【校長の窓】第47回卒業証書授与式 式辞

式辞

 

 厳しい寒さも和らぎ、相高坂にも少しずつ春の到来を感じられる今日の佳き日に、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、保護者の皆様のご列席のもと、兵庫県立相生高等学校第四十七回卒業証書授与式を厳粛な中にも晴れやかに挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生ならびに教職員一同にとりまして、大きな喜びであり、深く感謝申し上げます。

 ご来賓の皆様には、公私ともご多用のところご臨席を賜り、門出に華を添えていただきましたこと、このように高いところからではございますが、衷心より厚く御礼申し上げます。

 保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。今日のお子様の姿をご覧になられ、さぞかし喜びも一入のことと存じます。また、これまで三年間にわたり、本校の教育活動に多大なるご支援、ご協力を賜りましたことに、心より厚くお礼を申し上げます。

 さて、ただいま卒業証書を授与しました四十七回生、192名の皆さん卒業おめでとう。心から祝福いたします。皆さんは、日々、勉学や部活動に励み、学校行事や生徒会活動の取組では学校全体を大いに盛り上げてくれました。しかし、決して楽しかった事ばかりではなく、辛くて泣きたくなるようなこともあったと思います。時には学校を休みたいと思ったこともあったかもしれません。皆さんは、四十七回生の仲間と切磋琢磨し、本日、晴れて卒業を迎えることができました。これは、皆さん一人ひとりの努力の賜であり、よく頑張り、成長しました。しかし、これまで温かく見守っていただいたご家族の愛情を決して忘れてはなりません。

 皆さんと過ごした一年ばかりの歳月は、私にとっても大変印象深い日々でした。これからの皆さんの幸せを祈りながら、二つのことを伝えたいと思います。

 一つめは、「夢に向かって挑戦」です。世界に目を向ければ、世界のさまざまな国や地域で、いまなお紛争が起きています。また、我が国、日本は未だ誰も経験したことのない、人口減少と人生百年時代を迎えています。こんな時代だからこそ、皆さんには夢に向かって挑戦し続けてほしいと願っています。ただ、自分の夢が定まっていない人は焦って、夢を見つける必要はありません。二度とない人生なので、まずは自分がどうありたいのか考えてください。少しでも世の中に貢献するために、自分は何ができるのか考えてください。そして、夢に日付をつけると目標に変わります。決して、どうせ自分なんてと思わずに、あせらず、あわてず、あきらめず、目標に向かって一歩ずつ、前進してください。本校で培った精神を発揮し、夢に向かって果敢に挑戦してください。

 二つめは、「対話を大切に」です。現在、生成AI等の情報技術の急速な発展により、私たちの生活環境も大きく変化しました。一見、とても便利になったように感じますが実際のところどうでしょうか。皆さんは「連帯と分断」という言葉を聞いたことはありますか。SNSが発達し、自分と同じ価値観の人とはとてもつながりやすくなりました。その一方で、自分と異なる意見や考えについて、攻撃的になったり、排他的になったりして、分断が生まれやすくなっている現状にあります。そのためにも対話の技術を高めることがとても大切です。親しい人同士のおしゃべりは対話ではなく会話です。対話とは、相手と向き合い、互いの意見や考えを深く理解し合うコミュニケーションの形です。単なる情報交換に留まらず、お互いの意図や感情を尊重し、共通の理解を深めることを目的とします。自分と異なる意見や考えを理解し、相手にも自分の考えを理解してもらうためには、自分の考えを相手に伝わるように表現しなければなりません。対話は自分と相手を成長させ、人と人をつないでくれます。皆さんには、是非、人間関係の中で生き抜く力を磨いてほしいと強く願っています。

 最後になりますが、宮澤章二さんのメッセージを皆さんへのはなむけの言葉とします。

 

「心」は誰にも見えないけれど、「心遣い」は見える

「思い」は誰にも見えないけれど、「思いやり」は見える

あたたかい心があたたかい行為になり、やさしい思いがやさしい行為になるとき、「心」も「思い」も初めて美しく生きる

それは、人が人として生きることだ

 

 それでは、名残は尽きませんが、この学び舎を巣立ちゆく皆さんの前途が健やかで幸多からんことを祈念し、式辞とします。

 

     令和八年二月二十七日

                           兵庫県立相生高等学校長         

                                 土井 寛文