校長室より

汗牛充棟

汗牛充棟

 それでは、ことわざシリーズの始まりです。栄えある第1回は「汗牛充棟(かんぎゅうじゅうとう)」です。少し難しく、知らなければ読めない言葉だと思います。私も7年前に、当時勤務していた高校の国語(漢文の大家)の先生に教えてもらうまでは知りませんでした。

 出典は中国の唐の時代「柳宗元(りゅうそうげん)」という人の書いた「陸文通先生墓表(りくぶんつうせんせいぼひょう)」です。「所有している書物がとても多いことのたとえ」です。車に載せれば車を引く牛が汗をかくほど重く、家の中で積み上げれば天井の棟木(むなぎ)に届くほど書物が多いという意味です。「牛に汗し棟に充つ(うしにあせしむなぎにみつ)」とも訓読するようです。唐の時代にはまだ印刷の技術はありませんから、当然書物は紙に墨で手書きしたものでしょう。その貴重な書物が汗牛充棟ということは、かなりな財産ということになります。

 もちろん世の中には私より読書家の方は、星の数ほどおられると思いますが、私の住まいにも「充棟」まではいきませんが、かなりの数の本がありました。整理することと、若い高校生に読んでもらいたいということで、前任の高校の図書室に「木村文庫」を作ってもらい、ある程度の量の本を寄贈させてもらいました。現在の私は文字通り汗牛充棟である、姫路や加古川の図書館と、本屋さんを利用させてもらっている日々です。今はインターネットで何でも調べられる時代ですが、ネット情報は浮かんでは消えるものもあり、詳しく調べるためには書籍の利用は大切です。生徒の皆さんは、身近なところである香寺高校の図書室も、新刊の本もそろっており、是非利用してみてください。充棟させるためには、ある程度の本を充当させて、野球の試合では重盗はよろしいが、銃刀はいりません。