研究発表動画を公開

1月に開催予定だったサイエンスフェアin兵庫が新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったので、そこで発表する予定だった研究発表の内容をオンラインで限定公開します。

タイトル「透明骨格標本の作製過程の検討」

要旨

普段から透明骨格標本の作製を行っているが,魚の透明骨格標本の作製中に組織が膨張して裂けてしまい,失敗してしまうことが多々あった。私たちはこれを防ぐことはできないかと考え、研究するに至った。

作製方法 ① HCHO aq 20 %で固定する。② 蒸留水につけてHCHOを抜く。③ 燃料用アルコールにつけて脱水する。④ NaOH aqにつけて組織を透明化する。⑤ アリザリンSを加えたNaOH aqにつけて硬骨染色をする。⑥ もう一度,NaOH aqにつけて組織の透明化を進めるとともに余分な染色液を抜く。⑦ グリセリンで,細胞に浸透した水溶液を置換し,チモールを加えて保存する

Ⅰ 浸透圧の影響の確認:NaClを用いることでの筋肉の細胞と皮膚の細胞の膨張率の違いを検討した。その結果、筋肉の細胞は平均60 µm以上膨張しているのに対し,皮膚付近の細胞は平均25~30 µm,最高でも45 µmまでしか膨張していないので,皮膚付近の細胞は筋肉より膨張しにくいといえる。

Ⅱ 透明化過程でのNaClの添加:アジをHCHO aq 8日間,蒸留水2日,アルコールに4日つけた後,NaCl 0 %,1 %,3 %加えたNaOH 2 %にそれぞれ浸け,30 ℃で反応を進めた。NaOH aqにNaClを加えることで,細胞の膨張を軽減できた。

Ⅲ 固定期間の影響の検討:Ⅱの結果を踏まえ,HCHOを抜く段階の蒸留水をNaCl aqを用いて行った。その結果、固定の日数に関係なく,同じNaCl濃度においてほとんど同じ日数で組織が裂けた。固定の期間の長さは組織が裂ける現象に影響がないと考えられる。