校長室より

2022年1月の記事一覧

【校長室より】阪神・淡路大震災から27年

阪神・淡路大震災発生から27年
 
 皆さんこんにちは。
 今、私は、1階事務室前の柱の銘板の前に立っています。
 ここには「兵庫県立兵庫高等学校は、神戸市内で最大の避難所となり、被災者支援と教育活動の両立に困難を極めた。しかしながら、生徒も、教職員も粘り強く耐え、被災された人々とともに、394日間を戦い抜いた。」と刻まれています。

 今から27年前、平成7(1995)年1月17日5時46分、淡路島北部を震源とし、死者6,435名、重傷者10,683名の未曾有の被害をもたらした震度7の大地震、阪神・淡路大震災が発生しました。
 犠牲になられた多くの方々のご冥福をあらためて心よりお祈りいたします。
 さて、本校では、震災直後から校内には 2,500人を超す避難者を受入れました。「394日間を戦い抜いた」とあるのは、震災発生後の翌年、2月14日に校内の避難者がゼロとなるまで、避難者とともに学校生活を送ったことを示しています。

 震災発生後、1年生は北区の神戸甲北高校で、2年生は鈴蘭台高校(現在の神戸鈴蘭台高校)で、教室を間借りして授業が再開されましたが、当時の2年生が次のように綴っています。


『学ぶという事』
「学校という勉強するには恵まれ過ぎた環境が当たり前のようにあって、僕は色々なことを知る喜びを最近まで知らずにいたけれど、今はとてもおもしろいことだということに気付いた。今回の震災で気付いたことは、えらそうに自分は勉強していることになっているが、実は自分の身の回りのことを何ひとつ、1回の食事すら自分で世話できない人間なのだということだ。親をはじめ、社会全体が勉強できる環境をすべて整えてくれていて、それらすべてを土台にして勉強させてもらっていた。生きることが何ひとつ自分でできないことに気付いた。自分一人でも生きてゆけるようになるためにも、今は鈴高というあまりある環境で勉強させてもらっている。」

 通常の学校生活は困難を極める中でも、生徒は多くのことを感じ、そして学んだのです。
 その年の3月1日には鈴蘭台高校で第47回卒業証書授与式が挙行され、3年生の元生徒会長が「破壊された神戸の復興、混迷する世界情勢の打開を担うのは私たちなのだ。」と力強く答辞で語りました。その方は現在、外務省に務めておられます。東京みらいフロンティアツアーの代替研修でも、アフガニスタン情勢が緊迫するお忙しい中、お話しをいただいた方です。

 年度が変り4月からは北区の西鈴蘭台にあった当時の鈴蘭台西高校のグラウンドに仮設校舎が建設され、3学年全員そろって新学期をスタートしました。4月26日、3年生が九州方面への修学旅行を実施。そして、6月5日から3年生が本校に復帰。その時の避難者は約600人を数えました。
 そのような中で8月には吹奏楽部が全国大会への出場を決めるなど全校生徒が一丸となって部活動でも大いに気を吐いたのです。1,2年生が本校に復帰し、全校生1117名が揃ったのは9月26日のことでした。


 1月15日には南太平洋のトンガで海底火山で大規模噴火がおこり、日本にも、場所によって1Mを超える津波が記録されました。東日本大震災をはじめ、多くの豪雨や地滑り被害などの自然災害の発生、そして新型コロナウイルス感染症などの感染症の流行も含め、我々が自然界で生きていく中では、いつどこで何が起こるか分かりません。
 2年前の7 月に、本校職員が東日本大震災後の東北地方にボランテイアに赴きました。全校生徒に 「災害はいつどこで発生するかわからない、いかにして自分事としてとらえるか 」が重要であり、「自分の命の重みを十分認識して精一杯生きよう」と問いかけたことが今でも心に残っています。

 全く心配のない平穏な日常を送ることができるのは、当たり前のことではなく、むしろ例外であることを、我々は今、コロナと闘うことで身をもって体験しています。当たり前ではないことを経験できてありがたく思うことができれば、それは大いに意味のあることです。兵庫高校生は、大震災や2009年の新型インフルエンザの流行など、いかなる時も苦難を前向きに捉えて乗り越えてきました。これからも阪神淡路大震災を忘れず、伝え、次の災害へ備える心構えを持ち続けましょう。

 令和4(2022)年1月17日

                              兵庫県立兵庫高等学校長
                                  升 川 清 則

【校長室より】部活動等の成績(2学期追加分・主なもの)

【運動部】
 男子バレーボール部
  12/26 令和3年度神戸市内高等学校バレーボール新人大会 優秀選手賞 2年 松本 匠
              ※チームとしても県新人大会の出場権獲得

 女子バレーボール部
       12/26 令和3年度神戸市内高等学校バレーボール新人大会 優秀選手賞 2年 前山ゆう
                ※チームとしても県新人大会の出場権獲得

【文化部】
 吹奏楽部
        12/19   第49回兵庫県アンサンブルコンテスト神戸地区大会
                       クラリネット8重奏 金賞   2年 柴田藍花 立川優花 安政遥音
                                                                      1年  村上舞桜 猪師温音 成 緑世 来田明日香 長野咲那
                ※県アンサンブルコンテストの出場権獲得

【その他】
   12/21 第12回いっしょに読もう!新聞コンクール         奨励賞       2年 面出朱里 

【校長室より】令和3年度第3学期始業式辞(要旨)

 おはようございます。あらためまして、明けましておめでとうございます。
 日差しはないものの、しっとり落着いた3学期の始まりになりました。君たちが元気に登校し始業式を迎えられたことをうれしく、そして大変ありがたく思います。

 さて、昨年2021年の漢字は「金」でした。5年ぶり4度目。オリンピックが開催された年は決まってこの字が選ばれます。今年は冬季オリンピックが開催されますが、オリンピックがなくても、1人ひとりが「ゴールド」に輝くような1年にしたいものです。
 一方で、年明け早々、新型コロナウイルスの新規の感染者がにわかに増加し、昨日、兵庫県では169人(昨年の同日284人)になりました。我々、一人ひとりが感染拡大防止につとめなければなりません。基本的な対策をしっかり行うことで感染を防ぐことはできます。三密(密閉、密接、密集)の回避、手洗いの励行、マスクの着用などにしっかりと取組みたいものです。
 昨年は島田叡先輩生誕120年でした。2年生は修学旅行で島田先輩を慰霊させていただきました。そして、12月25日に行われた島田先輩生誕120年を記念する式典では、修学旅行委員3名が、沖縄県立那覇高校の生徒3人と共に、兵庫県民を代表して、平和メッセージを堂々と発信してくれました。また、一昨年の3年生の修学旅行を思い返すと。島守の塔への献花の折、雨も上がって雨雲の間から温かな日差しが差し込んだことが、この間のことのように記憶に残っています。島田氏は苦境にあっても、その時を大切にし、未来に向かって尽力された。我々は、コロナウイルスとの闘いにおいて、これまでの歴史になかったような、新たな経験をさせてもらっています。今こそ自分たちの未来を創るために新しいスタートを切りましょう。


 3学期のスタートにあたり君たちに求めたいことが2つあります。
 1つは、目標を明確にすること。進路でも部活動でも、具体的な目標をたてる、そしていつも目標を目にして確認し意識し続けること。
 2つめは、ほんの少しだけ無理をして「良い行動を習慣化」すること。これまで課題にあげてきた家庭での学習時間は増加の兆しは見えるものの、あともう一息の取組みを期待します。特に、1・2年はさらに1時間ひねり出すために生活を見直して欲しい。同時に読書、新聞に日常的に親しんで、感性を磨いて欲しい。
 3年生は大学入試共通テスト目前です。睡眠時間をしっかり確保して、決めたことを丁寧に進めなさい。何事もやってみないと結果はわかりません。目標を達成されることを切に願っています。


 生徒全員が、それぞれ目標に向かって共に切磋琢磨する。兵庫高校は、まさに自立を目指して努力を続ける人たちの共同体です。

 その名ぞ兵庫 わが母校 

 以上、第3学期始業式辞とします。

 令和4年1月11日

 兵庫県立兵庫高等学校長

 升川 清則