総長・校長室より
夏休みに向けて(R6.7.6)
次の文章は、昨年の夏休み前に、私から附属中学校の皆さんにに送ったメッセージです。現在の附属中学2、3年生と附属出身の高校1年生の方が、読んだことがある!と思い出してくれればとても嬉しいですし、それとともに他の皆さんにも伝えたいメッセージなので、ちょっと長くなりますが、掲載します。まだ、夏休みまで少しありますが、考査が終わった今こそ読んでほしいと思っています。
40日の意味
ゴールから逆算して日を送った経験はありますか? 例えば、試験前。テストまであと5日で、テスト範囲が10ページあるなら、1日2ページで範囲を終えることができます。
部活動の大会前でも経験しているかもしれません。大会に出場するために必要な技術のレベルが1ランク上なのなら、そこに到達するためにどの程度の負荷をかけてどのくらいの期間の練習が必要なのかを考えて、メニューを考えて行くことになるでしょう。普段の学校生活では、そのような計画は先生が立て、日々を過ごしていくことが多いかもしれません。
さて、夏休みの話です。夏休みのいいところは、そのような計画を自ら立てることができるところにあります。40日という日数は、実はかなりのことができる期間です。その与えられた期間をどのように過ごすかについて考えて過ごすのと、そうでないのとは大違いです。附属中学の中には、14日間のオーストラリア語学研修に行く人もあり、その異文化を体験する日々は、貴重な財産になると想像されます。それでも40日の夏休みは、その期間のおよそ3倍近くあるのです。ちなみに3泊4日の修学旅行なら、10回行ける期間でもあります。
この夏休みを迎えるにあたって大切なことは、「何をするか」ということもありますが、その前に夏休み明けに何ができるようになっていたいかということを明確にイメージすることが第一です。たくさん考える必要はありません。むしろたくさん考えることは、焦点があいまいになるので、最もなりたい自分の姿を1つに絞ってイメージすることから始めてほしいと思います。それも40日でできることを考えて取り組んでみてください。
最初にネタバレをするのもどうかと思うのですが、実は私はその目標をかなえることだけが大切だとは思っていません。むしろ目標に到達することがかなわない経験も大切だと思っています。ただ、なぜかなわなかったのか、目標の立て方が自分に合っていなかったのか、目標までのステップの刻み方が現実離れをして無理があったのか、あるいは目標に至るその過程で想定外のことが起きたのか(またはその想定外のことを予定に組み入れるような計画が立てられなかったのか)、などという振り返りができ、振り返りを生かした次の計画の立て方が上手になることがとても大事だと思っています。目標がかなったかどうかも大切ですが、目標を達成する方法を学ぶことは、次の成功への応用が効くことだからです。
夏休み明けに描く自分の姿は、どんな姿ですか? まずは、わくわくするようなイメージをできるだけ具体的に思い描いてみましょう。そして、そこに到達するために必要なステップを考え、少しずつでいいので、毎日欠かさず計画を実践しましょう。計画がうまく立てられて、半分の20日くらいでイメージに近づいていくと、とても楽しくなっていきます。反対に計画どおりに行っていない場合は、途中で修正したり、計画を立て直したりする必要があります。アメリカ大リーグのエンゼルス大谷翔平選手のマンダラチャート※の例を出すまでもなく、夢をかなえる人はゴールまでのステップを繰り返し修正しながら近づいていく人です。実際皆さんの本当のゴールは、まだ10年、20年も先になる可能性が高いです。自分の本当のゴールの地点に立ち、そこからの長い目で見ると、この40日間の過ごし方がうまくいっても、いまくいかなくっても、どちらも貴重な経験になります。いずれにしても、そんな日々を楽しんで夏休みを送ってみてください。
※大谷翔平選手のマンダラチャート:9×9の合計81のマス目で構成され、中心のマス目に達成したい目標、その周りに目標達成に関連する要素を記入して自らの為すべきことを明確にする方法。大谷選手が実施していたことで有名になりました。詳しくはインターネットで検索してみてください。高校時代に記入した実物も掲載されています。(ちなみに2024年はドジャースですね)