校長室より

キーウから遠く離れて

キーウから遠く離れて 

 歌シリーズが続きます。それくらい「私もこの戦争をやめさせることに、何か貢献できないだろうか」と感じているミュージシャンがたくさんいるということです。さだまさしさんの「キーウから遠く離れて」という曲です。歌詞の一部を紹介します。

 わたしは君を撃たないけれど

 戦車の前に立ち塞がるでしょう

 ポケット一杯に花の種を詰めて

 大きく両手を広げて

 わたしが撃たれても

 その後にわたしが続くでしょう

 そしてその場所には

 きっと花が咲くでしょう

 色とりどりに

 さださんがテレビ番組に出演され、この曲を披露するときの話です。

 今度の戦争ってライブで中継があるじゃないですか。ウクライナの老婦人がロシア兵に向かって「帰りなさい!」って抗議しているシーンが流れたんですよ。その人が「あんた、ポケットにひまわりの種、入れておきなさい。あんたが死んだ後、私がその花を眺めてやるから」っておっしゃった。それが胸にこたえましてね。命の捉え方っていろいろあるな、と思って。

 僕は音楽家なので、銃は撃たない、と決めているんですね。じゃ、銃を撃たない僕がどうやって大切な人を守れるんだろうって随分考えたんです。方法は一つしか思い浮かばなかったですね。それは「戦争を始めさせない」っていうことしかないと思うんです。そのためにやっぱり音楽があり、人の心があり、言葉があると思います。きっと言葉は届くと信じてます。音楽っていうのはきっとそういうものだと思うんですよ。痛みだとか悲しみだとか喜びだとか、そういうものを声を出して共感する、元気に変えていく、音楽にはそういう力があると信じています。

 さださんは今年70歳(!)、現役のシンガーソングライターとして活躍中です。70歳は「古希」と言います。「古来希なり(こらいまれなり これだけ長生きをするのは珍しいことだ)」私も古希に向かって、飽きの来ないように、息長く、先を見据えて、好きなように、時を重ねたいと思います。