ブログ

校長室より

たかの風を受けて

このたび、着任するにあたり、前任の藤井俊校長先生から「たかの風」という冊子をお借りしました。在校生の皆さんが書いた文章を一つ一つ読んでいると、学校周辺の魅力が伝わってきました。多可町のグッドポイントとして紹介されていたのが、「人の温かさ、自然の豊かさ、そして地域の産物」です。

多可高校の周囲は、豊かな自然に恵まれています。その中で、生徒たちは伸び伸びと成長しています。

すれ違うときはお互いに挨拶を交わし、始業式・入学式・離任式で演台に飾られていた美しい花は、式典終了後、日本文化部顧問の先生が校内の各所に生け直してくれました。

新年度は力が入り過ぎます。体調には十分気をつけて、心身を労りつつ最善を尽くしましょう。

 

 

 

 

 

出会いをありがとう

 

優しさを感じる空間

多可高校に赴任して間もない頃のことです。

 ある授業を見学に行きました。着任して初めての見学でした。授業の終わりの挨拶の後、自分の出した消しゴムの屑を丁寧に机の上で集めてゴミ箱に捨てに行っている人がありました。よく見るとその授業を受けていたほとんどの人が同じことをしていました。自分の出したゴミは自分で始末する。ごく当たり前のことなのですが、とても新鮮で爽やかな光景でした。このような心がけは、決して授業に取り組む姿勢や意欲と無関係ではないと思うのです。さらに、それをクラスのほぼ全員の人が行っている。ふと周囲を見回すと、やはりその教室はなんとも言えず美しい空間でした。床にゴミやほこりなどありません。黒板の溝は隅々までチョークの粉が拭き取ってあります。とても清々しくて、その場で勉強をはじめとしていろいろな活動をしている人が生み出している環境がまた温かく、心安らぐ気がしました。落ち着いて学習に集中できる快適な場所でした。「お互いが、しっかりした目標を持ち、前に進もうとする」ために、集団の中に良い「雰囲気」を作り出すことは必要だと思います。

 誰もが気持ちよく学校生活を送るために、本当の意味での優しさがここにはあると思いました。

 私が小学校時代に読んだ絵本「モチモチの木」の中で、じさまが「人間、優しささえあれば、やらなきゃならねえことはきっとやるもんだ」と言います。本当の意味で皆が優しい心を持っていれば、一緒にいる人の立場や気持ちをよく理解して、一緒に取り組める空間ができます。課題を解決して成果を生み出せる空間ができます。

 多可高等学校には、そのような空間がどこにでもあります。

 

卒業式前後に先生方に送ったものです。

校長から.pdf

卒業式を終えて.pdf

令和6年度3学期終業式

令和6年度の終業式を終えました

式辞

 皆さんおはようございます。令和6年度も終業式の日を迎えました。今年度も、妙見祭、体育大会、修学旅行等の行事や部活動はもちろん、小学校での和太鼓演奏や読み聞かせ、様々な地域交流、フレンドシップコンサートや防災ジュニアリーダー、DXハイスクールの取組、タイ王国から短期留学生も迎えました。週明けには、多可町商工会と連携で行っているJOBトライやる報告会があります。

 皆さんが主体となって活躍する場面が多くあったこと、とても誇らしく思います。

 今日の午後は、合格者説明会があります。先日の合格発表で合格者が喜んでいる様子を校舎から見た人もあったと思いますが、私自身もとても新鮮で嬉しい気持ちになりました。今年は雪の予報があったので、担当の先生の提案で多目的ホールで発表を行ったことも大成功でした。今日は少し天気予報の話から入ろうと思います。何日も前から天気のわかる予報ってすごい技術ですよね。この日の予報はドンピシャだったので、特にそう思ったのですが、最近の天気予報は精度が高くて驚くことがあります。

 天気予報は、日本では明治時代に始まったそうですが、最初は東京の交番での1日3回の掲示だったそうです。それも日本全国でたった一つの予報でした。日本の天気は・・という具合です。今の天気予報は、天気図の移り変わりから、予報官の「勘」に頼っている訳ではありません。地球全体の大気の動きを数値的にシミュレーションするため、世界で1、2を争うようなスーパーコンピュータによる計算の結果なんです。

 しかし、このように精度の高い天気予報もほんの少しの間違いがあると、途方もなく違った結果になってしまうことが知られています。このことは1960年代にアメリカの数学者で気象学者のエドワード・ローレンツが発見しました。彼は、気象を研究していた際、わずかな違いが天気予報に大きな影響を与えることに気が付きました。この発見は、バタフライ効果と呼ばれるようになりました。「ブラジルでの蝶の羽ばたきはアメリカで竜巻引き起こすか」という講演もしています。

 このように少しの間違いが、後に大きな影響を及ぼすバタフライ効果は自然の中だけのことでなく、社会での物事でも、自分の行動でも言えることだと私は思っています。例えば、何か行動をしようとしたとき、最もよい方法はわかっているのに、それがしんどいからと、より楽な方法を選んだり、自分に与えられた役割の負担が大きそうだから、それを避けて通ろうとしたり、・・・・・・・ そうすると自分自身はもちろん、周囲にとっても想像以上に将来にわたって大きな影響を及ぼすことがあります。正しくない行動の選択から何年も経過してから、その悪い影響を思い知ることがあります。

 一期一会という言葉がありますよね。一生に一度の出会い、その気持ちで丁寧に真剣に過ごさなければならないと思います。そのときの自分の行動や選択は、何年か後に自分を助けてくれることもあれば、その逆も大いにあります。先ほどの人の行動のバタフライ効果は、自然界の出来事以上に人生に関わる影響が強いと考えます。 

 現実には、この人とはもう会わないと思っていても、世界は狭いもので、どこかで会います。直接その人とは会わなくても、不思議と自分のことを誰かから聞いて知ってましたという人には何度も会います。              

 統計学で知られる"6次の隔たり"という理論があります。
人には平均44人の知り合いがいて、6人分の知り合いを掛けると、つながる可能性があるのは、44人の6乗つまり、72憶5631万3856人。世界の人口は約80億人ですから、理論的には6人の数珠つなぎで世界中の誰とでもつながる可能性がある、という考え方が"6次の隔たり"です。

 九州で「北海道の知人を紹介してください。もしいなければ、北海道に知人がいそうな人を紹介してください」と人々に尋ね回った結果、北海道の人に辿り着くまでの平均人数は7人だったという結果があります。

 探偵!ナイトスクープで、「日本最西端の与那国島で最初に出会った人に友人を紹介してもらい、何人目で明石家さんまさんに辿り着くか」という企画の結果は7人でした。 

 自然界のバタフライ効果以上に人間社会のバタフライ効果は、このような人のつながりのために、そのときの判断や選択のミスが、後の自分や周辺に与える影響はとても大きいのです。

 何かの役割から自分が逃げたとしたら、誰かがそこをカバーしないといけない、そのマイナスの影響はどんどん広がって、何年かたって、もしかしたら何十年もたって、自分を貶めることになるかもしれない、でも逆にほんの少し頑張ってそこを乗り切ったら、自分の能力アップや経験値のアップだけでなく、先ほどの6次の隔たりのようにどんどん広がって、自分を助けてくれることが必ずあります。

 ただ、自然界とは違って、人の行動はやり直しができます。ときどき自分を振り返ってみてください。取り返しがつかなくなる前に、反省点があれば修正してください。どうしても誰かに助けてもらわなければならないときは、当然あります。そのときは、それが権利であったとしても助けてもらうことが当たり前と思わないでください。周囲に気持ちよく助けてもらえることもその人の力だと思いますが、助けてくれる人は時間とか労力とか自分のどこかを犠牲にしていることがあります。深く感謝の気持ちをもって、次は自分が助けてあげてください。

 何度も言ってきましたが、いつでも誇り高く生きてください。「自分の立場をきちんと理解して、その立場であることが恥ずかしくないように正しくそして強く振る舞ってください」 

 明日から春休みです。新2年生も新3年生も、4月には、何よりも元気で全員がここに集まることが出来るよう心から願っています。

 最後に、多可高校は今年、創立50周年を迎えます。多可高校が地域から愛される学校として歴史を重ねるとともに、一人ひとりが健康で幸せな毎日を送ることが出来ますよう心から願い、3学期終業式の言葉とします。

今回もたくさんの表彰伝達を行いました

★ 多可町年賀状コンテスト 優秀賞

★ 文書デザイン検定 1級:2名  2級:7名

★ 情報処理技能検定 準1級:2名 2級:3名

★ 球技大会 ボッチャ優勝  2年1組C  バスケットボール優勝 2年1組

      ドッジボール優勝 2年2組  バドミントン優勝 2年2組 

第49回卒業式

49回生が巣立ちました

 『多可高等学校で何のために学ぶのか』また『何をどのようにして学ぶのか』の答えを自らに問い続け、その答えを探し当て、これから生きようとする社会に直面した人としての責任を意識し、決して平坦ではないであろう道をどんなことも乗り越える気構えで、しっかりと上を向いて歩き続ける。                         

 そんな思いで進路を決め、今日の日を迎えた49回生。

 少し緊張した面持ち、それでいて堂々とした入場。担任教員からのl呼名に対して冴えわたる返事で起立し、凛として充実感に満ちた表情で卒業証書を受け取る。在校生代表の送辞を心に留め、卒業生代表の答辞では、3年間の高校生活の思いが溢れ出すことを止めることができませんでした。「進取、自主、創造」の精神を謳う校歌を胸張って高らかに歌い、その後は会場全体の盛大な拍手を受けて、潔く卒業式会場を後にしました。

 厳粛な中にも温かさに満ちた素晴らしい卒業式でした。学校として誇れる卒業式でした。生徒たちは、学校と保護者、そして地域の方々との連携で、愛情もって全力で手がけた教育、そしてそれらを受けた自らの強い意志により成長したのだと思っています。全力で手がけた教育というのは、人の痛みがわかる、様々な場面で人の心の内を想像できる、思いやりの大切さを根幹として伝え、愛情をもって体力や学力を鍛え、本気で褒め、本気で叱り、本気で励まし、協調性を保ちながら何事にも一生懸命になることの大切さを教えた教育です。それらを全身と全心で生徒たちは受け止め、自らの意思で成長しました。

 私たちの学校を信じてくれた生徒たちをこれからもすっと応援します。

 

 

第14回フレンドシップコンサート(12・21) 今年度の行事から

フレンドシップコンサートが14回目を迎えました

フレンドシップコンサートは、多可高等学校吹奏楽部と軽音楽部が互いに切磋琢磨しながら練習に励んだ成果を披露して、多可町立加美中学校・中町中学校・八千代中学校の吹奏楽部の皆さんとの交流を深めながら、それぞれの活動を次の代に引き継ぐ大切な機会になっています。今年度は多可高等学校の美術部と日本文化部(華道・書道)も展示等の形で一緒にコンサートを盛り上げました。

多可高等学校 軽音楽部 今更だって僕は言うかな(Saucy Dog)作詞:石原慎也/作曲:あいみょん  恋人たちのクリスマス(ヤングスキニー) 作詞作曲:かやゆー。  クリスマスソング(back number) 作詞作曲:清水依与吏

中町中学校 吹奏楽部 名探偵コナンメインテーマ 作曲:大野克夫/編曲:宮川成治  崖の上のポニョ 作曲:久石譲/編曲:佐藤博昭  プリンセス・メドレー 編曲:宮川成治

八千代中学校 吹奏楽部 僕のこと 作曲:大森元喜  海の見える町 作曲:久石譲/編曲:西條太貴

加美中学校 吹奏楽部 げんこつ山の夕焼け 作曲:三浦秀秋  Exclamation Marks 作曲:高橋宏樹  G-Force 作曲:John Beck  Shake It Off 編曲:郷間幹男

多可高等学校 吹奏楽部 宝島 作曲:和泉宏隆/編曲:宮川成治  銀河鉄道999 作曲:タケカワユキヒデ/編曲:宮川成治

中高吹奏楽部合同演奏 管楽器と打楽器のためのセレブレーション 作曲:James Swearingen  African Symphony 作曲 Van McCoy/編曲:岩井直薄 マツケンサンバⅡ 作曲:宮川彬良/編曲:山下国俊

 開会の挨拶

会場の皆様 こんにちは 多可高等学校校長 です。

本日は師走の大変ご多用の中 ようこそ14回フレンドシップコンサートにご来場くださいました 心から歓迎申し上げます。多可町立の中町・加美・八千代の3つ中学校と多可高等学校の音楽や様々な文化活動が大好きな仲間が一斉に集まって、このような素晴らしい会場でコンサート、発表会が実施できますこと本当にうれしく思います。今年は多可高等学校の美術部と日本文化部も一緒にコンサートに華を添えました。お時間の許す限りご覧頂けましたら幸いです。

今日のために発表者は、各中学校や高校の活動場所で一生懸命準備をして、ときには一斉に集まって演奏や作品をつくりあげてきました。特に今年の9月には、中学校と高校の合同演奏の指導を佐渡裕さんにお越し頂いて実施できました。本日はさらにクリスマス間近の彩りを添えて素敵な時間になることと思っています。

多可町は、酒米の山田錦、杉原紙、敬老の日と日本の様々な歴史に大きな影響を与えた誇るべき文化発祥の地です。出演者と参加者全員による心を合わせた発表が、客席の皆様の心に潤いと安らぎ、さらに爽やかな感動となって届きましたら幸いです。そのような素晴らしい土地で、将来に向けて羽ばたく力が健やかに成長することを願って止みません。今日はそのような思いも込めて、出演者・発表者と会場の皆様が一体となった盛大で華麗なステージを盛り上げたいと思います。

最後になりましたが、このフレンドシップコンサートを創り上げるためにご尽力を頂きましたすべての方々に感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

本日はどうぞよろしくお願いいたします。  

多可高未来プロジェクト (12・20) 今年度の行事から

多可高 未来プロジェクト

~「心のサポートシステム」及び「DXハイスクール」についての実践発表と講演会~

本校は、「福祉のこころ」を備え、地域に学び、地域に貢献し、地域を支え、自立して未来に挑戦することのできる人材育成をスクールミッションとして教育活動を行っています。本年度は兵庫県や国の新たな指定事業を受けて、さらなる学校の魅力化・特色化に取り組んでいますが、主に兵庫県の「心のサポートシステム」と文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業 ~DXハイスクール~」の実践及び成果研究発表とそれに係る講演会を『多可高 未来プロジェクト』と題して実施しました。また、来年度は本校創立50周年記念の年となることも踏まえて、学年毎のチームで校歌コンクールを行いました。各事業の発表では、教員からの事業取組説明とともに、防災ジュニアリーダー、多可町高校生議会、多可高ちいきふれあいプロジェクト等について、その事業で展開した取組について主に生徒主体での発表を行いました。また、DXハイスクール関連ではドローンのプログラミングによるデモ飛行も行いました。校歌コンクールについては、声量やハーモニーだけでなく歌う姿勢等も観点として評価しましたが、どの学年もその立場での頑張りに甲乙がつけられず、全学年の優勝となりました。

多可高 未来プロジェクトで対象となる事業

【高校生心のサポートシステム】〈テーマ〉よりよい人間関係を形成する力を育む実践研究  〈主な学び〉「自他共に尊重して認め合えるよりよい人間関係」の構築を考える機会をつくる。〈取組例〉ちいきふれあいプロジェクトでの小学校交流及びPTAとの合同による地域クリーンアップ活動、多可町高校生議会、ボランティア活動、特別支援学校との共同学習、学年縦割りチーム編成を含む体育大会等学校行事、生き方及びデートDV等各種講演会、防災ジュニアリーダー学習会、未来を拓く少年会議、北播磨ビジョンフォーラム等の様々な校外発表会や学習会への参加

【DXハイスクール】〈テーマ〉高度なデジタル機器を活用しながら、情報収集及び情報活用を適切に行い、様々な人々の暮らしの実情を的確に把握して分析し、一人ひとりがwell-beingを実現できる社会を目指す学びを推進する。〈主な学び〉ドローンや組立式ロボットによるプログラミング学習、3Dスキャナや3Dプリンタ等を用いた福祉関連用具等のデザイン、VRゴーグルやハイスペックコンピュータを活用したバーチャル空間での高齢者に係る学び、モーションキャプチャを用いた運動におけるAI骨格検出と分析に係る研究

「身体と世界が拡張し融合する複合現実XR」複合現実の仕組みと高齢者福祉への応用

  大阪大学大学院基礎工学部教授・総長補佐       佐藤 宏介 先生 

佐藤先生紹介 大阪大学基礎工学部をご卒業後、大阪大学大学院基礎工学研究科前期課程を終了され、その後、大阪大学基礎工学部、米国カーネギーメロン大学、奈良先端科学技術大学院大学などでご勤務後、現在は大阪大学基礎工学研究科教授でおられます。大阪大学では、全学教育推進機構長や、副学長等の要職を歴任され、現在は総長補佐の立場でもおられます。ご専門は、計測工学(三次元画像計測やコンピュータビジョン)、画像システム(複合現実感)、ヒューマンインタフェース(身体拡張)、福祉支援工学等です。

ご講演内容 XR、すなわちクロスリアリティは、現実世界と仮想世界を融合して新しい体験を創る技術で、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)等の先端技術もその1つです。目の前の空間が現実世界を超える体験とコミュニケーションを可能にする新たなリアリティ世界への変容、私たちの五感や身体も変容させる最新の複合現実感技術

 開会の挨拶

ご来場の皆様 多可高等学校の皆さん。おはようございます。

さて、本日は令和6年12月20日ですが、ほぼ1年後の令和7年12月13日(土)に、ここベルディホールの会場をお借りして、多可高等学校創立50周年記念式典を行ないます。創立50周年記念式典の1年前のプレ-イベントとしての多可高未来プロジェクトが、大阪大学基礎工学研究科教授で総長補佐を務められています佐藤宏介様、兵庫県教育委員会事務局高校教育課 野間良重主任指導主事様をはじめ、地域行政や商工会の皆様、地域連携施設の皆様、学校関係者の皆様にお越しいただいて開催できますことを大変嬉しく思います。

多可高等学校は、「福祉のこころ」を育み、地域で学び地域に貢献する人材を育成する学校として、本日来賓としてお越しの皆様にいつも本校の教育活動に直接ご支援、ご協力を頂き深く感謝しております。

学校の様々な教育活動は、文部科学省と兵庫県教育委員会のもとで展開されていますが、特に学校が重点的に取り組む内容について、そのことについての研究指定校となり、文部科学省や兵庫県から特別の支援を頂いて進めることがあります。現在、多可高等学校はいくつかの事業の研究指定を頂いていますが、本日の多可高未来プロジェクトは、特にそのうちの2つの事業についての企画です。1つは、昨年度から「よりよい人間関係を形成する力を育む実践研究」というテーマで取り組んでいる『高校生心のサポートシステム実践・研究』、もう1つは本年度から指定された文部科学省の高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)です。それらの取組内容や成果の発表を教員と生徒が一緒に行ない、さらに大阪大学教授・総長補佐の佐藤宏介様から先進的で近未来的な内容でご講演を頂きます。さらに、50周年を見据えて、学年毎に校歌を歌うコンクールもメニューに入っていて、私自身も今日のイベントに気持ちが躍る思いです。

本日の多可高未来プロジェクトは本校の新しい取組を地域の方々と一体ともに、来年度50周年の大きな転機を迎える学校として、さらに地域の皆様と一体となるさらなるTAKAみを目指す大切な機会と考えています。

本日はどうぞよろしくお願いいたします。

高校生心のサポートシステム講演会 (12・16)  今年度の行事から

青年期の心の危機にどう向き合うか ~折れない心でピンチをチャンスに~

                  関西外国語大学  教授  新井 肇 先生

12月16日(月)3、4校時に、関西外国語大学教授  新井肇先生にご来校いただいて高校生心のサポートシステム講演会を実施しました。新井先生は、埼玉県の高校教員として30年間勤務された後、2006年から兵庫教育大学大学院教授としてお勤めになり、2017年より現職に就かれています。ご専門は、生徒指導論・カウンセリング心理学で、現在は、日本生徒指導学会副会長、文部科学省「いじめ防止対策協議会」座長を務められ、生徒指導提要の改訂にあたっては、「生徒指導提要の改訂に関する協力者会議」副座長を務めておられます。新井先生は、いじめ防止や自殺予防等を中心として、生徒指導の理論と実践を架橋する研究において日本の第一人者であり、youtube動画においても生徒指導提要の解説等をされています。

ご講演当日は、本校生徒及び職員だけでなく、他の中学校や高等学校からも多くの教員の参加がありました。

ご講演では、「危機の乗り越え」ということを基軸にして、レジリエンス、コミュニケーション力、人間関係づくりについてお話していただきました。

負荷がかかるとしなる竹のように、訪れる危機に対しての抵抗、復元、耐久、再起、回復等を意味するレジリエンス(折れない心・立ち直る心)を育てること、その中で人を信じて頼ったり、相談する力、リフレーミング(別の視点から見直す)を培うことの大切さ、さらに参考とすべき大切なこととして、生き心地のよい町の特徴は、「①異質の要素を受け入れ、多様性を尊重する ②人物の評価は多角的に長期的に行う ③自己信頼感・自己有用感を醸成できる ④緊張しすぎない、緩やかな繫がりを維持する ⑤問題を一人で抱えず、人に相談する」であること、また心理学者のクランボルツ教授の計画的偶発性理論にも言及され、この理論では、成功するキャリアを築くために、偶発する出来事を待つのではなく、自ら引き起こすべく行動することがポイントとなり、「好奇心(新しいことに興味をもつ)」「忍耐力(困難にあってもあきらめない)」「柔軟性(こだわりすぎない)」「楽観性(チャンスは必ず訪れる)」「冒険心(結果をおそれない)」の5つの行動特性を持つ人にチャンスが訪れやすく、危機に陥っても乗り越えていける・・・等についてスライド資料を用いて丁寧にゆっくりと話して頂きました。

最後は、『レジリエンス』『リフレ―ミング』『クランボルツ教授の5つの力』『人に相談する力』を培い、これからの人生の中で自分の可能性を信じて頑張ってください。いつでも、ためらわずに人に頼っていいということを皆さんに伝えたいと、お話を締めくくられました。

大変ご多用の新井先生のスケジュールの中で、貴重なご講演をいただくことができました。生徒・教員とも今後の人生の中で常に思い返したい内容が満載のご講演でした。

                        

 

  

3学期始業式

2025年 巳年のスタート!!

始業式 校長から 

皆さん、あけましておめでとうございます。世間ではインフルエンザが流行していますが、こうして皆さんが登校することができて、とても嬉しく思います。2学期の終業式でいくつかのことも皆さんにお願いしました。安全に健康的な生活を送ることが一番でしたが、冬休みは、自分を見つめ直し、新たな目標を立てる機会ですから、勉強や部活動、生活を振り返って、来年に向けてどうしたいかを考えてくださいともお願いをしました。どうでしたか? 私自身も、いくつかのことを考えながら、「新しいスタート」を今年の大きなテーマに掲げています。このことは、もちろん皆さんにも望むことです。3年生は今年高校生活を終えて、まさに新しい生活がスタートします。1年生、2年生もそれぞれの立場で新しいスタートを切って欲しいと思います。

「新しいスタート」は今年の干支にも因んでいます。2025年は、十二支の前から数えて6番目の「巳(み)」の年です。巳すなわち蛇は、八岐大蛇のように怖いイメージもありますが、他方で神として神社で祀られる神聖な存在です。「巳」は胎児の形からできた文字で「生まれる」とか「将来や未来がある」という意味があります。また、脱皮する蛇のイメージで「巳」年は、「復活と再生」を意味する年なのだそうです。また、「巳(み)」を「実(み)」にかけて、植物に種子ができはじめる時期や次の生命が誕生する時期など、新しいことが始まる年になると言われています。一方で、蛇は隠れた場所に棲むことから「無意識」や「潜在意識」また、「自分の知らない側面」の象徴ともされているようです。今、新しいことが始まる年と言いましたが、過去の巳年の出来事を調べてみると、日本では昭和天皇の崩御を受けて、年号が「平成」になりました(1989年)。また、世界に大きな影響を与えた出来事として、東西冷戦の象徴であったベルリンの壁の崩壊も同じ年でした。スポーツ界では、イチロー選手がシアトル・マリナーズでプレーを始めたのも巳年です(2001年)。(話さなかったのですが、そもそも21世紀のスタートが巳年ですね。)

皆さんにとって、この1年が、脱皮を繰り返して成長する蛇のように、挑戦と経験を重ねてそれを力として、大きな新しい自分に成長する時間になることを願っています。また蛇の動きのようなしなやかさをもって、どんなことに対しても時と場合に応じて柔らかく対応することを望みます。そして、自分の心にも相手の心にも柔軟に対応すれば、またその中で想像力を働かせてゆとりをもてば、無意識のうちに、そして潜在意識の中でいろいろなことに「感謝の気持ち」と「思いやり」が常に保てるはずです。

多可高等学校にとっても、1月は始まりの月です。1月14日は、本校の創立記念日です。多可高等学校ができる前は、多可郡には県立高等学校が一つもありませんでした。「多可郡に県立高校を」という地域の方々からの強い願いから、多可高校は生まれ、地元に根付いた学校として、地域から大切にされてきました。本校は、昭和49年兵庫県立西脇北高等学校多可分校として発足し、昭和51年兵庫県立多可高等学校として独立しました。現時点で、卒業生は7358名で、その約7割は、地元多可郡・西脇市で活躍され社会に大きく貢献されています。地元を支えているのは、多可高校の先輩、卒業生です。役場や商工会に行っても、先輩がたくさんおられます。

今年は、創立50周年を迎える本校で、みなさんが明るく元気に活躍できることを願っています。

多可町も20周年を迎えます。

※ ここに掲載しています校長の話は、実際の式での話とは、多少言葉が変わっていることをご了承ください。これまでも同様です。

 

表彰伝達

情報処理技能検定試験  2級6名(2年生) 準2級1名(2年生) 3級1名(2年生)

文書デザイン検定試験  2級2名(2年生) 3級1名(2年生)

プレゼンテーション作成検定試験 1級3名(2年生)

日本語ワープロ検定試験 3級2名(2年生)

文書入力スピード認定試験 3級1名(2年生)

 

 

 

2学期終業式

「2学期終業式」と「表彰伝達」を行いました

校長式辞

皆さんおはようございます。今年は去年より長く暑い夏でした。短い秋の後、すぐに冬がやってきて本格的な寒さが訪れています。皆さんも慌ただしい2学期を過ごしたのではないでしょうか。  

体育大会や修学旅行等の学校行事、多可校ちいきふれあいプロジェクトや北はりま特別支援学校との共同学習、進路ガイダンス、高校生心のサポートシステム講演会やゲートキーパー講演会、先週は多可高未来プロジェクトで学習成果発表をして、校歌コンクールを実現しました。また、DXハイスクール事業として大阪大学の佐藤教授の貴重で近未来的な研究の講演を聞きました。そして、総合文化祭での文化部の入賞、各運動部の試合での頑張り、土曜日にはフレンドシップコンサートも開かれ、吹奏楽部や美術部、日本文化部も素晴らしい成果を発表しました。そして3年生は進学のための入学試験や就職試験を乗り切りました。

多可校未来プロジェクトでの校歌コンクールは、学年に差のない順位になりました。歌声やステージ上での姿勢や態度、雰囲気、練習成果の披露等の観点での評価です。ステージ上での態度、姿勢や雰囲気がさすがだなと感じたのが3年生、歌声が力強かった2年生、校歌を知ってから最も時が浅い中で頑張ったのが1年生、それぞれの立場で、しっかり役割を果たしました。

1学期に続いて、やはり皆さんの姿を見ていて素晴らしいと思うことがたくさんありました。授業の様子や学校行事はもちろん、オープン・ハイスクール等で来校した中学生に対して説明や案内する姿、ベルディホールでも堂々とした発表を見ました。11月、タイ王国から来られた先生がいきなり授業に入ってこられて、スマホのアプリで話しかけられましたが瞬時に、にこやかに対応した人がありました。タイ王国の先生は、そのときの交流をすごく喜んでおられました。おそらくその印象が強くて、来年も多可高に来たいとの連絡が最近あったところです。先日の中町北小学校での地域ふれあいプロジェクトでの太鼓演奏、北小の先生から突然「かけ声のところだけやって欲しい」と言われて、ステージ上で打ち合わせて、見事に対応しました。また、放課後や土日、人数は多くなくても、一生懸命部活動に取り組んでいる姿も清々しい思いで見ていました。

そのような人達に声をかけたとき、「当たり前のことを当たり前にしてるだけです」と答える人があります。その返答の仕方に感心します。当たり前のことをきちんととすることの大切さを強く認識しているのでしょう。

何かを問いかけられて、「ハイ」って言える、「おはようございます」とか「こんにちは」と自分から気持ちよく言う。無意識にスッとできることの気持ちよさは、自分にとっても相手にとっても好印象です。

気持ちの良い対応のできる人には当然人が集まります。大人であれば仕事も増えます。自分にとってチャンスが増えます。つい先日、本校の卒業生が私に会いに来てくれました。彼は今、会社の社長をしていますが、20年ほど前に私が3年間担任をした生徒です。彼は当時から、このような姿勢を持っていたことを思い出しました。また、自己主張をする場面があっても、相手を嫌な気持にさせないで自らの意思を伝えることができる。とにかく否定的でなく肯定的に考えを言うことができる人でした。例えば、文化祭とかの行事の話し合いをするときに、彼がいると「・・・だから無理・できない・難しい」「・・・・しかできない」のような会話にならないんです。「・・・・無理」ではなくて、「・・・すればできる」、「・・・・しかできない」ではなくて「・・・まではできる」という具合です。

肯定的な考え方をすれば言葉遣いだけでなくて、行動が必ずプラスにはたらくと思います。できない理由はいくつでも言えますが、そうではなく、できる方法を絞り出そうとする習慣ができます。それをポジティブとかプラス思考とか言うのかもしれませんが、結局、可能か不可能かを決めているのは、多くの場合、人の意思だと私は思っています。「嫌だな、うっとうしい、しんどいな」は、どうしてもなら思ってもいいです。しかし、口に出すことは避けた方がいいのではないでしょうか。このようなことを含めて皆さんには、不可能だと思っても諦めない姿勢を身に付けて欲しいと思います。自らきちんと目標を設定した時点で、既に成果ができ始めています。

そして、まずはそのときに自分がいる場所で、立場で、しっかりと力を発揮して欲しいのです。与えられた場所で花を咲かせて欲しいと願います。その場で花を咲かせなかったら実ができない、種もできない、枯れた後に残るものがありません。そこで花を咲かせて実を結ぶから、別の場所でも花を咲かせることができると思います。

さて、冬休み、自分を見つめ直し、新たな目標を立てる機会です。勉強や部活動、生活を振り返り、来年に向けてどうしたいかを考えてください。また、年末年始は、家族との時間が増える機会です。普段はなかなか言いにくい感謝の気持ちを、言葉にしてみてください。「いつもありがとう」と言ってみてください。大掃除や新年の準備などの手伝いにも取り組んでください。ちょっとした手伝いが人に喜んでもらえることを実感できます。自分自身の成長にもつながります。

皆さんにもう一つ大切なお願いがあります。それは、安全に冬休みを過ごすことです。先日、北九州で中学生が命を奪われるという痛ましい事件が起こりました。このような悲しい出来事が二度と繰り返されないことを願います。冬休みは人の動きが活発になる時期でもあり、交通事故や犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。安全対策を徹底してください。

また、スマートフォンやインターネットの使い方にも注意してください。辛いときや迷うときがあれば、一人で抱え込まず、周りの人に相談してください。本日、配ってもらいますが相談窓口もあります。皆さんの成功を、私たち全員が心から応援しています。

冬休み、安全で有意義な時間を過ごしてください。そして、新学期が始まるときには、また元気な姿で皆さんに会えることを楽しみにしています。

新しい年が皆さんにとって安全で実り多い一年となることを祈っています。それでは、良いお年を迎えてください

 

表彰伝達

ふれあい書道展  奨励賞 2名(1年生)  敢闘賞 3名(1年生)

兵庫県高等学校総合文化祭 特選1名(2年生) 入選4名(2年1名、1年生3名)

校歌コンクール 優勝 全学年  

 

 

 

 

令和6年度県立多可高等学校 第49回体育大会

49回め体育大会テーマは「革命」 

去る9月27日(金)、令和6年度体育大会を行いました。前日の予行も爽やかな秋晴れ、本番も絶好の体育大会日和に恵まれました。ブログや動画で紹介していますように、予行から本番にかけて、学校全体の弾けるような躍動感溢れる雰囲気の中で、日頃の学びの成果を披露し、充実感と達成感の中、思いでいっぱいの行事を創り上げました。

開会の挨拶

今皆さんの力強い行進を見て、心が震える思いでここに立っています。そんな行進を見せてくれた皆さんに心から敬意を表します。改めて 皆さん おはようございます。

昨日に続いて本日も、朝から体育大会には絶好の天気に恵まれました。昨日午前の予行や予選、午後の練習でチームとして個人として、良かったところを意識して、改善すべき点は修正をして、より高い完成度で本日を迎えていると思います。

さて、今年のテーマは「革命」。1年生の若い力、2年生の力強さ、3年生の底力を総合して、一人一人の中にそして、多可高等学校として大きな革命を起こす。革命という言葉の意味はいろいろな表現がありますが、急激な物事に発展や変革を起こすという意味で、本当に力強いテーマが設定されました。

今日はこのテーマが意味する通り、多可校生一人一人の思いを集結して、チームの中で自分の存在をはっきりと意識しながら、多可高校第49回体育大会を皆さんの力で作り上げてください。

 そして、朝早くから駆けつけてくださいましたご来賓の皆様、保護者の皆様、本当にありがとうございます。また、地域の皆さま、今日は半日ご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますよう、この放送を通してお願い申し上げます。本日は存分に多可高生の躍動する姿をご覧ください。また力強く温かいご声援をいただけましたら幸いです。 

それでは、多可高校生の皆さん 皆さんの誇り高い意識の中で自らの役割を果たしてください。 感染症熱中症に注意しながら、3年生にとっては高校生活最後の体育大会で素晴らしい思い出、未来につながる思い出を作ってください。以上挨拶とします。

閉会の挨拶 講評

皆さん お疲れ様でした。

昨年度もそのように感じましたが、今年も予行と本番を見て本当に美しい体育大会だと感じました。

美しいと感じたのは、皆さんが全力で真剣に躍動する姿だけでなく、一人一人がクラスというチームの一員として、様々な工夫をして、上手くいかなかったことを次に繋げようとする姿やお互いに心底応援し合う姿、勝ったチームをたたえる姿等が本当に気持ちよく目に入ってきたからだと思います。

今回も、優勝という目的のもと、各種目で目標を掲げて、予行から予選、そして今日の本番に臨みました。その目的を達成するために、場合によっては具体的な目標を修正したり、増やしたりすることがあったと思いますが、そうやってその時と状況に応じてきちんと考えて、発生する課題を解決したり、たとえ失敗してもそれが次への糧になるように活動に挑むことはとても大切なことで、すべての学びに通じると思います。明日からの皆さんの生活のすべてに通じると思います。皆さんに将来起こりうるいろいろなハードルを乗り越える準備ができたと思います。

 本日は、これまでの準備段階から指導の中心になって頂いた体育科の先生、そして迅速かつ的確な動きのすべての先生方、生徒会や体育委員をはじめとした運営担当や各部活動の生徒の皆さんによって、素晴らしい体育祭となりました。 最後まで熱心に応援してくださった保護者の皆様、ご来賓の皆様に深く御礼申し上げます。皆様の暖かい声援によって、生徒は全力で競技に取り組むことができました。心から感謝を申し上げ、講評といたします。