自然科学
日本生物教育会全国大会大阪大会 で研究発表 【自然科学部】
8月10日 近畿大学東大阪キャンパスで開催された、日本生物教育会全国大会大阪大会で自然科学部生物班がポスター発表を行いました。テーマは「ほんまにできる バイオ実験」です。昨年開発した微酸性電解水添加培地をもちいたキク花弁の組織培養を生徒実験でも可能なように小型チャック付きポリ袋をつかった方法を紹介しました。この方法によるキク花弁の組織培養(カルス)やサギソウの無菌は種の成果を展示するだけでなく、希望者には実際にその場で、キク花弁を無菌培地に置床していただきました。
実は先日の高校生バイオサミット1回戦において、同じ実験内容について口頭発表を行いました。そのときに、「実験が成功しているのは、何度も実験をして技術が向上した君たちだからではないか?はじめてこの方法で実験する生徒には無理なのでは?」と質問をされました。
そこで、今回は研究発表とともにこの実験に興味を持って頂いた、高校の先生や高校生、出版社社員の方々に実際にやって頂きました。2回キクの花弁を無菌培地に置床していただき1回目のビニル袋を龍野高校で、2回目の袋を実験者で管理して頂くことにしました。
いったいどのような結果が出るのか楽しみです。クリーンベンチ無し、人の出入り(空気のうごき)ありの環境でもはたして無菌操作は可能なのでしょうか。無菌操作の環境としては劣悪なので50%の成功率で合格としたいと思います。
協力して頂いたみなさんありがとうございました。
「ほんまにできるバイオ実験」 |
じっさいに、実験していただきました |
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チャック付きミニポリ袋でサギソウの無菌播種 |
バイオサミット決勝進出 【自然科学部】
8月9日、バイオサミット1回戦の結果発表があった。バイオサミットとは慶應義塾大学先端生命科学研究所が主催する生物系の高校生科学コンテストである。1次審査(論文)を通過し、8月4日にオンラインによる1回戦(口頭発表)が行われた。昨年は1年生のみで挑戦し、僅差で決勝戦進出を逃した。今年こそは決勝戦に進出するつもりで昨年の研究内容をさらに進化させて1回戦に備えた。成果発表部門は上位20チームが決勝に出場できる。
結果、9番目に龍野高校自然科学部の決勝進出が決定した。
決勝戦は8月21日。あまり時間もないが十分な準備をしたい。
成果発表部門 上位20チームが決勝戦進出 |
決勝戦の日程 |
決勝戦会場 慶應義塾大学先端生命科学研究所 鶴岡市 |
1回戦 オンラインによる口頭発表と質疑応答 |
食虫植物国際会議で発表【自然科学部】
第13回食虫植物国際会議が姫路市民会館において2023年5月26日~28日にかけて開催されました。
コロナ禍のため、予定よりも3年遅れで日本での開催となりました。日本では2度目で、姫路市での開催となりました。これは播磨地方のため池の周辺に食虫植物の自生地が多いことや、ウツボカズラの栽培品で最長記録でギネスブックにも登録された県立フラワーセンターや手柄山温室植物園などがあり、自生地見学や植物園見学が可能であることなどが要因だったそうです。
本来であれば「モウセンゴケは菜食家だった?」のテーマで発表予定でしたが、研究を行っていた生徒も卒業し、今回新たにテーマを「兵庫県南部の食虫植物と生物多様性を守る高校生の活動」として、兵庫県下の食虫植物を自生地の写真とともに紹介し、食虫植物が減少する原因について野生動物の増加や、阪神淡路大震災以降のため池改修工事、ブラックバスの駆除とアメリカザリガニの影響について説明しました。さらに私たちの生物多様性保全活動「生物多様性龍高プラン」について発表しました。
発表は、同時通訳による日本語での発表もできましたが、せっかくの機会なので質疑応答のみ通訳をお願いし、日本語と英語で発表しました。発表後は海外からの聴衆からも質問が数多くあり、発表間の休憩時間が無くなるほどでした。
国際食虫植物協会(ICPN)の自生地保全担当役員のCarsonTrexler氏からも私たちの保全方法について質問がありました。また、二人の海外からの聴講者からは、高校生が英語で発表を行ったことに対して大変感激したとほめていただきました。
発表を行った2年生の2人も大変楽しかったようです。その一方で多くの日本人参加者が英語で直接発表者と質疑応答する様子をみて、英語によるコミュニケーション力の必要性について実感していました。
各国の研究所や大学の研究者や植物園の職員にまざり、高校生に発表する機会を与えてくれた日本の主催者のみなさん、そして本校英語科のみなさんには、5月考査で忙しい中、英語の発表原稿の修正や発音指導など献身的に協力していただきました。ありがとうございました。
また、高校生の発表をうなづきながら聞いていただいた国内外の聴衆のみなさんに厚く感謝いたします。
【参考】第13回食虫植物国際会議HP プログラム
発表テーマ 地域の生物を守る高校生の活動 |
日本語に続き、英語でも発表 |
課題研究でみつかった太子町産タヌキモ不明種を展示。 |
微酸性電解水添加培地をつかった食虫植物の無菌培養 |
海外からの参加者もペットボトルの無菌培養に関心を持っていました。 |
発表者 川島(2年) 壷阪(2年) |
食虫植物の野外調査 【自然科学部】
4月22日たつの市内で昨年末に見つけたコモウセンゴケ類の自生地の調査に行きました。常緑性のコモウセンゴケ類は冬季も地表部に葉があります。しかし休眠するイシモチソウなどは冬季には発見困難です。
調査の結果、コモウセンゴケ類の自生地周辺でイシモチソウを発見できました。さらに3株だけでしたがモウセンゴケもみつけることができました。生育の良いコモウセンゴケはすでに開花がはじまっていました。トウカイコモウセンゴケとイシモチソウも来月中には開花すると思われました。
環境的にはミミカキグサ類3種の自生も予想されましたが、まだ種子が発芽したばかりで小さく見つけることはできませんでした。開花期に再度調査する必要があります。
また、相生市の休耕田脇で絶滅危惧種のハンゲショウをみつけましたが、こちらは地域住民により移入された株でした。
コモウセンゴケの生育環境 水路脇の斜面に自生 |
開花がはじまったコモウセンゴケ |
トウカイコモウセンゴケ コモウセンゴケとモウセンゴケの雑種由来の種類 |
モウセンゴケ 今回の調査で自生が確認。個体数は少ない。 |
イシモチソウ 今回の調査で新たな生育地を確認した。 |
岩場の小さな湿地にイシモチソウやトウカイコモウセンゴケなどが自生。 |
太子町総合公園柳池での生物調査 【自然科学部】
3月25日、太子町総合公園柳池で太子町まちづくり課が主催する生物調査に参加しました。
柳池は、もともと水田に必要な灌漑用のため池でしたが、水田が公園となりため池の水利権も消失しました。その後、公園の一部として整備され、さまざまな活用が試みられています。龍野高校でも、生物多様性の保全に活用できないか自然科学部や課題研究生物多様性班が、「野外実験場」として利用させていただいています。
生物調査に先立って「汐入川を守る会」より活動報告がありました。河川を清掃管理するだけでなく、子どもたちの自然観察の場となるようにフジバカマを植栽し、旅をする蝶として知られるアサギマダラの飛来させるなどの取り組みが行われています。
その後、水の抜かれた柳池に入り、生きものを採集し兵庫県立大学の学生による解説がありました。ウシガエルやアカミミガメ、アメリカザリガニなど外来種が多く見られる中、コオイムシやミズカマキリなどの水生昆虫も見つかりました。
午後からは、「龍野高校柳池野外実験場」でサギソウ共生菌の発芽実験を行いました。この場所はもともとコナラやアベマキ、モウソウチクなど放置林のあった場所です。伐採されて公園整備後に、湧水を利用して人工湿地をつくりました。もともとサギソウの自生していない場所ですが、人工湿地内にサギソウの発芽を促す共生菌がいないか探すことが目的です。もし共生菌があれが、人工湿地内でのサギソウ観察園がつくれるのではないかと考えています。
「汐入川を守る会」からの活動報告 |
アサギマダラは、旅の途中にフジバカマなどに飛来 |
柳池で生物調査 |
コイを捕る |
アカミミガメも捕る |
兵庫県立大学の学生による生きものの解説
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コイ 体型から在来種のコイではない |
ウシガエルは食用として国内にもちこまれた |
「龍野高校生物多様性野外実験場」 |
キシュウスズメノヒエの枯草を利用して共生菌を培養 |