校長室

5月全校集会講話

 ゴールデンウイーク前後に、多くの部で東播大会が開催されました。優勝、準優勝、入賞を勝ち取った部や選手が例年以上に多く、報告を聞いて大変嬉しく思いました。この勢いで、県総体でも活躍してくれることを期待し、楽しみにしています。

 私事ですが、高野連の仕事に携わっていることから、県大会はもちろんのこと、近畿大会や甲子園大会の試合を直接球場で観戦する機会がよくあります。高校野球の世界で強豪校と言えば、皆さんもすぐに大阪桐蔭、智弁和歌山、東海大相模といった名前が思い浮かぶのではないでしょうか。私は、全国からトップレベルの選手を集めれば当然強くなるはずだという考えを持っていましたが、強豪校の試合を観戦するにつけそれは誤りであることに気づかされました。

 スポーツではよく、「リズム感がある」とか「テンポがいい」とか言われます。リズムは「動きの規則正しい繰り返し」、テンポは「リズムの速さ」です。

 スポーツのパフォーマンスにおける二大要素と言われているのが、筋力やスピードなどの「身体機能」と、ボールに合わせる、タイミングを合わせる、相手に合わせる「協調」です。この「協調」ですが、こちらが相手に合わせるのか、相手がこちらに合わせるのかがポイントです。勝負事では「自分の中に基準とする内的テンポを持って臨むこと」、つまり相手がこちらに合わせる状況を作ることが絶対条件であると言われています。

 大阪桐蔭は、グランド上での動きは非常に機敏で、攻守交代も全力です。例えば、相手のピッチャーがマウンドに行くまでに、すでに先頭打者がバッターボックス横で素振りを始めています。それを見てピッチャーが慌ててピッチングを始める。つまり、相手がこちらの内的テンポに合わせてリズムを崩すことになります。このリズムのよさ、テンポのよさが大阪桐蔭はじめ強豪校の強さであると私は認識するようになりました。どんな競技でもそうですが、それを身につけることで、どんな時にも自分のリズム、自分のテンポで試合ができます。リズムやテンポは脳の働きによって刻まれるため、脳にリズムやテンポを染みこませることが重要です。日常のスピーディーな動きが身体に染みついて、それが自然な状態になっているのだと思います。ぜひそんなチームづくりをしてください。ダラダラ練習していたのでは絶対に勝てません。余談ですが、強豪校はどこも相手が誰であろうとしっかり挨拶ができます。春の甲子園は選抜になりますが、その第1条件は挨拶を含めたマナーの良さです。

 ところで、ヒトの様々な機能は生体リズムにより制御されていると言われます。夜になると眠気が増すのもそのためです。スポーツの国際大会で、ジェットラグ(時差ぼけ)によりパフォーマンスが低下するのも生体リズムが崩れたことによるものです。

 皆さんは、生活習慣の確立・生活リズムの確立ということを口酸っぱく指導されてきたと思います。それは、一定の規則正しいリズムで生活することが、安定して力を発揮することに繋がるからです。それが証拠に、普段家庭で2時間しか勉強しない人がいきなり5時間勉強しようとしても容易ではありません。1月に大学入学共通テストが実施されました。思考力を問う問題が増加し、時間内に問題を解き終えられなかったという声が多く聞かれました。これに対応するには、日頃から脳にそうなりたい自分のリズムやテンポを染みこませることが必要です。例えば、学習時間を徐々に長くするとか、歩くスピードを速くするとか、食べるスピードを速くするとか、問題を解くスピードを速くするとか。

 今日の話を、自分のリズムやテンポがどうか、試合に向けて、学習に向けて、受験に向けて自分を見直す、自分をつくり変える契機としてほしいと思います。

 最後に、新型コロナウイルス感染がまた拡大の様相を呈しています。不要不急の外出と3密の回避、マスクの着用、手洗い、うがい、消毒を徹底してください。特に、部活動内での感染と濃厚接触の回避を徹底してください。また、下校時は飲食や寄り道をせず、まっすぐ帰宅してください。