校長室より

羊頭狗肉

羊頭狗肉

 ことわざシリーズ4回目は「羊頭狗肉(ようとうくにく)」です。羊(ひつじ)の頭をかかげて、狗肉(くにく 犬の肉のこと)を売る。ということで、看板は立派だが、中身がないという話です。「新しい資本主義」という立派な看板があるようですが、中身はどうなのでしょうか。羊頭狗肉にならないように、期待しつつ、よく見つめていきましょう。

 生徒の皆さんも、中身が伴わないのに、大きな風呂敷だけ広げて、それで満足しているような事はありませんか。誰しも、自分のことを大きく、価値ある存在であると見せかけたい、思ってもらいたい、と考えるかもしれませんが、自分の評価は自分が一番よく分かっています。毎日の積み重ね、地道な努力に勝るものはありません。自分でよく考えて、目の前のできることを、しっかりやり遂げていきましょう。

 このことわざを理解するためには「羊の肉は、上等で希少価値があり、犬の肉はたいしたことがない」という前提条件が、一般的で、常識であるということに基づいています。私も含めて、現代に生きる人々にそんな常識はないのではないか、と思います。

 このように、ことわざには現代にも通用する含蓄のある内容が多いのですが(そうでなければ、忘れられてしまうので)、羊頭狗肉のように一瞬戸惑いを覚えるようなものもあります。「海老で鯛を釣る」ということわざも「海老も鯛も貴重で値段の高い海産物であるが、鯛の方がより貴重である」という前提条件を知っていて、初めて理解できることわざです。

 現代であれば「スマホを掲げて、ガラケーを売る」と言えばわかりやすいでしょうか。もっとも、もう10年くらいたつと「ガラケーって何?」と言われそうですが。羊頭狗肉ということわざを、苦肉の策として使ってみましょう。