校長室より

2021年12月の記事一覧

年末のご挨拶

年末のご挨拶

 令和3年、丑年が終わろうとしています。昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルス感染症の影響が、多くの場面で見受けられました。高等学校の教育現場でも、学校行事や対外的な活動に制約があり、変更したり、縮小したりと、大変な運営が続きました。PTAの活動にも、ご迷惑をおかけしました。そんな中ですが、生徒の皆さんは制約のある中、元気よく教育活動に取り組んでくれたと思います。文化祭、体育大会、球技大会等、大きな成果を得ることができました。

    そして特に2年次の大きな行事である修学旅行です。本来なら沖縄へ三泊四日の予定でしたが、USJと京都への一泊二日の旅に変更して実施しました。天気予報では雨マークが並んでいましたが、二日間とも日中は雨も降らず、班別行動を楽しんでくれました。香寺高校らしい、自由度の高い行事ができたと思います。

    さて、来年は寅年です。来年こそは阪神タイガースも頑張ってくれるものと思っていますし、コロナ渦も落ち着いてくれることを願っています。固定観念にトラわれずに、多くの事にトラいしていきましょう。来年は修学旅行で沖縄に行きタイガー。

若い人

若い人

 南アメリカの南北に細長い国であるチリで、12月19日に新しい大統領が誕生しました。ガブリエル・ボリッチさん、なんと35歳です。得票率は56%で、対立候補であるホセ・アントニオ・カストさん、55歳は44%でした。

 ボリッチさんは学生の抗議運動の元指導者で、格差と汚職に抗議する大規模デモを支持しました。チリはかつて、南アメリカで最も安定した経済を維持していましたが、現在では貧富の差が世界最大レベルに広がっています。人口の1%が国内の富の25%を所有しています。こうした状況でボリッチさんは、格差是正のため、年金や健康保険の制度改革を進めると公約し、労働時間を週45時間から40時間に減らし、環境への投資を増やすと訴えました。

 これからの政治運営については、なかなか思い通りにはならないことも予想され、前途多難だと思いますが、ある意味羨ましい感じがします。日本ではこんなことが起こるでしょうか。学生運動上がりの35歳の政治家が、総理大臣になる。ありえない話です。日本の政治家と呼ばれる人たちは、世襲の人が多く、当選回数を積み重ねてポストを得て、総理大臣までたどり着く、という過程を通るので、男性の「年寄り」ばかりです。政治運営には、経験が必要だという意見もありますが、若い人の行動力や柔軟な発想力は絶対に大切なものだと思います。

 生徒の皆さんは、これから何をするにしても必ず「年寄り」に出会います。「年寄り」の経験や良いところがあれば、学んだり、真似をすることはかまいませんが、頭が古かったり、固かったりすることが多いものです。私のような「年寄り」の言うことには、注意が必要ですよ。未来を切り開いていくのは、若い人の力しかありません。赤い、近い、高い都会や世界を破壊せずに、理解していきましょう。

 

羊頭狗肉

羊頭狗肉

 ことわざシリーズ4回目は「羊頭狗肉(ようとうくにく)」です。羊(ひつじ)の頭をかかげて、狗肉(くにく 犬の肉のこと)を売る。ということで、看板は立派だが、中身がないという話です。「新しい資本主義」という立派な看板があるようですが、中身はどうなのでしょうか。羊頭狗肉にならないように、期待しつつ、よく見つめていきましょう。

 生徒の皆さんも、中身が伴わないのに、大きな風呂敷だけ広げて、それで満足しているような事はありませんか。誰しも、自分のことを大きく、価値ある存在であると見せかけたい、思ってもらいたい、と考えるかもしれませんが、自分の評価は自分が一番よく分かっています。毎日の積み重ね、地道な努力に勝るものはありません。自分でよく考えて、目の前のできることを、しっかりやり遂げていきましょう。

 このことわざを理解するためには「羊の肉は、上等で希少価値があり、犬の肉はたいしたことがない」という前提条件が、一般的で、常識であるということに基づいています。私も含めて、現代に生きる人々にそんな常識はないのではないか、と思います。

 このように、ことわざには現代にも通用する含蓄のある内容が多いのですが(そうでなければ、忘れられてしまうので)、羊頭狗肉のように一瞬戸惑いを覚えるようなものもあります。「海老で鯛を釣る」ということわざも「海老も鯛も貴重で値段の高い海産物であるが、鯛の方がより貴重である」という前提条件を知っていて、初めて理解できることわざです。

 現代であれば「スマホを掲げて、ガラケーを売る」と言えばわかりやすいでしょうか。もっとも、もう10年くらいたつと「ガラケーって何?」と言われそうですが。羊頭狗肉ということわざを、苦肉の策として使ってみましょう。

 

Climb Every Mountain

Climb Every Mountain

 日本の高等学校のスポーツを統括する団体としては、全国高等学校体育連盟(高体連)があります。ただし、野球だけは別組織で、日本高等学校野球連盟(高野連)になります。この度、高野連の新会長に宝馨(たから かおる)さんが選ばれました。宝さんは滋賀県の生まれで、兵庫県の西宮北高校から京都大学工学部に進学し、現在は京都大学教授で、地球上の水の循環を研究する水文学(すいもんがく)を専門とされています。高校、大学と野球部に所属し、京都大学の野球部監督や部長も務められ、現役時代も含め40年以上学生野球に携わってこられました。

 就任にあたってのインタビューで、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の中で歌われる「Climb Every Mountain」の一節に感銘を受けたと話されました。この映画は1965年に公開されたロバート・ワイズ監督、ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画で、私も映画館で見て感動した記憶があります。歌詞は「すべての山に登りなさい」という日本語になりますが、これは「あちこちにある山という山、すべて征服しろ」という意味ではありません。むしろ「夢に向かってずんずん前に進んでいく途中、山に出会ったら、その都度逃げないで、必ず登って乗り越えましょう」という意味のようです。ここでの「Every」の意味は「すべて」というよりは「その都度」ということです。

 宝さんは就任にあたり「大きな山だが、登ってみようと思った」「ずっと弱いチームにいた。だから敗者や弱者、未熟な学生の気持ちがわかる」と言われています。皆さんも困難に直面したとき、どのように対応するのがよいのか、自分でよく考え、家族や友達、先生など周りの人たちの意見をよく聞き、最後は自分で決定する、ということを心がけて下さい。

 高い山に登った方が、山頂での風景は美しいものです。養鶏の統計を取り、総計を後継に託しましょう。

 

ギリシャ文字

ギリシャ文字

 新型コロナウイルスの変異株の名前で有名になった、ギリシャ文字です。生徒の皆さんは、これまでにも主として数学や理科の勉強でギリシャ文字を使ってきたと思います。英語のアルファベットは26文字ありますが、ギリシャ文字は24文字です。ちなみに「アルファベット」という言葉はギリシャ文字の最初の2文字である、アルファとベータに由来するそうです。

 ギリシャ文字には大文字と小文字がありますが、小文字は次のように書きます。

αβγδεζηθικλμνξοπρστυφχψω

 最初の3文字はアルファ、ベータ、ガンマでなじみがあると思います。数学の二次方程式、解と係数の関係に出てきますし、放射線の三つの種類はα線、β線、γ線と呼びます。デルタには少しだけという意味があり、シータは角度として、ラムダは電磁波の波長に、パイは円周率に、シグマの大文字はΣで、数列などの総和に、オメガの大文字はΩで、電気抵抗の単位オームに使われています。

 新型コロナウイルスの変異株の名前に使われるようになったのは、約100年前の新型インフルエンザの大流行の際、スペインが発端ではなかったのに「スペイン風邪」と呼ばれ、スペインが迷惑したことの反省に立ったものです。アルファ株からスタートして、ミュー(μ)株まで使われていました。次はニュー(ν)の番でしたが、ニューはnewと間違えやすい、その次のクサイ(ξ)は英語表記だとxiとなり、人名によくある名前だということで、二つ飛ばしてオミクロン(ο)が採用されました。

 そうすると、あと残りの文字は9個しかありません。この先変異株がたくさん出てきたらどうするのでしょうか。と思っていたのですが、さすがに世界のWHO(World Health Organization 世界保健機関)はちゃんと考えているようで、ギリシャ文字を使い切ったあとは、星座の名前をつけるそうです。星占いの星座は全部で12個しかありませんが、現在認められている星座の名前は88個あるそうなので、しばらくは大丈夫のようです。

 それにしても、コロナが収まるのは、いつコロナのでしょうか。