校長室より

2023年3月の記事一覧

音楽の構成

音楽の構成

 北海道函館市出身のロックバンド、GLAYです。1994年にメジャーデビューして、数多くのヒット曲があります。メンバーは、TERU(ボーカル)、TAKURO(ギター)、HISASHI(ギター)、JIRO(ベース)の4人で、活動の初期にはリーダーでもあるTAKUROが楽曲を作っていました。GLAYのヒット曲の中でも有名な曲は、97年8月に発表された「HOWEVER」です。この曲を作ったTAKUROが、先日こんな話をしていました。

 同じ97年2月に発表された小室哲哉さん作詞作曲で、安室奈美恵さんの「CAN YOU CELEBRATE?」を聞いたときに、これは当時のJ-POPの最高傑作だと思いました。新しい言葉づかいで歌詞の「永遠っていう」でいいんだと、その自由さが当時の安室さんの心情を出していて、あまりにも感動した僕は、一度でいいからこの曲のような「サビのような、いわゆる“つかみ”が来て、その後にちょっとしたイントロがある」という構成で書いてみたいと思って「HOWEVER」を作ったんです。

 「CAN YOU CELEBRATE?」は名曲で、現在でも結婚式ソングとして歌われています。「HOWEVER」も名曲ですが、こんな裏話があったとは知りませんでした。歌詞もメロディーも全然違う曲ですが、言われて見れば曲の「構成」はそっくりです。曲の発表当時にはこんな話はできなかったかもしれませんが、26年経ちましたから、もう時効ということでしょう。それにしても現在にも歌い継がれている名曲が、同じ年に発表され、先の曲を元ネタに使って、次の曲が誕生するというのは、面白すぎます。

 今のJ-POPは「Aメロ、Bメロ、サビ」という風に形式が決まっていたり、コンピュータミュージックのように、リズム重視の曲が多いように思いますが、97年にはこのように「音楽の構成」が模倣されていたのですね。構成を考えると、趨勢に押され、統制や養成する間もなく、優勢に創世されて、どうせいと言うのやら。

 

 

漢字の音読み

漢字の音読み

 皆さんは、漢字の読み方に音読みと訓読みがあることはご存じだと思います。このうち訓読みは、日本語において、個々の漢字をその意味に相当する和語(大和言葉、日本語の固有語)によって読む読み方が定着したもので、一般にひらがなで表記されます。そして多くの漢字の訓読みは、一種類です。

 それに対して、音読みの方は、漢字の中国語における発音に由来するものが多く、漢字によっては、複数の読み方があります。例えば「明」という漢字は訓読みだと「明るい(あかるい)」と読みますが、音読みだと「みょう」「めい」「みん」と三種類もあります。これはどういうことでしょうか。

 実は音読みには「呉音(ごおん)」「漢音(かんおん)」「唐音(とうおん)」の三種類があります。最も古い時代に伝わり、定着した音読みが呉音です。現在では仏教の用語に多く残っています。漢音は7~8世紀、奈良時代後期から平安時代初頭にかけて、遣隋使、遣唐使や留学僧などによってもたらされた読み方で、現在一番よく使われている読み方です。唐音は平安末から江戸時代の終わりまでに、禅宗の留学僧や貿易商によってもたらされました。唐音で読む語数は少なく、例えば椅子(いす)、行灯(あんどん)、提灯(ちょうちん)、蒲団(ふとん)などがそれにあたります。先ほどの「明」でいうと、呉音が「みょう」、唐音が「めい」、唐音が「みん」になります。ですから、音読みには複数の読み方が生じるのです。

 このうち、呉音で読む例としては、「眼(げん)」「行(ぎょう)」「品(ほん)」「色(しき) 般若心経に出てくる、色即是空(しきそくぜくう)」「食(じき) 断食(だんしょく ではなくて、だんじき)「発(ほつ) 発起人(はつきにん ではなくて、ほっきにん)」「変化(へんげ) 七変化(しちへんか ではなくて、しちへんげ)」「男女(なんにょ) 老若男女(ろうじゃくだんじょ ではなくて、ろうにゃくなんにょ)」「金(こん) 金堂(きんどう ではなくて、こんどう)」などがあげられます。なるほど仏教の用語がとっつきにくいとされるのは、この呉音読みにも原因の一つがありそうです。

 いやー、小学生の時には、なぜ一つの漢字の読み方がたくさんあるのかが不思議でしたが、そういうことだったのですね。呉音の読み方で、御恩返しができそうです。

 

湯道

湯道

 茶道や華道があるように、お風呂の入り方について「湯道」を提案したのは、小山薫堂さんです。薫堂さんは元々は放送作家として「料理の鉄人」をはじめ、数多くのテレビ番組を担当してきましたが、熊本県の出身でもあり、人気キャラクターの「くまモン」を生み出した人でもあります。2008年には映画「おくりびと」の脚本も手掛け、今回は映画「湯道」の企画・脚本を手がけました。

 「まるきん温泉」という銭湯を中心にした物語ですが、生田斗真、濱田岳、橋本環奈の3人が主役級です。その他、結構有名な俳優さんたちが少しずつの場面で、強力に個性を発揮しています。私の好きなオヤジギャグも満載です。日曜日の15時からFMで放送されている「日本郵便SUNDAY‘S POST」という番組に、小山薫堂さんとアナウンサーの宇賀なつみさんが出演されていますが、この番組で映画「湯道」の出演者が宣伝のためにゲストに来ていました。2月19日は小日向文世さん、26日は厚切りジェイソンさんでした。

 小日向さんは定年退職を迎える郵便配達員の役で、全体の狂言回しを行います。ラストシーンでは、素晴らしいセリフが与えられていました。ラジオでも、そのセリフが一番良かったと話していました。厚切りジェイソンさんは、日本の女性を奥さんに迎えるため、その女性の父親と仲良くなるために、一緒にまるきん温泉に行きます。ところが、びっくりするようなありえない行動をとってしまいます。「それは実際にはないやろ」と思いましたが、ラジオを聞くと、薫堂さんは「この話はフランスで聞いた実話です」と言われていました。ネタバレを避けるため、こんな表現になりましたが、他にも見どころ満載です。劇中歌もシャレが効いてて、素晴らしい。是非一度鑑賞してみてください。お風呂に入って、湯道を極めて、湯豆腐を食べましょう。