校長室

2学期始業式講話

 皆さんおはようございます。この夏休み、コロナ感染や熱中症等、大変心配していましたが、命に関わる大きな事案もなく、こうして全員が元気に登校できたことをともに喜びたいと思います。

 この夏休み、皆さんの頑張りや活躍を幾度となく耳にしました。本当に嬉しく思っています。まだ結果の出ていない人もいるかと思いますが、「ローマは一日にしてならず」と言います。諦めず、挫けず、頑張り抜いてください。

 ところで、皆さんは、兵庫県出身のお笑い芸人と言えば誰を思い浮かべますか。私は真っ先にダウンタウンの松ちゃんこと松本人志さんを思い浮かべます。

 彼は、尼崎市出身で日本のお笑い界を代表するカリスマ的芸人の一人です。誰も想像できない発想で笑いをとるセンスだけでなく、お笑いの新しいフォーマットをつくる企画力においても卓越した才能を発揮し続けています。

 実は、評論家の多くは、彼の笑いの発想には「悲しさがある」と評しています。彼は、「おもしろさの裏にはやっぱり悲しさがあって、悲しさの裏には、例えばお葬式でおかしくてしょうがないみたいなことがあって。だからおもしろいこと、おもしろいことって考えているんですけど、ちょっと視点を変えればすごく悲しくもなるし。だから笑いっておもしろいなぁって思います」と語っています。

 自身の幼少期の体験から形成された貧しさや悲しみを独特の言い回しで笑いに変えるセンス。視点を変えることで笑いを生みだす体験があったからこそ、お笑いの世界で頂点に登ることができたのだと思います。私達は日頃、困ったり、行き詰まったりすることがよくありますが、そんな時には「視点を変える」ということ、大事なことを示唆してくれています。

 彼はこんな発言もしています。

「人と比較して劣っているといっても、決して恥じることじゃない。けれど、去年の自分と今年の自分を比較して、もしも今年が劣っているとしたら、それこそ恥ずべきことだ」、この言葉をそのまま皆さんに贈ります。恥ずべき自分がいませんか。

 「100点は無理かもしれん。でもMAXなら出せるやろ」、これは彼の名言と言われる言葉です。深い言葉ですよね。パーフェクトな結果は初めから出せないかもしれないけれど、今の自分が持っている力を最大限に出すことはできるだろうというのです。これは、妥協を許すということではなくて、初めから完璧を求める必要はないけれど、常に本気で物事に向かっていけということだと思います。初めから完璧な人はいませんし、初めから完璧を求めてしまうとしんどくもなってしまいます。また、何かを成し遂げようとする時、いきなり大きな目標を立ててしまうと、そこまでの道のりが遠く長いために挫折してしまいます。だから、少し頑張ればできそうな小さな目標を立ててそれを達成していく。これを繰り返していくうちに、最初に掲げた大きな目標に近づいていくことができます。

 今日から2学期が始まりました。大きな目標、3年生は進路実現、2年生は進路目標の確立とその実現、1年生は将来の目標の確立と学力の向上、できそうな小さな目標を立ててそれを達成していく、それを積み重ねて大きな目標に近づいていく、そんな2学期にしてくれることを期待しています。

 最後に、繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染防止の徹底をお願いします。

1学期終業式 講話

 早いもので、1学期が終わります。皆さんは、納得のいく1学期を送れましたか。送れたという人は手を挙げてください。何に納得できていないのか、それはなぜなのか。しっかり自己分析し、すぐに改善に努めてください。改善なくして成長なし、です。

 さて、「グローバル化」「グローバル人材」という言葉はよく耳にするところです。「グローバル化」とは、人や商品、資本、情報などの様々な分野で、国や地域の垣根を超えた移動が活発化し、世界の結びつきが深まる現象を言います。現実に、労働力が安価な新興国で商品を製造することで、企業は増収、私達消費者は安価に商品を入手しています。海外の製品やサービスが国内に溢れ、街には多国籍の人々が往来しています。インターネットを介して瞬時に情報が世界中を駆け巡っています。世界中に拡大した感染症の問題もグローバル化が一因です。コロナ禍で人の移動がいまだに制限されていますが、新たな技術や手法の開発によって「グローバル化」が停滞することはないと言われています。

 こうした「グローバル化」時代を生きる「グローバル人材」に求められる力は何か。早稲田大学の白木三秀教授が、海外に派遣された日本企業の社員を対象に、コンピテンシー、つまり安定的に期待される成果を挙げている人に共通して見られる特性を調査したところ、共通して4つの力が備わっていることが判明しました。その4つとは何だと思いますか。

 私は、英語力がその1つだと考えましたが、英語力、特に話す力は備わっていることが大前提の話でした。その4つとは、

1 前向きな行動力

2 対人関係構築力

3 異文化適応力

4 仕事力

でした。そして、細かく分析したところ分かったことが、誰もが高校時代に好奇心を持って大小様々なことに主体的に挑戦し、成功と失敗を積み重ねる、そうした経験を数多くしていることでした。

  私が今、皆さんに伝えたいことは理解していただけたと思います。グローバル化時代を生きるグローバル人材となる皆さん、特に1・2年の皆さんには、好奇心を持って大小様々なことに主体的に挑戦し、自分を高めてほしい、自分を成長させてほしい、グローバル人材の基盤を作ってほしいと思います。ぜひそんな夏休みにしてください。もちろん、学習面では、特に復習を中心とした基礎基本の徹底的理解、その定着を図ることは言わずもがなです。また、特に2年生は志望する大学に足を運んで、「よしやるぞ」という不退転の決意を新たにしてください。

 3年生の皆さん、就職・公務員志望の人、しっかりと対策を立て妥協せず納得のいくまでやりきってください。進学志望の人、「夏を制する者は受験を制する」と言われます。この夏の頑張りを期待しています。しかし、必死に勉強しても、すぐに結果は出るとは限りません。早い人で3ヶ月後です。逆に考えると、この夏休みに頑張らないと受験には間に合わないことになります。必ずや志望校に合格するぞという不退転の強固な意志を持って、この夏休みを乗り切ってください。

 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症が再拡大し、感染者が激増しています。改めて感染防止の徹底をお願いします。特に部活動内での感染が拡大しないよう留意してください。

6月全校集会校長講話

 大学進学を目指す人の多くは「大学入学共通テスト」を受験します。私立大学の多くが取り入れ、国公立大学受験者は必須です。この「共通テスト」は、大学入試改革の目玉として、単に知識だけを問うのではなく、受験生の思考力や判断力を評価する出題内容となっています。来年度で3回目となります。

 今年度の試験では、多くの科目で平均点が過去最低となりました。そのため、昨年度の3年生も受験校を決定する際、悩んだ人が非常に多くいました。英語ではリスニングのウエイトが非常に高くなりました。英語の読解問題では図や資料など様々なテクストから概要や要点を把握したり情報を読み取ったりする問題、国語では本文に関連する別の文章が提示されて内容や表現の特徴について類似点や相違点を問う問題、数学では会話文を用いて数学的な問題解決の過程を問う問題、地歴では史料や図表を読み取る問題、理科では実験や考察問題が非常に多く出題されました。

 しかし、問題を解いてみると、実は基本事項が理解できていれば、ちゃんと正解にたどり着ける問題ばかりです。ポイントは、日頃の学習において、単に知識だけを覚え込むのではなく、それを使って考える、いわゆる「思考の訓練」をしっかり行えているかどうかです。

 「思考」とは、辞書には「すでにある情報から新しい情報を導き出す心の活動」とあります。イメージ的に言うと、「こうだからこう、こうだからこう、だから結論的にはこう」といった考え方の形式のことです。例えば、自明の真実からスタートして、結論を導き出す演繹的思考では、「昆虫は6本足、クモは8本足、だからクモは昆虫でない」という結論になります。また、前提に「全ての」とか「ある」といった量を表す表現が含まれるパターンの定言的思考では、「全てのAはB、全てのBはC、よって全てのAはC」という結論になります。

 こうした「思考の訓練」は、いつでもどこでもできるものだと私は思っています。部活動でも意識して臨めば、相当な訓練になるでしょう。また、こうした思考は、何も学習や受験だけではなく、自己理解はもちろん、他者の気持ちへの理解、想像力を働かせることなど、私達が生きる上での全ての活動において活かされるものだと思います。

 皆さんには、日頃からあらゆる場面で「思考すること」「思考する訓練」を実践し、それを継続してほしいと思います。そして、一方向だけから物事を見るのではなく、できるだけ多くの視点から物事を捉え観察し、思考を深めてほしいと思います。この習慣が大学受験も含め、様々な意味での自己実現に繋がっていくはずです。

 最後に、新型コロナウイルス感染については、まだまだ油断できません。感染防止の徹底をお願いします。感染防止は、新たな取組ではなく、これまでやってきた基本的なルールを正しく守るということに他なりません。皆さんの教育活動を通常に近い形で行うためです。協力をお願いします。

5月全校集会講話

 ゴールデンウイーク前後に、多くの部で東播大会が開催されました。優勝、準優勝、入賞を勝ち取った部や選手が例年以上に多く、報告を聞いて大変嬉しく思いました。この勢いで、県総体でも活躍してくれることを期待し、楽しみにしています。

 私事ですが、高野連の仕事に携わっていることから、県大会はもちろんのこと、近畿大会や甲子園大会の試合を直接球場で観戦する機会がよくあります。高校野球の世界で強豪校と言えば、皆さんもすぐに大阪桐蔭、智弁和歌山、東海大相模といった名前が思い浮かぶのではないでしょうか。私は、全国からトップレベルの選手を集めれば当然強くなるはずだという考えを持っていましたが、強豪校の試合を観戦するにつけそれは誤りであることに気づかされました。

 スポーツではよく、「リズム感がある」とか「テンポがいい」とか言われます。リズムは「動きの規則正しい繰り返し」、テンポは「リズムの速さ」です。

 スポーツのパフォーマンスにおける二大要素と言われているのが、筋力やスピードなどの「身体機能」と、ボールに合わせる、タイミングを合わせる、相手に合わせる「協調」です。この「協調」ですが、こちらが相手に合わせるのか、相手がこちらに合わせるのかがポイントです。勝負事では「自分の中に基準とする内的テンポを持って臨むこと」、つまり相手がこちらに合わせる状況を作ることが絶対条件であると言われています。

 大阪桐蔭は、グランド上での動きは非常に機敏で、攻守交代も全力です。例えば、相手のピッチャーがマウンドに行くまでに、すでに先頭打者がバッターボックス横で素振りを始めています。それを見てピッチャーが慌ててピッチングを始める。つまり、相手がこちらの内的テンポに合わせてリズムを崩すことになります。このリズムのよさ、テンポのよさが大阪桐蔭はじめ強豪校の強さであると私は認識するようになりました。どんな競技でもそうですが、それを身につけることで、どんな時にも自分のリズム、自分のテンポで試合ができます。リズムやテンポは脳の働きによって刻まれるため、脳にリズムやテンポを染みこませることが重要です。日常のスピーディーな動きが身体に染みついて、それが自然な状態になっているのだと思います。ぜひそんなチームづくりをしてください。ダラダラ練習していたのでは絶対に勝てません。余談ですが、強豪校はどこも相手が誰であろうとしっかり挨拶ができます。春の甲子園は選抜になりますが、その第1条件は挨拶を含めたマナーの良さです。

 ところで、ヒトの様々な機能は生体リズムにより制御されていると言われます。夜になると眠気が増すのもそのためです。スポーツの国際大会で、ジェットラグ(時差ぼけ)によりパフォーマンスが低下するのも生体リズムが崩れたことによるものです。

 皆さんは、生活習慣の確立・生活リズムの確立ということを口酸っぱく指導されてきたと思います。それは、一定の規則正しいリズムで生活することが、安定して力を発揮することに繋がるからです。それが証拠に、普段家庭で2時間しか勉強しない人がいきなり5時間勉強しようとしても容易ではありません。1月に大学入学共通テストが実施されました。思考力を問う問題が増加し、時間内に問題を解き終えられなかったという声が多く聞かれました。これに対応するには、日頃から脳にそうなりたい自分のリズムやテンポを染みこませることが必要です。例えば、学習時間を徐々に長くするとか、歩くスピードを速くするとか、食べるスピードを速くするとか、問題を解くスピードを速くするとか。

 今日の話を、自分のリズムやテンポがどうか、試合に向けて、学習に向けて、受験に向けて自分を見直す、自分をつくり変える契機としてほしいと思います。

 最後に、新型コロナウイルス感染がまた拡大の様相を呈しています。不要不急の外出と3密の回避、マスクの着用、手洗い、うがい、消毒を徹底してください。特に、部活動内での感染と濃厚接触の回避を徹底してください。また、下校時は飲食や寄り道をせず、まっすぐ帰宅してください。

4月全校集会講話

 新年度が始まって2週間が経ちました。1年生は高校生活にも徐々に慣れてきましたか。高校生・明高生としての自覚を持てるようになってきましたか。2・3年生には始業式で、「成功哲学」の話をしました。情熱と信念を持って8つのことを実践できていますか。成功への階段を一歩一歩上れていますか。

 昨日は、全学年とも仲間づくり、仲間との交流に主眼を置いた遠足でした。目的は達成できましたか。楽しい時間を過ごせましたか。今日から一週間、ゴールデンウイークまでギアをさらに一段上げて突っ走ってください。

 ところで、大手電機メーカーのソニーが電気自動車、いわゆるEV車製造へ参画するために、今春新たな会社を立ち上げました。個人的には、ソニーが自動車メーカーになるのかと大きな驚きを持ってこのニュースを耳にしました。今や、危険を察知して自動的に制御するシステムが搭載された自動車は当たり前になりつつあります。また、数年前から「空飛ぶ車」の構想が取り沙汰され、2025年に開催予定の大阪万博において、その姿が披露されることになりそうです。

 このように、これまでの常識では計り得ないこと、予想だにできなかったことが現実に起ころうとしているのが今の世の中です。こうした動きは、物づくりに携わる人々の壮大な夢の具現化、夢へのチャレンジに他なりません。本校の卒業生の中にも、著名な方では楽天の三木谷氏など、夢を具現化し社会に貢献されている方が多数おられます。皆さんが、そんな先輩方の後に続いてくれること、夢にチャレンジしそれを実現してくれることを強く願っています。

 実は、皆さんもこれまで様々なことにチャレンジしてきたと思います。人が生きていくということは、日々の小さなチャレンジの積み重ねであると言っても過言ではありません。しかし、ややもすると、新しいことにチャレンジしようとする時、自信がない、失敗したらどうしよう、自分には不向きなのではないかなどと躊躇し、挙げ句の果てにチャレンジしない理由をあれこれ考えて諦めてしまったり、先延ばししてしまったりすることも多いのではないでしょうか。そして、「あの時、やっておけばよかった」と後悔することはよくあることです。

 先日、ある大手企業の方が、「現状維持のままでは何も変わらない。現状維持は後退である。人は変化しないとゼロのまま、むしろマイナスかもしれない」とおっしゃっていました。そして、「変えることですぐに100の成果を望むな。1でもいい、10でもいい、チャレンジすることは次につながる。だから、変化は常に必要だ」とも。

 さて、皆さんも何か一つだけでも変えてみませんか。例えば、「朝ギリギリに登校している習慣を8時に変える」「一日のスマホの時間を1時間減らす」「小テストはすべて合格する」「(3年生なら)平日4時間以上は勉強する」など、できそうなことから始めてください。チャレンジとは、失敗を恐れず自分から進んで挑むこと、経験を通して自分を進化させていくことです。

 自分の課題に気づき、改善する、そしてチャンスをものにしてくれることを期待しています。

 最後に、新型コロナウイルス感染防止対策はしっかり行えていますか。特に、昼食時の会話、部活動時のマスクなしでの会話、これは絶対にしないでください。見かけたら互いに注意し合える、そんなクラスメイト、チームメイトであってください。また、下校時の飲食は自粛の通知が県教育委員会からも来ています。寄り道をせず、まっすぐ帰宅してください。