総長・校長室より
振り返りについて(前期終業式から)(R5.9.27)
9月27日は、前期の終業式でした。総長の式辞の後に、校長のあいさつという時間がありますので、私から振り返りについてお話をしました。
普段忙しく、目の前のことをこなすことに精一杯な人にとっては、「振り返る」ことは、「後悔する」という後ろ向きのイメージに近いと感じられるかもしれません。
でも、明日のこと、未来のことは見ることができず、想像することしかできない我々にとって、直視できるのは過去だけであり、正しく振り返って今後に生かすという方法は、明日をよくするためにとても大切な知恵であり、スキルなのです。特に、未来を切り拓く「創進」という校訓を掲げる我々にとっては、必須のスキルだと、私は考えています。
以下は、終業式でお話しした内容です。中学1年生から高校3年生までがいるので、中学1年生にも伝わるよう、やや表現をかみくだいています。終業式での様子を思い浮かべる参考にしていただけるとありがたいと思っています。
終業式 校長あいさつ
終業式に当たり、2つの話をします。まず一つ目は、この終業式の意味についてです。なぜ終業式があるかわかりますか?
その本質的な意味は、区切りをつけるということにあります。この式によって、前期と後期に区切りをつけることができます。今日の式の前が前期で、次の始業式の後が後期という風に区切っているわけです。
区切りをつけることで、これから次の新たなスタートを切ることができます。それとともに、これまでの期間を「振り返る」ことができます。私が今日話したいことの一つ目は、この振り返りの方法です。
振り返るということには、いろんな使い方がありますが、私がここで言うのは、ぼんやり思い出すというという意味ではありません。そうではなく、正しく振り返るということです。そのためには、区切ることと目標が大切です。
区切ることによって、「いつからいつまで」とはっきりとらえることができますし、目標があることで、その目標と結果とを比べることができます。区切りがないと、ぼんやりとしたあいまいなことになりますし、目標がないと結果を評価できません。
どうですか? みなさんは、どうなりたいかという目標を明確に持っていますか?
ここが、今日の1点目です。今、終業式を迎えて、皆さんは、どんな目標を今学期の最初に持っていたのか、それをもう一度思い出して、それと比較して振り返ってもらいたいのです。
2点目です。
その振り返りの材料となるのは、本日手渡される通知表です。
この通知表に書かれてある数字は、ただの数字ではありません。皆さんのこの前期の学びがあらわされたものです。たとえば、同じ数字でも、仮に7としますと、うれしい7もあれば、悔しい7もあると思います(中学なら5段階なので、3や4で想定してください)。苦手な教科にどう取り組んだか、得意な教科はどうだったか。それを目標とともに振り返ることが大切なのです。
実は、この通知表について高等学校では、これまで保護者に郵送をしていました。しかし、今回郵送するということのリスクや費用のことがあって検討しているときに、やはり生徒の皆さんに直接渡す方がいいという結論になりました。それは、皆さんの成績なので、皆さん自身がじっくり振り返る方が大切だからです。
ただし、この成績を自分だけの秘密にしてはいけません。保護者の支えがあってこその学校生活であるということはもちろんですし、振り返りという視点から言っても、自分の振り返りを適切に、バランスよく行うためには、保護者の目線が必ず必要です。ですから、皆さんにお伝えしたいのは、この通知表を保護者に渡すときに、ただ渡すのではなく、自分の振り返りとともに渡していただきたいと思っています。この成績に至る際に、自分は、どんな目標を立てて、どんな取り組みをしてきたのか。その結果ここは、とてもうれしい結果になったということ。反対に、この成績は、こんな取り組みをしたけれど、こういう結果になっているということ。数字だけではなく、そこに至る皆さんの取り組みの過程を、是非自分の言葉で語ってもらいたいと思います。意味があるのは、数字に至る皆さんの取り組みですから、保護者の皆さんにその取り組みを聴いてもらってください。保護者は、学校の先生とともに、皆さんの一番の応援団です。
そして、その応援団との距離の取り方を覚えることが自立するということであり、大人になるということだということも付け加えておきます。
さて、きょうは2点の話をしました。1つは、正しく振り返ることの大切さ。もう1つは、通知表をもとに保護者に正しく振り返りを伝えてほしいということ。
秋季休業は、4日間で、来週の月曜日には、後期が始まります。後期の始業式でも私は皆さんにお話しさせてもらいますが、そこで皆さんに確認します。正しく振り返ることができたか? 保護者に伝えられたか? 正しく振り返ることにとって、とても大切なことは、「目標」です。ですので、始業式までに、適切な目標を立ててきてほしいと思います。それも、始業式で是非お尋ねしたいと思います。