校長室

3学期修了式講話

 皆さんおはようございます。令和4年度が終わります。この1年を振り返ってどうでしたか。納得のいく1年だったでしょうか。今年度もコロナ禍に見舞われたままの、何かと制約を強いられた中での1年ではありましたが、学習に、学校行事に、そして部活動に、多くの人が直向きに取り組んでくれたと思っています。そうした皆さんの頑張りを改めて心から称えたいと思います。

 さて、最近、心理学の立場から注目されている言葉に「グリット」という言葉があります。この「グリット」を提唱したのは、アメリカの心理学者で、ペンシルベニア大学のダックワース教授です。彼は、ニューヨークの公立中学校で数学教師をしていた際、成績が優秀な生徒に共通した特徴が頭の良さや生活環境ではないことに気づきました。そこで、大学に戻り研究を続けた結果、成功する人に共通する特徴は「グリット」にあると結論づけました。

 「グリット」とは、「Guts=困難に立ち向かう闘志」「Resilience=失敗しても諦めない粘り強さ」、「Initiative=目標を設定し取り組む自発性」、「Tenacity=最後までやり遂げる執念」の頭文字をとった造語で、簡潔に言うと「やり抜く力」のことです。

 「グリット」は後天的なものであり、トレーニングをすれば必ず身につくそうです。そのための方法として、「興味があることに打ち込む」「挑戦せざるを得ない環境を作る」「小さな成功体験を積み重ねる」「グリットがある人のいる環境に身を置く」ことが大切だそうです。

 学校生活の中で、例えばクラス役員や生徒会役員、部活動や学校行事おいて自分が本気で打ち込めるものを探してください。本業である学習に直結していなくても構いません。何かに本気で打ち込むことで「グリット」が身につき、本業である学習にもそれが活きてきます。

 どうせ無理だと最初から決めつけずに、「もしかしたらできるかんじゃないか」「どうやったらできるだろうか」と前向きに捉えるクセをつけることも大切です。何もしなければ、何も変わりません。先ずは、チャレンジすることです。

 人はどうしても周囲の環境に依存してしまいがちです。自分の意識や習慣を変えるのはなかなか容易なことではなく、ハードルも高いと思いますが、「グリッド」の高い人が側にいる環境に自ら飛び込み、そうせざるを得ない状況に追い込むことで一歩が踏み出せます。

 また、「グリット」の高い人は常に自分ならやれるという自信、信念を持っています。それを支えている要素の一つが過去の成功体験です。自分ができそうなところから始め、徐々にハードルを上げて自分のスキルより上の目標を設定し、それをクリアしていくという経験を積むことも大切です。

 私は縁あってここ明高で4年間校長として勤務しました。明高生一人一人がこの「グリッド」を最後まで貫けたら、様々な面でもっと伸びていたのではないかと思うことが多々あります。特に、進路面で諦めが早かった人、安きに流れてしまった人が少なからずいたように感じています。

 皆さんには無限の可能性があります。それを切り拓くには、先ずはできそうなことから、そうせざるを得ない状況を作り、一歩前に踏み出し、失敗しても、最後まで諦めず努力を継続してやり抜くこと、この経験を繰り返して習慣化していくことが肝要です。明高生全員が「やり抜く力」、「グリッド」をぜひ身につけてほしいと願っています。

 3月17日に第3学区複数志願選抜の合格者発表がありました。その1ヵ月前には理数探究類型特色選抜と美術科推薦入学の合格者発表がありました。親子で歓喜する姿、涙する姿を目の当たりにして、私も胸が熱くなりました。皆さんにもそんな瞬間があったはずです。

 明高に入学して、1年、あるいは2年が経とうとしていますが、入学した時の「よし、明高で頑張るぞ」という決意を今も持続し、やり抜いていますか。目標に向かって邁進し続けていますか。夢を追い求め続けていますか。自分自身に問いかけてみてください。

 1年前、2年前の合格者発表のあの瞬間を思い起こし、楽な方に逃げず、初心に返って学び続けてください。

 令和5年度の皆さんの飛躍と成長を期待しています。

 最後に、明日から春休みですが、皆さん一人一人が新型コロナウイルス感染予防に努めてください。