校長室より

2022年4月の記事一覧

勇気とは

勇気とは

 生徒の皆さんには勇気がありますか。勇気とは何なのでしょうか。

 古代ギリシャの哲学者で、アリストテレスという人がいました。アリストテレスは、ソクラテスの弟子のプラトンの弟子にあたる人です。そのアリストテレスはこんな風に考えました。

「最善は常に2つの悪例の中間に存在する。つまり中庸こそが美徳である」

 この考え方は現代に生きる私たちから見ると「中庸というのは中途半端な考え方」「足して2で割るということは、どっちつかずではないか」と思えてしまいます。しかしアリストテレスは「勇気」について次のように考えました。

「勇気とは、無鉄砲と臆病のちょうど中間のことである。両極端の悪い例と等しく距離をおくことを最善とする」

 臆病すぎると、勇敢な行動は取れない。かといって無謀なのも勇気とは違う。何も怖くない、心配したことなど一度もない人がいたとしたら、その人は勇敢ではなく、ただ無謀なだけだ。真の勇気とは、少なくともどこかで不安を感じつつ、それを克服して行動することだ。無謀であることと、臆病であることから等しく距離を置くというさじ加減は決して簡単なものではない。人間はその難しい調整を肝に銘じなければならない。ということです。

 現代では、極端な考え方がもてはやされている感じがあります。それだけではなくて、ソクラテスの中庸が美徳という考え方も大切だと思います。勇気とホウキを持って、早期に納期を守ってくれと、言う気はありません。

 

 

食育のあれこれ

食育のあれこれ

 今から15年くらい前に「食育」という言葉が流行しました。生徒の皆さんは聞いたことがありますか。食育とは何の事なのでしょう。

 実は、食育という言葉を最初に用いた人は石塚左玄(いしづか さげん)で、明治時代に陸軍の医師・薬剤師として活躍しました。1896年「体育智育才育は即ち食育なり」という言葉を残しています。また明治の小説家である村井弦斎(むらい げんさい)も「食道楽」という著書で食育の大切さを説きました。

 こんな昔の言葉を探し出してきて、2005年「食育基本法」が制定され「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」と位置づけられました。ここまでの話でしたら、別に何の問題点(?)もないように思います。

 ここからは「カルビー」と「マクドナルド」の関係者の方々には誠に申し訳ない話になってしまいます。前もってすみませんと書いておきます。食育の推進の前提にあるのは「栄養の偏り」「不規則な食事」「肥満や生活習慣病の増加」「過度の痩身志向」「日本の食が失われる危機」等、これではダメだというものがあります。ところがカルビーやマクドナルド等の企業は、この食育運動を推進しているのです。いわゆるスナック菓子やファストフードと、食育活動は相容れないものだと思いますが、いかがでしょうか。もっと言うと、人が食べるものを国が決める、方向付ける、なんて事があっても良いのでしょうか。

 朝ご飯は食べた方が良いでしょう。夕食は一家団欒で、家族全員がそろうことが望ましいでしょう。でも分かっていても、できない家庭状況、経済状況にあるご家庭はたくさんあるはずです。大きなお世話という感じです。食育の今後の行き先は、どっち行く、こっち行くという感じです。

 

 

新年度のご挨拶

新年度のご挨拶

 2022年度、令和4年度が始まりました。昨年度に引き続き、木村篤志が兵庫県立香寺高等学校の校長を勤めさせていただくことになりました。

 今年度も「校長室より」を継続していきますので、ご期待(?)下さい。世の中は、新型コロナウイルスの感染者数が、わずかながら増加傾向にあり、ロシアとウクライナの戦争にも、大きな変化が見えない状況が続いています。円安や物価の上昇傾向も気になるところです。兵庫県の教育界でも、先日県立高等学校の統廃合の案が示され、旧の姫路福崎学区ではかなりの数の統廃合が実施されるようです。香寺高校でも、これまでご尽力いただいた何人かの先生方が退職、転勤されました。また新たに本校に採用、転勤された先生方をお迎えしました。新しい体制で、教育活動に取り組んで行きます。

 「1年の計は元旦にあり」といいます。高等学校では、4月1日が元旦ですから、私も目標を考えました。

「香寺高校で良かったね」

 高等学校の使命は、高校生を育てることです。学習に部活動に、学校行事に力一杯頑張らせたいと思います。生徒が「香寺高校で高校生活を送ることができて良かったね」。生徒を育てるのは先生方です。先生方が「香寺高校で教員として勤めることができて良かったね」。生徒を高校へ通わせているのは、保護者の皆様です。保護者の方々が「子供を香寺高校へ通わせて良かったね」。同窓会や地域の方々にも大変お世話になっています。「この地域に香寺高校という高等学校があってくれて良かったね」。

    関係する皆様方から「香寺高校で良かったね」と思ってもらえるように、私も頑張っていきます。高校は船が航行するように、野球が後攻でも、親孝行を忘れずに運営されていきます。