校長室より

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【校長室より】令和2年度3学期終業式辞要旨

 朝夕は冷えるものの、一雨ごとに春らしくなってきました。
 校内の桜もチラホラ花を咲かせ始めました。
 全国一斉休校から始まった令和2年度も本日で3学期の終業式となりました。
 生徒が一堂に会することは叶いませんでしたが、無事に本日迎えられたことをうれしく、そして大変ありがたく思います。
 さて、先日の進路講演会では、本校の卒業生である株式会社ダイヘン取締役社長の田尻哲也氏にご講演をいただきました。皆さんも感じることがたくさんあったことと思います。講演後の「印象に残った本」との質問に対して、田尻氏は、池井戸潤さんの「下町ロケット」そしてケストナーの「飛ぶ教室」をあげられました。下町ロケットはテレビドラマにもなった作品で見た人も多いと思います。
 「飛ぶ教室」は1933年に刊行された児童小説で、第一次世界大戦後のドイツのとある寄宿学校の寄宿舎で生活する高等科1年生、日本の学校では中学2年の少年たちが描かれています。「飛ぶ教室」は、物語の内容もさることながら作者ケストナーによる前書きが素晴らしいことでも知られています。
 そこには、「大人というものは、どうして自分の子供のころのことを、あんなにすっかり忘れてしまうのだろう。子供にだって時々悲しいことや、不幸せなことがあるということが、いつか、まるっきりわからなくなってしまうなんて。」「この世で大切なのは、何が悲しいかということではなくて、どんなに深く悲しむかということなのだ。子供のなみだは、大人の涙より、確かに小さくない。結構、目方が重い場合がずいぶんある。」と、子どもの時に感じたものをいつまでも大切に覚えていてほしいと示されています。
 また、「人間がこの世で、本当に真剣に考えなければならない、大切な問題は、働いてお金を儲けるようになってから、やっと始まるのではない。それからはじまるのでもなければ、それで終わるものでもない。」「諸君はできるだけ幸せであってほしいのだ。そして、元気で、小さなおなかが痛くなるくらい笑ってほしいのだ。」「ただ、お互いに何事もごまかしてはいけない。また、何事もごまかされてはいけない。災難をじっと見つめることを学ぶのだ。何かうまくいかないことがあっても、恐れてはいけない。運が悪くても、がっかりしてはいけない。元気をふるい起すのだ。心にたこをこしらえるのだ。」「そうしないと世の中にでて、その中のパンチを初めてほおに受けたとき、諸君はグロッキーになってしまう。」「だから元気を出すのだ。たこをこしらえるのだ。初めにその用意が出来ているものは、もう、半分勝ったようなものだ。そういう人間は、いくらほっぺたにありがたくパンチを頂戴しても、普段から物事に動じない心構えが十分にできているため、いざというときに、あの二つの大切な性格、つまり勇気と賢さを実地に示すことができるからだ。」と読み手を激励しています。
 皆さんは、今まさに、勉学に、学校行事に、部活動に取り組み、時には迷い、悩みながら「心にたこ」を作っている真っ只中にあるのではないかと思います。今感じている喜びや苦しみ、悲しみには、田尻氏がおっしゃっていたように、「人生にとって不可欠なもの」がきっと隠れている。そして「周りの人々の自分への想い」を大切にする姿勢で過ごせば、小言や説教や面倒な依頼もきっと自分の血や肉にかわり、少々のことではへこたれない自分に成長していけるのではないかと思います。
 心がけを少し変えると、自分でも驚くほど大きな良い変化に気づくことが出来ます。勉強も、部活動でも、「これくらいでいいか」と「今、この場所」に安住せず、少しだけ無理をして身近なところから一歩踏み出し、さらに高みを目指して欲しい。1年後、2年後、さらに将来「みんなの幸せの一端を担い」そして「世のため人のため」に活躍する自分を思い描いて過ごしてほしいと願っています。
 新型コロナウイルスとの闘いは完全に収束するまでもうしばらく時間がかかりそうです。それまで、健康にはくれぐれも留意して行動してください。
 みんなで元気に新学期を迎えましょう。

 その名ぞ兵庫 わが母校 

 以上、第3学期終業式辞とします。

 

 令和3年3月23日

                      兵庫県立兵庫高等学校長 升川 清則

【校長室より】第73回卒業証書授与式 式辞

 

 

                    式   辞

 玄関脇に植えられた白梅が、例年よりも早く 満開の花を咲かせています。本日、第七十三回卒業証書授与式を挙行いたしまところ、武陽会副理事長様、PTA会長様、におかれましては、ご多忙にも関わりませず、ご臨席を賜り厚くお礼申し上げます。また、保護者の皆様には卒業生の門出を 祝うため、ご来校いただきに誠に有り難うございます。心より感謝を申しあげます。
 ただ今、卒業証書を授与した309名の皆さん、卒業おめでとうございます。
 本日めでたく卒業の日を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。3年間の努力と精進に対して心から賛辞をおくります。皆さんは、平成30年4月の入学から今日まで、兵庫高校生らしく 勉学に、学校行事に、部活動などに果敢にチャレンジし、活発に活動してきました。あっという間の3年間で、まだ実感は湧いてこないかもしれませんが、皆さんの凛々しい表情から成長ぶりが伝わってきます。
 さて、世の中は依然として厳しい情勢が続いています。新型コロナウイルス感染症の大流行など新たな 感染症との戦いも始まりました。昨年8月には九州・中国地方を中心に、河川の氾濫や土砂災害等により 大きな被害が出ました。先日2月13日には福島、宮城を中心に東日本大震災の余震とみられる震度6強の地震が発生し、感染拡大時における避難住民の安全確保など、困難な危機対応が現実のものとなりました。
 海外ではアメリカ大統領選挙でバイデン氏の勝利が確定し、ヨーロッパではイギリスがEUを正式に離脱、一方、アジアに目を向けると、ミャンマーにおける軍事政権クーデターの発生など、政治や経済で緊張が続き、地球環境では温暖化が年々深刻化しています。
 特に新型コロナウイルス感染症への対応については、緊急事態宣言による度重なる行動制限、「三密」の回避、ソーシャルディスタンスの確保、手洗い、マスク着用など、新しい生活様式の普及をはじめワクチンの接種開始など感染防止対策に一定の成果はみられるものの、いまだに世界中で猛威を振るっています。我が国では感染者約43万人、死亡約7,700人、世界規模では感染者約1億1,210万人、死者約259万人となり、まさにパンデミィック、未曾有の感染拡大となりました。
 本校では、昨年3月2日から5月末まで約3ヶ月にわたり臨時休業となり、恒例の新入生歓迎遠足、文化祭、対神戸高校春季定期戦、合唱コンクール等、1学期の行事をやむなく中止しました。行事を計画していた生徒会執行部、文化祭実行委員など、さぞかし無念であったことでしょう。運動部においては、全国高校総体の 中止を受け、県高校総体の夏季競技が中止となりました。文化部においても、各大会やコンクールが中止されました。特に73回生の皆さんにとって、最終学年の締め括りとして成果を発揮する機会を失い、本当に残念な事態になりました。
 その後、6月15日から通常の教育活動を再開し、 7月31日に1学期終了、授業確保のため夏季休業を短縮して8月17日に2学期を開始しました。2学期当初は、新型コロナウイルス感染症と 暑さとの戦いでした。エアコンが不調になるほどの酷暑の中で、マスクの着用を続けながらよく乗り切ってくれました。
 県内の感染状況も落ち着いてきたことから9月17日に、今年初めて全校生徒が一堂に会し体育祭を実施しました。生徒が全力で競技する姿は清々しく頼もしく、3年生ここにありと印象付けてくれました。そして10月恒例のUSJ校外学習では、皆さんの適切な行動、保護者のご理解、先生方の周到な準備のおかげで、多くの思い出を残すことができました。また、10月28日には「三密」回避のため、神戸総合運動公園で対神戸高校秋季定期戦を実施しました。
 このように年度後半は、様々な行事が概ね天候にも恵まれて滞りなく実施できたことを生徒諸君とともに喜び感謝したい気持ちでいっぱいです。皆さんも、勉強や部活動ができることの「ありがたさ」を、身に染みて感じた人も多かったのではないでしょうか。
 73回生は「責任ある自由」を育くみ、真の兵庫高校生へと成長していきました。112年の伝統を誇る本校の偉大な先輩方にも劣らぬ高校生活を全うした皆さんに改めて敬意を表します。
 作家の城山三郎氏は、著書「少しだけ、無理をして生きる」の中で、次の三つの努力の積み 重ねが道を開くことに繋がると述べています。
 1つ目は、「いつも初心を忘れず、今に安住せず、人から受信し吸収しようとする生き方」が 大切であることです。今、NHK大河ドラマの主人公として描かれている渋沢栄一氏が、「持ち前の好奇心で逆境に置かれても逆境を意識する暇がないほど取りつかれたように勉強し提案する。全身が受信機の塊のようなもので、このことが地方の一少年を日本最大の経済人にした要因である。」と述べています。人が成長するかしないかは、出会った人や経験から、何かを学び取る力があるかどうかが大きい。学ぶ力があるとは、学ぼうという謙虚さがあるということに他なりません。謙虚さを持っている人は何事も学び自らを鍛えていくことができるようになります。
 2つ目は、人間を支える3本柱、「自己(self)」 「親近性(intimacy)」「達成(achievement)」をバランス良く保つことです。「自己」は自分だけの世界で、読書、音楽  鑑賞、絵画や書道、座禅に取り組むなどがそれにあたります。個人だけで完結する世界、思索をめぐらすこと、趣味など、一人ひとりの世界を大切にするということです。「親近性」は親しい人たちとの関係のことで、我われは、夫婦や子、親しい友人、古い友人、親近者たち、地域の仲間によって支えられています。「達成」は目標を立てて行動することです。大学でこんな研究をしたい、社会に出てこんな 仕事をやりたい、あるいは趣味の世界でも構わない。目標や段階を作って挑んでいくことです。3つの柱のうち、1本の柱だけに頼っていると人は弱く脆いものです。1本だけの柱が折れてしまうと、なかなか立ち上がることが出来なくなります。 我われは、とかく仕事や趣味の目標達成ばかりに気をとられがちです。「個人だけで完結するひとりの世界」や「親しい人たちとの関係」を大切にして、3本柱のバランスを保って欲しいと思います。
 最後3つ目は、ほんの少しでも高い目標を設定して「少しだけ無理をしてみる」ということです。自分を壊すほどの激しい無理をするのではなく、 少しだけ無理な状態に置ことで、大きな実りをもたらしてくれます。このことを、周りの人との交流において考えると、人には好き嫌いの感情があり、それを克服することは簡単ではありません。好き嫌いは人間が持って生まれた自然の感情なのでそれに逆らうには我慢がいります。我慢は苦痛ですが、それは目先の苦痛で、長い目で見れば大きな何かを得ることが出来るものです。なるべくその人の長所を見て、欠点は許し、少し無理をして相手を受け入れることでその人もこちらに一目を置いて信頼してくれる。渋沢氏は、自分の前に座った人にすべてを傾けて応対したといいます。このことにより、パリ万博から帰国後にも活躍する場を与えられたのです。いろいろなことが上手く進めば自分の人生は大きく広がります。
 皆さんはこの先、新たな進路において高度な専門性を身に付け、意欲的に研鑽を積まれることでしょう。これからは、日本中、いや世界中の優れた人材と協働することになります。その時には自信を持って、自分の道を究めて欲しいと願っています。
 保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。教職員一同、力をあわせ、お子様の教育にあたってまいりましたが、至らぬことも多く、ご迷惑やご心配をおかけしたことも度々であったと存じます。本校の教育方針をご理解いただき3年間ご協力、ご支援を賜りましたことを改めまして心よりお礼申し上げます。お子様が健康で社会に有為な人となられることを切にお祈りいたしますとともに、今後も、本校への変わらぬご交誼とご鞭撻をお願いいたします。
 卒業生の皆さん、 壁に直面した時は自ら行動して乗り越えてください。健康にはくれぐれも留意し、自分のため、家族のため、さらに世のため人のため、そして、君たちの後に続く後輩たちのために大いに活躍されることを期待してやみません。
 名残は尽きませんが、73回生、108陽会の 前途に幸多かれと、心よりお祈りしつつお別れ いたします。
 これをもって式辞といたします。

 令和3年3月1日

                                        兵庫県立兵庫高等学校長
                                            升 川 清 則

【校長室より】阪神・淡路大震災追悼行事講話

平成7(1995)年1月17日5時46分、淡路島北部を震源とし、死者6,435名、重傷者10,683名の未曾有の被害をもたらした震度7の大地震、阪神・淡路大震災の発生から26 年を迎えました。犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
 本校においては、震災直後から避難住民を受入れ1月20日には、2,500人を超しました。2月8日から1年生は北区の神戸甲北高校で、2年生は鈴蘭台高校(現在の神戸鈴蘭台高校)で、教室を間借りして授業が再開されました。
それ以降、9月26日に全校生1117名が本校に復帰し、翌年、2月14日に避難者がゼロとなるまで、避難者とともに学校生活を送ったのです。
 その歩みは、1階事務室前の柱の銘板に記されており「兵庫県立兵庫高等学校は、神戸市内で最大の避難所となり、被災者支援と教育活動の両立に困難を極めた。しかしながら、生徒も、教職員も粘り強く耐え、被災された人々とともに、394日間を戦い抜いた。」と刻まれています。

 昨年1月、2 年生(74 回生)は、災害時に自力で帰宅することも想定し、学校 から HAT 神戸まで歩く「1.17 ひょうごメモリアルウォーク 2020」 に参加しました。その感想の中で、ある生徒は「ウォークに参加していつ起こるかわからない地震などの災害に対して常に備える必要があることを学んだ」、またある生徒は震災体験の継承が「今は被災者から未災者へ、であるのが、未災者から未災者へ、に変わっていくという話が印象に残った」と感想を記しています。震災の教訓を生かすことの必要性を強く感じたことがうかがえます。今年は残念ながらメモリアルウォークは中止されるとの報道がありました。2年生は貴重な体験をすることが出来て本当にありがたいことです。
東日本大震災をはじめ多くの豪雨災害の発生など、感染症の流行も含め、いつどこで何が起こるか分からない時代です。
全く心配のない平穏な日常を送ることができるのは、当たり前のことではなく、むしろ例外なのかもしれません。例外を当たり前だと勘違いすると、世の中を見誤ることになります。3年生は、明日からの大学入試共通テストが始まります。現在の状況において、予定通りテスト実施されること自体大変ありがたいことです。
兵庫高校生は、震災や10年前の新型インフルエンザの流行など、いかなる時も苦難を前向きに捉えて乗り越えてきました。共通テストも心穏やかに、悔いのないよう取組んでくれるものと信じています。
大震災から26年が経過したいま、震災の経験や教訓を忘れず、いかに伝え、これを活かし、しっかりと災害などの危機に備えていくことが、我々の課題です。全校をあげて次の災害へ備える心構えをつらなければなりません。

 終わりに、大震災翌年の第48回卒業証書授与式で、生徒代表の石井宏幸さんが答辞で語られた一部を紹介します。
 「本校が大規模な避難所となったため、授業は鈴蘭台高校での間借り、 鈴蘭台西高校での仮校舎暮らし、さらに本校で、被災者の方と共同生活をしながら続けられました。戦火の時代を除けば、まさに第二神戸中学校開学以来の危機状況でした。
 それでも、普通の生活が思うに任せない苦境の中でも、我々は耐えてきました。いや、静かに耐えるだけではなく、自己と学校の未来を切り開こうと 懸命でした。震災直後から連日にわたるボランティア活動への参加。学校が再開されると、グラウンドのない劣悪な条件下で県総合体育大会への出場、そして、短時間で作り上げた思い出深い九州修学旅行への取組み。試練にあったとき、人はその人間が試されますが、厳しい環境で、我々が不可能だと思えることを先生方とともに次々と克服してきました。
  そうした歩みは、校訓である自らを治める『自重自治の精神』が我々の中に生き続けている証明です。そして私は、その兵庫高等学校生の一員であったことを誇らしく思います。もちろん、復興しなければならないのは兵庫高校だけではなく、神戸の街であり、被災地のすべての街であり、被災者の心です。幸い「再建の意気高く」働ける優位な人材は48回生に数多くおり、神戸復活の気概で燃えています。」

 以上、阪神・淡路大震災から26年にあたり、講話とします。

 

 令和3(2021)年1月15日

  

                      兵庫県立兵庫高等学校長
                            升 川 清 則

【校長室より】第72回卒業証書授与式 校長式辞

式   辞


玄関脇に植えられた白梅が、例年よりも早く満開を迎えた佳き日に、本校第72回卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、多くの来賓の皆様、保護者の皆様におかれましては、ご多忙にも関わりませず、卒業生の門出を祝うためにご隣席をいただき厚くお礼申し上げます。誠に有り難うございます。

ただ今、卒業証書を授与いたしました314名の皆さん、本日めでたく、卒業の日を迎えられたこと心よりお祝い申し上げます。皆さんの3年間の努力と精進に対して心から賛辞をおくります。皆さんは、平成29年4月の入学から今日まで、兵庫高校生らしく果敢にチャレンジし、勉学に、学校行事に、部活動に活発に活動してきました。あっという間の3年間で、まだ実感は湧いてこないかもしれませんが、真直ぐにこちらを向いている凛々しい表情から成長ぶりが伝わってきます。

さて、今年で阪神・淡路大震災から25年が過ぎました。皆さんがこの世に生を受けたのはその六年後です。これまでにない未曽有の大災害でしたが、国内外からの多くの支援により、神戸の街の復興が成し遂げられました。当時の様子は校舎一階事務室前の柱の銘板に記されています。これからも、震災の経験や教訓を忘れず、伝え、これを活かし、しっかりと備え、次の災害への心構えが必要です。

世の中は依然として厳しい情勢が続いています。国内においては、昨年も台風による大規模な洪水などの自然災害が日本各地に被害をもたらし、少子高齢化の加速など、日本経済も不安定な状況にあります。神戸も、高齢化と人口減少など新たな課題に直面し新たなまちづくりが喫緊の課題です。
 また、海外ではテロ行為や難民問題を始め、政治や経済で緊張が続いており、地球規模の温暖化も年々深刻化しています。さらには新型コロナウイルス肺炎が、世界中で大流行するなど新たな感染症との戦いも始まりました。現代は少なくとも過去の延長線上に単純に未来が来るような時代ではなくなっているといえます。

そのような中でも、72回生は、逞しく高校生活を過ごしてきました。全力で取組む先輩たちに続き、「責任ある自由」を育くみ、真の兵庫高校生へと成長していきました。
先日の3学期の始業式でも、目標の進路に立ち向かう皆さんが、しっかりと前を見据える姿、そして、校歌を堂々と歌う様子に、力強さを感じました。111年の伝統を誇る本校の偉大な先輩方にも劣らぬ高校生活を全うした皆さんに改めて敬意を表します。

卒業にあたり、これからいかなる時も前向きに生きていくために、心にとどめていただきたいことを3つ述べます。

1つ目は、「習慣を改める」ということです。
宇宙飛行士たちが月に到達するためには、地球のとてつもない引力をまさに断ち切らなくてはなりません。ロケットの発射直後の数分間、距離にして数キロ足らずの上昇に必要としたエネルギーは、その後の数日間、約70万キロの飛行に使ったエネルギーをはるかに上回るといわれています。同じように習慣という引力も非常に強いものです。「先送り」「短気」「わがまま」などの癖が根づいてしまったら、中途半端な意思の力だけでは断ち切れません。日々できることを地道に続けて習慣化することで、少々の失敗や挫折を経験しても、くじけることのない自信を持つことができます。
行動だけではなく、我われが無意識に使う言動にも注意が必要です。何よりも、「ダメだ」「最低だ」といった物事を強く感情的に否定する「ネガティブな言葉を日常的に使わない」ことが重要です。「誰かの良いところを無条件に本気で心の底から褒める『感嘆』の言葉」「心から有り難いと思って語る『感謝』の言葉」「素晴らしい自然、芸術、音楽、スポーツに触れたとき、その喜びを表現する『感動』の言葉」、このようにポジティブな言葉を意識して使うようにする必要があります。それが習慣になったとき、無意識のうちにネガティブな感覚が薄れ、自分自身の人格が磨かれていくでしょう。

2つ目は「人生の解釈を変える」ということです。
自分の人生には、劇的な成功体験でなくても、小さな成功体験が数多くあるはずです。過去を振り返り、「あの人に巡り会ったことで人生が拓けた」「あの出来事が起こったことで道が拓けた」と気づくことがあれば、それは素晴らしいことです。「人間万事塞翁が馬」「禍福はあざなえる縄のごとし」という故事のとおり、往々にして不運に見える出来事が、実は幸運に導かれた出来事であるかもしれません。起こったことに一喜一憂せず、どう解釈するのかが、我われの人生を分けます。いかなる失敗体験においても、「失わなかったもの」や、「与えられたもの」に目を向けることができるかどうかが重要です。どのような失敗や挫折であろうとも、自分にとっては一度限りの、かけがえのない人生の一コマです。「この出来事は自分に何を気づかせようとしているのか」という見方があっても良いのではないでしょうか。

3つ目は「人生における問題を、自分に原因があると引き受ける」覚悟を持つことです。
カナダの精神科医エリック・バーンは、「他人と過去は変えることはできないが、自分と未来は変えられるのだ」と述べています。自分の内面、人格、動機などに働きかけることができるのは自分だけです。信頼されたければ、信頼されるに足る人間になる、才能を認められたければ、まずは人格を高めるところから始めなければならないということです。プラスの発想をすれば人生はプラスに作用し、良い出会いにつながっていくものです。良いときは感謝し、難が有るときには、それをひっくり返して有り難うという。そうすればピンチもチャンスに変わるかもしれません。

本校で文武両道を磨いた皆さんは新たな進路においても、高度な専門性を身に付け、さらにその先でも意欲的に研鑽を積まれることでしょう。これからは、日本中、いや世界中の優れた人材と相まみえることになります。その時には、互いに切磋琢磨しつつも自信を持って、自分の道を究めて欲しいと願っています。

さて、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。
教職員一同、力をあわせてお子様の教育にあたってまいりましたが、至らぬこともあり、ご迷惑やご心配をおかけしたことも度々であったと存じます。本校の教育方針をご理解いただき3年間終始ご協力、ご支援を賜りましたことを代表してお礼申し上げます。お子様が健康で社会に有為な人となられることを切にお祈りいたしますとともに、今後も、本校への変わらぬご交誼とご鞭撻をお願いいたします。

卒業生の皆さん、健康にはくれぐれも留意し、自分のため、家族のため、さらに世のため人のために、そして、君たちの後に続く後輩たちのためにも大いに活躍されることを祈っています。
名残は尽きませんが、72回生、107陽会の前途に幸多かれと、心よりお祈りしつつ本校生として最後の校歌を、ともに高らかに歌いお別れいたしましょう。
これをもって式辞といたします。
さようなら

令和2年2月28日

兵庫県立兵庫高等学校長
升 川 清 則

【校長室より】1.17校長講話

阪神・淡路大震災発生から25年



 平成7(1995)年1月17日5時46分に淡路島北部を震源としたマグニチュード7.3 、震度7の大地震、阪神・淡路大震災の発生から25年を迎えました。
死者6,434名、重傷者10,683名、全壊家屋約10万5,000棟、半壊家屋約14万4,000棟、交通関係も、港湾での埠頭の沈下等、鉄道ではJR西日本等合計13社において不通、道路では地震発生直後、高速自動車道等の27路線36区間が通行止めになるなど、未曾有の被害が発生したのです。

 本校においては、震災直後から避難住民を受入れることとなりました。その後の雨のため避難者は増加し、1月20日には、校内には 2,500人を超す避難者を受入れました。
1月30日、31日の両日に校外2カ所で生徒が集合し安否確認が行われました。この時点での本校の避難者数 は2,000人でした。
  神戸電鉄が一部復旧したことから。2月8日から1年生は北区の神戸甲北高校で、2年生は鈴蘭台高校(現在の神戸鈴蘭台高校)で、教室を間借りして授業を再開することとなりました。

 その当時の2年生男子生徒、松岡亜希彦さんの作文の一部を紹介します。

『学ぶという事』
 学校という勉強するには恵まれ過ぎた環境が当たり前のようにあって、僕は色々なことを知る喜びを最近まで知らずにいたけれど、今はとてもおもしろいことだということに気付いた。
今回の震災で気付いたことは、えらそうに自分は勉強していることになっているが、実は自分の身の回りのことを何ひとつ、1回の食事すら自分で世話できない人間なのだということだ。親をはじめ、社会全体が勉強できる環境をすべて整えてくれていて、それらすべてを土台にして勉強させてもらっていた。生きることが何ひとつ自分でできないことに気付いた。自分一人でも生きてゆけるようになるためにも、今は鈴高というあまりある環境で勉強させてもらっている。

 生徒が他校へ通学する分校方式による学校再開は、授業の時間割りや部活動の活動場所など、当然制約を受けることは多かったのですが、生徒は頑張りました、職員も必死で務めました、なんとか工夫して乗り切り、震災直後の1か月を終えることができたのです。

 3月1日には鈴蘭台高校で第47回卒業証書授与式が挙行されました。在校生を代表して元生徒会長の前田修司さんが「破壊された神戸の復興、混迷する世界情勢の打開を担うのは私たちなのだ。」と力強く答辞で語られました。

 3月時点で本校には1000名を超える人が避難されており、本校における学校再開が断念され、当時、北区の西鈴蘭台にあった鈴蘭台西高校のグラウンドに仮設校舎が建設されました。
4月10日、鈴蘭台西高校の仮設校舎で第一学期がスタートしました。入学式だけはその日の午後、本校の講堂で挙行されました。
4月26日、3年生が九州方面への修学旅行を実施。そして、6月5日から1学年分の教室確保のメドがついたため、3年生が本校に復帰。その時の避難者は約600人を数えました。
 そのような中で8月25日には吹奏楽部が全国大会への出場を決めるなど全校生徒が一丸となって部活動でも大いに気を吐いたのです。
1,2年生の本校復帰に向けた準備が急ピッチで行われましたが、その時点の避難者160名で9月1日からの本校復帰はならず、9月26日1,2年生が本校に復帰し、全校生1117名が揃って復帰式を実施しました。この時点では避難者52名、翌年、2月14日に避難者がゼロとなるまで、避難者とともに学校生活を送ったのです。
 今話した概要は、校舎1階事務室前の柱の銘板に記されています。そこには「兵庫県立兵庫高等学校は、神戸市内で最大の避難所となり、被災者支援と教育活動の両立に困難を極めた。しかしながら、生徒も、教職員も粘り強く耐え、被災された人々とともに、394日間を戦い抜いた。」と刻まれています。

 25年の節目を機に改めて原点に立ち返り、震災の経験や教訓を忘れず、伝え、これを活かし、しっかりと備える必要がある。1 年生(74 回生)は、自力で帰宅することも想定しながら、学校 から HAT 神戸まで復興した神戸の町並みを歩く「1.17 ひょうごメモリアルウォーク 2020」 に、吹奏楽部は、駒ヶ林中学で行われる阪神・淡路大震災長田復興コンサート「これから も震災を語りつごう!!元気アップ長田 2020」に参加します。
東日本大震災をはじめ多くの豪雨災害の発生など。いつどこで大災害の発生や、何が起こるか分からない時代です。全校をあげて阪神淡路大震災 を忘れず、その経験と教訓をいかし、伝え、次の災害へ備える心構えをつくっていきましょう

 終わりに、平成8(1996)年2月28日の第48回卒業証書授与式で、生徒代表の石井宏幸さんが答辞で語られた内容の一部を紹介して終わります。

 本校が大規模な避難所となったため、授業は鈴蘭台高校での間借り、 鈴蘭台西高校での仮校舎暮らし、さらに本校で、被災者の方と共同生活をしながら続けられました。戦火の時代を除けば、まさに第二神戸中学校開学以来の危機状況でした。
 それでも、普通の生活が思うに任せない苦境の中でも、我々は耐えてきました。いや、静かに耐えるだけではなく、自己と学校の未来を切り開こうと 懸命でした。震災直後から連日にわたるボランティア活動への参加。学校が再開されると、グラウンドのない劣悪な条件下で県総合体育大会への出場、そして、短時間で作り上げた思い出深い九州修学旅行への取組み。
 試練にあったとき、人はその人間が試されますが、厳しい環境で、我々が不可能だと思えることを先生方とともに次々と克服してきました。
そうした歩みは、校訓である自らを治める「自重自治の精神」が我々の中に生き続けている証明です。そして私は、その兵庫高等学校生の一員であったことを誇らしく思います。もちろん、復興しなければならないのは兵庫高校だけではなく、神戸の街であり、 被災地のすべての街であり、被災者の心です。幸い「再建の意気高く」働ける優位な人材は48回生に数多くおり、神戸復活の気概で燃えています。
しかし、我々には被災からの復興に力を尽くすだけでは足りません。その上に、世界と未来を考える巨視的な目も持ち合わせて対処していく必要があります。
異なる集団、異なる社会、異なる文化に属する人々同士が相手を自分たちと区別せずに、お互いを認め合う世界、真のヒューマニズムに満ちた世界を作り上げるために、力を尽くさなければならないのです。我々は微力ですが決して諦めません。この仕事をやり遂げることは、新しい世紀を生きる若者の使命だからです。


 以上、阪神・淡路大震災から25年にあたり、講話とします。

令和2(2020)年1月17日

                        兵庫県立兵庫高等学校長
                            升 川 清 則

【校長室より】1月の挨拶

兵庫県立兵庫高等学校ホームページをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。



 新しい年をお迎えました。皆様も元気にお過ごしのことと存じます。

 元旦から穏やかな晴天が続きましたが、昨日は、季節外れの雨と強風で神戸市内に暴風警報が発令され臨時休業となりました。

 本日、3学期始業式を実施しました。生徒には健康に留意して体力と学力を伸ばし、そして読書を通じて感性の豊かな人となるよう精進すること、特に3年生には、目前に控えるセンター試験に向けて規則正しい生活を心がけ、決めたことを丁寧に進めよと話しました。そして、「皆が目標に向って頑張っている。」「君たちは絶対にできる。」と激励しました。進路目標が達成されることを切に願います。
 さて、1月17日に阪神・淡路大震災から25年を迎えます。本校は、神戸市内最大の避難所となり、被災者支援と教育活動の両立に困難を極めましたが、生徒も教職員も被災された方々とともに、復興に向けて粘り強く取組みました。当日は、全校生に対して、その経験を継承すべく講話をおこなうとともに、犠牲者に対して黙祷を捧げます。さらに1年生(74回生)は、自力で帰宅することも想定しながら、学校からHAT神戸まで復興した神戸の町並みを歩く「1.17ひょうごメモリアルウォーク2020」に、吹奏楽部は、駒ヶ林中学で行われる阪神・淡路大震災長田復興コンサート「これからも震災を語りつごう!!元気アップ長田2020」に参加します。全校をあげて阪神淡路大震災を忘れず、その経験と教訓をいかし、伝え、次の災害へ備える心構えをつくってまいります。何が起こるか分からない時代です。これからも緊張感を持って学校運営をおこないます。

 今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。
オリンピックの直近2大会(2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロ)が開催された年の「今年の漢字」(公財 日本漢字能力検定協会)は、ともに「金」。今年も「金」が「今年の漢字」となるような日本選手のフェアプレイと金メダルラッシュを大いに期待したいものです。

 3年生は、センター試験を皮切りに、受験シーズンの佳境を迎えますが、目標を常に見据えて自信を持って立ち向かってくれると信じています。また、1月29日から2月1日まで、姉妹校である中国上海市から松江(ソンジャン)二中の生徒、職員を迎えインターナショナルデーを実施します。2月28日の卒業式、新入生を迎える推薦入試や複数志願入試など飛ぶように時間が過ぎていく3学期になります。
全校生徒が落ち着いて学校生活を送り、来年度に向けてさらに成長してくれるものと期待しています。

 皆様には、引き続き、本校教育にご支援のほどよろしくお願いいたします。

令和2年(2019)年1月9日

兵庫県立兵庫高等学校長
升 川 清 則


○文化部
美術部     高校生アートコンペティション2019 入選 大久保七海

書道部      第43回兵庫県高等学校総合文化祭書道展
            全国総文推薦賞 小川弥恵
            優秀賞     湯瀬愛弓
 

ギターアンサンブル部
 第43回兵庫県高等学校総合文化祭 軽音楽部門選考会 優秀賞

放送委員会   第43回兵庫県高等学校総合文化祭 ラジオドラマ小部門 金賞


○運動部
卓球部    第61回兵庫県高等学校新人卓球大会
  女子団体    第3位
        女子シングルス ベスト8 山口絢子  司田和波
        女子ダブルス  第9位  大槻優葉  司田和波 

       令和元年度近畿高等学校新人卓球大会
女子団体    第9位
※第47回全国高等学校選抜卓球大会(令和2年3月 千葉県)への出場県獲得
        女子シングルス ベスト16  山口絢子
                出場     司田和波
        女子ダブル   ベスト32 大槻優葉  司田和波

男子ソフトテニス部 令和元年度兵庫県高等学校ソフトテニス新人中央決勝大会 
個人戦    第9位   山本直希  山口雅貴
         ※近畿高等学校ソフトテニス選抜インドア大会出場権獲得

水泳部    第12回兵庫県高等学校対抗冬季水泳競技大会
        女子400m自由形 第6位 山本英穂

器械体操部  令和元年度兵庫県高等学校体操新人大会
 女子総合   第5位

陸上競技部  近畿高等学校ユース陸上競技選手権大出場会(9/13和歌山県)
         2年女子800m  第5位 川上  咲
        令和元年度兵庫県高等学校駅伝競走中央大会
         男子18位(2時間21分28秒) 女子18位(1時間21分00秒)

空手道部   兵庫県高等学校空手道新人大会
        男子 団体形  第3位
           団体組手 第5位
※第39回 近畿高等学校空手道大会出場権獲得

○その他  
全日本高校模擬国連大会出場      谷川陽音  豊田亜由香

令和元年度 税に関する高校生の作文  辰巳遙真

【校長室より】12月の挨拶

兵庫県立兵庫高等学校ホームページをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。

本日、第2学期の終業式を終了いたしました。

 今年は、いまのところ寒さも幾分しのぎやすい日が続いています。近隣の住宅の花壇には、植木にクリスマスデコレーション、シクラメンの花、そして葉ボタン等がきれいに植え込まれて、年末であることを実感します。
 2学期に入ってからは厳しい暑さが続きました。一部の教室でエアコンが故障し、生徒にも苦労をかけましたが、落ち着いて乗り切ってくれました。9月は3年生ここにありと印象付けてくれた体育祭、10月は入学以来の団結をさらに深めてくれた1年生の野外活動、そして12月は島田叡先輩の最期の地である沖縄を訪れその功績に触れるとともに、石垣島等の自然や文化を満喫した2年生の修学旅行など、大きな行事も無事に終わることができました。また、10月30日に対神戸高校秋季定期戦を本校で実施し、両校ともに一歩も譲らない拮抗した戦いでしたがラグビーを制した神戸高校に軍配があがりました。その他、部活動をはじめ様々な活動で、生徒は大いに活躍してくれました。生徒にとって喜びだけではなく、厳しく辛い出来事もありましたが、様々なことを受け入れ過ごした2学期でした。

 さて、先日神戸新聞夕刊に神戸学院大学 金先生の「やらないと、やる気はでない」という記事が掲載されていました。我われは、目標を見失ったときに「心ここにあらず」や「うわの空」の状態になることがあります。そうなると、「やる気が出ない、起きない」「私にはムリ」などと、頭の中がネガティブな雑念であふれます。自分が確実にできることを見つけて確実に実行することで「できる習慣」が身につくものです。記事の通り、やらないと、やる気は出てきません。生徒たちには、コツコツやるべき事を積み上げることで「本当の自信」を身に付けて欲しいと思います。

 本校では、始業式、終業式などの行事で、全校生徒が声高らかに校歌を歌います。3年生にとっては、校歌を歌うのも残りわずかとなりました。年明け早々のセンター試験を皮切りに、受験シーズンは佳境を迎えますが、目標を常に見据えて自信を持って立ち向かってくれると信じています。
全校生徒が、この冬季休業を有意義に過ごし、新学期に元気な姿で登校してくれることを期待しています。

令和元年(2019)年12月24日

兵庫県立兵庫高等学校長
升 川 清 則


【校長室より】7月の挨拶

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 なかなかやってこなかった今年の梅雨ですが、ここ数日梅雨前線が活発に活動し、時折激しく降っています。九州地方では河川が氾濫するなど被害が出ており気がかりです。本校においても緊急時の連絡体制の確保等万全を期して参ります。
7月2日(火)から8日(月)まで5日間、期末考査を実施します。考査終了後には、合唱コンクール、球技大会、避難訓練等の行事が盛りだくさんですが、19日の1学期終業式まで、生徒たちは学業に、学校行事に精一杯取り組みます。
 さて、6月末までに終了した部活動や生徒活動の主な結果を報告いたします。
どの部も3年生を中心に力いっぱいの健闘を見せてくれました。
遠方の試合会場まで多くの皆様に足を運んでいただき応援いただきありがとうございました。
生徒にとって大きな力になったことと思います。ほとんどの部が2年生を中心とした新体制に代わっていますが、引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
 また、本校におきましては、令和元年度の部活動方針を策定しました。
生徒がゆとりある生活を確保しつつ、楽しく安全な運動・文化部活動に取り組めるようこれからも努めて参ります。

令和元年(2019)年7月1日

兵庫県立兵庫高等学校長
升 川 清 則


令和元年度部活動等の生徒活動の結果(主なもの)※7月1日現在

○運動部
兵庫県高等学校総合体育大会
・陸上競技部 男子やり投げ  3年 井上麟太郎 第2位 ※近畿大会(大阪府)出場決定
・卓球部   女子シングルス 2年 山口 絢子 第7位
                    ※近畿大会(奈良県)、全国大会(鹿児島県)出場決定
・山岳部   男子 団体第6位
 全国高等学校陸上競技対校選手権大会近畿地区予選会
・陸上競技部 男子やり投げ  3年 井上麟太郎 第8位


○文化部
・ギターアンサンブル部 全国高等学校軽音楽フェスティバル 大阪府知事賞
・放送部        第66回NHK杯全国高等学校放送コンテスト兵庫県大会
               創作ラジオドラマ部門 第8位
・書道部        第12書道パフォーマンス甲子園 近畿ブロック予選 第4位


○その他
  ・第2回「島守忌」俳句大会 高校生の部
     沖縄県知事賞   2年 米澤 周奈「白鳩は空の深きへ島守忌」
     糸満市長賞    2年 森岡愛弥華「島田忌や静寂に脱ぐ野球帽」
    ※「島守忌」俳句大会:主催「島田叡氏事跡顕彰期成会」(沖縄県、沖縄県教育委員会等後援)
     本校卒業生で、1945年戦中最後の沖縄県知事として赴任した
     故島田叡氏の功績を偲んで開催されている。

【校長室より】4月の挨拶

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 明治41(1908)年設立の県立第二神戸中学校(神戸二中)と、昭和17(1942)年設立の県立第四神戸高等女学校(県四)が、昭和23(1948)年、戦後の教育改革により統合され、県立兵庫高等学校が誕生しました。
 神戸二中の創立以来、今日まで、教育の根本に四綱領「質素剛健、自重自治」を掲げ、生徒の自主性を重んじる教育を進めてまいりました。時代を超えて、生徒に伸び伸びと自然体の成長を促し、その才能を開花させると同時に、「自由」に伴う「責任」を会得させる教育を守ってきました。そのことが、政治、経済、文化、芸術、スポーツのあらゆる分野に幾多の優秀な人材を輩出してきたことに繋がっています。

本校は平成30(2018)年に、創立110年の記念すべき節目の年を迎えました。
 21世紀となり高度情報化とグローバル化が大きく進展し、この変化の早い時代に対応できる人材が求められています。本校では、生徒の意欲と行動力を生かして、将来、生徒が真にやりたいことを見つける「キャリア教育」と、自然科学や社会科学における、まだ正解のない問題に挑戦する「課題研究」に取組んでいます。「未来と創造」をキーワードにスタートしたこれらの取組みは、生徒の視野を広げ、論理的な意見交換を楽しむ生徒の育成に繋がっています。また、価値観や考え方の異なる様々な人たちとの出会いを通して、優しさといたわりの心をもつ頼もしい人間に成長しています。

 今年5月、新たな「令和」の時代を迎えます。
 本校生には、創立以来、脈々と受け継がれてきた四綱領の精神と文武両道の学びを継承しつつ、「目的と目標を常に意識すること」「自ら主体的に学ぶ姿勢を持つこと」「コツコツと努力し続ける継続する力と、集中してやり遂げる力を身につけること」の3つを実践するよう指導していきます。そして、困難に動ずることなく、想定外の事象にもスピード感とユーモアを持って立ち向かう、さらに器の大きい自立する人となり、兵庫高校の歴史に新たな轍を残してくれるよう願っています。

 今後とも、本校のさらなる発展と未来への道を切り拓く人材育成のため努力して参りますので、保護者の皆様、地域の皆様、同窓会である武陽会をはじめ関係各位の絶大なるご支援、ご協力をお願い申し上げます。

平成31(2019)年4月
兵庫県立兵庫高等学校長
升 川 清 則