校長室より

隗より始めよ

隗より始めよ

 「まず隗(かい)より始めよ」

 この言葉は、中国の戦国時代、燕(えん)の国の昭王が天下に人材を求めた時、郭隗(かくかい)という人が「賢者を招こうとするなら、まず私のようにあまり優秀でない者を優遇することから始めるのがよい。そうすれば、優れた賢人が王のもとに続々と集まってくる」と話し、実際にそのようになった、という故事から生まれたものです。転じて「大事をなすには、手近なことから着手せよ」という意味になりました。

 先日、私が尊敬するA校長先生と話をする機会がありました。A校長は

「うちの高校の生徒は、あいさつをしない」

と言われました。私は

「香寺高校の生徒はよくあいさつをしますよ」

と言いました。

「木村校長、何か秘訣はありますか」

と尋ねて来られたので、

「私はできるだけ毎朝、校門に立って、生徒に『おはようございます』とあいさつをしています。先日はある生徒から『校長先生、いつも大きな声であいさつをしてもらって、ありがとうございます』と声をかけられました。私はとてもうれしく思ったので、先生方にこの話を披露して『生徒指導部の先生方を中心に、先生方があいさつ指導をしてくださっているおかげです。ありがとうございます。これからも引き続きよろしくお願いいたします』と言いました」

 この話を聞いたA校長は、朝校門に立って、生徒にあいさつをするようになったと聞きました。さすがは私と仲良しのA校長先生です。「まず隗より始めよ」ということですね。私たち一人一人の力は「微力ですが、無力ではない」のですから。あいさつをしないと、改札で、警察に、偵察されてしまいますよ。