2021年6月の記事一覧

6月全校集会

 部活動の県総体が行われました。剣道部女子団体が優勝し全国総体出場を決めました。剣道部女子団体と個人のほか、男子ソフトボール部、男女ハンドボール部が近畿大会出場を決めました。他の部も含め、本当によく頑張ってくれました。

 さて、5月から6月にかけて、皆さんの授業の様子を見ました。ほとんどの人が熱心に取り組んでいる中で、残念ながら、ごく一部の人ですが、寝ていたり、どう見ても授業に意欲的に参加しているとは思われない人もいました。

 以前、元宇宙飛行士の山崎直子さんの話を聞く機会がありました。彼女は女性で54番目、日本人で8番目に宇宙飛行士になった人ですが、飛行士になってから実際に宇宙へ行くまでに11年もかかったそうです。彼女が宇宙飛行士になりたいと思い、東大在学中にアメリカへ留学した時のことです。現地の他の留学生と話をしていると、自分以外の学生は高校時代から文系・理系の科目にとらわれず、体育や芸術、家庭など、受験科目以外の多方面の学習を熱心にしてきていると感じたと言います。また、一人のアメリカ人から日本の歴史や文化・風習、風土について尋ねられても全く答えられなかったばかりか、尋ねたアメリカ人の方が日本のことをよく知っており、自分の無知に愕然とし、強く羞恥の念に駆られたそうです。彼女は、高校時代に受験科目以外の教科・科目ももっと熱心に勉強しておけばよかった、日本人としてもっと日本のことを学んでおくべきだったと後悔したそうです。社会人となり、JAXAの一員となってからも、この経験をメッセージとして発信し続けているとのことでした。グローバル化時代に生きるとはこういうことなんですね。

 学ぶことの有用性や意味は予め分かっていて学び始めるのではなく、それらは後になって気づくものなのだと思います。メンデルは遺伝法則を見出すためにエンドウを掛け合わせたのではありませんでした。アインシュタインは特殊相対性理論の後に重力理論たる一般相対性理論の可能性を見出せるとは思ってもいませんでした。両者とも科学者なので、仮説は立てたでしょう。しかし、最初からすべてが分かっていた訳ではありません。

 発見というものは、現行の知識が示唆する探究可能性によってもたらされることが多いですが、その手続きには、予想もつかなかったことや検証しにくいことが含まれているものです。これを、ハンガリーの科学者マイケル・ポランニーは暗黙知と呼びました。私達の「知」には形式知と暗黙知と呼ばれるものがあります。通常学校で学ぶのは形式知であり、新たな発見をもたらすような知を暗黙知といいます。これが科学を発展させてきたと言っても過言ではありません。しかし、それには一定の基礎的な形式知が必要であり、その積み重ねの中で、何かと何かが結びつき新たな知を生んでいくのです。何が重要であり、何が重要でないかは少なくとも学問の基礎をやろうとしている高校生の皆さんの段階で判断することはできません。授業の一時間、一時間は人類のこれまでの叡智を振り返り辿っていく時間です。その振り返りの基礎があって、次の新たな一歩があるはずです。どうか授業の一時間、一時間をもっともっと大切にしてください。

 こんな言葉があります。

努力をして結果が出ると自信になる。

努力をせずに結果が出ると傲りになる。

努力をせず結果も出ないと後悔が残る。

努力をして結果が出なくても、経験が残る。

 自信と経験を積み重ねていく明高生であってほしいと願っています。

 最後に、繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染防止ため、不要不急の外出と3密の回避、マスクの着用、手洗い、うがい、消毒を徹底してください。家庭内感染や部活動感染が大半を占めています。家庭でも感染防止に努めてください。部活動では、特に、更衣時、昼食時はマスクを外した会話を絶対にしないでください。お願いします。