2学期終業式講話

 社会は動き始めましたが、依然としてコロナ禍に翻弄されたままの令和4年、そして2学期が終わります。皆さんにとってどんな1年、どんな2学期でしたか。

 ところで、皆さんは「カリカリ」というお菓子を知っていますか。「カリカリ」は、亀田製菓が販売しているインド人向けの「柿の種」のことです。

 人口が頭打ちとなり、食品業界が待ったなしの変革を迫られるなか、亀田製菓は国内中心の事業からスタイルを変えようとしました。その一つが、人気商品である「柿の種」をインドで販売することでした。このインド進出をはじめとした食品事業や海外戦略の舵取り役を担うのがインド人副社長のレカ・ジュネジャさんです。

 彼は、インドの大学院を卒業後に名古屋大学大学院で食品工業化学を学び、博士号を取得。入社した大手食品素材メーカーでは研究も営業もこなして副社長に就任。「お茶の成分のリラックス効果」の研究成果は世界中の商品に活かされています。その後、ロート製薬を経て2020年に亀田製菓に副社長として迎えられました。そして、「研究のための研究はやめて、どんどん新商品を出そう。それも、日本の1億2千万人ではなく、世界の77億人を相手にしよう」と社員に訴えました。彼は「日本の食品企業はまだ世界に出ていない。世界の市場を狙っていった方がいい。世界に出るには苦労があり、容易に成功しない。でも、リスクも取らないとダメ。枠を自分で決めてしまってはダメ。枠を超えたことをやろう」とも訴えました。そこで作り出されたのが、種が大きく、ピーナツ量が多く、生地が厚く、味が辛めで濃い「カリカリ」です。それは現地で瞬く間に人気商品になりました。

  さて、この話から皆さんは何を感じ取ったでしょうか。グローバル時代、やはり世界に目を向けないといけない。リスクを冒してもチャレンジすべきだ。それぞれに感じ取ったものは異なるでしょうが、私が皆さんに伝えたいことは2点あります。

 1点目は「研究のための研究はやめる」です。この「研究」を他の言葉に置き換えてください。たとえば「勉強」「練習」。「勉強のための勉強」「練習のための練習」。皆さんは「進路実現、大学進学のための勉強」ではなく、「宿題のための勉強」「課題提出のための勉強」になっていませんか。「近畿大会出場、全国大会出場のための練習」ではなく、「今日もまた練習があるから練習」になっていませんか。皆さんにはそれぞれ目指すもの、目標とするものがあるはずです。それを達成するために何をしなければならないのか、それを自覚できたら、自ずと意識も姿勢も取組も変わってきます。

 2点目は「枠を自分で決めてしまってはダメ」です。皆さんは自分で自分の限界を決めつけていませんか。やる前からどうせ無理だと諦めていませんか。自分はこの程度じゃない、これでは満足できない、こんなはずはない、このままではダメだと考えて真剣に努力している人がどれだけいるでしょうか。

  令和4年が、そして2学期が終わろうとしている今、これまでの自分を見つめ直してください。皆さんそれぞれに目指すもの、目指すところが何なのかを確認し、そのためにハードルを上げて越える努力を惜しまないでください。皆さんには建学の精神「自彊不息」、この言葉の意味を改めて噛みしめてほしいと思います。皆さん一人ひとりが、2学期が終わるこの節目、年が改まるこの節目を、自分が変わる転機にしてくれることを期待します。

最後に、明日から冬休みに入りますが、改めて新型コロナウイルス感染防止の徹底をお願いします。

それでは、1月10日にこうして全員が元気に登校してくれること、令和5年が皆さんにとってすばらしい1年となることを祈念して、式辞とします。