校長室より
生き方講演会 ~歴史の上に立って未来を考える~
『多可』の歴史と文化 多可が育んできたこと
「生き方講演会」は、講師の方のご経験や知見をもとにしたお話しから、生き方を考える機会として毎年実施しています。本年は、那珂ふれあい館長 安平勝利 先生に講師としてお越し頂きました。那珂ふれあい館は、東山古墳群や町内の出土品の展示、多可町文化財調査や研究及び啓発が行われており、地域研究と歴史学習の拠点です。
「多可高校の場所は、多可町の中で最も良い所なんです。しかも、多可の始まりの場所なんです。」この言葉から講演が始まりました。※ 写真は本館3階(海抜約145m)から南を撮影したものです。平野部(海抜約108m)を見渡せます。
多可は、日本独自の文化に大きな影響を与えた『山田錦』『敬老の日』『杉原紙』の3つの文化発祥の地です。山田錦は日本酒という和食文化に大きな影響を与え、八千代区野間谷から広がった敬老の精神が全国で継承され、和紙を代表する紙の一つである杉原紙は紙文化に大きな影響を与えました。近代前半までの多可郡は今の西脇市全部と神河町の一部を含んでいましたから、今回の話の『多可』は今の多可郡と西脇市全般を指しています。奈良時代の地誌『播磨國風土記』には、多可の由来となった巨人伝説の記述があります。「昔、巨人がいて、常に背をかがめて歩いていた。南の海から北の海へ、東から西へと巡り歩いているうちに、この地にたどりついた。巨人は『他の所は低いので、ずっと背をかがめていなければならなかった。でも、ここは高いので背が伸ばせる。ああ、高いなあ』と言った」多可高校周辺の東山古墳群は、6~7世紀に築かれました。12基の古墳のうち1号墳は石室が12.5mもあり県内最大級です。また、12号墳からは珍しい陶棺が出土しました。このような東山古墳群は、大陸から伝わった当時の最新土木技術でつくられ、最新の副葬品が納められています。この事実は、中央政権と関係が深いリーダーの存在を示唆しています。東山古墳群を築いた人々は、後に役所の建設や、政治的運営の中心を担い、多可郡の基礎をつくりました。まさに、本校の位置は、多可の始まりの地で、多可がスタートする所として当時の人が選んだ最も良い場所なのです。多可は長い歴史の中で、今も継承される『杉原紙』や『山田錦』、お年寄りを大切にし、敬意を払うとともにその知識や経験を活かした村づくりをする『敬老の心』を育みました。また、但馬国、丹波国、播磨国に接してまたがる多可は、隣接する地域の文化を融合して新しいものを生み出せる地であったのです。これらのことは、独特の気候風土と併せて、長い歴史の中で多可の人々の気質、アイデンティティの形成に影響してきました。
歴史は、古(いにしえ)から連続した出来事や人々の営みの積み重ねであって、現代の生活と無関係の遠い昔話や物語ではありません。各地ごとに、異なる歴史の積み重ねで築かれた文化がその地の気候風土や生活環境と相まって、現代に暮らす人々の感性やものの見方、考え方に影響を及ぼすことも少なくないでしょう。言い換えれば、生まれて過ごす土地や環境が違えば、少し異なる考え方や見方になることは避けにくいのかも知れません。しかし、互いに受け入れ融合することで新しく素晴らしいことが、さらに育まれるのではないでしょうか。
「歴史の上に立って未来を考える」ことで「よりよい方向性が見える」 ことを忘れないでおいて欲しいと思います。
令和6年度生徒会役員選挙および立ち合い演説会
生徒会役員選挙により新生徒会執行部が発足します
次期生徒会役員選挙について、6月26日(水)に告示され、7月10日(水)に立候補者の立会演説を体育館で行い、各教室にて各自が投票を行いました。即日の開票作業の結果、生徒会長(2年生)、副会長(1年生)、書記(1年生2名)、文化委員長(2年生)、文化副委員長(2年生)、体育委員長(2年生)、体育副委員長(2年生)、会計委員長(1年生)、会計副委員長(1年生)、保健美化委員長(2年生)、保健美化副委員長(1年生)、図書委員長(1年生)、図書副委員長(2年生)の計14名の役員が信任されました。7月19日(金)に新生徒会役員の認証式を行います。
生徒会役員の皆さんは、最高の議決機関である生徒総会の開催をはじめとして評議委員会、選挙管理委員会及び各種委員会の実施、会計監査委員会による生徒会会計の監査、妙見祭や球技大会等の数々の行事に係る企画や運営、始業式や終業式等を含む式典行事の準備や片付け、オープン・ハイスクールでの中学生の皆さんやその保護者の皆様への説明や案内、動画作成、多可町高校生議会への参加やその準備のためのワークショップの実施、様々な地域行事や兵庫県主催行事への参加等、たくさんの行事について生徒会顧問の先生方と協力して実行し、すべての生徒の皆さんから成る生徒会全体をリードしています。このような生徒会の活動は、代々受け継がれその経験が積み重ねられ、常に新しいことを生み出す機運があります。
また、新たな歴史が始まります。
情報モラル啓発講習会
SNSの活用を有効に!
「情報モラル啓発講習会」は、最近増加しているSNSに係るトラブルを起こさず、それらについての認識を深めて、被害者にも加害者にもならないために全校生で一斉に学ぶ機会です。7月9日(火)、笑顔と笑顔のコミュニケーションをモットーとされる株式会社「ニコニコム」でITサポートに携わっておられる山口あゆみ先生にご講義をいただきました。山口先生は、スマートフォンやインターネットの使用に係る啓発活動を、子供たちだけでなく、保護者の方や教職員、企業従事者などに向けて行っておられます。また、他にも京都府警察ネット安心アドバイザーやe-ネットキャラバン認定講師等の多くの立場を持っておられます。
講義は、PCやスマートフォンなどインターネットに接続できる機器が、自宅に何台ありますか?の問いかけから始まり、『人の気持ちを考える』、『情報発信の方法を考える』、『情報の信憑性を考える』、『法律を考える』、『相談先を知る』等の内容から構成され、それぞれの観点について具体例を示しながら丁寧にお話しいただきました。人により物事の捉え方や感覚は異なること、SNSを通じて発信された情報は、写真等の画像であれば人物の背景や映り込んだ物等から住所が特定される可能性があること、出典が明らかでない情報を信用して拡散してはならないこと、ネットの向こうはどんな人かを常に念頭において慎重に行動すべきこと、軽はずみな書き込みや投稿が「名誉棄損罪」、「肖像権の侵害」や内容によっては「偽計業務妨害罪」等の罪に問われることがあること、トラブルに巻き込まれたときは、「こどもの人権110番(法務省)」、「警察相談ダイヤル♯9110」、「インターネット・ホットラインセンター」等の相談先があることを知っておく等、理解しておかなければならない大切なことをたくさん学ぶ機会になりました。山口先生が最後におっしゃった「考えるための知識を身に付けて、考える力を磨きましょう」の言葉が頭に残りました。
夏季球技大会
清々しい全力プレーに見ごたえがありました
期末考査が終了してホッと一息ついた週明けの7月8日(月)、夏季球技大会を開催しました。朝のSHR終了後、更衣を済ませて体育館に集まっての開会式で、生徒会長さんから、試合開始予定時刻の5分前には集合すること、集合していなければ不戦敗になることもあること、こまめな水分補給を心がけて最後まであきらめずにプレーしてください等の呼びかけがあり、球技大会が始まりました。
雲が太陽光の直射を遮っている時間があったり、時折吹く風も心地よかったりしたこともあり、昨日ほどの極暑ではなかったものの、環境省熱中症予防サイトの暑さ指数(WBGT)の予測値を確認しながらの球技大会でした。各種目会場で教員が選手の健康状況を注視しながら、また養護担当の主幹教諭の先生が中心となり、各会場でヒートアップしている選手に水のミストを浴びせたりして熱中症予防には細心の注意を払いました。おかげで、特に熱中症の症状に陥る生徒はありませんでした。競技は、グラウンドでのサッカーとモルック、体育館でのバドミントンでしたが、常に応援の声や歓声が会場に響き渡り、随所に好プレーや粘り強く諦めないプレーが繰り広げられ、観戦していても思わず力が入ったり、接触プレーがなく非常にマナーによい選手の態度に感心したりしました。モルックは、今年の8月に函館で世界大会があるそうですが、チームとしても個人戦もできる種目で、この球技大会で採用しているチーム戦では、チームでの戦法による声掛け等が勝ちのカギを握っています。お昼ごろには全種目が安全に終了し、体育館で閉会式を行いました。躍動感とチームの一体感、互いの心配りで気持ちよくプレーし、見ていても清々しく楽しい球技大会にでした。
チャリティーコンサート 第31回ブラスフェスタ イン ベルディ
The 31st BRASS FESTA in Verde
7月7日(土)、多可町中学校吹奏楽連合、神戸シンフォニックバンド、多可町及び多可町教育委員会が中心となって「ブラスフェスタ イン ベルディ」が、多可町文化会館(ベルディホール)開催されました。神戸シンフォニックバンドのファンファーレで始まった演奏会で、本校の吹奏楽部は氷上西高校吹奏楽部との合同で、トップバッターで見事な演奏を披露しました。決して多くはない部員数ですが、顧問の先生や日頃から指導頂いている先生も加わり、日日の練習に一生懸命取り組んだ成果を堂々と自信を持って演奏する部員の姿が爽やかで印象的でした。演奏後の会場からの大きな拍手が、その素晴らしさを物語っていました。その後、中町中学校、八千代中学校、加美中学校、神戸シンフォニックバンド、そして出演者全員での合同演奏と続き、盛り上がる会場と一体となって聞き惚れる、心が洗われるかのような美しくて優しい演奏会となりました。
出演された各中学校の吹奏楽部の皆さん、毎年出演していただいている神戸シンフォニックバンドの皆さん、本演奏会の企画や運営に携わり、力強く支えて頂いた関係者の皆様、指導される先生方、会場にお越しいただいた保護者等の皆様、すべての方々に感謝いたします。