2021年4月の記事一覧

4月全校集会

 令和3年度が始まって2週間ほどが経ちました。3年生は最高学年、受験生という自覚、2年生は中堅学年、先輩という自覚が持てていますか。1年生は高校生、明高生という自覚が出てきましたか。

 ところで、皆さんは、高校卒業後、あるいは大学などの上級学校卒業後、ほぼ全員が就職すると思います。

 今日、人口減少と並行して世界が経験したことのない猛スピードで労働人口も減少し、一部企業がコロナ禍の影響を大きく受けているとはいえ、就職活動においては、売り手市場が続いています。いわゆる、働き手が会社を選べる状況です。

 実は、先日、学生時代の友人と偶然出会いました。彼はある私立女子大学で教授として学生を指導する傍ら、就職担当の業務も行っているということでした。私が彼に、「選り好みをしなければどこかに就職できる時代だから苦労はないだろう」というと、「そんなことはない。内定を勝ち取る学生は何社も勝ち取るし、勝ち取れない学生は1社も勝ち取れない」というのです。そこで私が「どんな学生がいくつも内定を勝ち取ってくるのか」と聞くと、「いい子だよ。高校にもこの子はいい子だな、と思える生徒がいるだろう」という回答が返ってきました。

 話は変わりますが、私たちは日々、さまざまな人との出会いを繰り返しています。皆さんもこの春、ここ明高で多くの新たな出会いがあったはずです。その中で、「いい感じの人だなあ」などと、ラべリング、つまり評価をしています。

 第一印象を決める時間は7秒前後だと言われています。

 第一印象の決め手は視覚から80%、聴覚から15%、嗅覚などから5%だそうです。

 第一印象は短時間でほぼ視覚からの印象で決まることが分かります。

 視覚は、爽やかな笑顔・生き生きとした表情・きびきびとした動作・清潔感ある身だしなみなどです。

 聴覚は、挨拶・言葉遣いです。

 話は戻りますが、彼の言う「いい子」とはどんな人だと思いますか。

  皆さんは、「おはようございます。こんにちは。さようなら」、確かに多くの人はよく挨拶をしてくれます。本当に感心しています。しかし、表情や声の大きさは人によってまちまちです。にこっと笑顔の人、会釈もしてくれる人、立ち止まってお辞儀までしてくれる人、気持ちがいいですよね。

  私の友人は、「大学のキャンパスで、いつも笑顔で挨拶をしてくれる学生がいくつも内定を勝ち取ってくるんだよ」と話してくれました。一人の人間として最も大切なことかもしれませんね。

 小説家の三浦綾子さんは、「挨拶は心を開いて迫ることである。迫るとは近づくことである。心を開いて人に近づくのは人間としての基本的な在り方である」と言っています。皆さんはできていますか。

 さて、皆さんの中に、悪い印象を持たれたいと願う人は一人もいないと思います。できることならいい印象を持たれたい、一人でも多くの友人を持ちたいと誰もが願っているはずです。挨拶ひとつで印象は変わります。是非挨拶の質を高めてほしいと思います。

 ちなみに、爽やかな笑顔・生き生きとした表情を作るトレーニングとして「イ音」の練習があるそうです。たとえば「キウイ・キムチ・好き」、毎朝鏡を見て「キウイ・キムチ・好き」とつぶやいて練習してください。

  明高を皆さんとともにさらにいい印象の学校にしていきたい、皆さん一人一人が自ら積極的に挨拶することで一人でも多くの友人をつくり豊かな学校生活にしてほしいと思います。

 最後に、繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染防止ため、不要不急の外出と3密の回避、マスクの着用、手洗い、うがい、消毒を徹底してください。昼食時は「席を動かさない」「対面で食事をしない」「会話をしない」、この「3つのない」を厳守してください。また、登下校時、部活動時にマスクをしないで会話をするのも絶対にやめてください。加えて、家庭内感染が非常に増加しています。家庭内での感染予防も徹底してください。

第76回 入学式 式辞

夕光(ゆふかげ)の なかにまぶしく 花みちて しだれ桜 輝きを垂る
夕陽の優しい光を受けて輝いて見えるしだれ桜の可憐な姿を、歌人、佐藤佐太郎はこのように詠っています。本校校庭、自彊が丘の桜も、この短歌のように、今を盛りに咲き誇り、その可憐な姿はまさに皆さんの姿を象徴しているかのようです。
ただいま入学を許可いたしました三二0名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員一同心からお祝い申し上げます。今日のその晴れやかな姿、緊張した表情にも喜びが満ちあふれているようです。
皆さんは、コロナ禍という多くの不安と制約を余儀なくされる中にあって、これらにも打ち勝って、見事合格の栄冠を勝ち取りました。
本校では「文武両道」を校是とし、「社会的で創造力豊かな自主的個人」を育成するため、グローバル化時代に求められる思考力や判断力の伸長、主体性や協働性の向上を図る一方で、昨年度より「ひょうごスーパーハイスクール」の研究指定を受け、地域はもとより、大学や企業等との連携を密にし、探究活動等の教育活動の充実に努めております。
このすばらしい環境下で、若者らしく、何事にも果敢に挑戦し、将来の夢や進路希望を実現するべく、高校生活の第一歩を踏み出してください。
さて、本校は、大正十二年に明石市立明石中学校として開校し、昭和三年に兵庫県立明石中学校、昭和二十三年の学制改革により兵庫県立明石高等学校となり、二年後には創立百周を迎える東播磨地域を代表する伝統校であります。その間、県下唯一の美術科の設置、西オーストラリア州モーリー高校との国際交流、理数探究類型の設置等、学校改革を進めながら、地域社会や国際社会で活躍する有為な人材を多数輩出してきました。
校庭に凜として伸びるクスノキに見守られ、閑静な荷山に位置する本校からは瀬戸内の海と淡路島、そしてそこに架かる雄大な世界最長の吊り橋、明石海峡大橋を臨むことができます。皆さんはこの恵まれた教育環境のもとで、建学の精神である「自彊不息」を基軸にして人生でも最も意義深い、青春の三カ年を送ることになります。この大切で貴重な時期を本校で学ぶ皆さんに、三つのことを希望します。
一つ目は「高い志を持ち続けてほしい」ということです。自分の志を立て、それに向けて具体的な目標を持つことは、自己を律し、生活を充実させる基盤となります。皆さんは高校生活三カ年の延長線上に、将来どのような人生を生きるかということを具体的に考えているでしょうか。どのような職業に就き、社会にいかに貢献していくかを考えておくことによって進路も明確なものが見えてきます。
本校での充実した学びを通して自己認識を深め、自己実現をめざして、高い志を持ち続けながら努力を重ねてください。
二つ目は「確かな自分を作り上げてほしい」ということです。世界はグローバル化時代を迎えています。あらゆる知識や技術は日進月歩以上であり、おびただしい情報が世界中に氾濫しています。皆さんが心豊かに生活するためには情報に流されたり惑わされたりせず、主体的に判断し行動することが大切です。国際的な広い視野に立って、弾力的で柔軟なものの見方、考え方を持つ、そして善悪・真偽を正しく判断できる確かな自分を作り上げ、磨き上げてください。
三つ目は「良き友を持ってほしい」ということです。良き友とは、ともに喜び、ともに悲しみ、ともに高め合うことのできる真の友人です。この良き友は、安易に調子を合わせたり、誘われるままに行動したりするような関係の中には育ちません。時には「ノー」と言う友こそ心から信頼できるのです。他を尊重し合い、素直な気持ちをぶつけ合い、目標に向かって切磋琢磨し合う中に友情は育ち、本校校訓の一つ「協同」が生まれます。他を思いやる心を忘れず、自分にないものを学び、お互いを向上させ、信頼関係を深めながら、生涯にわたって心の支えとなる友を得てください。
最後になりましたが、保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日はお子様のご入学本当におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。高校の三年間は、人生の方向を決定する大事な時期であり、その一方で悩みや苦しみが大きい時期でもあります。私達教職員は、ご子様が、自らの生きる道を、自らの力で切り拓いていけるよう、全力で指導に当たって参りますが、お子様の健全な成長を願い、豊かな個性を育てていくためには、学校と家庭がそれぞれの役割を果たしながらも、相互に補完し合い、連携を密にしていくことが重要であると存じます。どうか、本校に対するご理解ご協力、そしてご信頼をよろしくお願い申し上げます。
新入生の皆さん、本校の校訓「自治」「協同」「創造」のもと、知・徳・体の調和のとれた人格の陶冶を図り、心豊かに、高い志を抱き、未来を主体的に切り拓いて行く人間として成長していくことを心から期待し、式辞とします。

1学期始業式式辞

皆さんおはようございます。新年度を迎えました。5月からは元号が「令和」に替わります。さまざまな意味で大きな節目を迎えます。皆さんも、3年生は最高学年、そして受験生という自覚、2年生は学校の中核、そして先輩という自覚を持ち、気持ちも新たに今日を迎えていることと思います。大切なのは、思うことではなく、"Practice makes perfect." つまり思うことを実践し継続して力に変えること、自己の成長に結びつけることです。このことを強く肝に銘じてください。


ところで、唐突ですが、質問します。皆さんの夢は何ですか。


皆さんは『下町ロケット』というテレビ番組を知っていると思います。この『下町ロケット』のモデルと言われているのが植松努さんです。植松さんが社長を務めるのは北海道にある社員数20名ほどの町工場「植松電機」です。この「植松電機」は2004年からロケットの研究開発に取り組み、現在、国内外の研究者が集まる宇宙開発の拠点になっています。ロケット以外にも人工衛星の研究開発などにも取り組んでおり、無重力状態を作り出す実験装置も完成させたそうです。その植松さんですが、母親から「思いは招く」という言葉を繰り返し教えられたそうです。これは「思ったらそうなるよ」という意味で、思い続ければ必ず夢は実現するということを教えられたといいます。


植松さんは、「やったことのないことは、やれないと思い込んでいるだけ。ものづくりの基本は諦めずに続けること。諦めたりやめたりせずに考えるんだ。考えるのを決してやめちゃいけない。やめない限り、夢が潰えることはないんだから」と語っています。なるほど、その通りですね。また、植松さんは、「どうせ無理ではなく、だったらこうしたらできるかもしれないと頭を切り替えて考え続けることで道は拓ける」とも語っています。心が折れそうな時、植松さんを支えてくれたのが、ライト兄弟であったり、エジソンであったり、それらは皆、植松さんが出会った本の主人公です。その意味では、読書好きが功を奏したとも言えそうです。


さて、皆さんは、する前からできない理由をいくつも考えて「どうせ無理」と諦めていませんか。「もう無理」と勝手に限界を決めつけていませんか。楽な方に逃げていませんか。自分自身に問いかけてください。皆さんには無限の可能性があります。そして、その基盤をなす優れた能力もあります。私達は繰り返しの利かない一回性の人生を生きています。悔いのないように、「思いは招く」という言葉を心に刻んで、それぞれの夢を追い求め続けてほしいと思います。そして、一回性の人生を、世のため人のために貢献できる人間であってほしいと願っています。ちなみに、日本には古く『万葉集』の時代から言霊信仰、つまり言葉に発することそのままが実現するという考え方があります。その意味では、思いを繰り返し言葉に発して招いてほしいと思います。


今日は皆さんに、"Practice makes perfect."、「思いは招く」という言葉を伝え、今年度の皆さんの大いなる飛躍と成長、そして頑張りを期待して式辞とします。