日誌

万葉の庭(10)かへるで

前回の槻(つき)=欅(けやき)とともに、今、鮮やかに色づいているのが、「かへるで」です。葉の形が蛙(カエル)の手に似ていることからこう名付けられ、後に「る」が省略されて「かえで(楓)」となって今日に至ります。



万葉集には2首登場します。

わが屋戸に 黄変(もみ)つ 鶏冠木(かへるで) 見るごとに 妹(いも)を懸けつつ 恋ひぬ日はなし
              大伴田村大嬢(おおともの たむらの おおとめ)

【歌意】私の家の黄葉するカエデを見るたびに、あなたのことを思い出し、恋しくなります。

 恋の歌のように思えますが、ここでの「妹」は「愛しい男性」の意味ではなく、作者の異母妹である坂上大嬢(さかのうえ おおとめ)を指します。妹思いの作者は、この歌を含め、万葉集中で9首を贈っています。

今日(11/15)は、1年生が朝早く奈良へ校外学習に出発しました。紅葉の進んだ奈良の都を心ゆくまで満喫してほしいと思います。 頑張れ! ひがはり生