校長による記事

【校長の窓】第46回卒業証書授与式 式辞

厳しかった冬の寒さもようやく和らぎ、相高坂にも花の香りが漂い、春の到来を感じられる今日の佳き日に、多くのご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席を賜り、ここに令和六年度兵庫県立相生高等学校第四十六回卒業証書授与式を挙行できますことを心から感謝申し上げます。

ただ今、卒業証書を授与いたしました187名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。教職員一同、心よりお祝い申し上げます。

皆さんは、この三年間、日々の学習だけでなく部活動や学校行事、ボランティア活動など様々な活動に明るく元気に、そして真摯に取り組み、心身ともに逞しく、大きく成長してくれました。

相高祭や体育大会などの学校行事では、一致団結して練習に取り組み、そして本番では、全力で演技や競技をし、仲間を応援している姿は、本当に素晴らしく、心から感動しました。そんな皆さんの姿は相生高校の誇りだと思います。皆さんが相生高校で培ってきた仲間との絆は一生の宝物となるはずです。

皆さんはこれから、先を見通すことができない変化の激しい社会を生きていくことになります。

世界では、今もなお戦争や紛争が続いています。気候変動による自然災害も毎年のように頻繁に起こって人々の暮らしに大きな影響を及ぼしています。この冬の豪雪は、各地に大きな被害をもたらしています。

また、高度情報化社会の進展はめざましく、生成AIによって社会は大きく変わろうとしています。つい先日にも生成AIが作った偽の小説が有名作家の作品かのように電子書籍として販売されているというニュースが報道されていました。あふれる情報の中で、何が正しくて、何がフェイクなのかを見極めることさえ難しいような情報化社会で皆さんは、判断し決断していかなければなりません。

4月から、新しいステージで新たなチャレンジを始める皆さんに、二つのことをお願いしたいと思います。

一つ目は、「失敗を恐れず、目標や夢に向かってチャレンジし続ける人になってほしい」ということです。皆さんは「なりたい自分になることができる」のです。自分の力を信じて、可能性を広げるための努力を続けてください。

そのためには、好奇心を持って楽しむことが必要です。しかし、人に言われたから楽しくできるものではありません。だから自分が興味関心を持てるところから好奇心を育てていくのです。「自分の人生」について、関心がないという人はいないと思います。まずは、「なりたい自分」の具体的な姿をイメージするのです。健康や体力面、美容面でも、あるいは学習面でも、「なりたい自分」の姿を描き、そのためにどうすればよいか、調べたり考えたりして実践するのです。そうすれば課題や、疑問点が出てきて、さらに調べたり考えたりするという循環が生まれます。そうして、なりたい自分の姿はいっそう具体的になり、するべきことが鮮明に浮かび上がってくると思うのです。

こうした試行錯誤を繰り返すことが、やがては自分自身のあり方生き方そのものにつながり、さらには社会のあり方についても考えるということにまでつながっていくのではないかと思います。まずは、自分の関心があることについて、「なぜだろう」とか「どうしたらいいのだろう」というWhyやHowという疑問を自分自身に投げかけて考えてください。新しい知識を得たり、課題を解決するために考えたり、試行錯誤することの楽しさを感じてください。それはきっと自分の成長につながり、よいサイクルが生まれて続くようになるはずです。

二つ目は、「人との絆を大切にし、豊かな人間関係を築いてほしい」ということです。相生高校で育んできた仲間との友情、絆を大切にして下さい。そしてさらに豊かな人間関係を築いてほしいと思います。困っている人へ手を差し伸べることができる思いやりや心の余裕が持てる人になれるように自らを成長させる努力を忘れないで下さい。困ったときにはお互いが助け合えるような豊かな人間関係のネットワークを広げて下さい。

そして、笑顔と感謝の心、社会への貢献ということを忘れずにいてほしいと思います。私は、皆さんの明るい笑顔や笑い声にいつも元気と勇気をもらっていました。笑顔には、周りを明るく安心できる雰囲気に変える力があります。どうかその笑顔をいつまでも忘れないでください。

そして、自分の人生が多くの人に支えられていることに気づき、感謝するとともに、自分も社会を支える一員であることを自覚してください。未来の社会は、ほかの誰かではなく自分が創るのだという強い気概を持ってください。「なりたい自分」や「ありたい社会」のイメージをしっかりと描き、自己実現のために努力するとともに、より良い社会づくりに貢献できる人となって下さい。

昨年、メジャーリーグで前人未踏の50-50を達成して三度目のMVPを受賞した大谷翔平選手の言葉に「良いことも悪いことも良い経験になる」という言葉があります。人生には思い通りにいかないこともたくさんあると思いますが、大谷選手のように、ポジティブに考えて自分の未来を切り拓いてください。

保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様の健やかな成長を願って支えてこられた皆様には、さぞや苦労も多かったことと思います。今日の佳き日を迎え、立派に成長されたお子様の姿に感慨もひとしおのことと存じます。教職員一同、心よりお喜びを申し上げます。また、これまで本校にお寄せいただきましたご支援、ご協力に深く感謝を申し上げます。

結びに、卒業生の前途を祝すとともに、ご来賓の皆様方をはじめこの会場においでの全ての皆様方のご健勝とご多幸をお祈り申し上げ、式辞といたします。

【校長室の窓】 3学期始業式 式辞

読書のすすめ                       

校長  小田 昌史 

 皆さんは、どのくらい本を読んでいますか。2学期に実施した生活実態調査によると「一か月に何冊の本を読みますか」という問いに対して回答者の63%の人が「全く読まない」と答えていました。今の高校生の忙しさやスマートフォン等の普及などからある程度予測してはいましたが、これほどとは思っていませんでした。時代の変化と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、感性豊かな10代の貴重な時期に読書の楽しみを味わわずに過ごすのはとても残念なことだと思っています。

 私自身も高校時代にあまり本を読んでなかったことを後悔していますが、それでも高校生の時に何回も繰り返し読んだ本で今も心に残っている小説があります。それはジョルジュサンドというフランスの作家の「愛の妖精」という小説です。双子の兄弟と少女との恋の物語なのですが、それまでそういう小説を読んだことがなかった私は双子の兄弟に感情移入してドキドキしながら夢中で読んだことを覚えています。読書の大きな楽しみは、登場人物の生き方を通して様々な人の考え方や生き方を学ぶことができることではないかと思います。この作品が発表されたのは19世紀半ば頃です。二百年近く前にフランスの田舎を舞台に書かれた作品が日本人の私たちが読んでも共感できるということはすごいことだと改めて感じます。時代や国が違っていても人間の基本的な感情に大きな違いはないということなのだと思います。今はスマホやタブレットで書籍を読むこともでき、また世界中の最新情報を手に入れることもできますが、紙の本ならではの良さもあるのではないかと思っています。私が機器の操作に慣れていないだけかもしれませんが、振り返って再確認したい箇所をパラパラとページをめくって見直したり、お気に入りの本として何回も読み返したりするには紙の本のほうが扱いやすく、その分深い理解にもつながるのではないかと思います。

 1冊の本との出会いで人生が変わるということもあります。皆さんには、何回も読み返すような心に残る大切な本はありますか。実際に人生を変えるような本に出会うことは稀かもしれませんが、多くの読書を通して徐々に人生が変わっていくということはあるのではないかと思っています。それは読書をすることによって知識や教養、読解力がつくだけでなく、論理的な思考力や集中力、想像力や表現力、コミュニケーション能力などの向上も期待できるからです。私たちが、人とコミュニケーションをとるときの手段は、会話であったり、メールであったりと必ず言語を使います。頭の中で何かを考えるにしても言語を使って考えています。生きていく上で必要な力の多くはそのベースに言語力があるということです。その言語力をつけるためには、多くの洗練された文章や言葉に触れるしかありません。正しい言葉の使い方、美しい言い回しや表現を知らないことには自分で使うことはできません。こうした語彙力を増やすために読書は極めて有効です。今の皆さんは、なんでも吸収できる柔軟な感性を持っています。だからこそ今の時間を大切にしてほしいのです。今の時間が有効に使えているかを常に意識してください。時間がもったいないと思ったときには読書をしてみてはどうですか。そんなときに読む本を常に手元に用意しておいてみてはどうでしょうか。きっと人生が豊かになると思いますよ。

【校長の窓】2学期終業式 式辞

                 2学期終業式

                                  校長 小田 昌史 

皆さんおはようございます。2024年も残りわずかになりました。

この1年間は、皆さんにとってどんな1年間だったでしょうか?

私はいつも「皆さんには無限の可能性がある、なりたい自分になることができる」ということを言い続けてきました。皆さんは「なりたい自分」に近づけていますか?

最近テレビのCMにハローキティちゃんが出ているのを見た人も多いと思います。その中でのキティちゃんの言葉に「失敗は挑戦した証、宝物よ」という言葉があります。

このCMは、おそらくスカイダイビングに挑戦したキティちゃんが着地に失敗して木にひっかかった様子が描かれていますが、私はそういう非日常の経験だけが挑戦ではないと思っています。日常の生活の中にも大きな挑戦、本当の挑戦があるのではないかと思っています。そして、日常の生活の中で挑戦をするかしないかは意識の違いだと思っています。

例えば、「なりたい自分」というイメージをはっきりと持って、その実現のための取組みは大きな挑戦だと思います。英語の単語テストの勉強をするにしても、その夢の実現のためにこの大学でこれを学びたい、その大学へ行くために英語の力をもっと伸ばそう。そのために自分の中の英単語の数を増やそう。と考えて英単テストに取り組むのも本当の挑戦だと思います。ただペナルティを避けるために合格することだけをめざして取り組むのとでは、同じ時間を勉強にかけていたとしても、その積み重ねの結果には大きな違いが出てきます。英単テストに合格することだけをめざすなら前の日や当日集中して取り組むだけでも合格できるかもしれません。しかし、それだけでは、すぐに忘れてしまい力はつきません。大きな目的を達成するために、本当の学力をつけようと思っていれば、そういう勉強では力がつかないことに気がつき、何回も見直すなど勉強方法を工夫するようになります。そして、単語力がついてくれば、当然英文を読みとる正確さも速さも向上して、ますます勉強の効率がアップしていきます。

ただその日の英単テストの合格だけをめざすのか、大きな夢の実現をめざして取り組むのかという意識の違いが大きな結果の違いにつながります。大きな目的があれば、挑戦が失敗したとき、何が失敗の原因かを考え、どうすればうまくいくのかを考え、工夫することで成長につながります。だからこそ失敗が宝物になるのだと思います。

皆さんは本当の挑戦ができていますか?何度も言いますが、若い皆さんには無限の可能性があります。しかし、自分が無理だと思ったらその時点で可能性は0になります。夢の実現に向かって、自分の可能性を広げるために試行錯誤しながら挑戦を続けてください。

3年生の皆さんは、いよいよ共通テストが近づいてきました。あせらず、あわてず、生活のリズムをくずさず体調管理をしっかりとして、なすべきことの優先順位を決めて、着実な取組ができるように自分をコントロールしてください。

1月8日の始業式には、決意を新たに挑戦している皆さんに会えることを楽しみにしています。 以上で私の話を終わります。

 

【校長の窓】2学期始業式 式辞

皆さんおはようございます。

あっと言う間に夏休みも終わり、2学期が始まりました。

今年の夏もとても暑かったですが、みなさんは充実した夏休みを過ごせましたか?何か自分はこれを頑張ったと言えるものがあるでしょうか?

それが言える人は素晴らしいと思います。一生懸命打ち込めるものがあるということは本当に幸せなことだと思います。それを大事に大きく広く育ててほしいと思います。

一方、特に頑張ったと言えるようなことはなかったし、ただなんとなく過ごしてしまったという人もいるかもしれません。頑張れない自分は意志が弱くてダメだなあとか自信をなくしてる人はいませんか?

大丈夫です。皆さんは頑張っています。心配いりません。私は皆さんが夏休み中も、この猛暑の中、相高坂を上って登校して真面目に補習を受けている姿、部活動をしている姿を見ていつもすごいなと思っていました。

私は、自分で考えて決めたことをコツコツと積み上げていくことが自信をつける方法だとこれまで何回も言ってきました。

自分に自信が持てないという人は、確実にできるだろうということからまずは始めてみることです。すでに毎日行っていることを振り返ってみるという習慣をつけることから始めてもよいと思います。自分の毎日の行動を細かく分析してみると何かヒントが見つかるかもしれません。他人と較べて判断するのではなく、自分ができていることを認めて自分を褒めたり、自分にありがとうと言ってあげたりしましょう。 

そして、自分の変化に気がつくようになれば、自然ともう少しこうしたらどうなるだろうかとか、考えて試してみたくなったりするのではないでしょうか。自分が考えて行動を少し変えたことで何かが変わるということに気がつけば、あとはどんどんなりたい自分をめざして自分自身を変えてゆけばよいのです。

まずは、自分が好きなことや嫌いなこと、得意なことと苦手なこと、できていることとできていないことなどをきちんと理解することから始めてみましょう。

完璧な人間、万能な人間など一人もいません。みんな得意なこと苦手なことがあります。どんなに努力して準備していても、失敗したり判断を間違えてしまったりすることもあります。自信満々などという状態はあり得ないのが普通だと思います。

社会に出れば、今よりもっと何が正解か分からない問題に向き合い、判断して答えを出さないといけません。もちろん一人ではできません。一人でできることなんてたかがしれています。チームで協力して問題に立ち向かうことになります。そのための準備を今、高校でやっているわけです。

この夏休み、充実して過ごせなかったという人は、2学期はどうすればいいか考えて頑張ればいいのです。

2学期は学校行事もたくさんあります。3年生はいよいよ受験の正念場です。まだまだ猛暑が続くようですが、体調管理をしっかりとして、みんなで協力して感謝と笑顔のあふれる2学期にしていきましょう。

【校長の窓】1学期終業式 式辞

皆さんおはようございます。もう1学期の終業式となりました。

皆さん1学期のこれまでの生活を振り返ってみてください。

充実していましたか?

私は、皆さんの明るい挨拶や授業に真剣に取組んでいる姿、体育の授業や部活動の元気なかけ声、など、毎日皆さんが頑張っている姿から元気と勇気をもらっています。

うれしいこともたくさんありました。駅で倒れた他校の生徒を相高生が助けてくれたということでお礼の電話がかかってきたことがありました。

部活動では、この後表彰伝達式がありますが、多くの部活動が活躍して素晴らしい成績を残しています。陸上競技、剣道での近畿大会への出場もありました。 

相高祭では、皆さんの生き生きとした充実した笑顔はもちろんですが、私がもう一つうれしかったのは、有志の出し物で色々なジャンルで日頃から頑張ってきていることをみんなの前で披露してもらえたことです。また、先日の講演会で皆さんからたくさんの質問が出たこともとてもうれしく思いました。大勢の前で堂々と自分が頑張ってきたことを発表したり疑問に思ったことを質問したりできるということは素晴らしいことです。

相生高校は、生徒の皆さんも先生方も一生懸命で本当に良い学校だといつも思っています。それと同時に、それだからこそ、もっともっと良い学校になれる、そうしたいと思っています。おそらくその思いは皆さんも同じではないかと思います。

私は「皆さんはなりたい自分になれる」ということをずっと言ってきました。先日の講演会でも皆さんの可能性は無限大だという話があったと思います。

夢を夢のままで終わらせるのか、チャレンジするのか、どんな人生にしていくかを決定するのは常に自分しかありません。1日1日の積み重ねが人生になります。そしてその1日は、今この一瞬の積み重ねです。今何をするかを決めているのは自分だということをしっかりと意識することです。

一人で頑張ることはしんどいことですが、皆さんの周りには頑張っている素晴らしい仲間がいるということを忘れないでください。お互い切磋琢磨して高め合ってみんなで頑張ってほしいと思います。

夏休みは何かにチャレンジする絶好の機会です。夢に向かって何をするか。まだ夢が見つかっていないという人は、自分の可能性を広げるために何をするか。自分でしっかりと考えて計画を立て、行動に移してください。そして継続してください。自分で決めたことを継続すれば力になり自信になります。「継続は力なり」です。

それでは、この夏、暑さに負けず、健康で有意義な夏休みにしてください。