校長室より

給料はあなたの価値なのか

給料はあなたの価値なのか 

 アメリカの社会学者であるジェイク・ローゼンフェルドさんが書いた「給料はあなたの価値なのか(みすず書房)」という本を紹介します。

    私たちが労働の対価として受け取る給料ですが、その額はあなたの市場価値の反映なのでしょうか。この本の著者による大規模なアンケート調査によると、給料をもらう人も、給料を払う人も、給料額を決定する要因として最も大切なものは「個人の成果」だと考えていました。それが事実だとすると、高い給料をもらう人は、個人の成果が優れているということになりますが、著者はその考え方を全否定します。その考え方は「神話(昔から伝えられてきているが、事実とは異なる)」であるとしました。

   給料を決定する要因は「権力、慣性、模倣、公平性」の4つだとします。そうすると、コロナ渦の中で注目された「エッセッシャルワーカー」医療・福祉、保育、運輸・物流、小売業、公共機関等に従事する人たちの給料が、安すぎることになります。アメリカでは(日本でも)巨大企業の経営者の給料は異常に高くなっています。これは行き過ぎた「株主資本主義」のためであり、株主の利益と経営者の利益が一致し、企業に留保された資本が株主と経営者に向かい、従業員の給料上昇に結びついていません。

 では、どうすれば改善されるのか。最低賃金を大幅に引き上げる、経営者等の多額の給料には大きな税金をかける。Amazonやスターバックスでも始まった、労働者の組合を結成する。年功序列の給与体系を導入する。色々な提案がなされています。

 改めて「給料はあなたの価値ではない」ということが分かりました。あなたの価値を決めるものは、土地の土を耕し、町を支え、道を守り、口を出す余地を作り、素晴らしい落ちを考えることです。