校長室より

なぜ嘘をついてはいけないのか

なぜ嘘をついてはいけないのか

 皆さんは小さいときに両親や先生から「嘘をついてはいけません」と言われたことはありませんか。私はあります。でも、なぜ嘘をついてはいけないのかを考えたことはありますか。「嘘も方便」という言葉もありますから、一概に嘘は全部ダメとは言えないのではないでしょうか。

 ドイツの哲学者でカントという人がいました。カントは「実践理性批判」という著書で次のように書いています。

「君の意思の採用する行動原理が、常に同時に普遍的な法則を定める原理としても妥当しうるように行動せよ」

 自分の行為が道徳的に正しいのか、疑問に思ったときは、もし皆が自分と同じ事をした場合、社会がどうなるかを想像してみれば良い。皆が自分に都合の良い嘘をついていたら、この社会は成立するだろうか。無理だろう。だから嘘をついてはいけないのだ。良き行為をしたければ、じっくり考えれば良い。

 死んだら無になると思うと、自分勝手な思いを抑えられなくなるかもしれない。だが、自分の中には永遠に生きる可能性が秘められていると思えるのなら、もしくは、自分は無限に向上していけるのだと思えるのなら、今からでも利己心に打ち勝ち、道徳的行動しようと思える。

 どこかの国の大統領や、どこかの国の世襲の政治家たち、大企業経営者たちに聞かせてやりたい話です。もちろん、私も含めて皆さんにも考えてもらいたいと思います。カントは、ホントにマントを着て散歩して、良く生きるヒントをタント考え出しました。