総長・校長室より
附属高校の公開授業を通して「主体的・対話的で深い学び」の工夫した魅力ある教育活動を目指す(R3.9.24)
9月24日(金)、1校時は初任1年目の小林健太郎先生が「保健」、2校時は初任2年目の馬竹京子先生が「英語理解」の公開授業を、それぞれ高校2年生の生徒を対象に実施した。本校の中学校及び高校の、のべ約30人の教員が参加した。
1限の「保健」の授業は、「高齢者のための社会的な取り組み」を主題として、加齢と老化の違いから導入し、「高齢者の健康問題とその支援」「すべての人が健康・安全に暮らすための社会」について、生徒に考えさせた。ICTを効果的に使用して、写真やグラフを示すなど、教科書だけではわからない工夫があった。日本の高齢化率の変化や、平均寿命と健康寿命の差からわかることなど、生徒はペアワークなどで意見交換しながら熱心に答えていた。バリアフリーとユニバーサルデザインの意味を理解すると共に、パソコンのキーボードのFとJ、5に凹凸があったり、駅の自動改札口が広く車椅子が通れる幅や矢印でわかりやすくなっているなど、身の回りにあるユニバーサルデザインについて理解を深めた。超高齢化社会となっている現在、生徒達に理解を深めて欲しいと願うと共に、さらにICTの効果的な授業の工夫を目指して、教員全員で研鑽に励んでいきたい。
2限の「英語理解」の授業は、英語の単語の発音や文書をICTを効果的に取り入れて、反復学習や、生徒が2人ペアで立って読み合ったり意見交換するなど、教員の自信を持って指示する指導に、生徒はどんどん引き込まれて声を出して意欲的に取り組んだ。先生の熱意のこもった授業展開に主体的・対話的で深い学びの授業の工夫が感じられた。今回の英文の内容は、「キーボードで文字を打つのと手でノートをとるのとでは、手書きは自分で書いた方が記憶する能力を高める」ことや「手書きやキーボードの使用は、何を書くか、なぜ書くか、誰に書くかに応じて、両方の利点をうまく生かす」ことを扱っており、ICTの効果的な活用を生徒に伝えるためにも、意義ある内容である。英語が苦手な生徒も、さらに意欲的に取り組んで、英語の力を高めて欲しいと願う。
2学期制の本校は、来週で前期が終了する。本校の、中学校も高校も、コロナ禍の中でも教員一人一人が生徒のことを精一杯考えて工夫した教育活動を展開していることを、校長として本当に嬉しく感じている。前期の反省をもとに、10月からの後期の半年は、県立大学附属としてのさらなる魅力・特色の向上の工夫を図りたい。現在、様々な学校改革を実施している途中段階ではあるが、生徒のことを一番に考えて、教職員が生徒に温かく寄り添い、よりよい学校を目指したい。
校長 小倉 裕史
附属高校で「ICTを活用した授業づくり」をテーマに公開授業を実施(R3.9.21)
9月21日(火)、本校に今年着任した地歴・公民科の初任の鳥居柚希(とりいゆずき)先生が、高校1年生の現代社会で「ICTを活用した授業づくり」をテーマに公開授業を行い、10人余りの教員が参加した。
今日の授業の主題は「法の下の平等」で、最近のニュースで問題として取り上げられた内容を元に、生徒に関心を持たせ、日本国憲法の基本的な人権をテーマに、新聞記事や写真、質問項目などを生徒に見せて、ICTを効果的に活用した授業を展開した。
「人種差別」「障がい者差別」「男女差別」について、プロジェクターに新聞記事や写真を写して、生徒にペアで意見交換をさせたり、発表させたりしながら、主体的・対話的で深い学びの授業を行って理解を深めていた。差別に関する質問の内容に、頭を抱えて考える生徒の姿もあった。人種差別の「ヘイトスピーチ解消法」や男女差別の女性専用車両の「アファーマティブアクション」などの難しい言葉も、真剣に聞いていた。
本校は、昨年度から黒板をホワイトボードに入れ替え、全教室にプロジェクターを設置して、全教科において効果的なICT教育に取り組んでいる。昨年度の臨時休業時も、県下でいち早く県立大学からの支援の下で、Web授業を実施した。
来年度入学生からは1人1台端末を購入し、授業で効果的な活用を図る必要があり、一斉学習だけでなく、個別学習や協働学習にICTを活用した場面が増えることになる。
本校は、新学習指導要領を着実に実施するために、ICT環境を最大限に活用し、生徒たちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と、生徒たちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」の一体的な充実を図っていく。
24日(金)には、保健体育科の小林健太郎先生と英語科の馬竹京子先生が公開授業を実施することになっている。
コロナ禍の現状では、生徒の活発な話し合い等が難しい状況ではあるが、生徒の自主性を尊重し、「自ら考え、自ら学び、個性を伸ばす」本校の目標にしたがって、さらにICTの効果的な活用を進めたい。
校長 小倉 裕史
兵庫県立大学への特別推薦制度の選考試験(基礎学力調査)実施(R3.9.11)
9月11日(土)、兵庫県立大学への特別推薦制度を利用して進学を希望する生徒に、校内選考の基礎学力調査を実施した。今年度は例年よりも希望者が多く、49名の高校3年生(26回生)が熱心に取り組んだ。
本校の特別推薦制度は、兵庫県立大学6学部(国際商経学部、社会情報科学部、工学部、理学部、環境人間学部、看護学部)への進学を希望する生徒に、他の高校からよりも特別に進学しやすい制度である。
校内の成績等とともに、各学部の指定する教科(数学、理科、英語、国語、小論文から3教科)において高校での基礎学力の定着度を図る今回の試験を実施して、校内選考ののち県立大学と協議することになっている。
本校は、兵庫県立大学の附属であり、中学校時代から県立大学への進学を考えていた生徒や、高校で実施されている県立大学との高大連携授業での経験、大学見学やオープンキャンパスなどに参加して、県立大学の魅力を感じて進学を希望した生徒が多い。
受験する生徒は、今日の日の為に頑張って準備してきた。9月2日には、八重真治総長から激励の言葉を聞き、意欲を持って今日の日を迎えた。
現在、コロナ禍の中で不安もあって受験勉強が大変な状況であるが、それぞれの目指す進路に向けて、先陣を切って今日の基礎学力調査を受けた生徒たち。それぞれの希望を、可能な限り叶えてやりたい気持ちでいっぱいである。
昨年度は、30名余りの生徒が兵庫県立大学に進学したが、今年度は例年よりも希望者が多い。
昨年度の卒業生(25回生)は、医学部医学科3名をはじめ、現役での国公立大学合格者が50.3%と半数を超えた。頑張った先輩たちに負けないように、高校3年生(26回生)全員が、将来の進路目標を最後まで諦めることなく挑戦し続けて欲しいと強く願っている。
校長 小倉 裕史
自分の可能性を信じてー東京パラリンピックを終えてー(中学校全校集会挨拶より)(R3.9.6)
夏休みが終わって1週間が経ちましたが、生徒の皆さんは気持ちを新たに頑張っているでしょうか。
今日は、昨日が閉会式で8月24日から13日の日程で行われました東京パラリンピックのお話をします。
日本は、今回の大会で金メダル13個を含む51個のメダルを獲得しました。
日本パラリンピック委員会の委員長の河合純一さん(バルセロナ(1992年)からロンドン(2012年)までパラリンピック6大会連続出場、金メダル5個を含む21個のメダルを受賞)は、「よくオリンピックは平和の祭典といわれるが、パラリンピックは、人間の可能性の祭典。」と言っています。
オリンピックは33競技339種目でしたが、パラリンピックは22競技540種目が実施され、パラリンピックの方オリンピックよりも種目が圧倒的に多くなっています。これは、障害の種類や程度によってクラス分けされているからです。
競技は、水泳、陸上、アーチェリー、バドミントン、車椅子ラグビー、車椅子バスケットボール、車椅子テニス等に加えて、パラリンピック特有の競技として、「目隠しを付けて、鈴の入ったボールを互いに投げ合って得点を競う」ゴールボールや、「ジャックボールと呼ばれる白い目標の球を投げた後に、それぞれ赤と青の6球を投げ合って、自分の球をよりジャックに近づけた方が勝ちとなる」ボッチャなどがあります。ボッチャは、脳性まひなどの比較的重い運動機能障がいがある人のためにヨーロッパで生まれたスポーツです。
今回のパラリンピックのボッチャ個人で初の金メダルを取った29歳の杉村 英孝(すぎむら ひでたか)さんは、生まれた時から脳性まひの障害で、ボッチャは19 歳の時に始めたようです。車椅子で、左手の振って球をミリ単位で、投げていた姿に感動しました。
車椅子の人、視覚障害の人、知的障害の人、手足に障害を持った人など、自分の可能性を最大限に発揮してそれぞれの種目を戦っていたと思います。
一昨日(9/4)は、車椅子テニス男子シングルスの国枝 慎吾(くにえだ しんご)さんが金メダル、最終日の昨日(9/5)は、女子マラソンの視覚障害の部での道下 美里(みちした みさと)さん、バトミントン男子シングルで車椅子の部の梶原 大暉(かじはら だいき)さんが金メダルを獲得するなど、これまでの諦めかけた苦労の話を聞いて気持ちが熱くなりました。
私自身は、怪我で脚を無くしたり、目が見えなくなったら、このように頑張れるかと自問自答しながら競技を見ていました。
障害の内容や程度が違っても、自らの可能性に気づき伸ばすことによって、新たな世界が開けます。しかし、頑張る姿に拍手を送ることが、頑張れない人への圧力や頑張ることへの強制に繋がることのないように指摘する人もいます。
日本パラリンピック委員会委員長の河合さんは、パラリンピックについて、「もっている可能性を発揮することが、人々が自分自身がもっている可能性に気づくことにもなり、想像をこえるパフォーマンスに触れた方々が、ご自身のなかにあるかもしれない無意識のうちにもつ心のバリアを取り除く力ももっているのではないか。」とも言っています。
皆さんは、たくさんの可能性を持っています。時にはしんどくなったり、困難が訪れたら諦めたくなることもあるかもしれません。しかし、自分が持っている可能性を、最後まで諦めることなく、精一杯頑張って欲しいと思います。
現在緊急事態宣言中ですから、まだまだ感染症対策をとりながらも、熱中症にも気をつけて、過ごしてください。
校長 小倉 裕史
中高合同公開授業の実施で教員の指導力向上へ(R3.9.1)
9月1日(水)、附属中学校1年生の理科の授業を、中学校と高等学校の教員で見学した。今回の公開授業のテーマは、① ICTの活用、② 個別最適された学び、③ 主体的・対話的で深い学びの視点 であった。
中学校が今年度から、高等学校は来年度入学生から学習指導要領が改訂され、併設型中高一貫校である本校では、中学校と高等学校の教員が、相互乗り入れで授業を行っているが、公開授業を合同で見学して、その後に研究協議をして、教員の指導力の向上に努めている。
今回は、中学校1年生の理科で、「身のまわりの物質」の単元で、「状態変化と温度」の内容で、エタノールを加熱して時間と温度の関係をグラフにしたものを、ICTを活用してまとめ、物質の融点(固体が液体に変化する温度)と沸点(沸騰する温度)について、班でまとめる授業展開であった。
昨年度から導入された生徒1人1台端末を使って、各班の実験結果のデータを分析し、話し合いを取り入れ、振り返りもICTで実施するなど、工夫が凝らされて授業展開であった。
授業後の中高合同での研究協議では、授業の感想だけでなく、ICTの効果的な活用、主体的・対話的で深い学びを全ての生徒に対して実施する困難さ、より生徒にわかりやすくするための授業について様々な意見交換が活発になされた。
校長からは、今回の学習指導要領の改善のポイントを整理し、中学校と高等学校の理科の目標の共通点と相違点と単元の繋がり、理科の授業や探究活動における資質・能力を育むために重視すべき学習過程のイメージ、本校の高校における専門教科「理数」としての目標、評価と指導の一体化と観点別評価について、独自資料を配付して助言した。
中学校と高等学校が互いの授業を見学して、指導力の向上を図ることができるのも、併設型一貫校である本校ならではの魅力であると感じる。教員がこれまで以上に教科指導力を向上して魅力ある授業を実施し、生徒の学力向上に繋げて欲しいと願っている。
校長 小倉 裕史