのせた時の腺毛の運動や葉身の屈曲度合いを、タイムラプス機能付きのデジタルカメラで記録して分析しました。その結果、動物性の試料に限らず、植物性の試料についても腺毛や葉身の運動が確認できました。

 モウセンゴケは進化の過程で、はじめは花粉や胞子などの植物性の付着物を養分にしながら、次第に小型昆虫などの動物に対しても確実に捕虫できるように腺毛や葉身の運動を獲得したと考えられます。

 この研究成果は2020年に姫路市で開催予定であった「第13回食虫植物国際会議 in 姫路」で発表予定でした。しかし新型コロナウイルスが世界中で蔓延したため、国際会議は2023年の開催をめざし延期されています。(食虫植物国際会議HP)

 当時の研究を行った生徒たちは卒業してしまいましたが、2023年に姫路市で食虫植物の国際会議が開催されたときは、龍野高校からも何らかの研究発表ができるようにがんばりたいと思います。

 

食虫植物展は 8月31日まで開催します

ウツボカズラの大株

世界のモウセンゴケと研究成果の展示

モウセンゴケの一種 アデラーエ(豪州産)

【生物多様性龍高プラン】 幻の花 絶滅危惧種ヒシモドキの開花

 昨年より龍野高校課題研究生物多様性班(ため池班)と自然科学部が、太子町まちづくり課と協働で太子町総合公園柳池で「ため池を活用した絶滅危惧植物の生息域外保全」の野外実験を行っている。

 昨年度、挿し木などで移入したヒシモドキが結実し、今春発芽、そして現在開花している。

 ヒシモドキは全国的に希少な水草で、兵庫県内にはたつの市内のため池1カ所にしか自生していない。その自生地もため池の改修工事後、水深が深くなり、さらに天敵のブラックバスがいなくなったことでアメリカザリガニが増殖するなど環境の変化により絶滅の危険性が増大している。

 ヒシモドキの野外絶滅に備えて、栽培による生息域外保全を長年取り組んできたが、水鉢などでの栽培条件下では開放花が咲くことは極めてまれである。昨年から、ため池を活用した生息域外保全に取り組んできたが、捕食者のコイがいるためかアメリカザリガニの被害も少なく、昨年は開花を確認できなかったが今年はじめて開放花を咲かせた。

 ヒシモドキが希少植物であるだけでなく、栽培条件下では開花しにくいこともあり、「幻の花」といえる。

 なお6月12日にアメリカオニアザミの駆除をおこなったが、開花株は順調に枯死していた。ただし、未開花のため除草剤の散布を逃れた幼苗(ロゼット状)がまだ残されていることがわかったので、今後再度駆除作業を行いたい。

 

 

 

 柳池生物多様性野外実験場

 

順調に生育するヒシモドキ (周辺にはヒシも自生)

 ヒシモドキの開花状況 通常閉鎖花で結実する

 ヒシモドキの開放花 

枯死するアメリカオニアザミの開花株

薬剤散布を逃れた幼株

 

 

 

 

【自然科学部】 アメリカオニアザミの駆除

 太子町総合公園で要注意外来植物のアメリカオニアザミの駆除を行いました。

 アメリカオニアザミはヨーロッパ原産の外来植物でアメリカから輸入された飼料に混入し帰化したそうです。

 花は大変美しく鑑賞価値があるのですが、全草に鋭いトゲがありシカも食害することがありません。

 多くの花を咲かせ、長い冠毛を持つ種子は遠くまで飛散します。昨年の課題研究生物多様性班の植物相の調査で太子町総合公園柳池に、アメリカオニアザミが造成につかわれた用土とともにもちこまれ生育地が拡大していることが分かりました。このまま放置しておくと、公園で遊ぶ幼児・児童がけがをする危険性があるので、対策を太子町まちづくり課担当者と協議しました。草刈り機では根を枯らすことが困難で再生しやすいことから、農地用の除草剤を葉面散布し駆除することにしました。

 今回の駆除では、アメリカオニアザミに除草剤を散布した後、効果不足の場合でも種子の形成と飛散を防止するために花茎を切除しました。すでに園路にも分布を拡大しており、今後も継続的な観察と駆除を行う予定です。

 アメリカオニアザミの除草剤の散布後、龍野高校生物多様性実験場にノジギクとフジバカマの苗を移植しました。

 

柳池の最大の群落 除草剤散布後、花茎を切除

 園路沿いに生育するアメリカオニアザミ

通路に生育するアメリカオニアザミ

チョウやハチなど訪花昆虫は多い(写真 モンキアゲハ)

ノジギクの苗の移植

 

 

【自然科学部】 姫路市の福泊海岸で海浜植生調査

5月29日、西播磨地区の自然科学系クラブが姫路市の福泊海岸に集合し、海浜植物の植生調査をおこなった。

福泊海岸は,姫路市的形町にあり播磨灘に面した人工海浜である。1989年に造成され,2002年に海浜植物の生育が確認された。

遷移の経過を記録すること、さらに西播磨地区自然科学系クラブの活性化などを目的として2005年に高校生が主体となって植生調査を実施した。以降は毎年、西播地区の自然科学系クラブの高校生があつまり、兵庫県生物学会と兵庫県教育研究会生物部会西播磨支部が共同で植生調査を継続してきた。2020年と2021年はコロナ過のため高校生による調査は3年ぶりに実施することができた。

 開会式の後、本校自然科学部顧問の田村教諭より簡単に植生調査方法など説明があり、各校・各班に分かれて調査をおこなった。

広い海浜の植物を調べるために、海岸沿いの北側歩道から海岸に下るコンクリート階段を起点として、砂浜を横断して波打ち際近く植生がなくなるところを終点に、西から東へ10m間隔でライントランセクトを19本設置した。トランセクト起点から終点まで1m×1mの方形区を連続的に設けて,方形区内の全ての植物名と被度を記録した。

 調査の結果、コウボウムギやコウボウシバの定着。ハマゴウやハマボウフウの大株の出現や、オカヒジキやツルナの分布の拡大などが確認できた。近年砂浜を攪乱するような大型台風がなかったことがこのような結果につながっていると考えられる。

 開会式 生物部会西播支部長からの挨拶

 調査前に、写真と標本を使って事前学習

 陸から海へ設置されたライントランセクト

 各校・各班に分かれての植生調査

海岸を華やかに彩る、ハマヒルガオ

潮風に耐えるためクチクラの発達するハマボウフウ

長い地下茎で分布を拡大するコウボウシバ

コウボウシバに似たコウボウムギ

オカヒジキは蒸散量を減らすため松葉状の葉をもつ

貯水組織が発達した多肉植物のツルナ

   

校内の里山で、生息域外野外実験 【自然科学部】

 5月27日、校内の里山でムラサキとフウランの生息域外保全に取り組みました。

 ムラサキはたつの市新宮町産で、すでに現地では野生絶滅しています。しかし実生による累代栽培でたつの市産ムラサキの系統保全を行っています。今回は、簡易防獣柵による効果と、無潅水栽培による個体の維持が可能か調べたいと思います。

 野外実験が成功すれば、野生絶滅した現地の復元などに一歩前進できるのではないかと思います。

 フウランはたつの市内の神社から提供された株です。落雷により着生していた木が枯死し、倒木の危険性があったため枝の伐採時に着生していた株を提供していただき、校内の中庭で栽培していました。しかし、シカの食害にあうなどしたため、シカに食害されにくい高さのアラカシの樹幹に麻縄でしばりつけ、着生させることにしました。現在、根が成長をはじめていますが、うまくいけば今年中には着生するのではないかと思います。

 ムラサキもフウランも兵庫県レッドデータAランクの植物です。もし野外で見かける機会がありましたら、継続的な観察を行い、写真撮影など記録を残してください。そして、減少が著しいと判断されたら保全のため人と自然の博物館など専門家に相談してください。

径1mmの針金ネットで、簡易防獣柵を製作

2年前に、校内花壇に植えたムラサキの開花

校内の里山に、ムラサキを移植

簡易防獣柵で保護したムラサキの苗

フウランの移植 麻縄でアラカシに縛り付ける

 

白い根は今年発根した部分。樹皮に接触すると着生する

 

「全国花のまちづくり姫路大会」に姫路市花サギソウの研究成果を展示 【自然科学部】

花を生かした地域の街づくりに取り組む「全国花のまちづくり姫路大会」が21日、アクリエひめじで開催された。

姫路市内の高校生も、華道部や園芸部が生け花や立体花壇などの作品を展示した。

龍野高校からは自然科学部で取り組んでいるサギソウ関係の研究について展示した。内容は姫路市花である絶滅危惧植物のサギソウの「微酸性電解水添加培地」を活用した無菌培養技術をポスターと無菌培養中の培養器の展示。またサギソウ自生地における保全活動として、人工交配や大型草本の刈り取りの効果などもポスター展示を行った。

 今回は、定期考査中のために部員の参加ができず残念であった。

 なお、姫路市以外の高校からは龍野高校のみの参加であったが、以前から調査研究活動などでお世話になっている姫路市立手柄山温室植物園から展示スペースを提供していただき参加することができた。ご協力ありがとうございました。