校長室より

道半ば 

道半ば 

 もう20年くらい前の話です。私より5歳くらい年配で、大変お世話になったある中学のバスケットボール部顧問の先生がいました。当時は高校生はハーフ20分の前後半、中学生はハーフ15分の前後半で試合をしていましたから、高校の先生が中学の大会で審判をすると「短いな、もう終わり」と感じたし、中学の先生が高校の大会で審判をすると「いつまで続く、長いな」と感じたはずです。その先生がその年の3月で日本公認審判(現在のシステムでは、B級公認審判 当時中学の先生で日本公認審判の資格を持っている人は少なかった)をリタイアすることになり、お疲れ様の宴会をしたときの話です。

 「私は公認審判はリタイアしますが、バスケットボール部顧問としてはこれからも頑張っていきます。まだまだ道半ば(みち なかば)です」

 この言葉はもともとは「どこかへ行く途中」という意味ですが、多くは「何かを成し遂げる途上」という意味で、まだ達成できていない事を表します。この先生の「道半ば」という発言を今でも覚えています。それまでもチーム作りに尽力し、多分普通の中学の先生の仕事も、求められる以上のことをやってきたと思います。それでも「道半ば」ということは、私なんて「鼻くそ」みたいな物だなと思いました。

 私も60歳を過ぎ、世間ではリタイアの年齢に入りつつあります。本来でしたら「これまで良くやってきたな」と振り返って自分を褒めたいところですが、まだまだ「道半ば」だと思っています。もうしばらくは、香寺高校をより良い学校にするために、頑張っていきたいと思っています。

 道半ばでは、若葉の季節に、近場の酒場で飲み過ぎて、墓場へ行ってしまってはいけません。