校長室より

大河への道

大河への道 

 「シン・ウルトラマン」に続き、今回も映画「大河への道」の紹介です。落語家の立川志の輔さんが、千葉県香取市にある「伊能忠敬(いのう ただたか)記念館」を訪れて、伊能忠敬が製作した「大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず 輿地というのは地球もしくは世界のことです)」を見て感動して作った創作落語「伊能忠敬物語 大河への道」を原作として製作された、コメディタッチの現代劇でもあり時代劇の映画です。

 生徒の皆さんもそうだと思いますが、私も「大日本沿海輿地全図」は伊能忠敬が製作したとばかり思っていました。しかし伊能忠敬は1818年に74歳で亡くなっており、地図の完成は伊能組の多くの人たちの努力により、その3年後の1921年になりました。伊能忠敬は村の名主を務めた後、隠居していましたが、50歳(その当時の平均寿命を超えている?)から測量や天体観測を学び、地図の製作を始めました。まさに福澤諭吉の言葉にあるような「一身にして二生を経る」という人生です。この地図は現在の宇宙からの人工衛星写真と比べても、ほとんど一致するほどの正確さです。幕末に開国後の1861年にイギリス海軍が、日本沿岸の測量を強行しようとした際、伊能忠敬の地図を見て、その優秀さに驚いて測量を中止したという程の出来映えでした。

 さて、映画の方は中井貴一、松山ケンイチ、北川景子その他の俳優達が、令和の今の時代と、江戸時代に伊能忠敬が亡くなってから地図を完成する時代との一人二役で物語が進みます。笑いあり、涙ありの素晴らしい作品になっています。チョイ役(と言うと怒られそうですが)で出てくる俳優さん達も、素晴らしい活躍でした。いやー、映画って本当に絵画のようで、大河ドラマになるような名画が多いですね。