校長室

1学期終業式 講話

 早いもので、1学期が終わります。皆さんは、納得のいく1学期を送れましたか。送れたという人は手を挙げてください。何に納得できていないのか、それはなぜなのか。しっかり自己分析し、すぐに改善に努めてください。改善なくして成長なし、です。

 さて、「グローバル化」「グローバル人材」という言葉はよく耳にするところです。「グローバル化」とは、人や商品、資本、情報などの様々な分野で、国や地域の垣根を超えた移動が活発化し、世界の結びつきが深まる現象を言います。現実に、労働力が安価な新興国で商品を製造することで、企業は増収、私達消費者は安価に商品を入手しています。海外の製品やサービスが国内に溢れ、街には多国籍の人々が往来しています。インターネットを介して瞬時に情報が世界中を駆け巡っています。世界中に拡大した感染症の問題もグローバル化が一因です。コロナ禍で人の移動がいまだに制限されていますが、新たな技術や手法の開発によって「グローバル化」が停滞することはないと言われています。

 こうした「グローバル化」時代を生きる「グローバル人材」に求められる力は何か。早稲田大学の白木三秀教授が、海外に派遣された日本企業の社員を対象に、コンピテンシー、つまり安定的に期待される成果を挙げている人に共通して見られる特性を調査したところ、共通して4つの力が備わっていることが判明しました。その4つとは何だと思いますか。

 私は、英語力がその1つだと考えましたが、英語力、特に話す力は備わっていることが大前提の話でした。その4つとは、

1 前向きな行動力

2 対人関係構築力

3 異文化適応力

4 仕事力

でした。そして、細かく分析したところ分かったことが、誰もが高校時代に好奇心を持って大小様々なことに主体的に挑戦し、成功と失敗を積み重ねる、そうした経験を数多くしていることでした。

  私が今、皆さんに伝えたいことは理解していただけたと思います。グローバル化時代を生きるグローバル人材となる皆さん、特に1・2年の皆さんには、好奇心を持って大小様々なことに主体的に挑戦し、自分を高めてほしい、自分を成長させてほしい、グローバル人材の基盤を作ってほしいと思います。ぜひそんな夏休みにしてください。もちろん、学習面では、特に復習を中心とした基礎基本の徹底的理解、その定着を図ることは言わずもがなです。また、特に2年生は志望する大学に足を運んで、「よしやるぞ」という不退転の決意を新たにしてください。

 3年生の皆さん、就職・公務員志望の人、しっかりと対策を立て妥協せず納得のいくまでやりきってください。進学志望の人、「夏を制する者は受験を制する」と言われます。この夏の頑張りを期待しています。しかし、必死に勉強しても、すぐに結果は出るとは限りません。早い人で3ヶ月後です。逆に考えると、この夏休みに頑張らないと受験には間に合わないことになります。必ずや志望校に合格するぞという不退転の強固な意志を持って、この夏休みを乗り切ってください。

 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症が再拡大し、感染者が激増しています。改めて感染防止の徹底をお願いします。特に部活動内での感染が拡大しないよう留意してください。

6月全校集会校長講話

 大学進学を目指す人の多くは「大学入学共通テスト」を受験します。私立大学の多くが取り入れ、国公立大学受験者は必須です。この「共通テスト」は、大学入試改革の目玉として、単に知識だけを問うのではなく、受験生の思考力や判断力を評価する出題内容となっています。来年度で3回目となります。

 今年度の試験では、多くの科目で平均点が過去最低となりました。そのため、昨年度の3年生も受験校を決定する際、悩んだ人が非常に多くいました。英語ではリスニングのウエイトが非常に高くなりました。英語の読解問題では図や資料など様々なテクストから概要や要点を把握したり情報を読み取ったりする問題、国語では本文に関連する別の文章が提示されて内容や表現の特徴について類似点や相違点を問う問題、数学では会話文を用いて数学的な問題解決の過程を問う問題、地歴では史料や図表を読み取る問題、理科では実験や考察問題が非常に多く出題されました。

 しかし、問題を解いてみると、実は基本事項が理解できていれば、ちゃんと正解にたどり着ける問題ばかりです。ポイントは、日頃の学習において、単に知識だけを覚え込むのではなく、それを使って考える、いわゆる「思考の訓練」をしっかり行えているかどうかです。

 「思考」とは、辞書には「すでにある情報から新しい情報を導き出す心の活動」とあります。イメージ的に言うと、「こうだからこう、こうだからこう、だから結論的にはこう」といった考え方の形式のことです。例えば、自明の真実からスタートして、結論を導き出す演繹的思考では、「昆虫は6本足、クモは8本足、だからクモは昆虫でない」という結論になります。また、前提に「全ての」とか「ある」といった量を表す表現が含まれるパターンの定言的思考では、「全てのAはB、全てのBはC、よって全てのAはC」という結論になります。

 こうした「思考の訓練」は、いつでもどこでもできるものだと私は思っています。部活動でも意識して臨めば、相当な訓練になるでしょう。また、こうした思考は、何も学習や受験だけではなく、自己理解はもちろん、他者の気持ちへの理解、想像力を働かせることなど、私達が生きる上での全ての活動において活かされるものだと思います。

 皆さんには、日頃からあらゆる場面で「思考すること」「思考する訓練」を実践し、それを継続してほしいと思います。そして、一方向だけから物事を見るのではなく、できるだけ多くの視点から物事を捉え観察し、思考を深めてほしいと思います。この習慣が大学受験も含め、様々な意味での自己実現に繋がっていくはずです。

 最後に、新型コロナウイルス感染については、まだまだ油断できません。感染防止の徹底をお願いします。感染防止は、新たな取組ではなく、これまでやってきた基本的なルールを正しく守るということに他なりません。皆さんの教育活動を通常に近い形で行うためです。協力をお願いします。

5月全校集会講話

 ゴールデンウイーク前後に、多くの部で東播大会が開催されました。優勝、準優勝、入賞を勝ち取った部や選手が例年以上に多く、報告を聞いて大変嬉しく思いました。この勢いで、県総体でも活躍してくれることを期待し、楽しみにしています。

 私事ですが、高野連の仕事に携わっていることから、県大会はもちろんのこと、近畿大会や甲子園大会の試合を直接球場で観戦する機会がよくあります。高校野球の世界で強豪校と言えば、皆さんもすぐに大阪桐蔭、智弁和歌山、東海大相模といった名前が思い浮かぶのではないでしょうか。私は、全国からトップレベルの選手を集めれば当然強くなるはずだという考えを持っていましたが、強豪校の試合を観戦するにつけそれは誤りであることに気づかされました。

 スポーツではよく、「リズム感がある」とか「テンポがいい」とか言われます。リズムは「動きの規則正しい繰り返し」、テンポは「リズムの速さ」です。

 スポーツのパフォーマンスにおける二大要素と言われているのが、筋力やスピードなどの「身体機能」と、ボールに合わせる、タイミングを合わせる、相手に合わせる「協調」です。この「協調」ですが、こちらが相手に合わせるのか、相手がこちらに合わせるのかがポイントです。勝負事では「自分の中に基準とする内的テンポを持って臨むこと」、つまり相手がこちらに合わせる状況を作ることが絶対条件であると言われています。

 大阪桐蔭は、グランド上での動きは非常に機敏で、攻守交代も全力です。例えば、相手のピッチャーがマウンドに行くまでに、すでに先頭打者がバッターボックス横で素振りを始めています。それを見てピッチャーが慌ててピッチングを始める。つまり、相手がこちらの内的テンポに合わせてリズムを崩すことになります。このリズムのよさ、テンポのよさが大阪桐蔭はじめ強豪校の強さであると私は認識するようになりました。どんな競技でもそうですが、それを身につけることで、どんな時にも自分のリズム、自分のテンポで試合ができます。リズムやテンポは脳の働きによって刻まれるため、脳にリズムやテンポを染みこませることが重要です。日常のスピーディーな動きが身体に染みついて、それが自然な状態になっているのだと思います。ぜひそんなチームづくりをしてください。ダラダラ練習していたのでは絶対に勝てません。余談ですが、強豪校はどこも相手が誰であろうとしっかり挨拶ができます。春の甲子園は選抜になりますが、その第1条件は挨拶を含めたマナーの良さです。

 ところで、ヒトの様々な機能は生体リズムにより制御されていると言われます。夜になると眠気が増すのもそのためです。スポーツの国際大会で、ジェットラグ(時差ぼけ)によりパフォーマンスが低下するのも生体リズムが崩れたことによるものです。

 皆さんは、生活習慣の確立・生活リズムの確立ということを口酸っぱく指導されてきたと思います。それは、一定の規則正しいリズムで生活することが、安定して力を発揮することに繋がるからです。それが証拠に、普段家庭で2時間しか勉強しない人がいきなり5時間勉強しようとしても容易ではありません。1月に大学入学共通テストが実施されました。思考力を問う問題が増加し、時間内に問題を解き終えられなかったという声が多く聞かれました。これに対応するには、日頃から脳にそうなりたい自分のリズムやテンポを染みこませることが必要です。例えば、学習時間を徐々に長くするとか、歩くスピードを速くするとか、食べるスピードを速くするとか、問題を解くスピードを速くするとか。

 今日の話を、自分のリズムやテンポがどうか、試合に向けて、学習に向けて、受験に向けて自分を見直す、自分をつくり変える契機としてほしいと思います。

 最後に、新型コロナウイルス感染がまた拡大の様相を呈しています。不要不急の外出と3密の回避、マスクの着用、手洗い、うがい、消毒を徹底してください。特に、部活動内での感染と濃厚接触の回避を徹底してください。また、下校時は飲食や寄り道をせず、まっすぐ帰宅してください。

4月全校集会講話

 新年度が始まって2週間が経ちました。1年生は高校生活にも徐々に慣れてきましたか。高校生・明高生としての自覚を持てるようになってきましたか。2・3年生には始業式で、「成功哲学」の話をしました。情熱と信念を持って8つのことを実践できていますか。成功への階段を一歩一歩上れていますか。

 昨日は、全学年とも仲間づくり、仲間との交流に主眼を置いた遠足でした。目的は達成できましたか。楽しい時間を過ごせましたか。今日から一週間、ゴールデンウイークまでギアをさらに一段上げて突っ走ってください。

 ところで、大手電機メーカーのソニーが電気自動車、いわゆるEV車製造へ参画するために、今春新たな会社を立ち上げました。個人的には、ソニーが自動車メーカーになるのかと大きな驚きを持ってこのニュースを耳にしました。今や、危険を察知して自動的に制御するシステムが搭載された自動車は当たり前になりつつあります。また、数年前から「空飛ぶ車」の構想が取り沙汰され、2025年に開催予定の大阪万博において、その姿が披露されることになりそうです。

 このように、これまでの常識では計り得ないこと、予想だにできなかったことが現実に起ころうとしているのが今の世の中です。こうした動きは、物づくりに携わる人々の壮大な夢の具現化、夢へのチャレンジに他なりません。本校の卒業生の中にも、著名な方では楽天の三木谷氏など、夢を具現化し社会に貢献されている方が多数おられます。皆さんが、そんな先輩方の後に続いてくれること、夢にチャレンジしそれを実現してくれることを強く願っています。

 実は、皆さんもこれまで様々なことにチャレンジしてきたと思います。人が生きていくということは、日々の小さなチャレンジの積み重ねであると言っても過言ではありません。しかし、ややもすると、新しいことにチャレンジしようとする時、自信がない、失敗したらどうしよう、自分には不向きなのではないかなどと躊躇し、挙げ句の果てにチャレンジしない理由をあれこれ考えて諦めてしまったり、先延ばししてしまったりすることも多いのではないでしょうか。そして、「あの時、やっておけばよかった」と後悔することはよくあることです。

 先日、ある大手企業の方が、「現状維持のままでは何も変わらない。現状維持は後退である。人は変化しないとゼロのまま、むしろマイナスかもしれない」とおっしゃっていました。そして、「変えることですぐに100の成果を望むな。1でもいい、10でもいい、チャレンジすることは次につながる。だから、変化は常に必要だ」とも。

 さて、皆さんも何か一つだけでも変えてみませんか。例えば、「朝ギリギリに登校している習慣を8時に変える」「一日のスマホの時間を1時間減らす」「小テストはすべて合格する」「(3年生なら)平日4時間以上は勉強する」など、できそうなことから始めてください。チャレンジとは、失敗を恐れず自分から進んで挑むこと、経験を通して自分を進化させていくことです。

 自分の課題に気づき、改善する、そしてチャンスをものにしてくれることを期待しています。

 最後に、新型コロナウイルス感染防止対策はしっかり行えていますか。特に、昼食時の会話、部活動時のマスクなしでの会話、これは絶対にしないでください。見かけたら互いに注意し合える、そんなクラスメイト、チームメイトであってください。また、下校時の飲食は自粛の通知が県教育委員会からも来ています。寄り道をせず、まっすぐ帰宅してください。

1学期始業式式辞

皆さんおはようございます。令和4年度が始まりました。ここにいる一人ひとりが、気持ちも新たに今日を迎えていることと思います。大切なことは、その気持ちを行動に移すこと、そしてそれを持続させることです。今年度こそ、そんな1年にしてください。

ところで、皆さんは「成功哲学」という言葉があるのを知っていますか。その提唱者がナポレオン・ヒルという人物です。彼は、20年間で約500人もの世界的な成功者を分析して「成功の法則」を見出しました。それは15の法則からなりますが、そのうち皆さんに伝えたい8つを紹介します。

1 目標を明確に自覚すること

なりたい自分を明確化することで今すべきことが見えてきます。

2 不屈の精神力

逆境の中でも決して諦めず、常に目標に向かって努力し続けることです。

3 生涯学習

世の中は変化します。絶えずインプットを行い、常に新しい目線を手に入れることです。

4 時間を有効に使うこと

優先順位を考えて一番大事なことから時間を使います。

5 創造力を駆使すること

どうすれば目標に効率よくたどりつけるかを常に創造的に考え続けることです。

6 自分がしてほしいことを相手にすること

キリスト、ブッダ、ムハンマド、孔子など多くの人に共通しています。

7 プラスアルファの思考

求められたこと、しなければならないこと以上の仕事をすることです。

8 感謝すること

逆境を成長できるチャンスだと考え感謝することでプラスに転化できます。

これらからも分かるように、ナポレオン・ヒルは「人生を決定するものは才能ではない。また、環境や条件でもない。その人の情熱と信念だ」と結論づけています。

皆さんは、日頃、学習や部活動に一生懸命取り組んでいますが、その原動力は何でしょうか。目標に向かって突き進んでいくには、自分の強い気持ちと、それを下支えしてくれるものが必要です。それがナポレオン・ヒルの言う情熱や信念に他なりません。

「やってやるぞ」「志望校に合格してやるぞ」「優勝してやるぞ」、こうした思いが強ければ強いほど精神的な土台は確固たるものになり、信念にブレは無くなります。「何のための行動か」を自覚し、「自分は必ずそれをやり通す」という強固な意思を常に持って行動に移し、それを持続させることが、これまでとは違う展開を生み出し、成功へと近づいていくのだと思います。

新年度を迎えるに当たり、皆さん一人ひとりが情熱と信念を持って先の8つのことを実践し、成功への基盤を作る、そんな実りある1年にしてくれることを期待しています。

最後に、新型コロナウイルス感染が依然として終息せず、第7波さえ危惧されています。不要不急の外出、3密の場所への出入りは避け、やむなく外出した場合も、手洗い・消毒とマスクの着用を徹底してください。また、校内でのマスク無しの会話はしないよう、皆さん一人一人が新型コロナウイルス感染予防に努めてください。

第77回 入学式式辞

 いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな

 時間と空間を超えて美しく芳しい香りを漂わせ続ける桜。ここ自彊が丘の八重桜も、九十九年前の「いにしへ」の創立期と変わらぬ美しさとその香りで、今日の皆さんの入学を祝福しているように感じます。

  ただいま入学を許可いたしました三二一名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員一同心からお祝い申し上げます。今日のその晴れやかな姿、緊張した表情にも喜びが満ちあふれているようです。

皆さんは、コロナ禍という多くの不安と制約を余儀なくされる中にあって、それらを乗り越えて、見事合格の栄冠を勝ち取りました。

本校では「文武両道」を校是とし、「社会的で創造力豊かな自主的個人」を育成するため、グローバル化時代に求められる思考力や判断力の伸長、主体性や協働性の向上を図る一方で、「ひょうごスーパーハイスクール」の研究指定を受け、地域はもとより、大学や企業等との連携を密にし、探究活動等の教育活動の充実に努めております。このすばらしい環境下で、若者らしく、何事にも果敢に挑戦し、将来の夢や進路希望を実現するべく、高校生活の第一歩を踏み出してください。

さて、本校は、大正十二年に明石市立明石中学校として開校し、昭和三年に兵庫県立明石中学校、昭和二十三年の学制改革により兵庫県立明石高等学校となり、来年度創立百周を迎える県内有数の伝統校であります。その間、県下唯一の美術科の設置、西オーストラリア州モーリー高校との国際交流、理数探究類型の設置等、学校改革を進めながら、地域社会や国際社会で活躍する有為な人材を多数輩出してきました。

 校庭に凜として伸びるクスノキに見守られ、閑静な荷山に位置する本校からは瀬戸内の海と淡路島、そしてそこに架かる雄大な世界二位の長さを誇る吊り橋、明石海峡大橋を臨むことができます。皆さんはこの恵まれた教育環境のもとで、建学の精神である「自彊不息」を基軸にして人生でも最も意義深い、青春の三カ年を送ることになります。この大切で貴重な時期を本校で学ぶ皆さんに、三つのことを希望します。

一つ目は「高い志を持ち続けてほしい」ということです。自分の志を立て、それに向けて具体的な目標を持つことは、自己を律し、生活を充実させる基盤となります。皆さんは高校生活三カ年の延長線上に、将来どのような人生を生きるかということを具体的に考えているでしょうか。どのような職業に就き、社会にいかに貢献していくかを考えておくことによって進路も明確なものが見えてきます。本校での充実した学びを通して自己認識を深め、自己実現をめざして、高い志を持ち続けながら努力を重ねてください。

 二つ目は「確かな自分を作り上げてほしい」ということです。世界はグローバル化時代にあります。あらゆる知識や技術は日進月歩以上であり、おびただしい情報が世界中に氾濫しています。皆さんが心豊かに生活するためには情報に流されたり惑わされたりせず、主体的に判断し行動することが大切です。国際的な広い視野に立って、弾力的で柔軟なものの見方、考え方を持つ、そして善悪・真偽を正しく判断できる確かな自分を作り上げ、磨き上げてください。

 三つ目は「良き友を持ってほしい」ということです。良き友とは、ともに喜び、ともに悲しみ、ともに高め合うことのできる真の友人です。この良き友は、安易に調子を合わせたり、誘われるままに行動したりするような関係の中には育ちません。時には「ノー」と言う友こそ心から信頼できるのです。他を尊重し合い、素直な気持ちをぶつけ合い、目標に向かって切磋琢磨し合う中に友情は育ち、本校校訓の一つ「協同」が生まれます。他を思いやる心を忘れず、自分にないものを学び、お互いを向上させ、信頼関係を深めながら、生涯にわたって心の支えとなる友を得てください。

  最後になりましたが、保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日はお子様のご入学本当におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。高校の三年間は、人生の方向を決定する大事な時期であり、その一方で悩みや苦しみが大きい時期でもあります。私達教職員は、ご子様が、自らの生きる道を、自らの力で切り拓いていけるよう、全力で指導に当たって参りますが、お子様の健全な成長を願い、豊かな個性を育てていくためには、学校と家庭がそれぞれの役割を果たしながらも、相互に補完し合い、連携を密にしていくことが重要であると存じます。どうか、本校に対するご理解ご協力、そしてご信頼をよろしくお願い申し上げます。

 新入生の皆さん、本校の校訓「自治」「協同」「創造」のもと、知・徳・体の調和のとれた人格の陶冶を図り、心豊かに、高い志を抱き、未来を主体的に切り拓いて行く人間として成長していくことを心から期待し、式辞とします。

3学期終業式 式辞

 

 令和3年度が終わります。この1年を振り返ってどうでしたか。納得のいく1年だったでしょうか。

 今年度もコロナ禍に見舞われ、特に学校行事や部活動において多くの制約を強いられ、十分な活動ができなかったことは非常に残念で申し訳なく思いますが、本校に関しては何とか今日こうして3学期の終業式を無事に迎えることができました。それというのも、皆さん一人一人が新型コロナウイルス感染予防に努めてくれたお陰だと思っています。ありがとうございました。

 さて、誰もが知る徳川家康は、「不自由を常と思えば不足なし。堪忍(かんにん)は無事長久の基、怒りは敵と思え」という言葉を人生訓としていました。これは、不自由なことがあっても、実はそれが当たり前のことだと考えれば不満を感じることはない、様々な出来事に我慢できなくなったり、我がままになったり、苛立って怒ってしまったりするのは、正しい心の持ち方ではない、自分をコントロールできなくなるのは「心の敵」だと思え、という意味です。このことは、私達が日頃生活を送る中で心掛けたいこと、コロナ禍を生きる上で認識を新たにしなければならないことのように思います。

 現代は科学技術の発展もあり、私達の生活の質は大きく向上し、自由で便利で豊かなものになっています。この状態がノーマルとなって、それに慣れすぎてしまったり、合理的なことばかりを追求しすぎてしまったりした結果、イレギュラーな状態を不自由で窮屈に感じたり、本来そこにある大切なプロセスを踏まえることに対して「面倒だ」「無駄だ」などと考えてしまいがちになっていないでしょうか。それは、短絡的な、打算的な思考に堕してしまうことにも繋がっているように感じます。

 学習について言えば、「苦手だから」「興味がないから」「時間がないから」「受験に関係がないから」などと自分を納得させる理由をいくつも考えて楽な方に逃げていませんか。自分に問いかけてみてください。

 話は変わりますが、2022年度入試において出題された英語長文のテーマを調べました。国公立大学進学のために必須の大学入学共通テストでは、デザートの作り方、テレビ発明の特許権争い、プラスチックのリサイクルなどが出題されました。

 皆さんが目標とする

 神戸大学は、光害が夜行性生物に与える影響・樹木の成長など

 岡山大学は、遺棄された漁網が環境に及ぼす影響・読書の効果

 兵庫県立大学は、デジタル技術が生活に与える影響・自動翻訳機能の開発と将来の展望

 同志社大学は、食料の廃棄・DNAの解読・南極グリーランドの氷の溶解など

 立命館大学は、ルネサンス期の女性画家・人の心理など

 関西学院大学は、科学観察・コーヒーの普及など

 関西大学は、奴隷の歴史・創造力を生み出す条件など

 こうして見ると、理科、地歴・公民、保健、家庭、情報など幅広く出題されていることがわかります。国語の評論のテーマも同様です。基礎知識、予備知識がないと、英単語、英文法、英語構文がわかっても、内容を理解することはできません。英単語、英文法、英語構文が「わかる」ということと、内容が「わかる」ということは別の次元の話です。

 このことからも、学習に楽はない、学習に無駄はないということを強く認識してほしいと思います。「面倒だ」「無駄だ」と思われることの方がはるかに重要であることの方が多いのです。

 今日で令和3年度が終わりますが、この1年間の自分の姿勢を顧みてください。1年前、2年前の合格者発表のあの瞬間を思い起こし、楽な方に逃げず、「面倒だ」「無駄だ」と思わず、初心に返って学び続けてください。

 令和4年度の皆さんの飛躍と成長を期待しています。

 最後に、明日から春休みです。不要不急の外出、3密の場所への出入りは避け、やむなく外出した場合も、手洗い・消毒とマスクの着用を徹底し、皆さん一人一人が新型コロナウイルス感染予防に努めてください。

卒業式 式辞

 「石ばしる 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも」

 これは万葉の歌人である志貴皇子が、岩の上を流れ落ちる滝のほとりで、芽を出したばかりの蕨を見つけて春の訪れを感じたその喜びと感動を詠んだものです。自然の営みは実に確かで、ここ自彊が丘においても桜のつぼみが日増しに膨らみを見せ、窓から差し込む日差しも力強さを次第に増して、春がすぐそこまで来ていることを感じさせます。

 本日は、PTA会長様、保護者の皆様のご臨席を賜り、このように厳粛に本校第七十四回卒業証書授与式を挙行できますことに心から感謝いたしますとともに厚くお礼申し上げます。

 七十四回生の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。ただ今卒業証書を授与いたしました三0九名の皆さんに、本校教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。

  「明けゆく空」、この言葉は校歌の一節でもあり、七十四回生の学年通信のタイトルでもあります。そこには、本校での三年間の学びを通じて、皆さん一人一人が自立して生きるための確たる基盤を築き上げてほしい、文武にわたり相互に刺激し合い高め合いながら確かな成長の歩みを進めてほしい、そしてそれぞれに志望する進路実現を果たし自らの力で未来を切り拓いてほしいという、米田学年主任、久保田学年副主任はじめ、学年団の先生方の強く熱い思いが込められています。この三年間、皆さんは濃密で充実した時間を過ごし、その期待に見事応えてくれました。その妥協を許さず粘り強く取り組む姿、その溌剌として全力で躍動する姿は、今も私の目から離れません。

  さて、コロナ禍に見舞われたこの二年間でしたが、新たな価値観や生活様式が生まれ、それが潮流となって社会も大きな転換期を迎えています。人々を時間や空間、身体的制約から解放するデジタル化の加速、サプライチェーンの国内回帰と分散化、密から疎への地殻変動と地方回帰など、枚挙に暇がありません。

 こうしたニューノーマルなポストコロナ社会を生きる皆さんには、自分の拠って立つ基軸を見失うことなく、地に足を据えて生き抜いてほしいと思います。その意味において、今後特に大切にしてほしい三つの基軸を皆さんに伝えて餞別にしたいと思います。

 一点目は、挑戦する勇気を持ち続けてほしいということです。

 「人間にとって成功とは何だろう。結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑戦したかではないだろうか」と言ったのは、芸術家の岡本太郎氏です。人の一生は航海やマラソンに例えられるように決して平坦なものではありません。次々と苦悩に苛まれ、挫折や失敗が襲ってきます。限界は他人に突きつけられるものではなく、自分の心の中にあるものです。それらを乗り越えるには、挑戦し続けるしかありません。自分が諦めない限り限界はないのです。途中で諦めてしまうから、夢が潰えてしまうのです。いかなる状況に置かれようとも、挑戦する勇気を持ち続け、自らの道を自らの力で切り拓いていってください。

 二点目は、言語化力を高めてほしいということです。

 コロナ禍にあってデジタル革新と呼ばれる大変革が急進し、サイバー空間の急拡大は個人ばかりか国家や世界のあり方まで激変させています。イギリスの哲学者アンディ・クラークは「言語が登場して以来、我々はある意味サイボーグだった」、つまり身体と言語が複雑に融合したことにより文明や社会を生み出すことができたと言っていますが、身体と言語が乖離したコロナ禍でのリモートやオンラインによるコミュニケーションには限界があることが露呈しました。こうしたニューノーマルなコミュニケーション環境を生き抜くために、伝えるべきことを踏まえて論旨を構造的に整理し、文章に昇華する力、いわゆる言語化力の質と量を高めていってください。

 三点目は、感謝の気持ちを持ち続けてほしいということです。

  時に厳しく諭し、時に温かく見守ってくださった先生方、三年間ここ明高で同じ時空を共有し、悲しみは半分に、喜びは何倍にもしてくれたかけがえのない七十四回生の仲間、いつも大きな愛情で包み、陰から支え応援してくれた家族、PTA、同窓会、そして地域の方々。皆さんが今日、卒業の日を迎えることができたのは、もちろん、皆さんの弛まぬ努力によるのですが、その裏にはこうした多くの方々の励ましやご支援があったからこそです。「感謝は、過去を意味あるものとし、今日に平和をもたらし、明日のための展望を創る」、これはアメリカの作家、メロディ・ビーティの言葉ですが、感謝の気持ちを決して忘れることなく、心豊かに生きてください。

 保護者の皆様に、この場を借りまして一言申し上げます。この三年間、本校の教育方針や学校運営に、またコロナ禍にあっては感染防止対策にご理解とご協力を賜りましたことに、心より感謝とお礼を申し上げます。お子様は、大きく、立派に成長され、今日この学び舎から巣立っていかれます。この十八年間、言葉には尽くせぬほどのご苦労があったこと、また春から親元を離れていくことに一抹の不安と大きな寂しさを感じておられることと推察いたしますが、今日この日を迎えられ、心からお慶びとお祝いを申し上げます。今後とも引き続き、本校に対して変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 最後になりましたが、不思議な奇縁によってここ明高に集い、ともに育くんだ建学の精神「自彊不息」、校訓「自治・協同・創造」の気概、そして、校歌にある「集え・競え・誓え」の志気。これらを深く胸に刻んで、皆さん一人一人の活躍が母校の喜びや励みになることを、そして七十四回生全員の力になることを忘れず、命を大切に、自信と誇りをもって、悔いのないすばらしい人生を歩んでいかれることを祈念しています。

 「ほのぼのと あかしの浦の 朝霧に 島隠れゆく 舟をしぞ思ふ」

 卒業生の皆さんに限りない惜別の思いを残しつつ、その洋々たる前途を祝して、式辞といたします。

1月全校集会(放送で実施)講話

 

 3年生が自由登校となり、1・2年生だけの全校集会となりました。少し寂しい気持ちもしますが、2年生は最高学年になるという自覚、1年生は学校の中核になるという自覚を持ち、高校生として、また明高生として恥ずかしくない言動がとれているかどうか、今一度自己点検してほしいと思います。

 ところで、皆さんはこれまで、繰り返し「凡事徹底」という言葉を耳にしてきたことと思います。「凡事徹底」とは、字のごとく「平凡なことを徹底する」という意味です。成功する秘訣、それは奇をてらうことなく、当り前のことを当たり前に徹底してできるかどうかです。

 元プロ野球選手のイチロー氏は、毎日素振りを欠かさず積み重ね、日本を代表する大リーガーとして記録と記憶に名を残す名選手となりました。まさに「凡事徹底」の結果です。

 経営の神様と呼ばれた松下電器産業、現在のパナソニックの元社長・会長であった松下幸之助氏は、「店の経営がうまくいっているかどうか、三つのことを見れば分かる」と言ったそうです。その三つとは何だと思いますか。答えは、「挨拶」「整理整頓」「トイレ」です。会社経営の秘訣は、この3つの「凡事徹底」が大切だと言っています。

 イエローハット元社長の鍵山秀三郎氏は、「凡事徹底」を「平凡を非凡に努める」と言い換え、これを徹底できるかどうかが成功のカギになると語っています。売れない営業マンの共通点は、すべてが適当、すべてが中途半端、いつも言い訳や誤魔化しばかりなのだそうです。平凡なこと、簡単なことをとことん極める、その姿勢がすべてに繋がっていくと言いたいのだと思います。信頼できる人とはどんな人でしょうか。少なくとも、適当な人、中途半端な人、言い訳ばかりする人、誤魔化してばかりいる人を信頼することなどできないと思います。

 皆さんに聞きます。すべてが適当になっていませんか。すべてが中途半端になっていませんか。すぐに言い訳をしていませんか。いつも誤魔化したりしていませんか。ぜひ周囲から信頼される人であってほしいと願っています。

 ちなみに、イエローハットが「平凡を非凡に努める」こととして徹底しているのは、

 1 約束の時間より10分早く行動する

 2 大きな声で元気よく挨拶する

 3 率先して清掃する

 4 訪問先では相手が来るまで立って待つ

 5 相手に感謝を伝える

 6 話を聞くときはメモを取る 

 皆さんもぜひ今から実践してください。少なくとも社会人になったら、この6つは必須です。覚えておいてください。

 さて、皆さんは「凡事徹底」ができていますか。

 生活面では、挨拶、清掃。

 学習面では、予習・授業・復習という基本サイクル、基本事項の徹底理解、課題の提出。

 部活動では、基礎体力、基本の徹底。オフシーズンの今がチャンスです。

 この機会にぜひ一度、自己を省みてください。

 最後に、オミクロン株の感染拡大が続き、兵庫県でもまん延防止等重点措置が取られます。改めて感染防止の徹底をお願いします。オミクロン株の感染力が非常に強いため、保健所の判断が変わり、自分がマスクをしていても相手の感染者がマスクをしていなかったら濃厚接触者になってしまいます。マスク無しの会話は絶対にしないでください。また、一つの部で感染が広がるとすべての部の活動を一定期間休止しなければなりません。一人一人が自覚を持って行動してください。

3学期始業式式辞

皆さん、新年明けましておめでとうございます。2022年、寅年を迎えました。寅は、陽気を内に宿して草花が伸びようとする状態を表し、新型コロナウイルス感染症の問題など、様々な問題が大きな社会問題となっている中で、安定した繁栄・成長の礎を築く年になると言われています。ぜひ、そんな1年であってほしいと願っています。

ところで、新年を詠んだ夏目漱石の句に、「新しき 願もありて 今朝の春」という句があります。この「願をかける」という風習は古今東西、すべての人の営みであったようです。皆さんの中にも、この正月、願をかけた人が少なからずいるのではないでしょうか。少なくとも、ほぼ全員が新年を迎えて気持ちも新たに、「今年こそ」という決意、何らかの目標を持って今ここにいることと思います。

中国の道家の思想書である『列子』の中に、「呑舟(どんしゅう)の魚は枝流に游(およ)がず」という言葉があります。呑舟の魚とは、舟を一呑みしてしまうほどの大きな魚のことです。そんな大きな魚は支流では泳がない、つまり「大人物はつまらない者とは交わったりしない」「高遠な志を抱く者は小事には関わらない」という意味ですが、この言葉には「大きな目標を立てろ」という教えが込められています。「大成する人は初めから大きな目標を立て、大きな舞台で勝負する」というわけです。目標が大きければ大きいほど達成感も大きくなり、そのための努力によって自分が成長できる度合いも大きくなります。万が一失敗したとしても、得るものは異なるはずです。

この言葉を実践したような話があります。戦国武将の毛利元就が12歳の時、家来たちを引き連れて厳島神社に参拝した際、家来たちに何を祈願したか尋ねたところ、ある家来が「殿が中国地域の主になることを祈願しました」と答えると、元就は「中国地域の主とは愚かだ。日本を手に入れるように祈願すべきだ。日本を手に入れようと思ってはじめて、中国地域を手に入れることができるのだ」と語ったそうです。

私の教員としての経験から、このことは、受験や部活動にも当てはまります。目標とする大学のワンランク上の大学を目指して取り組むことが目標とする大学の合格に繋がり、目標とする結果のワンランク上の結果を目指して取り組むことが目標達成に繋がります。目標より一段高いレベルの取組によって目標とするレベルをクリアできるからです。

教員として、私が生徒たちに教えられたことは多々ありますが、そのうちの一つが、「絶対に目標を達成するぞ」という強い覚悟ができた時、目の色が変わり、生活が変わり、人が変わり、結果も変わるということです。明高生の中から、そんな人が一人でも多く出てくれることを期待しています。

ちなみに、エジソンがこんなことを言っています。「結局、日常をダラダラ過ごし、ズルズルと落ちていく人間の何と多いことか。直前になって準備不足に気づいて初めてそこで後悔する人間ばかり。残念ながら、それは負けたことにはならない。負けたという事実は勝負をした人間にのみ与えられるのだ。勝つための努力を放棄した者は勝負すらしていないのだから」

さて、3学期を迎えました。1・2年生は1年間の総仕上げとして3学期をしっかりと締めくくってくれること、3年生は全員が進路実現を果たし人生の新たな門出を晴れやかな気持ちで迎えてくれることを期待しています。

最後に、新型コロナウイルス感染の第6波が危惧されています。感染者が日増しに増加しています。今一度緊張感を持ち、3密の回避、マスクの着用、手洗い、うがい、消毒を徹底してください。過去に本校で感染者が出たケースはそのほとんどが家庭内で感染したものです。家庭内でも感染防止に努めてください。マスクをしていない人との会話・食事は絶対に避けてください。お願いします。