校長室より

2023年12月の記事一覧

前向きな後悔 ~2学期終業式にて~

生徒諸君、おはようございます。

今日は、敢えて生徒諸君と言わせていただきました。というのも、今から40数年前、私が高校1年生の時です。「生徒諸君」という漫画が流行っていました。少女漫画ですが男子にも人気がありました。今でいうと「鬼滅の刃」とまではいきませんが、映画化もされ、かなりのブームになっていました。その漫画のコミックス全巻がクラスで回っていて、私の番が来ました。あまり乗り気ではなかったのですが、家に帰り読み始めると面白く、徹夜して一気に読んだ記憶があります。主人公とその仲間が高校・大学時代に様々な困難にぶつかり、もがき苦しみながらも、それを乗り越え互いに成長していくストーリーで、その主人公がラストシーンで自分の夢であった教員になり、全校集会の壇上で「生徒諸君!」と第一声を発し終わるという漫画だったと思います。

たまたま出会った漫画ですが、私が教員を目指すきっかけとなりました。その時は、将来の選択肢の一つに加わった程度でしたが、今思えばその漫画に出会っていなかったら、今ここに立っていないと思います。

振り返れば、あの時が分岐点だったなと思えることがいくつか思い浮かびます。良かった選択もあれば、後悔している選択もあります。私自身で言えば、後悔している選択の方が多くあります。いえ、後悔している選択がほとんどです。後悔の連続、後悔の重なりが私の人生と言ってもいいと思います。ただ、自分で決めた選択と、親や他人に決められた選択では、後悔の質が違います。自分で決めた選択で後悔したときは、「次はこうしよう。」「次はこんなことに気を付けよう。」など、次に向かって前向きになります。しかし、自分以外に決められたり、流されたり、強いられた選択で後悔したときは、「やっぱりこうしておけばよかった。」「あの時こうしたかったのに。」「誰々のせいや。」など、ついつい後ろ向きな思考になってしまい、次になかなか進めません。

自分で決めることが肝要です。しかし、独りよがりになってはいけません。論語にこういう言葉があります。「学びて思わざれば即ちくらし、思いて学ばざれば即ちあやうし」。これは、教えを受けただけで、自ら考えなければ、真理には到達できない。しかし、自分だけの考えで、他者に耳を傾けなければ、独りよがりに陥ってしまうという教えです。

君たちは、これから様々な分岐点に立ち、選択を迫られることが多々あると思います。その時は、自分の頭で考え、他者に耳を傾けつつも、自分で決定し、自分で責任をとる。そのために、今、様々なことを学び、経験しているのです。そして、前向きな後悔を重ねていきましょう。

本日は終業式です。また、これから年末・年始の節目を迎えます。この節目では少し立ち止まって自らの一年を振り返り、来年に向け前向きに考えてほしいと願っています。

 

校長 塙 守久

12月避難訓練後の話

皆さん、おはようございます。

今回の避難訓練は地震及び火災の想定での訓練でした。前回より真剣に取り組めましたか?

「天災は忘れた頃にやってくる」と言いますが、本当に突然やってきます。突然の対応が迫られ、判断、行動しなければなりません。その時は考える間もなく、その場で考えていては手遅れとなってしまいます。ですから、あらゆる場面を想定して準備しておく必要があります。少なくとも学校や自宅での準備は必要です。そのための訓練です。

2011年3月11日、東日本大震災の時、「釜石の奇跡」と言われた出来事がありました。地震が起こり、釜石東中学校の生徒が避難訓練のとおり校庭に集まり、その後高台に走って逃げました。隣の鵜住居(うのすまい)小学校の児童は、最初、訓練どおり3Fの教室に上がり避難していましたが、隣の中学生が高台に走って行くのを見て、小中合同訓練を思い出し、校舎を駆け下り、中学生のあとを追い高台に逃げました。津波で釜石市は1300名を超す行方不明者がいましたが、釜石東中学校と鵜住居小学校の児童生徒は570名全員無事でした。

中学校は、津波を想定して高台に逃げる避難訓練をしていたため迷わず高台に逃げることが出来たということ。小学校は、3Fへの避難を想定していたが、中学生が高台に逃げる様子を見て、合同訓練を思い出し、3F以上の津波が来るかもしれないと急遽判断し、中学生のあとを追ったこと。普段の避難訓練と急遽の判断、2つのことが奇跡を生みました。避難訓練で想定していたからこそ、その場の判断が間に合ったという奇跡です。

学校での避難訓練は、今年最後ですが、自宅に帰ったら、各ご家庭で、防災グッズの点検、避難経路・避難場所の確認等をお願いします。

また、自分の無事や被災地の家族・知り合いの安否確認ができる災害伝言ダイヤルは覚えていますか?私の身長1・7・1です。いざという時のために覚えておいてください。

 

校長 塙 守久