自然科学

【生物班】サギソウ保全地で植生調査

7月27日に地元自治会と龍野高校で保全活動を行っていいるサギソウ群落保全地で植生調査を行いました。

今回の植生調査の目的は、カモノハシやススキなど大型草本を駆除した場合、サギソウやモウセンゴケ、ミミカキグサ類など小型草本がどれくらい生育可能になるのか調べることです。

調査の結果、カモノハシが優占的に生育すると日照条件が悪化するだけでなく、土壌が乾燥化しやすいようです。このことも遷移が進行する要因だと思いました。

これからのサギソウ開花期にそなえて、見学者のために湿地に向かう通路のササなどの刈り取りもおこないました。

 

 植生の構成種を覚える

 カモノハシ群落

 未処理区 大型草本が優占種となる

 処理区 イヌノハナヒゲ類が優占する

 食虫植物 ホザキノミミカキグサ

トウカイコモウセンゴケとミミカキグサ

 

 除草前

 

 除草後

 

 

 

 

 

【化学班】先輩と一緒に研究を行いました

7月23日、昨年度卒業した元化学班の先輩に部活動に来ていただきました。

現在化学班では、先輩が行っていた研究を引き継ぎ、フェノールフタレイン溶液を凍らせると赤色から無色に変化する謎を解明しています。

今日は、以前先輩が行っていた研究について聞いたり、現在行っている研究について話をしたりしていく中で、新たな疑問が生じ、それを検証するための実験を一緒に行いました。

ともに実験・考察をする中で、実験の方法や考え方を学ぶことができました。

【自然科学部】 桜山公園まつり 科学の屋台村に出展

姫路科学館で開催された、「科学の屋台村」に出展しました。

2日間、多くの子どもたちの笑顔と驚きの表情に出会うことができました。

親子連れのなかには龍野高校卒業生もいて「龍野高校から多く出展していてうれしく思います。」と声をかけていただきました。

子どもたちの中には5年後、10年後には生徒指導員をやる子どももいるはずです。20年後には先生として生徒をつれて出展している、未来の先生もいると思います。そのとき今指導員をしている生徒が親となり、子どもを連れて来場してほしいと思います。

自然や科学について、子どもたちが驚きや感動を体験できる科学イベントがいつまでも続くように、科学館だけでなく高校生・教員もがんばりたいと思います。

今回は龍野高校の有志ボランティアの協力もあり大変助かりました。疲れましたが、充実した時間を過ごせました。

 7月31日(木)は龍野高校で「わくわく実験教室」を開催します。よかったら来てね♡

 

科学の屋台村出展内容

「牛乳で光が見える!? 水溶液の色が変わる!? おもしろマジック!」自然科学部化学班
「さわって分かる 兵庫の化石と地質」 自然科学部地学班

「不思議な世界 食虫植物」自然科学部生物班
「押花工房 おし花でしおりをつくろう」自然科学部生物班
「絶滅の危機にある生きものたち」自然科学部生物班

【参考】姫路科学館 「科学の屋台村」https://www.city.himeji.lg.jp/atom/tokuten/yatai/index.html

 「おもしろマジック!」化学班

 「ひょうごの化石と地質」地学班

 

 「不思議な世界 食虫植物」生物班

 「押花工房」生物班

 

 「絶滅の危機にある生きものたち」生物班

 

 生物班と龍高サイエンスボランティア

 

 

 

 

 

 

 

【生物班】校内で、絶滅危惧種の生息域外保全

龍野高校の敷地内のさまざまな環境を活用して、主に播磨地方の絶滅危惧植物の生息域外保全を行っています。

 県内ではたつの市のため池1か所にしか自生していないヒシモドキも水連池で栽培すると毎年開花しています。自生地のため池などもそうですが、水深が50㎝以上になると開花しやすくなるようです。水深が浅い時は、根から栄養塩類が吸収しやすく、栄養生殖によりふえます。しかし水深が深くなり養分が吸収しにくくなると、開放花を咲かせ栄養条件の悪い場所から花粉によりDNAを移動させる仕組みではないかと考えられます。

 フウランは市内の神社のクスノキに着生していましたが、落雷によりクスノキが枯れてしましました。神主さんの好意でわけてもらった株を校内里山内のアラカシに着生させています。

 ムラサキはたつの市内の里山に自生していた株から採種し、累代栽培しています。自生地では、シカの食害が酷くなり、周辺に生育していたヤブレガサなどとともに消滅しました。多年草ですが、3年目に枯れることが多いので、実生を繰り返す必要があります。

 アサザはメダカブームと同時にホームセンターなどでも販売され、現存する自生地は移入株である可能性があります。近年(ここ20年内)に発見された自生地は特にその可能性が高いと思います。

 ユウスゲは海岸のがけ地や林縁部に生育するヘメロカリスの仲間です。ユリに似た美しい花が咲くのですが、夕刻から咲くのが残念です。自生地はシカの食害をうけることが多いようです。

 オオアカウキクサ(但馬型)は、高温期に枯れることが多いのですが、湧水のある水路で栽培維持しています。よくみかけるオオアカウキクサは外来種(交雑種)で高水温にも丈夫です。外来オオアカウキクサは合鴨農法と同時に国内に広く分布するようになり、移入問題や遺伝子汚染の可能性が高まっています。

 

 

 

 ヒシモドキ

 フウラン

ムラサキ

 アサザ

ユウスゲ

 オオアカウキクサ(但馬型)

【生物班】サイエンスキャッスルジャパン2025で「グローバルパスポート」を獲得

関西大学で開催されたサイエンスキャッスルジャパン2025で、自然科学部生物班が主催者より独別なオファーを受けました。その内容は、フィリピンで開催されるサイエンスキャッスルでの発表の機会「グローバルパスポート」の授与です。

 龍野高校自然科学部・課題研究生物多様性班では、高校生による地域の生きものと自然環境の保全をテーマに活動しています。その成果の一つが、サギソウなど地域の絶滅危惧植物を、オートクレーブやクリーンベンチなど高価な設備をつかわず、チャック付きミニポリ袋で培養する技術の開発です。この研究の目的は、小学校など設備のない学校でも地域の絶滅危惧種を教材としてバイオテクノロジーを活用した環境教育を可能にすることです。

 フィリピンの高校では、実験観察の予算が不十分なとき教員が自費で生徒実験をおこなっているそうです。そのため、高価な設備を必要としない簡単なバイオテクノロジーの実験手法はフィリピンの高校教員にも貢献できると判断していただきました。 

 龍野高校で研究開発した成果が世界へ発信できることを大変うれしく思います。

【参考】サイエンス冊子『someone vol.71(2025年夏号)生き物たちのマイホーム』

    p.30「特別企画:Dr Mからの特別なオファー」      発行リバネス 

    https://lne.st/business/publishing/someone/

【生物班】第10回全国ユース環境活動発表大会 近畿地方大会の動画が公開されました

第10回全国ユース環境活動発表大会近畿地方大会(2024年12月1日開催)の発表動画が公開されています。

発表の内容は、龍野高校生による地域の生きものと自然環境の保全活動「生物多様龍高プラン」です。発表順は1番で動画の3分~13分あたりです。下記のURLから近畿地方大会のHPにつながるので、ぜひご覧ください。

https://www.erca.go.jp/jfge/youth/topics/20250210/05_kinki.html

なお、龍野高校自然科学部生物班は今大会において「先生が選ぶ特別賞」を授賞しました。

 

 

【自然科学部】福泊人工海浜植生調査に参加

例年地域の自然科学系クラブの研修と交流をかねて開催している、姫路市福泊にある人工海浜植生調査に参加しました。

人工的につくられた海浜にどのように植生が遷移していくのかを調査すると共に、地域の高校生が区画法を用いた植生調査方法について学び、交流しています。

今年は、龍野高校の他、県立大附属、相生、姫路西、賢明が参加しました。千種、淳心からは顧問のみでしたが参加がありました。その他兵庫県生物学会の会員も調査に加わり高校生の指導にあたっていただきました。

海浜植物としては、ハマヒルガオ、ハマボウフウ、ハマゴウなどの分布拡大と共に、大きな株も増えてきました。

天気は良かったのですが、風が吹いていたので比較的涼しい環境で調査ができました。

調査後は、各学校の部活動の取り組みなどを紹介しました。

 区画法による植生調査

 

ハマヒルガオ

ハマボウフウ

コウボウムギ

各校の部活動の取り組みを紹介

 

【生物班/課題研究生物多様性班】千種川産オキナグサの現存数調査

兵庫県レッドデータブック2020では、オキナグサは野生絶滅寸前のAランクに指定されている絶滅危惧植物です。

草原に生育する多年生草本ですが、昔は牛馬の飼料や屋根の資材をえるためにあった茅場(ススキ草原)などが消失し、オキナグサなど草原性の植物の多くが絶滅に直面しています。

千種川流域にもかつては大群落があったそうですが、現在野生絶滅寸前です。昨年、千種川に隣接する赤穂市立有年中学にオキナグサが残存していることをしりました。以前有年中の職員が校内に一株のオキナグサが生育していることに気付き、その株から種子を採集して増殖していたそうです。現在は、自然繁殖した株が中庭に生育しています。

今回は、どれくらいの数のオキナグサが残されているのかを知るために、自然科学部生物班と課題研究生物多様性班の生徒が協力して調査を行いました。

結果は、昨年の種子から発芽成長したと思われる1年生株が45株、2年生株が40株、3年生株が30株、開花株が20株程度確認することができました。個体数全体では100株を超えますが、開花株はあまり多くありませんでした。

一部の種子は採種して苗を生産し、千種川産オキナグサの生息域外保全に利用したいと考えています。

すでに、有年中学生のみなさんにはオキナグサの資料を配布させていただいています。地域の宝物を守り続けるために、龍野高校生も協力したいと思います。

オキナグサの花

オキナグサ(翁草)の名の由来の果穂

全個体数調査

全個体数調査

採種予定の果穂に袋がけ

参加した生物班・課題研究班の生徒

 

【自然科学部】「第1回ひょうご科学塾」に出展しました

 4月13日にアクリエ姫路で開催された、「第1回ひょうご科学塾」に自然科学部が出展しました。

 この科学イベントは兵庫県主催で理系人材の確保や育成を推進することを目的としています。主に県立大学や企業が中心に出展する、小中学生を対象とした科学イベントです。自然科学部も兵庫県立大学工学部の先生から誘われて出展しました。

 例年、県立大工学部での「科学の祭典」や姫路科学館での「科学の屋台村」などには出展してきました。しかし今回は「第1回」の科学イベントであり、新年度そうそうの開催ということもあり十分な準備期間がとれませんでした。

 朝は雨が強く降る天候で、来場者が少ないのではないかと心配したのですが、午後からは雨も小降りとなり、大勢の家族が訪れてくれました。自然科学部からは、網膜残像を利用した「イリュージョンサイエンスマジック」と「押花工房」を出展し、多くの子どもたちやお父さん・お母さんたちに参加していただきました。16:00の閉会前はへとへとになるくらいの盛況でした。

 県立大学工学部の研究室の出展には、自然科学部の卒部生も参加しており大学でも頑張っているようすがうかがえました。

 今年度初の科学イベントでしたが、多くの笑顔に出会えて充実した一日でした。

 

自然科学部の参加者

 

龍野高校の卒業生も家族で来場

 押花工房 押し花でしおりをつくろう

サイエンスマジック(網膜残像を体験)

 

【生物班】ホソバナコバイモの保全

ホソバナコバイモは西日本の限られた場所に生育する多年生草本です。早春に開花、落葉樹が展葉することには結実し、長い休眠期にはいります。カタクリのような早春植物(スプリングエフェメラル)の一種です。生育期間が短く、未開花株は1枚葉で開花まで5年以上かかります。

兵庫県の生育地は分布の東限で国内で重要な自生地といえます。生育地内にササやモウソウチクが侵入しており早春の日光が必要なコバイモの生育環境を守るために伐採します。生育地内のササは休眠期に伐採除去していたので今回は周辺部のモウソウチクを伐採し、枝を落とし柵の修理をする竹杭などをつくりました。

イノシシやシカの侵入を少しでも防止できるように4月には柵を修繕し、自生地内の個体数増加をめざして、日当たりのよい場所に播種を試みたいと思います。

なお、私有地のため立ち入りや作業については土地所有者の許可のもと活動しています。

ホソバナコバイモ(開花株)草丈10㎝

一枚葉の未開花株

進入するモウソウチク

竹杭の製作

ユキワリイチゲ

オオマルバコンロンソウ Bランク