校長室より

校長室より

足が重い

足が重い

 気が進まない、乗り気でない、やる気が出ない、腰が引けている、というような時に「足が重い」とか「足取りが重い」と言います。実は本当に「足は重い」ものなのです。

 例えば、体重が50㎏の人であれば、片足で約10㎏あります。全体で50㎏だとすると、それくらいあっても別に不思議ではないですが、でも片足で10㎏、両足だと20㎏というのは「重い」感じはします。しかし普段の生活で、私たちは自分の足の重さを感じることはほとんどありません。これはなぜでしょうか。実は地球上に生まれてから、ずっと重力がある状態で生活をしているため、自然に手足や頭、身体を動かす骨格や筋肉を使うことに慣れているためです。ですから、普段と異なる状況のときに限り「足って重いな、身体って重いな」と感じることになります。2つ例を挙げましょう。

 1 意識がない人や、病気の人を抱え上げたり、運ぶとき

 自分の身体は自分で動かすことに慣れていますが、人の身体を持つとき、運ぶときは、大変重たく感じるものです。体重50㎏の人を一人で抱え上げるのは大変です。もっと体重の重い人だと、数人がかりでないと運べません。それくらい人の身体は重いものなのです。

 2 宇宙飛行士の人は宇宙で筋力トレーニングをするが、地球に帰ってくると歩けない

 宇宙では重力がないので、人は立ったり、歩いたりという基本動作をする必要がありません。ですから筋肉がどんどん衰えていきます。それを防ぐために毎日一定時間筋力トレーニングをするのですが、追いつきません。地球へ戻ってきた当初は、重力に逆らって立ったり歩いたりすることができません。これは病気等で、長期間寝たきりの生活をした後にも起こることです。

 人間は普段は意識せずに、とても難しいことを何気なくやってのけています。その条件が変化したときに始めて「すごいことをしているのだな」と感じるわけです。私は重い思いを持って、heavyなthoughtを書き続けています。

 

 

守破離

守破離

 この年末年始に、高校生のスポーツの全国大会をテレビ等で見る機会がたくさんありました。バスケットボールでは女子は桜花学園、男子は福岡大大濠が優勝しました。ラグビーでは東海大大阪仰星、バレーボールは女子が就実、男子は日本航空、サッカーは男子が青森山田、女子は神村学園が勝ちました。日ノ本学園は決勝戦まで勝ち進みましたが、残念でした。

 どの競技を見ても「この選手たちは本当に高校生か?」というすごい選手たちがそろっており、指導者の先生たちも長年やっておられる有名な監督さんばかりで、多分練習する環境も恵まれているのだろうと想像できます。

 さて「守破離(しゅはり)」です。もとは千利休の言葉らしいのですが、茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方を示したものです。まずは師匠から教わった型を「守る」ところから修行が始まり、その後、自分に合ったより良いと思われる型を試すことで、既存の型を「破る」ことができるようになります。さらに修行を積むと、型から「離れて」自在となることができ、新たな流派が生まれることになります。

 昭和の時代の高等学校運動部の監督さんといえば、ものすごく恐ろしい人ばかりで、先生に怒られないようにプレーするのが最優先だったと思います。「守」ばかりだったのだと思います。今年の決勝戦を見る限り、選手たちが「守」ばかりでプレーしているチームはありませんでした。「破」の段階、あるいは「離」の段階で相手と戦っているチームばかりでした。何事にも基礎基本は大切なのですが、そこからいかにオリジナリティーを出していくことが求められる時代になっているようです。生徒の皆さんも、最初は素直な心で先生や監督さんの言うことを良く「守る」ことから始めて、「破」「離」の段階を目指していきましょう。「破」「離」にならないと、張り合いがありません。

 

年始のご挨拶

年始のご挨拶

 皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。年末、年始と冬らしい寒波がありましたが、皆様お変わりはありませんか。今年は2022年、令和4年寅年です。よい年になるように願っています。

 年始のご挨拶で何を書こうかと考えていました。箱根駅伝かオミクロン株か北京オリンピックか、結局アップルにします。アメリカの企業アップルの「時価総額」が3兆ドル(日本円で約346兆円)を超えたというニュースがありました。日本の1年間の国家予算が100兆円少しですから、アップルの3分の1程度ということになります。さて「時価総額」というのは何でしょうか。私もきちんとは知らなかったので、調べてみました。ある企業の株価に発行済株式数を掛けたものを時価総額と言います。つまり、株式の値段が高いほど、発行した株式の数か多いほど、時価総額は大きくなります。時価総額が大きいということは、その企業の現在の業績だけではなく、将来の成長に対する期待も大きいことを意味します。アップルといえば、生徒の皆さんも持っているスマホのiPhoneやコンピュータのMacで有名ですが、アプリ市場や音楽配信等が安定した収入をもたらしています。今後は仮想現実(VR)や自動運転車向けの新たな製品投入への期待も株価上昇の背景にあるようです。日本企業で時価総額トップはトヨタ自動車ですが、2470億ドルで世界第39位です。

 2022年は、アップルのように現在の業績もいい、将来への期待も大きいというような香寺高等学校にしていきませんか。生徒の皆さんも是非頑張って下さい。問い「アップルって何語?」 答え「リン語」

 

 

年末のご挨拶

年末のご挨拶

 令和3年、丑年が終わろうとしています。昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルス感染症の影響が、多くの場面で見受けられました。高等学校の教育現場でも、学校行事や対外的な活動に制約があり、変更したり、縮小したりと、大変な運営が続きました。PTAの活動にも、ご迷惑をおかけしました。そんな中ですが、生徒の皆さんは制約のある中、元気よく教育活動に取り組んでくれたと思います。文化祭、体育大会、球技大会等、大きな成果を得ることができました。

    そして特に2年次の大きな行事である修学旅行です。本来なら沖縄へ三泊四日の予定でしたが、USJと京都への一泊二日の旅に変更して実施しました。天気予報では雨マークが並んでいましたが、二日間とも日中は雨も降らず、班別行動を楽しんでくれました。香寺高校らしい、自由度の高い行事ができたと思います。

    さて、来年は寅年です。来年こそは阪神タイガースも頑張ってくれるものと思っていますし、コロナ渦も落ち着いてくれることを願っています。固定観念にトラわれずに、多くの事にトラいしていきましょう。来年は修学旅行で沖縄に行きタイガー。

若い人

若い人

 南アメリカの南北に細長い国であるチリで、12月19日に新しい大統領が誕生しました。ガブリエル・ボリッチさん、なんと35歳です。得票率は56%で、対立候補であるホセ・アントニオ・カストさん、55歳は44%でした。

 ボリッチさんは学生の抗議運動の元指導者で、格差と汚職に抗議する大規模デモを支持しました。チリはかつて、南アメリカで最も安定した経済を維持していましたが、現在では貧富の差が世界最大レベルに広がっています。人口の1%が国内の富の25%を所有しています。こうした状況でボリッチさんは、格差是正のため、年金や健康保険の制度改革を進めると公約し、労働時間を週45時間から40時間に減らし、環境への投資を増やすと訴えました。

 これからの政治運営については、なかなか思い通りにはならないことも予想され、前途多難だと思いますが、ある意味羨ましい感じがします。日本ではこんなことが起こるでしょうか。学生運動上がりの35歳の政治家が、総理大臣になる。ありえない話です。日本の政治家と呼ばれる人たちは、世襲の人が多く、当選回数を積み重ねてポストを得て、総理大臣までたどり着く、という過程を通るので、男性の「年寄り」ばかりです。政治運営には、経験が必要だという意見もありますが、若い人の行動力や柔軟な発想力は絶対に大切なものだと思います。

 生徒の皆さんは、これから何をするにしても必ず「年寄り」に出会います。「年寄り」の経験や良いところがあれば、学んだり、真似をすることはかまいませんが、頭が古かったり、固かったりすることが多いものです。私のような「年寄り」の言うことには、注意が必要ですよ。未来を切り開いていくのは、若い人の力しかありません。赤い、近い、高い都会や世界を破壊せずに、理解していきましょう。