校長室

3学期始業式式辞

 皆さん、おはようございます。2023年がスタートしました。皆さん一人一人が大きな夢や希望を持って今そこにいると思います。コロナ禍で不安が尽きない中ですが、その大きな夢や目標に向かって決して挫けず、諦めず、邁進する、そんな充実した1年にしてほしいと思います。

 さて、今や年末年始の風物詩となっているのが数々のスポーツです。中でも、私がいつも見入ってしまうのが箱根駅伝です。教え子が箱根路を走り、テレビの画面越しに応援したことが契機となりました。

 駅伝のルーツは、古くからあった飛脚制度や、江戸時代に五街道の一つであった東海道で、馬で荷物を運んだ伝馬制にあると言われています。最初の駅伝は1917年に京都から東京まで約508㎞、23区間、昼夜問わず3日間走り続けるというものでした。距離を分担して走るというルールは、個人よりもチームを大切にする、いかにも日本発祥のスポーツだと思います。

 箱根駅伝のルールは実に過酷です。中継点で20分遅れのチームは繰り上げスタートを強いられ、タスキを繋ぐことができません。翌年のシード権は10位までで、それ以下は予選からの熾烈な闘いが待っています。このように、タスキはチームと歴史を繋ぐものであり、学校の名誉と誇り、そして選手一人一人の血と汗と涙が染み込んだものです。

 駅伝はよく人生の縮図であるとも言われます。平坦な道ばかりでなく、時に風雨、風雪にも苛まれます。そうした苦難を克服するために、日頃から弛まぬ努力の積み重ねが必要です。今回の箱根駅伝でも、私達が知り得ない努力の積み重ねが、数々の感動的なドラマとして私達の心に響いたのではないかと思います。

 皆さんに認識してほしいのは、こうした感動的なドラマは何もスポーツに限ったことではなく、皆さんが日頃から取り組んでいる全てのものに共通するものだと思っています。どんな思いで、どんな決意でそれに取り組んでいるか、それは真剣か。そして、そこに弛まぬ努力のプロセスがあるからこそ、ドラマとなり、感動を呼び起こし、周囲がそれに共感、共鳴するのだと思います。真剣であればあるほど、それはより大きなものになります。

 実は、皆さんもそれぞれにタスキを背負って走っています。2023年がスタートしましたが、この1年を見ても、幾つもの節目があります。ゴールとなる目標を設定し、それを見据えて節目節目にタスキをどう繋げていくかをしっかり考えてください。

 1・2年生はそれぞれ2年後、1年後を見据えて。3年生は人によっては1ヶ月後、2ヶ月後、あるいは大学を卒業する4年後、この先10年後を見据えて。皆さんそれぞれにそれぞれの目標に向かって、決して挫けず、諦めず、弛まぬ努力を積み重ねてしっかりと自分のタスキを繋いでいく、そんな3学期、2023年にしてくれることを強く希望します。

 ところで、明高も今年、創立100周年を迎えました。9月30日には記念式典・記念講演会を予定しています。また、記念事業・関連事業として、新資料館の建設、資料館周辺の庭園整備、視聴覚教室を探究ルームに改修、体育館にトイレ新設、記念イベント等を計画しています。明高の歴史と伝統、建学の精神「自彊不息」のタスキを皆さんとともに繋いでいきたいと思います。

 最後に、繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染防止の徹底をお願いします。