絶滅危惧種ムラサキの移植

 

 ムラサキは、古来より染色や医薬品の原料として利用されてきた有用植物です。

 しかし、牛馬の飼育や、かやぶき屋根の減少に伴い、飼料や資材の供給の場となっていたススキ草原は放置され、遷移の進行に伴いなくなりました。その結果ムラサキだけでなくキキョウやオミナエシなどの草原生植物の多くが絶滅危惧種になっています。

 龍野高校で栽培してているムラサキはたつの市新宮町で発見されたムラサキの種子からの増殖品ですが、野生株はシカの食害のためか消滅しました。

 たつの市新宮町産ムラサキの絶滅を防止するために、龍野高校だけでなく姫路市立手柄山温室植物園などでも生息域外保全を行っています。

 長年の栽培からムラサキの特性もわかってきました。発芽率が低いといわれるムラサキですが、翌春に発芽しなくても、あきらめず管理すると一年後に発芽することもわかりました。

 今回の移植苗も昨年秋に播種したものではなく昨年春に発芽しなかったものが今春発芽した実生苗です。

写真左上 ポットに用土を入れて1本ずつ移植

 

写真右上 5つタネをまき、翌々春に5粒とも発芽。     中列 左2本は雑草の発芽苗

 

写真左下 ムラサキの花 5月~10月に開花

     今年の発芽苗も生育の早い株は6月から開花 

     予定。