【校長室より】生徒の皆さんへ
キーワード
「とにかく家に居よう」 「継続」 「限界突破」
生徒の皆さんへ
昨日は、4月下旬とは思えない肌寒い1日でした。その上、徒歩での帰宅途中に冷たい雨に降られました。空の雲の切れ間からは、夕日が神々しく西の彼方に沈んでいく光景に遭遇し、落ち込みかけた気持ちに勇気が湧きました。とはいえ季節は順調に進み、花々も桜やチューリップから、つつじにバトンタッチ。学校近くのお寺の境内で満開です。今朝は快晴で、真っ青な空のもと散歩していると、いつものように公園で運動している子どもたちに出会えて元気をもらい、1日を気分良くスタートできました。
皆さんは、毎日、自宅で元気に過ごしていることと思います。
「今できること」はないかと、仲間と共に元気な姿や音楽を発信する生徒、また、この期間に、図書館の「風と共に去りぬ」の原書を借りて、読破を試みる生徒もいます。兵庫高校生は本当に逞しいと、大変うれしく思います。私自身、生徒の皆さんが、学校で元気に過ごす姿を見せてくれること自体、本当にありがたいことだと感謝の気持ちが日に日に増してきています。
しかし、残念ながら、いつもの日常はありません。
一人ひとりが、過ごし方や行動を変えることが、一刻も早い事態の終息につながります。そして、皆さんの落ち着いた生活ぶりは、家庭に安心感をもたらし、きっと家族の絆も深まるに違いありません。
さて、作家の村上春樹さんは「走ることについて語るときに僕の語ること」(文藝春秋社)で次のように述べています。
「継続すること―リズムを断ち切らないこと。長期的な作業にとってはそれが重要だ。いったんリズムが設定されてしまえば、あとは何とでもなる。しかし、弾み車が一定の速度で確実に回り始めるまでは、継続についてどんなに気をつかっても使いすぎることはない。もしタイム内で走れなかったとしても、やれる限りのことはやったという満足感なり、次につながっていくポジティブな手応えがあれば、また何かしらの大きな発見のようなものがあれば、多分それは一つの達成になるだろう。言い換えれば、走り終えて自分に誇り(あるいは誇りに似たもの)が持てるかどうか、それがランナーにとって大事な基準になる。」
村上さんは、市民ランナーとしてフルマラソンを何度も完走されています。専門の長距離ランナーも舌を巻く緻密なトレーニングと気持ちのコントロールを実践し、目標を達成されてきたことが分かります。地道にランニングに取組むことで、作家として長編小説を執筆するための、「持続力」と「集中力」を保たれているのです。
先行きは、はっきりしませんが、学校からの連絡を確実に把握し、落ち着いて、しっかりと行動してください。今後、課題の提示だけでなく、学習アプリ等を活用した学習支援や、学校と生徒が双方向でやり取りができる仕組みの構築など、学習環境の整備を早急におこなっていきます。今こそ、自らの限界を突破するチャンスととらえて、自分がやると決めたことを、継続して取組んでください。
〇とにかく家に居よう
・みだりに自宅から外出しない
・特に、大型連休期間、府県をまたいだ移動や観光施設等への外出は自粛
・「3つの密」(密閉・密集・密接)の回避
※周りの人と一定の距離をとる
※公園で運動するときや散歩・ランニングするときにも集団で行わないなど配慮する
〇決めたことを毎日継続しよう
・「毎朝の健康チェック」「生活記録の記入」「身辺整理・清掃」等
・しっかりとした食事と十分な睡眠を確保
・計画的な学習と適度な運動を実践
〇限界を突破しよう
・悩み、苦しみ、雑念を忘れて勉強に没頭
※単なる憧れや、こだわりを捨て「無我夢中」になる。
※無駄な時間をつくらない。
・「自分は素晴らしい人間」だと理屈抜きに信じる
※あなたは、いかなるピンチや試練も必ず乗り越える。
・強い目的意識をもつ
※今自分があるのは周りにおかげと謙虚な気持ちを持ち続ける。
※「家族のため、世のため人のため、皆のため」に頑張ると思い続ける。
時永劫の うつろいに
花新たなり 文の苑
その名ぞ「兵庫」 わが母校
令和2年4月24日
兵庫高等学校長 升川 清則