校長による記事

【校長室の窓】第43回卒業証書授与式 式辞

 厳しい寒さもようやく和らぎはじめ、相高坂にも少しずつ春の到来を感じられる今日の佳き日、相生高等学校第43回卒業証書授与式を、堀内PTA会長様をはじめ多くの保護者の皆様のご臨席を賜り挙行できますことは、私ども教職員にとりましてこの上ない大きな喜びでございます。ありがとうございます。

 第43回生184名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。これまで、本校の教育活動に格別のご理解とご協力を賜りまして誠にありがとうございました。特に、この2年間は新型コロナウィルスの影響による臨時休校期間や、さまざまな教育活動の制限や制約がある中で、子ども達の不安な心をしっかりと受け止め支えて頂きましたこと、重ねて感謝申し上げます。

 卒業生の皆さんは、この3年間、校訓「自律 創造 敬愛」を基軸に、基礎学力の定着をはかるとともに、自ら課題を見つけ主体的に学び、自分の考えを表現力豊かに主張する力を付けてきました。実に、2年以上にわたるコロナ禍での学校生活においては、2ケ月以上に及ぶ臨時休校を含め、相高祭や体育大会の中止や縮小を余儀なくされました。君たちは限られた時間や多くの制約の中で、アイデアを出し合い、創意工夫しながら、学年、クラス一致団結して新たな学校文化を生み出してくれたように思います。相高生としての自信と誇りを感じさせる素晴らしい学年でした。ただ、最も楽しみにしていた修学旅行を実施できなかったことは痛恨の極みであり、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 さて、君たちが旅立とうとしているこれからの社会は、withコロナを前提としたポストコロナ新時代であり、これまでとは異なった新たな価値観が創造されていく社会になっていくことでしょう。また同時に、人工知能AIやIoT、ロボット産業の更なる発達による産業構造の高度化がますます進展する時代(Society5.0)が間近に迫ってきています。今後、正解は、全てAIが用意してくれることになってくることでしょう。十数年後には、日本の労働人口の49%がAIやロボットに代替可能になると言われています。大きく時代が変わろうとしています。

 この劇的に変化する社会において、今後、皆さんが生き抜いていくために求められる力は、AIでは解析不可能な「何が正解かわからない課題を、自らあるいは他者と協働して解決していこうとする力」が求められることになるはずです。

 そのためにも、皆さんは、自分の良さや可能性を認識するとともに、あらゆる他者(他職種)を価値のある存在として尊重し、様々な立場の人の意見を傾聴し、そして協働しながら解決策(新たな価値観)を生み出して行かねばなりません。それこそが、新時代の社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓いていく方法であると私は思っています。

 今年、年始めの経団連の会合に出席した大企業のトップの方々の発言で、見事に共通していた事は、全員がこのコロナ禍の状況を、発想を転換するチャンスと捉えプラス成長と前向きに捉えられていたことでした。その中でも、ある東証一部上場企業のCEOの言葉が、とても印象的でしたので紹介します。

「コロナにより、何が正解で何が正しいかわからない世の中。でも、こんなときだからこそ、独創的で自由な発想が必要であることがわかった。そして何よりもスピード感を持って実行することだ。~中略~そのために絶対的に必要なことは、組織力であり、チーム力である。ベクトルを合わせ、協働していくことが重要だ。そして、その基礎となるのが、表現力であり、コミュニケーション力である。」といわれていました。ぜひ、次のステージでは、社会人となることを念頭に置き、自分自身を更に「カイゼン」しながら成長を遂げていって欲しいと思います。

 最後になりましたが、卒業生の皆さん、相生高校での学びに関わって頂いた全ての方々への感謝の念を忘れることなく、本校での学びで成長した自分自身に自信を持ち、そして誇り高らかに勇ましく次のステージに進んでください。そして、共に学校生活を送り、共に苦しみ、共に泣き、共に笑い、そして共に支え合ってきた仲間との友情やその繋がりを忘れることなく、人生の宝としてください。

 どうぞ皆さんの前に広がる未来が幸多いものでありますように、心より祈念し式辞と致します。    

 

令和4年3月1日
兵庫県立相生高等学校
校 長 栗 林 秀 忠