校長室より

2020年4月の記事一覧

【校長室より】生徒の皆さんへ

キーワード
  「とにかく家に居よう」  「継続」  「限界突破」

生徒の皆さんへ


  
昨日は、4月下旬とは思えない肌寒い1日でした。その上、徒歩での帰宅途中に冷たい雨に降られました。空の雲の切れ間からは、夕日が神々しく西の彼方に沈んでいく光景に遭遇し、落ち込みかけた気持ちに勇気が湧きました。とはいえ季節は順調に進み、花々も桜やチューリップから、つつじにバトンタッチ。学校近くのお寺の境内で満開です。今朝は快晴で、真っ青な空のもと散歩していると、いつものように公園で運動している子どもたちに出会えて元気をもらい、1日を気分良くスタートできました。

皆さんは、毎日、自宅で元気に過ごしていることと思います。

「今できること」はないかと、仲間と共に元気な姿や音楽を発信する生徒、また、この期間に、図書館の「風と共に去りぬ」の原書を借りて、読破を試みる生徒もいます。兵庫高校生は本当に逞しいと、大変うれしく思います。私自身、生徒の皆さんが、学校で元気に過ごす姿を見せてくれること自体、本当にありがたいことだと感謝の気持ちが日に日に増してきています。

しかし、残念ながら、いつもの日常はありません。

一人ひとりが、過ごし方や行動を変えることが、一刻も早い事態の終息につながります。そして、皆さんの落ち着いた生活ぶりは、家庭に安心感をもたらし、きっと家族の絆も深まるに違いありません。

さて、作家の村上春樹さんは「走ることについて語るときに僕の語ること」(文藝春秋社)で次のように述べています。

「継続することリズムを断ち切らないこと。長期的な作業にとってはそれが重要だ。いったんリズムが設定されてしまえば、あとは何とでもなる。しかし、弾み車が一定の速度で確実に回り始めるまでは、継続についてどんなに気をつかっても使いすぎることはない。もしタイム内で走れなかったとしても、やれる限りのことはやったという満足感なり、次につながっていくポジティブな手応えがあれば、また何かしらの大きな発見のようなものがあれば、多分それは一つの達成になるだろう。言い換えれば、走り終えて自分に誇り(あるいは誇りに似たもの)が持てるかどうか、それがランナーにとって大事な基準になる。」

村上さんは、市民ランナーとしてフルマラソンを何度も完走されています。専門の長距離ランナーも舌を巻く緻密なトレーニングと気持ちのコントロールを実践し、目標を達成されてきたことが分かります。地道にランニングに取組むことで、作家として長編小説を執筆するための、「持続力」と「集中力」を保たれているのです。

先行きは、はっきりしませんが、学校からの連絡を確実に把握し、落ち着いて、しっかりと行動してください。今後、課題の提示だけでなく、学習アプリ等を活用した学習支援や、学校と生徒が双方向でやり取りができる仕組みの構築など、学習環境の整備を早急におこなっていきます。今こそ、自らの限界を突破するチャンスととらえて、自分がやると決めたことを、継続して取組んでください。


〇とにかく家に居よう
 ・みだりに自宅から外出しない
 ・特に、大型連休期間、府県をまたいだ移動や観光施設等への外出は自粛
 「3つの密」(密閉・密集・密接)の回避
  ※周りの人と一定の距離をとる
  ※公園で運動するときや散歩・ランニングするときにも集団で行わないなど配慮する

 

〇決めたことを毎日継続しよう

 ・「毎朝の健康チェック」「生活記録の記入」「身辺整理・清掃」等

 ・しっかりとした食事と十分な睡眠を確保

 ・計画的な学習と適度な運動を実践

 

〇限界を突破しよう

 ・悩み、苦しみ、雑念を忘れて勉強に没頭

   ※単なる憧れや、こだわりを捨て「無我夢中」になる。

   ※無駄な時間をつくらない。

 ・「自分は素晴らしい人間」だと理屈抜きに信じる
   ※あなたは、いかなるピンチや試練も必ず乗り越える。

 ・強い目的意識をもつ

   ※今自分があるのは周りにおかげと謙虚な気持ちを持ち続ける。
   ※「家族のため、世のため人のため、皆のため」に頑張ると思い続ける。

  

   時永劫の うつろいに

   花新たなり 文の苑

   その名ぞ「兵庫」 わが母校

 

令和2424 

兵庫高等学校長 升川 清則


【校長室より】令和2年度新入生への説明会 校長講話

  ただ今入学を許可した75回生320名の新入生の皆さん、入学おめでとう。前をしっかり向いて、堂々と話を聞いている皆さんの姿を、非常に頼もしく思います。今の喜びは、皆さんの努力の結果であることに違いありませんが、ご家族をはじめ、皆さんを支え導いていただいた方々のお陰であると、感謝の気持ちを決して忘れてはなりません。
 本日は、保護者の方々にはこの場にお越しいただけませんでしたが、入学を許可され、晴れて兵庫高校生となったことをしっかりと報告してください。
 さて、本校は創立以来112年目を迎え、今日まで、文武両道を継承し、校訓の四綱領「質素剛健 自重自治 これを貫くに至誠を以てす」を重んじる教育を進めてきました。
 第1の「質素」とは、見た目の華美にまどわされず、心の豊かさを第一に、物ごとの本質をしっかりと掴み、判断、行動せよということです。
 第2の「剛健」は、心身のたくましさのことです。自分の将来を見据え、粘り強く取り組む、強い意志と頑健な身体を養い、何者にも屈せず、自分の選んだ道を歩み続けよということです。
 第3の「自重」は、自分を大切にして卑下しないことです。自分と同様他の人の人格を重んじ、謙虚であるとともに自分に自信を持ち、堂々と生きる人間に成長せよということです。
 最後の「自治」とは、「責任ある自由」のもと、自分たちのことを自らの責任において自ら運営することです。
 私は、皆さんに、四綱領の精神を基本理念とし、将来にむけて自立することは勿論のこと、「豊かな発想」と「たくましい行動力」で他者と協働しながら、世界や日本国中で活躍し、地元兵庫・神戸を支え牽引する人に成長してくれることを大いに期待します。
 そのために実践してほしいことを3つ述べます。
 1つ目は、「目的と目標」を常に意識することです。
 人生の中で大きな目的を持ち、その目的を達成するために日々の目標を立てることが重要です。登山に例えるならば、これまでも高い山を目指して、登り続けてきたかもしれませんが、これから登ろうとする山は、さらに険しく、道のない山です。兵庫高校入学のこの機会に、一旦山を下りて、さらに別の高峰を目指そうではありませんか。
 2つ目は、自ら主体的に学ぶ姿勢を持つことです。
 目的目標を達成するために、知識や技能を誰かに教えてもらえばよい、と皆さんが考えているならば、それは今すぐ改めてください。
 3つ目は、コツコツと努力し続ける「継続する力」と、「集中してやり遂げる力」を身につけることです。
 継続する力を身につけるため、目標をいくつかの小さな目標に分けて、1つひとつ達成するという考え方を是非取り入れてください。「先送り」「短気」「わがまま」などの癖が根づいてしまうと、中途半端な意思の力で断ち切ることはできません。日々できることを地道に続けて習慣化することで、少々の失敗や挫折を経験しても、くじけることのない自信を持つことができます。
 今話をした3つのことを実践し、兵庫高校の歴史に新たな歩みを刻んでください。
 現在、新型コロナウイルス肺炎が全世界中で蔓延し、人類を不安の渦に巻き込んでいます。
 「人間万事塞翁が馬」という故事のとおり、一見不運に見える出来事が、見方を変えれば実は幸運に導かれた出来事であるかもしれません。起こったことに一喜一憂せず、どう解釈するのかが、我われの人生を分けます。「この出来事は自分に何を気づかせようとしているのか」という見方があっても良いのではないでしょうか。
 明日以降、登校日を除いて、5月6日まで臨時休校となります。
 その間は、他人と自分の命を守るために、不要の外出を控え自宅で過ごしてください。毎朝の健康チェックを通じて自己の健康に留意するとともに、「1週間の記録」を活用して、日々の活動の振り返りを行いながら、学習面・体力面の基礎固めを図ると共に読書を通して、一回り大きな自分を創ってください。不安なことや、気になることがあれば、気軽に担任の先生に相談してください。
 本校では、常に生徒を中心に据え、教職員と保護者、そして同窓会である武陽会の三者が一致協力して生徒の教育に取り組んでいきます。本校での高校生活で、皆さん一人ひとりが、成長のチャンスを逃すことなく、学業や学校行事、そして部活動で互いを高め合えるよう期待しています。
 以上、75回生の入学にあたっての講話とします。

 令和2年4月8日

兵庫県立兵庫高等学校長 
    升 川 清 則


【校長室より】保護者の皆様へ

本日、2・3年生への「在校生への説明会」、1年生への「新入生への説明会」を無事に実施することができました。
特に、1年生の保護者の皆様におかれましては、「新入生への説明会」に多大なるご理解とご協力をいただきました。
改めて厚くお礼を申し上げます。
明日以降も登校日以外は5月6日まで休業となりますが、本校の教育活動にご理解ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

【校長室より】令和2年度1学期 在校生への説明会 校長講話

 おはようございます。
 校内の桜も桜色一色から、若葉の鮮やかな緑がアクセントを加えてくれています。山々の木々も新緑の季節を前に、若葉がまさに芽吹こうとして、例年と変わらぬ様子を見せています。

 しかし、今日、我われと新型コロナウイルスとの戦いは続いています。
 兵庫県における4月7日21:00時点での感染者数は229人で、東京都や大阪府のような大幅な感染拡大ではないものの、感染経路の不明な症例、帰国者、若者の感染者が増加しており、予断を許さない状況です。
 昨日、兵庫県を含む7都府県を対象に新型コロナウイルスの感染拡大に備える緊急事態宣言が国から発出されました。
 これに基づき、兵庫県においても対処方針が示され、以降、5月6日まで、学校は臨時休業となります。週1日、午前中の登校日においても、授業、部活動は実施しません。臨時休業中は、学校以外の公園での運動を除いて、むやみに外出せず自宅で過ごしてください。
 感染予防は、こまめな手洗いの励行、マスクの使用による咳エチケットの励行はもとより、十分な睡眠時間の確保やしっかりとした栄養の摂取など,規則正しい生活で健康な心身を維持することが重要です。そして、「密閉」、「密集」、「密接」といった3つの「密」が重なるおそれのある集会、イベントへの参加は厳に慎んでください。私たちは自分自身がウイルスに感染することをもちろん防がなければなりません。一方で、無症状でもすでに感染しているという可能性もあり、感染源となるおそれもあります。
 もし、体調に異変があるときには、本日配布する文書「令和2年度新型コロナウイルス感染症の予防的対応について」を参考に適切に対応してください。臨時休業中は、学校から皆さんには、これまでと同様に学校ホームページを通じて、連絡等を行います。くれぐれも、SNS等における憶測やデマに惑わされないでください。

自宅においては、
1 毎朝、検温を行い、健康状態を調査用紙に記入したうえで、学校ホームページから状況を各自フォームに入力すること。このデータにより皆さんの健康状態を把握します。37.5度以上の熱が4日以上、続くときには相談窓口に連絡してください。
2 生活記録を活用し、その日の行動をイメージしながら計画を立て、課題などの学習を計画的に行ってください。さらに、読書や運動も継続して行ってください。1日の終わりには、その日の生活の振り返るとともに、自己の目標を確認しましょう。
以上を確実に実施して、有意義に過ごしてください。

登校日には、
 マスクを使用するなど感染予防に留意して登校してください。
 なお、たとえ平熱とあまり変わらない微熱やだるさを感じるなどの、少しでも症状があるときには無理をせず、ためらわずに自宅で待機してください。
 また、登校に不安のあるときには、遠慮なく担任に申し出てください。


 3学期の終わりに、2つ話をしました。
 1つは、「行動・態度と言動を改める」ということ、もう1つは「物事の見方や解釈を変える」ということでした。
 我々の行動を変えることが、感染拡大を予防し、自分や周りの人の命を守ります。
ウイルスとの戦いも、「この出来事は自分に何を気づかせようとしているのか」という見方ができる人は、いざというときに思わぬ力を発揮できるものです。
 繰り返し皆さんにお願いします。
 今回の臨時休業を、自らの行動を変えること、学校に登校する意味を考えること、家族のありがたみ、友人の素晴らしさ、さらに、今やらなければならないことや、これまでの自分の誤りに、気づく貴重な時間にしなければなりません。新型コロナウイルスとの戦いは、まだまだ続きますが、時がたてば必ず終息します。それまで、健康にくれぐれも留意し、1年後、2年後、さらに将来、自分のため、家族のため、さらに世のため人のために活躍する自分の姿を思い描いて、兵庫高校生らしく前向きに行動してください。

 本日も、全員で校歌を高らかに歌うことが叶いません。残念でなりません。次に皆さんと歌える時を楽しみにしています。

 以上、年度初めの講話とします。

 令和2年4月8日 

兵庫県立兵庫高等学校長 
升 川 清 則