自然科学

【生物班】龍野西中学でヒシモドキの生息域外保全を開始

「第2回中学生にもできる課題研究チャレンジ」で生物班と活動している中学生3名のうち2名が龍野西中学生徒ということもあり、龍野西中学校区に生育する絶滅危惧種ヒシモドキの生息域外保全を西中学で行うことにした。

 ヒシモドキはため池などに生育する1年生の水草であるが、国内の生育地は10か所程度。兵庫県も揖西町にしか自生していない希少植物である。

 はじめに龍野高校生物実験室で、これまで何度も絶滅の危機を乗り越えてきた経緯や、地元住民や龍野高校の保全活動、研究内容と成果について学んだ。

 その後、龍野高校スイレン池で生息域外保全をしているヒシモドキを西中学に移植した。ヒシモドキは1年草なので、寒くなると枯れてしまう。しかし、すでに多くの果実(種子)をつくっていた。

 4月には発芽して、龍野西中学でもヒシモドキがすくすく育ってくれることと思う。

また、校区内にある絶滅危惧種オニバスの種子をまいた。発芽率が大変低い植物なので発芽するかどうかは不明だが、裂果していない未熟種子なので発芽率が良いことを期待している。

龍野高校実験室でヒシモドキについて学習

龍野高校での生息域外保全

龍野高校でヒシモドキの抜き取り

龍野西中学ビオトープでの移植作業

ヒシモドキの果実 流出防止の突起が発達

移植されたヒシモドキ

   

【生物班】サギソウ保全地での調査

 生物班は、地元自治会の理解と協力のもと、たつの市内のサギソウ群落の保全活動をおこなっています。冬季の草刈りや開花期の人工授粉などによってサギソウの個体数は増加していますが、今夏はその効果を数値化するために調査を行いました。

 観察道下の湿地周辺部のサギソウに対して、例年人工交配をおこなっており、人工交配をした場合しなかった花に対して結実率が高いことが昨年までの調査からわかっています。さらに、実際に開花個体の増加についても数値化するのが今回の目的です。

 開花期の最盛期をすでに過ぎていましたが、人工交配を行った湿地の周辺50㎝の開花数は、湿地内側よりも多いことがわかりました。また、大型草本のカモノハシを刈り取らない場合は、サギソウだけでなく他の小型草本も激減することが分かりました。

 湿地の周辺部には完全寄生植物のナンバンギセルなど秋の花が咲いていました。ススキやササに寄生しているようでした。

シラサギに似た、サギソウの花

サギソウの人工交配

木道下のようす

木道下 湿地に入らないで

手前から50㎝×100㎝で区画調査

ナンバンギセル

トウカイコモウセンゴケ

【自然科学部】Chemical-Energy-Car Competition 2025に出場しました

8月31日(日)に、Chemical-Energy-Car Competition 2025が開催されました。

これは日本化学会が主催する大会で、大学部門と高校部門があります。一定のルールの基で化学反応で駆動する小さな模型車を制作し、直前に指示された量の水を積み、直前に決められる目標距離までの走行距離の精度を競います。

自然科学部は、化学班を中心に物理班や生物班にも協力してもらって準備を進めてきました。

駆動原理はダニエル電池、停止原理は過酸化水素の分解による酸素の発生を利用して風船を膨らませ、銅線を切るというアイデアを出し、作製してきました。

車を動かすだけの電圧・電流を出すことが難しく、当日は残念ながら車を動かすことができませんでした。しかし、試行錯誤して必死に取り組んだ経験は今後に生きてくると思います。

       

 

【生物班】令和7年度SSH生徒研究発表会に見学にいきました

 8月6日・7日に神戸国際展示場で開催されているSSH生徒研究発表会に見学に行きました。例年、龍野高校からは総合自然科学科課題研究班の最優秀チームが龍野高校を代表して発表会に参加しています。今年は「『国産ヒノキの香りの追求』~タイワンヒノキとの比較~」で発表をおこないました。斎藤兵庫県知事にも研究の成果を聞いていただきました。

 生物班の生徒たちは1年生のみだったのですが、生物分野の発表を中心にポスター発表を見学しました。理解困難なレベルの高い研究発表も多くありましたが、質問すれば生徒の知識レベルの応じて丁寧に説明してくれました。

 特に大阪府立園芸高等学校の「イナワラのダイレクトアルコール発酵によるバイオエタノール生産技術の開発」発表は、直接生物班がとりくむ生物多様性の保全活動に無関係に思いましたが、サギソウ共生菌を活用した自生地の保全活動に多くのヒントを与えてくれました。

 兵庫県に全国の高校生があつまり、いろいろな研究テーマで実験方法や結果を公開してくれることは、兵庫県だけでなく近隣の府県の科学研究にとりくむ高校生にとって大変有益な機会であり、ありがたいことだと思います。

 見学にきた1年生4人のうち3名は総合自然科学科に所属しており、2年後の発表会では発表者として参加してほしいと思います。

ポスター発表会場

龍野高校発表ブースに知事がきてくれました

先輩と記念撮影

審査結果の発表と講評

 

 

【生物班】生息域外保全野外実験場での除草活動

 太子町総合公園で太子町まちづくり課の理解と協力のもと、生物多様性に関する野外実験を行っています。

 公園内の柳池では、兵庫県ではたつの市に1か所しか自生していないヒシモドキの生息域外保全を行っています。ヒシモドキは普通種のヒシとよく似た環境に生育し、葉の形も似ています。ヒシの葉が輪生するのに対してヒシモドキは対生するので見分けるのは簡単です。ヒシは繁殖力が非常に強く、放置しておくとヒシモドキの生息空間がなくなってしまうので、例年夏季にヒシの除草を行っています。その効果もあり、毎年ヒシモドキの生育面積も拡大し、開放花も咲いています。

 体験館前の空き地では、課題研究瀬戸内まちかど花壇班と自然科学部生物班が野外実験をしています。

 実験目的は、自然降雨のみでも花壇の維持ができる植物の選定と簡易防獣柵の効果の検証です。

 ロシアンブルーセージやキャットミント カラドンナ、バーベナだけでなく、湿地のセージであるホッグセージも乾燥や強光に耐えて開花していました。

 絶滅危惧種では、キスゲが開花結実し、簡易防獣柵で囲ったオミナエシも開花していました。オミナエシは昨年はシカにかじられて、開花できませんでしたが、簡易防獣柵により根生葉が守られると一部の花茎は齧られても側芽から開花するなど、保全効果があることが分かりました。

 ハーブ類の植栽のためか、昨年よりもシカの食害が減少しているように感じました。

ヒシが優占種となる柳池

ヒシモドキ周辺のヒシを駆除

ヒシモドキの開放花 水深50㎝以上で開花することが多い

参加生徒

ロシアンブルーセージ

キャットミント カラドンナ

オミナエシ 食害・貧栄養・水不足のためか草丈は低い

エノコログサなど、種子散布まえに除草