Aioi High School,Passport to the World ~相生高校から世界へ~ |
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皆さんおはようございます。令和5年度もいよいよ3学期の終業式となりました。
年度がかわり進級するこの時期は、新年を迎える正月に続いて一年間を振り返るとともに新たな目標に向かって新鮮な気持ちで新たにスタートをきることができる良い機会だと思います。
3学期の始業式で、目標を明確にして計画的にコツコツと積み上げていくこと、そして、今を精一杯生きること、を話しましたが、この令和5年度を振り返ってみて、どうでしょうか?少しずつでも夢や目標に近づいていけているでしょうか?
その実感がないという人も多いかもしれません。あるいは頑張っているのに全然うまくいかない、という人もいるかもしれません。
しかし、失敗したときやうまくいかないときは、実は大きく成長できるチャンスなのです。
今月13日に、和歌山県串本町で国内初の民間単独開発の小型ロケット「カイロス」の打ち上げがありました。残念ながら機体は打ち上げ直後に爆発し炎上しました。ショッキングな光景が何度もニュースに流れ、「打ち上げ失敗」と報道されたので皆さんも覚えていると思います。
宇宙ベンチャー企業スペースワンの豊田正和社長は記者会見で「失敗という言葉は使わない。一つ一つの試みの中に新しいデータがあり、経験がある。すべて新しい挑戦への糧と考えている」と話していました。
「失敗は成功の母」という言葉がありますが、失敗から成功へとたどりつくためには、失敗を失敗と捉えず成功の途中だと考えることです。「この方法ではうまくいかないことが分かった」ということなのです。そうすれば次にどうするかを考えることにつながります。一度でうまくいくことはないのが普通です。何回も繰り返すことで成功へと近づいていくのです。
これまで何回も言ってきたように、皆さんは、「なりたい自分になる」ことができます。夢や目標に向かって自分が少しずつでも成長していけるように計画を立てて実行し、うまくいかなければさらに考えて計画を立ててまた実行する。これを繰り返すことです。
自分に自信をつけていくことが大切です。自分が頑張ったことが自信につながるように手の届くところにゴールを置くことが重要です。
4月から始まる新年度の一年間が、みなさんにとって有意義で充実した一年間になるように、自分自身をプロデュースするつもりで、チャレンジし続けてください。
「2年生になったら、3年生になったら、頑張ろうとか明日から頑張ろう」ではダメです。明日からと考えている人はいつまでたってもスタートがきれません。今から、自分の人生をどう生きるか真剣に考えて、取り組んでください。
これから始まろうとしている令和6年度が、みなさんにとって笑顔と感謝であふれる1年となるように、この春休みから、今から夢に向かって、新たなスタートをきってください。この春休みの皆さんの成長を期待しています。
以上で私の話を終わります。
冬の寒さもようやく和らぎはじめ、相高坂にも花の香りが漂い、春の到来を感じられる今日の佳き日に、多くのご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席を賜り、ここに令和五年度兵庫県立相生高等学校第四十五回卒業証書授与式を挙行できますことを心から感謝申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与いたしました193名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。教職員一同、心よりお祝い申し上げます。
皆さんは三年余りに及ぶコロナ禍による様々な制約のもとで高校生活の多くの時間を過ごしてきました。思い描いていた高校生活ではなかったかもしれませんが、そのような中でも皆さんは、いつも明るい笑顔で前向きに、今できることに全力で工夫しながら取り組んできました。
コロナが5類へと移行し、様々な制約がなくなって行われた文化祭や体育大会では、本当に素晴らしい演技や一生懸命に競技したり応援したりする姿に心から感動しました。四十五回生の皆さんのパワーと絆の強さを感じ、本当にうれしく思いました。コロナ禍で社会が大きく変わる中で、皆さんはたくましく、そしてしなやかに成長してきてくれたことを誇りに思います。
皆さんはこれから、先を見通すことができない変化の激しい社会を生きていくことになります。
世界では、ロシアのウクライナへの軍事侵攻や中東地域での激しい紛争が、今も続いており、世界情勢は不安定さを増すばかりです。地震や豪雨などの自然災害も頻繁に起こって人々の暮らしに大きな影響を及ぼしています。元旦に起きた能登半島地震は2ヶ月経った今も復旧はなかなか進んでいない状況です。
また、高度情報化社会の進展はめざましく、chatGPTに代表される生成AIの登場は社会を大きく変えようとしています。先日もchatGPTを開発したオープンAI社のsoraという動画生成AIが大きな話題になりました。Soraが作成したという動画が公開され、完成度の高いリアルな映像に衝撃が広がりました。
私たちが当たり前と思っていた日常や平和な世界は、決して当たり前のことではないということを思い知らされるような出来事が次々と起こっています。
このように変化の激しい社会を生きていくことになる皆さんに二つのことをお願いしたいと思います。
一つ目は、「チャレンジ精神を忘れず、最後まであきらめずに目標や夢に向かって粘り強く努力し続ける人になってほしい」ということです。
皆さんは「なりたい自分になることができる」のです。自分の力を信じて、可能性を広げるための努力を続けてください。
コマーシャルのイチローさんの言葉にあるように、小さなゴールを積み重ねることが遠いところへ行くただ一つの方法なのです。長い人生においては、きっと、失敗することやしんどいこと、辛いこともたくさんあると思いますが、自分を信じて、夢に向かって地道に努力を重ね、あきらめずにチャレンジし続ける人になってください。
二つ目は、「人との絆を大切にし、豊かな人間関係を築いてほしい」ということです。相生高校で育んできた仲間との友情、絆を大切にして下さい。そしてさらに豊かな人間関係を築いてほしいと思います。困っている人へ手を差し伸べることができる思いやりや心の余裕が持てるように自らを成長させる努力を忘れないで下さい。誰からも愛され、頼られるような人間性豊かな人になって下さい。お互いが助け合えるような豊かなネットワークを広げて下さい。
そして、「社会への貢献」ということを頭のすみに常においていてほしいと思います。自分自身の存在や人生が多くの人に支えられていることに感謝するとともに、自分も社会を支える一員であることを自覚してください。これからの未来の社会は、皆さんが創るのです。ほかの誰かではなく自分自身が未来の社会を創っていると考えてください。「なりたい自分」や「ありたい社会」のイメージをしっかりと持ち、その実現のために何をするかを考え、手の届く小さなゴールを決めて、それを積み重ねてください。
笑顔と感謝の気持ちを忘れず、自己実現とともに、より良い社会づくりに貢献できる人となって下さい。
保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様の健やかな成長を願って支えてこられた皆様には、さぞや苦労も多かったことと思います。今日の佳き日を迎え、立派に成長されたお子様の姿に感慨もひとしおのことと存じます。教職員一同、心よりお喜びを申し上げます。また、これまで本校にお寄せいただきましたご支援、ご協力に深く感謝を申し上げます。
結びに、卒業生の前途を祝すとともに、ご来賓の皆様方をはじめこの会場においでの全ての皆様方のご健勝とご多幸をお祈り申し上げ、式辞といたします。
令和六年二月二十九日
兵庫県立相生高等学校長
小田昌史