塔陵健児のひとりごと

塔陵健児のひとりごと~佐用高校からのお知らせ~

白砂の囁き ~佐用高校 枯山水綺譚~

それは、誰にも気づかれぬように、
中庭の片隅で、そっと息づいている。

今日、佐用高校の枯山水が、新たな表情を纏った。
校務員さんの手により、白砂は一筋一筋、丁寧に撫でられ、
石のまわりの小石や砂紋が整えられていく。
まるで、長く続く物語に新たな一章が加わるかのように。

枯山水――水なき水の景。

それは、限りある空間に無限を描く、東洋の知恵である。
波紋のような砂の文様に、風が流れ、
時には月明かりさえも、そっと添う。

この静謐な庭が教えてくれるのは、
喧噪の中にある「静」、
日常の中に潜む「永遠」、
そして、削ぎ落とされた美の、凛とした佇まい。

ひととき、立ち止まってみよう。
その白砂の囁きに耳を澄ませば、
あなたの心にも、波紋がひとつ、静かに広がるかもしれない。

  

 

綺譚(きたん)…珍しい話や不思議な物語を意味する言葉

纏った(まとった)…衣服を着る、身につける、または、物事が身にまとまるという意味

静謐(せいひつ)…静かで安らかなこと、世の中が穏やかに治まること

喧噪(けんそう)…人声や物音で騒がしいこと

凛(りん)…身が引き締まるような厳しい寒さや、気品がありりりしい様子を表す漢字