総長・校長室より

総長・校長室より

令和4年度 中高合同の着任式・前期始業式ー満開の桜の中でのスタートー(R4.4.8)

 4月8日(金)、中高の2、3年生の生徒に対して着任式を行いました。今年度着任された、武尾正弘総長、東道恵子事務長をはじめ、中高合わせて10人の着任された先生方の紹介を行いました。高校の代表で挨拶をされた、谷口知明先生からは、本校の校訓「創進」は造語ですが、この校訓に込められた素晴らしい思いを語られました。中学校代表で挨拶された、森川ゆき子先生からは、2年前に中学校を送り出した生徒が附属高校の2年生で頑張っていることを嬉しく思うと共に、本校で新たな気持ちで頑張りたいと語られました。新着任の先生方、本校の為によろしくお願いしたいと思います、(着任者は4月1日の記事に掲載)

 その後、中高合同で、前期始業式を行い、総長式辞(後に掲載)、校長挨拶(後に掲載)を行いました。校内の満開の桜は、生徒達の進級を歓迎しているように思いました。

 部長、主任の紹介、各クラスの担任紹介発表を行って、新たな年度がスタートしました。生徒一人一人にとって、素晴らしい1年間になるように願っています。

                                         校長 小倉 裕史

 

 

 

 

 

【総長式辞】 附属学校総長 武尾 正弘 

 皆さん、お早うございます。学校総長の武尾です。まずは皆さん、ご進級おめでとうございます。

  私は、前総長の八重先生と同じで、姫路市書写にある兵庫県立大学大学院工学研究科の教授をしています。八重先生は金属メッキの研究者ですが、私は応用化学に所属し、環境とバイオテクノロジーを専門にしています。高大連携授業やプロジェクト学習などで皆さんに研究内容を披露する機会があればたいへん嬉しいです。

  さて、私が本校に着任する前に、本校の資料をいろいろ読みましたが、1番心に残っているのは「創進」という学校の校訓です。「創造と進歩の人たれ」ということですが、皆さんもこの言葉は耳にタコができるぐらい聞いたかと思います。

  自ら考え、自ら学び、個性を伸ばす、目指せ世界のパイオニア!とのことですが、皆さんが科学教育環境の優れた本校を選んだ時から、もうその第1歩は始まっています。

 皆さん、ソニーという会社をご存知でしょうか?プレーステーションで有名ですが、電子業界では、世界のバイオニアとして、テレビ、カメラ、ウォークマンなどの先端電子製品を世に送り出してきた会社です。

 この会社は、最近、ペーパーテストの入社試験の他に、新しい事業や新しい会社を起こす経験やプランを持った人を採用する入社枠を作りました。応募してきた学生さんにチームを作らせ、社員が協力しながら新しい事業を提案するという試験です。数ヶ月にわたり、それぞれが調査をし、アイデアを出し、それが実現しそうかどうか議論し合いながら、最終案を作り、それをプレゼンテーションします。ソニーはその中でリーダーシップを取れる人を採用し、将来、会社を引っ張っていってもらいたいのです。これは「創進」という本校の校訓をまるでテストしているみたいですよね。

 さて、私たちのところに戻って考えてみると、皆さんが経験されたプロジェクト学習とか探究の授業や実習が、実はそのような世界のパイオニアになるための第一歩なのです。本校は、兵庫県立大学という大学が身近にありますので、是非その設備や知識を存分に活用して、興味と熱意を持って探求の学習に取り組んで頂きたいと思います。きっと何か面白いことが見つかると思います。

  しかし、もし興味の湧くことが見つからなかった人は、とりあえず、学校から帰ったら、1つでも2つでも結構ですから、明日やるべきことを必ずノートなどに書いて、次の日に達成できたかどうか確認して下さい。その積み重ねが皆さんの知力・体力を培います。

  長々と喋りましたが、今日お話ししたことを要約すると、世界のバイオニアになるために、まず探求の授業や課題に頑張って取り組んで下さいということと、それから小さな目標でも結構ですから、目標をたてて日々それを確認しながら過ごして下さいということです。

  最後になりますが、コロナ感染症の第6波が十分に収束せず、へたをすると第7波がやってくる可能性もあります。このように勉強やスポーツなどの活動を始めるには素晴らしい気候になってきましたが、どうぞ附属学校生の自覚をもって注意しながら新しい生活をスタートして下さい。 

 これをもって、始業式の式辞といたします。 

 

【校長挨拶】 校長 小倉 裕史

 いよいよ令和4年度が始まりました。

 年度末には皆さんに4月8日に元気な姿を見せてください、とお願いしましたが、附属中学校と附属高等学校の間にある青空コートにある桜が満開で、皆さんの進級を心待ちにしていたかのように思います。

 3月の終わりの終業式で、皆さんには、禅宗のとんちで有名な一休が書いたともいわれる歌の話をしました。覚えていますか?

 『年毎に 咲くや吉野の 山桜 木を割りて見よ 花の在りかを』

 これは、春になると、桜の名所で有名な奈良県の吉野山に、山一面に桜の花が咲きます。桜の花の素はどこにあるかと、木を割ってみても、どこにも花びらのかけらすら、みあたりません。冬には枯れ木のように立っている桜の木も、春という陽気が来れば、素晴らしい花を咲かせるのです。桜の花を咲かせる力を蓄えていたからです。

 本校の桜の木も今が見頃です。

 人も同じで、目に見えなくても、日々の種まきが力として蓄えられるので、この春休みは「種まき」に徹してくれた人もあると思います。新年度をスタートするにあたり、目標を持って地道に種まきを続けてください。すぐに結果がでなくても、それは貯金していると信じて種をまきましょう。

 徳川家康が慶長11年(1606年)に、江戸城の増築工事を、諸大名に命じた時の話をします。大名は、労力と費用を無償で提供しなければならず、自分に割り当てられた部分がいかに早く終わるかが、経費の負担をおおきく左右しました。工事は、桜田から日比谷にかけての石垣づくりで、熊本城主の加藤清正と、若山城主の浅野幸長(よしなが)に命じられました。

 加藤家では、建設現場に沼が多いことを確かめると、大量のカヤを運んで沼に投げ込んで、さらに土をかぶせて平坦なグランドができると、多くの子供を呼んできて何日も遊ばせました。

 一方の浅野家では、沼を埋め立てたら、すぐに石を積み始めて、工事は順調に進みました。石垣が半分できあがるころになっても、加藤家の場所には石が運ばれず、「もっと真面目にやれ1」と浅野家の家臣が加藤家に言ったようです。加藤家の現場は、子供たちに踏み固められて、地盤を確かめてからようやく石垣を築きはじめて、完成したのは浅野家よりもずっとあとになりました。

 しばらくして、江戸をすさまじい暴風雨の台風が襲いました。大雨で地盤が緩み、浅野家の築いた石垣は何か所も崩れ落ちました。慌てず、急がず、じっくり基礎を固めてから築いた加藤家の石垣には、少しも損傷がなかったようです。基礎をおろそかにした浅野家は、修復工事に莫大な経費がかったようで、この教訓は江戸時代を通して、長く語り継がれたようです。

 皆さんも、新しいクラスで仲間づくりをして、新しい担任のもとで、時間がかかってもじっくり基礎を固めて、勉強にも部活動にも取り組んでください。

 民法が改正されて、高校3年生の皆さんは、誕生日(正確には誕生日の前日)がくれば成人となります。進路を決める大切な年ですから、新成人としてしっかり目標を持って頑張ってください。

 まだまだ新型コロナウイス感染症の影響があり、再拡大が心配されています。「学校に持ち込まない、学校内に広げない」を基本に、マスクの着用や、食事中の黙食、換気の徹底、大声を出さない、登下校中のバスや電車内で話をしないなど、今一度、気持ちを引き締めて、自覚と責任のある行動をお願いします。 

 

令和4年度新着任者ー新年度の始まりー(R4.4.1)

 4月1日(金)、令和4年度がスタートした。昨年度末で転出された教職員と入れ替わり、武尾正弘総長、東道恵子事務長をはじめ、附属高等学校及び附属中学校に新たな先生方が12人着任されました。

 兵庫県公立大学法人理事長からの辞令を武尾総長から、兵庫県教育委員会からの辞令を校長から手渡しました。

 教職員が一致団結して、素晴らしい学校になるように頑張ってきたいと思います。

 附属中学校と附属高等学校の校舎の間に咲いている桜も、まだ五分咲きくらいですが、8日の入学式までに満開になって新入生を迎えてくれることと思います。

                                          校長 小倉 裕史

令和4年度新規着任者

武尾 正弘 総長(県立大学大学院工学研究科)、東道 恵子 事務長(県立赤穂特別支援学校)、谷口 知明 先生(県立姫路東高等学校)、高濱 良枝 先生(県立太子高等学校)、荒木 敦士 先生(県立豊岡高等学校)、辻 芙夕希 先生(県立夢前高等学校)、田中 亜弥 先生(県立神崎高等学校)、森川 ゆき子 先生(姫路市立網干中学校)、榎本 成貴 先生(姫路市立白鷺小中学校)、秦 美香 先生(宍粟市立都多小学校)、西川 正浩 先生、小塚 竜渡先生

 

 

八重真治総長ご退任ー退任のご挨拶ー(R4.3.31)

退任のご挨拶

 兵庫県立大学附属高等学校・附属中学校のホームページを訪問くださり、誠にありがとうございます。
 また、平素は、両校の教育にご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、本日、附属学校総長を退任し、今後は大学院工学研究科教授の職務に専念いたします。従来の附属高等学校長兼附属中学校長から名称変更された初代の附属学校総長として、2年間、同じく従来の副校長から名称変更された校長ならびに学校教職員と共にコロナ禍の下での学校運営に携わってまいりました。就任当初は、新型コロナウィルス感染症が早々に収まり通常の生活に戻れるものと期待いたしておりましたが、変異ウィルスの出現により現在まで蔓延が繰り返されております。両校でも学校行事や国際交流をはじめとした教育活動に様々な変更や制約がありました。さらに、令和4年に入り、ロシア連邦によるウクライナへの侵攻というとんでもないことが始まり、多くの命が失われています。兵庫県立大学からの声明にもあります通り、心が痛むとともに、一日も早い和平の訪れを念じずにはおられません。また、1.17と3.11に合わせて慰霊と防災について全校で話をした矢先に東北地方で大きな地震が起こりました。平和と安全があってこその学校教育であり、学校運営では生徒の皆さんの安全と健康が最優先です。
 附属高校では、令和元年度に始まった「県立大学附属学校改革プログラム」に従って、令和3年度の新入生(28回生)より新しいコース制を開始いたしました。生徒一人一人の学習志向・志望進路・学習進度・習熟度に応じて、CSとFSの2コース5クラスを編成しました。2年生に進級する来年度には、GAを加えた3コースとなり、新コース制の骨格が出来上がります。各コースともに「創進」を掲げる本校らしい充実した教育を実践いたします。また、昨年から光都の校舎に加えて県立大学明石看護キャンパスでも高校入試を行い、県東部の受検者の利便性向上を図っております。一方、附属中学校では、改修した黎明寮への試行的入寮を昨年から行い、希望する在校生が楽しく充実した生活を送りました。これにより、来年度の入寮希望者約20名を円滑に迎えることができます。黎明寮には学習室が新設され、寮居住の県立大理学部学生を中心とする講師陣によるアフタースクールゼミを開始しました。高校教員と情報交換しながら生徒の個性に合わせた指導を行っており、学習塾にはできない大きな教育効果をあげております。加えて、ふるさと納税制度を利用した兵庫県立大学附属中学校・高等学校応援基金を創設し、保護者をはじめとする多くの方々から150万円を超えるご寄附をいただき、ポスター発表用のボードや図書、部活動用品など学校活動の充実に活用いたしました。皆様に、厚く御礼申し上げます。
 両校では、「豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成」するとの兵庫県立大学の基本目標のもと、「科学技術における学術研究の後継者や、国際感覚豊かな創造性あふれる人材の育成」をねらいとした教育を展開いたしております。学校としての充実した設備と教職員はもとより、県立大学との連携、さらに播磨科学公園都市に立地という優れた教育研究環境に恵まれております。生徒の皆さんには、「創進」の校訓にある通り、本校でさまざまな分野に挑戦して、自ら道を切り拓くたくましさと、人類と地球に思いを致す豊かな心を養っていただきたいと願っています。そのためには、生徒自身の努力はもちろんですが、学校と大学、それぞれの教職員、保護者、地域社会をはじめとする関係者すべての協力が必要です。
 在任中のご支援に厚く御礼申し上げますとともに、今後の両校への変わらぬご支援とご協力をお願い申し上げ、退任のご挨拶といたします。

 令和4年3月31日

                兵庫県立大学
                附属学校総長 八重 真治

令和3年度末のお別れー本校の為にお世話になりましたー(R4.3.31)

 3月31日(木)、令和3年度末の人事異動で、八重真治総長、尾崎隆博事務長をはじめ多くの教職員が、退任、退職、異動となりました。

 八重総長と、尾崎事務長は、2年間本校に勤務頂き、多くの改革にご尽力を頂きました。

 勤務時間の終了時に、中学校及び高等学校の教職員一同から花束をお渡しし、お見送りをしました。

 また、附属高等学校の小林ひとみ先生も、定年退職となりご挨拶を頂きました。

 先生方の本校に対する熱い思いを、残された教職員が受け継ぎ、令和4年度はさらに、附属中学校と附属高等学校が素晴らしい学校になるように、頑張っていきたいと思います。

 今年度に、お世話になりました方々に、心から感謝申し上げます。

                                          校長 小倉 裕史

 

 

 

 

 

 

 

令和3年度附属高等学校後期終業式並びに附属中学校修了式ー中高の1,2年生の今年度の教育活動修了ー(R4.3.23)

 3月23日(火)、附属高等学校後期終業式並びに附属中学校修了式を、中高合同で本校体育館で実施しました。

 まん延防止等重点措置が解除され、中高の1,2年生全員が体育館に入って、今年度を締めくくりました。

 総長式辞(後に記載)、校長挨拶(後に記載)で、生徒達に今年度を締めくくるに当たり、思いを伝えました。

 生徒達は熱心に聞いていました。明日からの15日間の春季休業に入り、一歩成長して新年度に元気に登校して欲しいと願っています。

                                           校長 小倉 裕史

【総長式辞】附属学校総長 八重 真治

 おはようございます。附属学校総長の八重です。

 昨年3月の終業式、修了式でも申し上げましたが、今年度も特別な年でした。新型コロナウィルス感染症への対策で、制約の多い学校生活が今も続いております。その中で、附属高等学校では26回生を送り出し、附属中学校では13回生が高校へ進みました。そして今日、令和3年度の附属中学校と附属高等学校の全ての課程を無事に終えられることは、大変喜ばしいことです。生徒の皆さんはもちろんですが、教職員、保護者、大学や地域の関係者、すべての皆さんが学校についてよく理解し、協力してくださった賜物です。心より、感謝いたします。

 新型コロナウィルスは、第1波から第6波まで、私たち人類の対策をかいくぐってまん延を繰り返しています。今後、感染が収まっていくのか、次の変異株が出てきて第7波、第8波と繰り返すのかは分かりません。一方で、ワクチンを打つこと、マスクをつけることなどの対策に加えて、治療薬の開発が進むなど、コロナに上手に対応しながら、生活する方法を私たちは手に入れつつあります。4月からの来年度は、学校での活動も幅が広がると期待いたしております。それは、単純にコロナ以前に戻ることではありません。インターネットやタブレット端末に代表される情報技術の活用は、コロナによって大きく進んだ変化です。学校行事の整理や短縮などは、行事にかけるエネルギーとそれによって得られる効果を合理的に見直すきっかけになりました。これらは、まさに附属学校の校訓「創進」の実践ということができます。これからも、集団生活を送る校内はもちろんですがバスに乗車している時など、状況に合わせて適切に感染防止を図りながら、学校生活を楽しんでください。皆さんならきっと、上手に両立してくれると信じています。

 コロナに加えて、最近大きな出来事が二つ起こっています。その一つは地震です。阪神・淡路大震災の1月17日と東日本大震災の3月11日に合わせて、犠牲者の慰霊と新たな災害に対する防災について考えた矢先の3月16日に東北地方で大きな地震がありました。その影響は、東北新幹線の不通や節電要請など、今でも続いています。私は、阪神・淡路大震災の際に宝塚市に住んでいて被災しました。この時、これから先、生涯にわたって大きな地震に遭うことはもうないだろうと思っていましたが、2018年9月の北海道での地震の際に胆振地方に滞在していて大きな揺れと停電に遭遇しました。いずれも、けがをすることもなく無事でしたが、ちょっとずれていたら大きな被害を被っていました。地震をはじめとする災害はいつ起こるか分かりません。それが恐ろしい点ですが、一方で自分の周りでは起こらないだろうという根拠のない安心感につながることもあります。災害への対策を怠ることなく、防災に対する意識を常に確認することが大切です。

 最近の出来事のもう一つは、ロシア連邦によるウクライナへの侵攻です。多くの命が失われており、痛ましい限りです。兵庫県立大学も戦争反対の声明を出していますので、大学のホームページを見てください。一日も早い平和の訪れを念じずにはおられません。侵略しているロシアはけしからん、ロシアは嘘をついていると思っている人も多いことでしょう。ロシアだけが特別でしょうか。80年前の日本は、中国東北部に満州国を建国し、侵略する側でした。当時の日本が生物化学兵器を製造していたことも分かっています。多くの国から非難されながらも1945年まで戦争を続けました。アメリカ合衆国はどうでしょうか。私は、2001年9月11日の同時多発テロの際にフロリダ州に滞在していて、その翌日にニューヨークへ飛行機で行く予定でした。飛行機が全て止まりましたので、1週間、足止めに遭いました。テロの翌日から、あちこちにアメリカ国旗である星条旗の半旗が掲げられただけではなく、普通の家々の庭に小さな星条旗が埋め尽くすほどたくさん立てられていました。やがて、アメリカはアフガニスタンに侵攻し、イラク戦争を起こしました。どんな国でも戦争を起こす可能性があります。私たち一人一人が、常に平和を願い、戦争をしない、させないという意識を持ち続けることが大切です。加えて、正しい情報を見極める情報リテラシーを身につけることが必要です。皆さんは、インターネットを適切に利用する分別とともに、正しい情報を見分ける力を養ってください。

 以上、新型コロナウィルス感染症、地震、ロシアのウクライナ侵攻についてお話ししました。いずれも、皆さん自身でしっかりと考えていただきたいことばかりです。兵庫県立大学附属中学校、附属高等学校で、様々な物事を正しく理解して、正しい判断を導く素養を身につけることを期待して、令和3年度終業式、修了式の式辞といたします。

 

【校長挨拶の概要】校長 小倉 裕史

 今年度も新型コロナウイルス感染症対策で、行事が変更や縮小を余儀なくされた1年でしたが、皆さんは、色々と工夫を凝らして頑張ってくれたと思います。

 ただし、2月下旬から、高校1,2年生が体調不良や感染症の拡大の影響で、学年閉鎖が行われたことは大変残念なことでした。

 しかし、中学校では「3年生を送る会」、高校では「後期球技大会」で盛り上がる学校行事で、1年間が締めくくれたことは大変良かったと思います。

 さて、本校は、附属高校と附属中学校の間に桜の木ががあり、始業式を迎えることには綺麗な桜の花が咲きます。一休さんで有名な禅宗の一休が書いたとも言われる歌の話をします。

『年毎に 咲くや吉野の 山桜 木を割りて見よ 花の在りかは』 という歌があります。

 これは、春になると、豊臣秀吉も花見に訪れたとされるほど、桜の名所で有名な奈良県の吉野山には、4月上旬に美しく咲く桜の花が咲きます。桜の花の素はいったいどこにあるのかと、桜の木を割って見ても、その桜の花の素など何処にも見つからないという意味です。

 春になると、満開の桜をまとう吉野山も、冬には、枯れ木のような木々が林立するばかり 花びらを隠しているのだろうといぶかって、 木を一分刻みにしても、桜の花は見つかりません。桜の木には、春の陽気という縁にあうと、美しい花を咲かせる力があります。しかし、冬には、木を割ってみても、花びら一枚見つかりません。枯れているからではありません。陽気という縁がないからです。

 人も同じで、行った行為が、目に見えない「業力」として蓄えられ、目に見えない力が「縁」に触れると目に見える結果を引き起こすと言われます。

 なかなか、結果がでないと「こんなに頑張っているのに」と、あきらめるのではなく、日々「種まき」をして貯金をためておいてください。必ず、それが「縁」によって、素晴らしい結果で返ってきますから。

 昨日から、海外交流授業の代替行事として、外国人留学生を招いてエンパワメントプログラムがスタートして、24人が参加しています。私は英語が苦手ですが、楽しそうに英語で盛り上がっている姿を見て、素晴らしい力が身についているな、と思っています。

 総長の式辞にもありましたが、現在、ロシアがウクライナを侵略する戦争が起こり痛ましい限りです。みなさんも、世界情勢に目を向け、何が正しいかを判断する力を身に付けてください。

 高校2年生、中学2年生の皆さんは、いよいよ、附属高校、附属中学校のそれぞれの最高学年となります。後輩たちから憧れる見本になってください。高校1年生、中学1年生の皆さんは、それぞれの中核学年として、附属を支えてください。何事にも精一杯頑張ってくれることを期待しています。

 明日から15日間の春休みになりますが、身体に気を付けるとともに、時間を有効に使って、4月8日にまた元気な顔をみせてください。