校長室より

2020年3月の記事一覧

【校長室より】第3学期終業式辞

 正門をはいったところの蜂須賀桜も終わり、それに続いて校内の桜のつぼみが膨らんでいます。満開になるのが待ち遠しい限りです。冬の間、葉を落としていた通勤途中のあじさいも、知らぬ間に元気に葉をつけて、花をつける準備を整えつつあります。

 今回のコロナウイルス対策による一斉休業が始まって3週間が過ぎました。
 皆さんは、学校ホームページによる連絡をペースメーカーに、課題をこなして、有意義な時間をきっと過ごしていたことと信じます。
 私たちが日常かかえる不安な気持ちや、先行きが不透明な状況を象徴するかのような、現在の目に見えないウイルスとの戦いです。とはいえ、手洗いや咳エチケットの励行で予防策は講じることができます。また、感染しても重症化しないように、適度な運動と十分な睡眠の確保やしっかりとした栄養の摂取など,規則正しい生活で健康な心身を維持することができます。
 今回の休校で、学校に登校する意味を考えること、家族のありがたみ、友人の素晴らしさ、さらには、今やらなければならないことや、これまでの自分の誤りに、はたと気づいた人がいれば、それは貴重な時間であったといえます。
 今日、皆さんの元気な様子を見て、ただただ嬉しく感激しています。

 さて、この1年、皆さんは、今日まで、兵庫高校生らしく果敢にチャレンジし、勉学に、学校行事に、部活動によくがんばりました。
 終業式にあたり、心にとどめて欲しいことを2つ話します。

 1つ目は、「行動・態度と言動を改める」ということです。
 「先送り」「短気」「わがまま」など、良くない行動の癖がついてしまうと、中々断ち切ることはできません。日々できることを地道に続けて習慣化することで、悪癖にもブレーキをかけることができます。
 我われが無意識に使う言動にも注意したいものです。
 「ダメや」「最低や」といった、物事を強く感情的に否定する「ネガティブな言葉を日常的に使わない」ことが重要です。
 「誰かの良いところを無条件に本気で心の底から褒める『感嘆』の言葉」
 「心から有り難いと思って語る『感謝』の言葉」
 「素晴らしい自然、芸術、音楽、スポーツに触れたとき、その喜びを表現する『感動』の言葉」
といったポジティブな言葉を意識して使うことを習慣にしたいものです。感嘆、感謝、感動、3つの感を意識することで、ネガティブな感覚が薄れ、自分自身の人格が磨かれていきます。

 2つ目は「物事の見方や解釈を変える」ということです。
 往々にして不運に見える出来事が、実は幸運に導いてくれる出来事である場合があります。起こったことに一喜一憂せず、その事象をどのように解釈するのかが、我われの人生を分けます。失敗したときにも、「失わなかったもの」や、「与えられたもの」に目を向けることができるはず。失敗や挫折も、自分にとっては、一度限りのかけがえのない人生の一コマです。「この出来事は自分に何を気づかせようとしているのか」という見方ができる人は、気持ちに余裕が生れます。

 2つ話しましたが、プラスの発想をすれば人生はプラスに作用し、良い出会いにつながっていくものです。調子が良いときは謙虚な気持ちで感謝し、難が有るときには、それをひっくり返して有り難うという。そうすればピンチもチャンスに変わるかもしれません。他人と過去は変えることはできませんが、自分と未来は変えることができます。1年後、2年後、さらに将来の自分を思い描き、これから是非とも心がけて欲しいと思います。

 新型コロナウイルスの蔓延は、まだまだ先行きが不透明ですが、時がたてば必ず終息します。それまで、健康にはくれぐれも留意し、自分のため、家族のため、さらに世のため人のために活躍する自分の姿をイメージながら行動してください。

 このたびは、全員で校歌を高らかに歌うことが叶いません。残念でなりません。
最後の一節を口ずさんで終わります。

 文化の国のあけぼのは ここより生れん ほのぼのと
 その名ぞ兵庫 わが母校


 これをもって式辞とします。


 令和2年3月23日

 兵庫県立兵庫高等学校長 
 升 川 清 則