校長室より

超早期教育

超早期教育

 「這えば立て、立てば歩めの親心」ということわざがあります。はいはいができるようになったら、次は立ち上がる。立ち上がることができるようになったら、次は歩く。親は子供の成長を楽しみにしているものです。

 こういった親の願いが極端に出てしまうと「超早期教育」ということになってしまいます。例えば、子どもが母親の胎内にいるうちから「あいうえお」の読み聞かせをしたり、乳児期に数学や英語を教えたりするというようなことです。これには、親の不安をあおる教育産業が絡んでいることもあったようです。

 先日亡くなられた俳優の柳生博さんが、今から20年以上前に、この超早期教育について、発言されていました。

 「どうか弱い子どもたちをムチ打たないでほしい。幼い頃から『他人より少しでもいい大学・いい企業』という価値観を押し付けるのはおかしいよ。その結果、かりに他人より有利な地位についたとして、そこに人としての幸せがあるのだろうか。母親たちをそんな競争に駆り立てる企業の経済的な価値観に、僕らの宝物である小さな子どもたちを組み込むのは許せんのだよね」

 早期教育は行き過ぎると、納期を守らず、ほうきで掃いて、空気のような陶器になってしまうかもしれません。